川端康成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本的でありながら、古臭くなく、カバーをかけずにそのまま持ち運びたい装丁に魅かれ購入。
純文学?音痴の私でも題名を知っているくらい有名な「伊豆の踊子」が、たった34ページに収まる超短編というのに驚いたけれど、それ以外の作品も電車の移動中に読めてしまう程の短さしかない。
だからか、くどくど背景などを説明せず、いきなり核心から始まることが多いように思う。
そうして話が進んでいく中で、登場人物の台詞や心情、ふとした描写に「こういうことなのかな?」と思わせる要素が散りばめられていて、かなり読み手の想像力は必要となるものの、その表現の仕方はあまり今の小説には見ないものだな、と。
ただ、終わり方があまりに -
Posted by ブクログ
響き合うように美しく物思いに耽る文章。
20歳の男性が語る1人の踊り子との出会いと別れを清々しく描いた作品。
少年とも青年とも言いがたい、危うい年齢時期に繊細な心境を併せ持つ主人公が経験したもの。
旅先の途中で出会った純真無垢な踊り子に心を傾け変わる主人公の心とその動きを清らかに描いている。
この旅を得た主人公は、心の成長と大人になる心構え的なものを知った感じを受けた。
踊り子との色香がほのかに立ち込める美しく清廉な別れ、
踊り子自身もまたその短く儚い美しさを経験して、この世の無常と向き合い大人へと成長する。
どう足掻いても手に入れられないものがある。
また、手に入れてはならないものが -
Posted by ブクログ
ネタバレ昔の人はなんてピュアなんでしょ。
いいね、こういう、見てるこっちが
恥ずかしくなってきちゃうような恋。
でも、実は表題作の「伊豆の踊子」よりも、
収録作品の一つである「二十歳」の方が好きだ。
いや本当は悲しくなっちゃうから好きじゃない。
けれどなぜかそういうお話の方が、ずっと心に
残る。
求めても中々手に入らないものがあって
与えられることはないと知るとますます欲しくなって
やけになって何か他のもので満たそうとするのだけど
心は渇いていくばかり。かさ、かさ、かさ、
手を伸ばせば掴めるしあわせが、そこらじゅうに
転がっているのに
見落としていることにも気付かない。
そして気付いた時にはもう -
Posted by ブクログ
川端康成の代表作の一つです。
ちょっとわからないことが多かった。
これが古き良き時代の日本だとするならば、日本はロリコンの国ですか。笑
この話には、いたるところに男尊女卑を思わせる表現や、さげすまれた存在であった遊芸人に対する軽蔑の表現も多く出てきます。
旅の中で主人公は芸人の中の一人である踊子、薫に好意を持つ。
少しのあいだ彼女らと行動を共にすることによって、主人公は彼女らから何か重要なものを得て成長する、というような内容です。
それをなんだかさわやかな感じで書かれています。
だけど、僕には主人公のその気持ちは、同情とか、一種の憧れだったんじゃないのって思ってしまいました。