あらすじ
孤独な生い立ちの20歳の主人公は、伊豆の峠で旅芸人の一行と出会った。花のように笑い、無邪気に自分を慕う踊子の薫や素朴な人々と旅するうち、彼の心はやわらかくほぐれていくのだった。淡く、清冽な初恋を描いた名作「伊豆の踊子」、「十六歳の日記」など初期の短篇5編を収録。
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「伊豆の踊子」は行間と空白に満ちていて、自分で埋めていくのがたまらなく心地よい。静かで、切なくて、胸が締めつけられる美しさ。一方、「死体紹介人」は……え、同じ人が書いたの!
死体を運ぶ話がこんなに不気味でいて、ページをめくる手が止まらないってどういうこと!この振れ幅が異常。
”美の極致に達したから次はわざと壊す”みたいな挑戦をずっと繰り返していたんだろうな、と震えた。
自らのスタイルを破壊し続けることでしか到達できない境地がここにある。
さすがノーベル賞……ただただ恐れ入る。正直、意味が掴みきれないところも多かったけど、それでも不思議と苦にならず、夢のなかを漂っているような読書体験だった。
巻末の語注や解説もありがたい。
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映画化もされているので、長編かと思っていたら、なーーんと、40ページくらいしかない短編であった・・・(つまり、この本は、たの短編をいくつか含んでいる)
40ページで、なんか登場人物と友だちに成れた感を作ってしまうんだから、やっぱり川端康成はすごいんだと思った。
孤児で育ったことによる感情、一高(東大)の学生と旅芸人に対する差別感、男尊女卑の世界、そして素直に好きと言えない恋愛。
これらを40ページの中に全て入れて話をまとめてしまうのはすごい。というか、一緒にしようという発想が普通は出ない。
普通に読んだだけでは、ただの物語で終わってしまうので、読み終わったら是非解説も読んでみて下さい。 2人の方が書いているので両方あわせて読むといいと思います。
映画を見たくなりました!吉永小百合、山口百恵であるらしいです。
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伊豆に行った際に、この作品の足跡をたどろうとしました。
いくつかは、名所として分かりましたが、時間がなかったので、車で回っただけのところもあります。
ご当地小説としては、雪国とともに、その場所に行ってみたくなるような、現地の描写が上手いと思います。
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始めて川端康成の作品を読みました。伊豆の踊子はとても有名ですが今まで一度も読んだことがなかったので挑戦してみました。難しいかなと思っていたのですが、思ったよりすらすら読めました。でもやっぱりところどころ理解しきれなかったところもありました。でもそれは私の読解力の不足だと思います。
ブラックな内容の作品もありましたが面白かったです。
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伊豆の踊り子は1度読んだだけでは、何がそんなに悲しいのかよく分からない気もしたが、橋本治の解説を読んでその時代の風俗とか社会的な背景を少し理解できた気がした
温泉宿という話の女の人の艶かしさが良かった
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本屋で出会った瞬間、多分誰かが「ザ・ワールド」を呼んだんだと思う。それでその十秒後に、多分誰かが「キング・クリムゾン」を発動したんだと思う。気づいたら、お金払ってたし。ジャケットのインパクトが強すぎたけど、中身ももちろん面白かったです。
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川端康成の代表作のひとつです(表紙絵がすごいことになっていますが)。孤独に悩む青年の淡い恋心と人というものの温かさを描いた、傑作だと私は思います。この物語は、15歳で孤児になってしまった作者の実体験を元にしているそうですが、主人公と旅芸人の身分(階級格差)を超えた人間同士の交流を通して、人の温かさを感じるという描写には、暗い感じがあまりせず、むしろ孤児根性から抜け出せる希望が感じられます。
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荒木飛呂彦がカバー画を描いていたので買ってしまいました。
ま、完全にやりすぎでしたが。
孤独な生涯を送ってきた20歳の主人公が旅先で出会う14歳の旅芸人の踊り子に恋をしてしまう、題名作「伊豆の踊子」。
若さゆえの淡い恋心に揺れる主人公の行動がいじらしい。
が、時代が違いすぎて感情移入できなかったため、★ひとつ減。
それよりも注目すべきは収録されている他4篇の短編。
川端康成の表現力に圧倒される。
川端が15歳のときに書いた日記を、のちに自身で注釈を付けくわえた「16歳の日記」。
そのスタイルだけでも新鮮だが、死の間際にいる祖父との会話を【この世の声ではない】と表現するなど、15歳とは思えないほどの感覚に痺れてしまう。
田舎の温泉宿で働く女中たちの日常を描いた「温泉宿」。
いつもどおりの日常、異性への配慮などは捨て去ってしまったかのような立ち居振る舞い。そんな中にポツリポツリと混在するエロティシズム。
祭りという日常の断片を切り取った「招魂祭一景」。
奇怪な設定、奇怪なストーリー「死体紹介人」。
あ〜もう伝えきれない、とにかく読んで!
やっぱ古典はすげー!
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「道がつづら折りになって」という出だし、最強だと思います。
内容は変態チックなものが多いけど、物にも心にも機微を反映した描写で、素直に感心してしまう。
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言わずと知れた川端康成の名作。今更はじめて手にしたことがちょっと恥ずかしい。
主人公の青年は学生で、一人旅をしている。その道中で偶然であった幼さの残る踊子に抱いた、淡い淡ーい恋のお話。
新鋭の作家さんを好んで読んでいたんだけど、これは凄く面白かった。ストーリー自体のせつなさ、甘酸っぱさはもちろん、文体も余韻の残る終わり方もあたし好み。きゅんとしちゃいました。
Posted by ブクログ
コ゚コ゚コ゚コ゚コ゚!
うっ、美しい
心臓がトクンっと跳ねた
しかも、なんて妖艶なんだ
身体中の血液が、ところ狭しと右往左往する
芸術家が創り出す作品は、脳ではなく
心が揺く
勿論、全ての芸術家に当て嵌まるものではない
どう自身と呼応し共鳴出来るかだ
そして、その共鳴が小さな波紋を呼び起こす
もう一度、そっと覗き見る
小さな波紋が、ドプラー効果によって波紋疾走を発生させ、電流が身体を駆け巡るゥッッ!
舞っているのは、早咲き桜の“伊豆の踊り子”なのか
踊り子から、放たれる指先は幽波紋のそれか
指先の芸術性は、尋常ではない
そして、この奇妙な“立ち姿勢”!
通常の人間ではあり得ない!
そう、これは、ジョジョ立ちではないかッーーッ!
HEEEEYYY!!!
“世界”によって時が止められたようだ
身体が動かない
必死にもがこうとするが
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
の声が
“だが断る”
“星の白金 世界”で反撃だ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
あっ、金縛りから解放された!
以上が、本書を手に取ってから表紙を眺めた時に起こった8秒間の事の顛末だ!
荒木飛呂彦氏による“伊豆の踊り子”
カバーイラスト
“スタープラチナ”だけにオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、、、、、の★無限
で、本書のレビューは?
えっ、本書ってなにィーーーーッッ!?
本書『伊豆の踊り子』★3?
所謂、古典純文学と言うものに初めて触れたかもしれない
当然、学生時代は、受験勉強や何やらで多少触れたかもしれないが記憶に無い
川端氏が創り出す、この美しい文体が、後の純文学の礎を築いたか否かは分かりかねるが、鬱陶しく、何度も読み返さなければならない程、叙情的だ(jojo的)
そういった意味では、荒木飛呂彦氏が創り出すジョジョと相通ずるものがあるのではないだろうか
個人的には、『温泉宿』がお気に入りだ!
全体としては、多分に文学的ではあるが、物語としては面白くはない、といった印象だ
世の中に怒られるだろうか
私は、酒瓶を拾って、力いっぱいに投げた
眼の前の竹の幹にあたって、ガラスのかけらが飛び散った
飛び散ったかけらが案の定、私の方に跳ね返ってきた!
完
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川端康成独自の文章であり、心情や文章の意味を理解できないこともあり、何度も行ったり来たりして、考えながら読んだ。何度か読み込んで、情景を細かく想像すると、きっとたくさんの感情に気付けるんだろう。当時の時代背景も照らし合わせて読み返したいと思う。
Posted by ブクログ
「伊豆の踊子」は十数年ぶりに再読。旅情と青春を感じさせて、案外良い。初めて読んだ時もそう感じたはず。
他には、新潮文庫版には未収録の「死体紹介人」が薄気味悪くて良い。
川端康成は、基本的にあっさり薄味だが、晩年の「眠れる美女」や「片腕」のように、たまに薄気味悪い小説を書く、という印象。
以下は「死体紹介人」のあらすじ。
会ったことのない女の死体を解剖用に大学に売り払うが、その女の妹が骨を受け取りに来たので他人の骨を渡す。その妹と同棲するようになるが、姉と同じく肺炎で亡くなる。その死体の前で、火葬場で知り合った女と抱き合う。
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表題策を含んだ短編集。踊り子がスタンド使ってる表紙という触れ込みに踊らされて購入。
伊豆の踊り子はエリート学生の主人公が踊り子に見惚れて踊り子達と一緒に旅をする話。身分の差が憚る恋、と一言で言えれば簡単だが、恋に落ちたという自覚の描写もなし。多分そういうことではないのだろう。だからこそ、綺麗な話として読める。踊り子が茶屋のおかみさんや宿の人に蔑まれるが、それが余計に主人公の踊り子に対する庇護心というか、この人を特別に思うのは自分だけだという選民思想的な感情も抱かせる効果があるのだろう。
個人的なお気に入りは死体案内人。同室だが顔見知りでもなんでもない女の死をきっかけに起こる話。こんな話を思い付く著者の才能を感じる。
解説でもあるが、醜さの中の美しさを見出だす作者の才能が随所に現れている。文学とはいえ、文章のきれいさと話の面白さによりするすると読める。
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川端康成 「伊豆の踊子」「温泉宿」「十六歳の日記」「死体紹介人」ほか 短編集。驚きの連続だった。
荒木飛呂彦の表紙イラスト以上に、川端康成の孤児根性や死者への執着 に驚く。「伊豆の踊子」が映画のイメージと違うことに驚く。あまりにグロテスクな「死体紹介人」に驚く。
「十六歳の日記」あとがきの記述が 川端康成 理解のヒントになった。「家とか家庭とかの観念は私の頭から追い払われ、放浪の夢ばかり見る〜死者の叡智と慈愛を信じている」
「伊豆の踊子」自分の孤児根性に嫌気がさした主人公が 踊り子の少女に癒され、他人の親切を受け入れられるまで を描いた。踊り子に 家や家庭のない自分を見たのだと思う
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太鼓の音が聞こえなくなるとたまらない気持ちになる主人公を可愛らしいなと思ったり(伊豆の踊子)、なんでこんな風にぶった切るんだろうと不思議に思ったり(招魂祭一景)。
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夏目漱石のついでに買いました。
が、このカバー踊り子のイメージではないですよね(笑)
踊り子はなかなかいい感じでしたが、個人的に他の短編は好きではないですね、十六歳日記、招魂祭は特筆するべきところはなく、死体紹介人、温泉宿に至っては…。
Posted by ブクログ
この本は伊豆の踊り子と他に短編が4つあります。
それぞれの作品は作品で素晴らしいと感じましたが、如何せん自分の読解力の無さに凹みました。
もう1回読まないといけないかもしれませんね。
最後の解説で伊豆の踊り子がどんな位置付けで出されたかある程度は分かったし、川端康成がどんな人かについてもある程度分かりました。
Posted by ブクログ
川端康成の代表作の一つです。
ちょっとわからないことが多かった。
これが古き良き時代の日本だとするならば、日本はロリコンの国ですか。笑
この話には、いたるところに男尊女卑を思わせる表現や、さげすまれた存在であった遊芸人に対する軽蔑の表現も多く出てきます。
旅の中で主人公は芸人の中の一人である踊子、薫に好意を持つ。
少しのあいだ彼女らと行動を共にすることによって、主人公は彼女らから何か重要なものを得て成長する、というような内容です。
それをなんだかさわやかな感じで書かれています。
だけど、僕には主人公のその気持ちは、同情とか、一種の憧れだったんじゃないのって思ってしまいました。もっと言っちゃえば、自分がいい人間だというふうに見てもらいたかっただけだったんじゃないの?なんて。
時代のせいかもしれないけど、なんか自分勝手って感じ。
相手の気持ちには無関心というか。学生っていうのはそんなに地位の高い存在だったのかな。
とはいえ、今までに「踊子にふさわしいアイドル」を見出す度に映画化されていたみたいなので、そっちも見てみようと思いました。
踊子がどうこうより皆さんかわいい人にこういう姿をさせたかったんですね。笑
それより、荒木飛呂彦の表紙は合ってないんじゃないかな・・・。
でも、せっかくだからこの表紙のも欲しいですね。笑