川端康成のレビュー一覧

  • 少年(新潮文庫)

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    50歳時点の著者が17歳前後の同性愛的体験などを振り返るという体の小説。
    当時の日記や手紙の引用が多く、小説というより随筆っぽかったが、こういう「生」感のある構成は嫌いではない。同性愛描写よりむしろ某新興宗教に関する内容が興味深かった
    。正直、主題とされている同性愛経験の内容には物足りなさがあった。日記の引用が主とはいえ本当の心のうちはあまり明かされていないように感じたし、本書の描写だけだと愛というより単に弄んでいるだけのようにも思えた。
    流石ノーベル文学賞受賞者だけあって、端正な文章で眼福になった。

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    2022年08月18日
  • 雪国

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    ネタバレ

    駒子に対する島村の細かい感情の描写が秀逸。というか島村自身が文学的。これこそ耽美だわあと思わされる。雪国って寂しいんだよなあ。でもそこで火が起きた時の力強さとのコントラストはすごく良いね。分からない単語がたくさんあって、読み進めるのに結構時間がかかってしまった。駒子、迫りすぎ感は否めないけれど彼女の気持ちを考えると切ないー。島村もうやめてえー

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    2022年08月17日
  • 少年(新潮文庫)

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    川端康成が中学時代同室で過ごしていた美少年・清野の記憶を追想する。
    清野一筋かと思えば、所々で別の美少年にも情を抱いているのがかえって生々しい。少年を愛する心は、彼の中に当たり前に存在していたんだなと思った。

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    2022年07月14日
  • 少年(新潮文庫)

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    1972年川端康成亡くなって50年となり、全巻35巻の第10巻のなかで全集のみでしか読めなかった部分を文庫化した作品。
    その全集は川端康成50歳を記念して刊行されたもの。その編纂にあたり、本人も自身の全作品を振り返っている。その時に、幼少期からの作文や学生時代の日記を取り上げながら、50歳の気持ちを書き加えていくといったいった形式。
    出版社はこの文庫の発表にあたり、「川端のBL」と扇状的すぎるかなあと思う。確かに寮生活での日記が主で、その中でも清野少年に対する恋慕的行為表現は多い。他にも美しい少年を見かけるとそちらも気にしてしまう。と、多少そういう傾向ではありますが。
    日記書簡からの回想なので

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    2022年07月12日
  • 伊豆の踊子

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    「伊豆の踊子」は十数年ぶりに再読。旅情と青春を感じさせて、案外良い。初めて読んだ時もそう感じたはず。

    他には、新潮文庫版には未収録の「死体紹介人」が薄気味悪くて良い。

    川端康成は、基本的にあっさり薄味だが、晩年の「眠れる美女」や「片腕」のように、たまに薄気味悪い小説を書く、という印象。


    以下は「死体紹介人」のあらすじ。

    会ったことのない女の死体を解剖用に大学に売り払うが、その女の妹が骨を受け取りに来たので他人の骨を渡す。その妹と同棲するようになるが、姉と同じく肺炎で亡くなる。その死体の前で、火葬場で知り合った女と抱き合う。

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    2022年07月04日
  • 雪国

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    純文学。妻子がいながら、雪国の温泉宿で芸者の駒子と過ごす主人公。さらに葉子にまで興味を持つ。色に乱れたシーンは無いが、内容はエロに近い。うーん、よくわからない。

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    2022年07月01日
  • 少年(新潮文庫)

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    BL作品にはあまり興味がないんだけど
    BLじゃない作品に
    BL的要素を感じる人の気持ちは
    わからんでもない
    美しさを求めてんのかな?とオモウ

    話題になってるようだったので
    気になって買ってみた

    少年少女の頃って
    実際はすごく匂いがあるし
    己の幼少期は泥んこだったし
    家畜の糞尿もすぐそばだったし
    汚れ放題だったのに
    なぜ回想すると
    美しく変換されるのか
    ハナタレも汗臭さもどこいったん…

    ということが
    誰にでもおこると信じているので
    川端康成にもあったはず!
    回想してるから
    こんなに匂いがなく感じるんだと
    信じている!!!!

    清野の手紙がちょっと切ない
    書いた清野の気持ちを考えると
    ギュー

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    2022年06月03日
  • 雪国

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    面白くはなかった。文は綺麗だと思った。語り手に景色がどう見えるのか、それにしかなしえないイメージの伝え方があるのだと思った。漫画や映像では表現出来ないもっと原初的な思い出に則したイメージだ。物語はあまりよく分からなかったというのが正直な感想だが、時代背景や風俗をもっと知っていれば楽しめたのかなと思う。省略が唐突でイメージを追い遅れたが、島村にとって大切でない場面がまるまる切り取られているのだと解説を読んで納得した。

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    2022年06月02日
  • 伊豆の踊子・温泉宿 他4篇

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    若い頃に書かれた短編集。
    伊豆の踊り子」は、雪国の若者バージョン?、「雪国」と比べてフレッシュな感じ。「雪国」に比べて愛情に対する反応も素直。瑞々しい、というべき?
    映像が目に浮かぶ。

    「十六歳の日記」は、死にゆく祖父を写生した日記。

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    2024年06月20日
  • 少年(新潮文庫)

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    川端康成の作品を初めて読んだのでいまいち作者の人となりがわからないのだが、この本は自身の少年〜青年期を振り返ったものということで良いのだろうか。
    自身の書いた手紙をみつけるがまま順に書き連ねていったという感じで、時系列がばらばらで把握しにくいのだが、文章自体は読みやすかった。

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    2022年04月30日
  • 少年(新潮文庫)

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    旧制中学の寮で同室になった後輩の少年との思い出を、過去の日記や手紙から紐解いています。
    思い出すままに並べたような、輪郭をもたない記憶。少年への印象も美化なのか理想なのか、願望か。まるで夢のようです。

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    2022年04月18日
  • 少年(新潮文庫)

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    川端康成没後50年ということで、新刊として刊行された「少年」

    さてどんな小説だろうかと蓋を開いてみると、全く予想外であった。大衆小説を予想して読んでいたので、率直に、非常に読み進めにくかった。内容的には森鴎外の「ヰタ・セクスアリス」や三島由紀夫の「仮面の告白」と似ている(ただ後者は読みやすかった)。また話の構成の巧さで言えば、彼らにはちょいと劣るかな、、?

    そこに書かれている内容は、青少年の頃の川端と後輩の清野の長きにわたる交流である。互いに寮生活の中で愛(この場合、友愛も恋愛も全て包括している)を育むも、川端の卒業によって徐々に疎遠になっていき、、、というような感じである。

    ここで交わ

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    2022年04月13日
  • 小公子(新潮文庫)

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    「老人の凍った心をも溶かす幼児の真心」というのは児童文学として良い。礼儀正しさ、思いやり、高貴なる義務は誰しも子どもに教えたいものだから。

    しかし、そもそも貧しい人々を生み出す構造の問題に踏み込んだ展開にならないのは書かれた時代の、上流階級の出身である作者の限界か。

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    2022年01月02日
  • 小公子(新潮文庫)

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    アメリカに生まれた少年・セドリックは、大好きな母や周囲の人々の細やかな愛情に包まれ幸せに暮らしていたが、名も知らぬ貴族の祖父の跡継ぎになるためイギリスへ渡ることとなった。祖父は意地悪で傲慢で、アメリカという国を嫌っていたが、セドリックの純真さに心動かされ、次第に変化していく。だがそこへ真の跡取りを名乗る者が現れて──。川端康成の名訳でよみがえる児童文学の傑作。

    子供の頃に読んだ名作。小公女は結構序盤がお先真っ暗なイメージでしたが、こちらは比較的前向きに進んでいくので、穏やかな気持ちで読み進められました。セドリックが泰麒のキャラクターに影響を与えていたなんて!確かにそういう目線で見るととても似

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    2021年12月31日
  • 小公子(新潮文庫)

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    皆さん多分一度はよんでますよね。私も小学生の頃読んで、子ども達が小さい頃買ったのを再び読んで、今度は川端先生の訳で読み返しました。

    気難しいおじいさまがセドリックの無邪気さややさしさにほだされて、やさしいおじいさんに変わっていく。最後は嫌っていたアメリカ人の嫁の良さも認めて一緒に暮らす…というストーリーの主軸は覚えていたのですが、偽者が出てきたのは記憶になかった。

    たぶん子どもの頃は省略されてる本を読んだのかもしれないですね。そして、偽者事件を解決するのにセドリックのニューヨークのお友達が一役買っていたのも面白かった。あの二人のお友達、なかなか味がありますね。

    解説を読むと、実際に翻訳し

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    2021年11月04日
  • 美しい日本の私

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    ノーベル賞受賞後の記念講演会での講演「美しい日本の私」を含む、戦前戦後のエッセイをまとめたもの。どのお話にも川端康成の「日本の美」に対する思いが込められている。川端の感じる美というのは、日本画や自然にとどまらず、源氏物語などの小説や勤勉な労働者など幅広く、本質的には「もののあはれ」に表現される、純粋さや儚さ。一方で、戦争で夫を亡くした寡婦が、姑を養いながら残された子を育てる姿を取材することなどは、川端自身も純粋に美しいと思っているのだろうが、今でいうヤラセ感がないではなく、戦争・国策の影響を感じる。

    「もののあはれ」を至上の美と考えていた川端が、戦後の混乱した社会や米国に傾倒している人々を見

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    2021年08月04日
  • 伊豆の踊子・温泉宿 他4篇

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    横光利一らと共に「文藝時代」を創刊し、ダダイスムな芸術活動の先駆となった「新感覚派」と呼ばれる作家グループの代表的作家・川端康成の短編集。
    本作は氏の処女作から、その文芸活動の前期にあたる作品が収録されています。

    川端康成ははっきりって読みやすい作家ではないと思っています。
    例えば、本作収録の"温泉宿"はこんな出だしで始まります。
    「彼女らは獣のように、白い裸で這い廻っていた。」
    これは何を表現しているかというと、風呂掃除をしている女性たちなんですね。
    こういった、比喩的な、詩的な表現が多用されていて、表現力が多彩すぎて何が書かれてるかすぐにわからない場面が多々あります。

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    2021年03月30日
  • 女であること

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    川端康成の現代物。
    昭和30年代の東京を舞台に、子供のいない弁護士夫妻、身を寄せる被告人の娘、大阪から出奔してきた友人の娘が織りなす出来事。

    小説として深いものはないが、戦後間もない、豊かになりゆく昭和の世相が面白い。有楽町のキネラマ、キャバレー、デパートなど。映画化されてたら観たい。

    また、女性の描き方もど昭和で、男女交際の進み方とか「純潔を奪われる」みたいな表現、21歳くらいなのにすぐ結婚相手にどうかとか周りがソワソワしたりとかが面白い。女性の生き方は本当に限られていて、成人して結婚するまでの数年しか自由はなかったんだなと感じる。

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    2021年01月15日
  • 愛する人達

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    全体に淡いなまめかしさが美しさを保ってある、そしてエロティックがはみ出す。それが川端康成の魅力だと思う。

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    2020年07月26日
  • 虹いくたび(新潮文庫)

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    どことなく未完のような雰囲気。物語としてはあまりすっきりしません。
    文章はやはり素敵で、乳椀のところなどもういない啓太の人間性が垣間見れる部分が特に惹きつけられた。

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    2020年07月24日