川端康成のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
川端康成『美しい日本の私』
ノーベル文学賞受賞時の記念講演を収めた随筆である。
随筆というのは、作品ではないため「その人となり」が現れやすい。
海外にも翻訳されているようだが、名文の良さは日本人にしか分からない。いや、日本人であっても、その味わい深さはわからなくなってきているだろう。
その最も大きなものは「四季の移ろい」や「侘び・寂び」である。
ここに作者は、日本独自の美意識を見出だしており「日本らしさ」を感じる。
よく言われることだが「西洋は自然と戦い支配し、東洋は自然の中に溶け込む」という言葉がある。
雪、月、花という自然の美しさを愛でることは、単なる景色の鑑賞ではない。
その存在に、心 -
Posted by ブクログ
建築家、水原とその娘2人を中心に
それぞれの人間関係を綴る
戦後であっても
なんとも裕福な家庭であるらしく
何不自由なく生きている感じがする
が、
それぞれに複雑な事情が見え隠れする
1番目の娘、百子は愛人の子
母は自殺、百子はかつての恋人を戦争で失くす
今は少年ばかり愛し、
心穏やかでない生活をしている
2番目の娘、麻子は本妻の子
本妻は病死している
そして京都にもう1人
愛人との間に娘がいる
3番目の若子
それぞれは
水原を慕いながら
水原に守られて生きている
時代を感じさせる男と女の力関係
今なら問題ありだらけだけれど
なぜかそこに大きな大きな愛と、抱擁力を感じる
身勝手とも思える態 -
Posted by ブクログ
ネタバレ雪国よりも本作の方が好きです。なぜなら雪国は島村が妻子がいる身で、年齢差のある駒子と逢瀬を重ねているという設定に違和感を覚えていたので、物語に入り込みにくかったからだ。また、駒子はそれなりの年齢で芸者の境遇なので、悲壮感があって辛い気持ちにもなりやすい。
一方で、本作は主人公がまず若い!そして、踊り子も若く、支えてくれる家族もいるため、まだ救いがある。そのため、作中で疑問や罪悪感が湧くことが少なく、入り込みやすいと思った。
ただ、前者の方が設定が過激な分、後者よりももののあわれな寂寥感に耽ることができた気がするので、バランスは難しい。全体的にみると、快く読めたのは伊豆の踊り子です。
最初 -
Posted by ブクログ
美しい情景描写。雪はすべてを覆い隠して真っ白にするのに、雪景色ってこんなに多彩に表現できるのか。外の寒々しさと対照的な温泉宿の温かさ、そこで聴こえてくる音、視覚だけでなく温度感や聴覚も文章だけで伝わる。もし、これだけの語彙力と表現力を多くの人が持っていたら、ビデオカメラは発明されなかったかも。
それはそうと、この島村という男のどこにそんな魅力があるのかが疑問だった。島村目線でしか語られないから、駒子がどうしてそんなに惚れ込んでいるのかが分からない。超絶顔が良いとか?
それでも私が駒子の友だちなら「そいつはやめとけ」と言いたくなるタイプ。彼女に見送られて電車に乗り込んで、物理的な距離ができた途