近藤史恵のレビュー一覧
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四国の海辺の町に両親と暮らす光介。その地方では優秀な高校の1年生。演劇部にスタッフとして所属する平凡な高校生である。夏のある日、ほとんど記憶に残っていなかった東京の伯母が小学生の従妹とともに帰ってくる。光介の家は、母親の実家でもあり伯母の実家でもある。伯母と従妹は光介の家の2階で暮らすことになる。
母と伯母の両親、つまり光介の祖父母は、母たちが十代のころに亡くなっており、光介は会ったことがない。祖父は写真屋をやっていたようだが、家の店の部分は長らくシャッターを下ろしたままになっている。祖父母は、心中だったという。
伯母が引っ越してくるまで、その事は何も知らなかった光介。伯母が心中の謎を知りたい -
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「真実」の取り扱い。
これは、究極のテーマの一つかもしれない。
知らなくてもよい真実はあるのだろうか。
それとも、真実を知らねば、本当の幸せは得られないのだろうか。
海辺の町で両親とともに暮らす高一の光介。
交流が殆どなかった叔母と小学生のいとこが東京からやってきて同居することになる。
自分が生まれる前に、祖父母は無理心中をしたという事実を、光介は初めて知るのだが、その真相を知りたいという叔母の願いに寄り添っていく。
真相を追う旅の中で、子どもから大人へと成長していく光介の姿、家族や友達とのつながりに共感を持てるが、
ミステリーの結末としては、背中のかゆいところに手が届かない感が多 -
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フリフリヒラヒラを連想させるタイトルだったけど、読み始めてみたら思ったより現実的。乳ガンの話も知らないことばかりで色んな発見があったけど、どちらかというと、周りに(無意識に)虐げられて苦しんでいる人たちの話だった。
最初の話で、娘をコントロールするために、お前の胸は大きすぎてみっともない。だらしない。慎みがない。と責める親がいた。
でも字面にするとわかるけど、それって性格に関係なくないか?
因果関係が全くないこじつけだ…。
赤い下着を着たくらいで、そんないやらしいもの!と目くじら立てるほどかなぁ。
確かに下着を外に堂々と干してたら怒るかもしれないけど。
解説に、素敵な下着を身に付けると、自 -
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ネタバレ高級フレンチレストランに毎晩ひとりで来店する謎の美女… 自転車に乗る時は、いつもヘルメットをする彼女が長い髪をなびかせ車の前に飛び出した… 隣に引っ越してきた二人の魅力的な青年… つまらない絵を描き、絵に対してピント外れのことを言う男の子…
意識では、自分自身の才能を信じたいのだけれども、深層心理では、自分に才能がないことを知っている若者達、彼らは、そんな自分を愛したいのだけれども、意識と深層心理との乖離が自分自身を愛する気持ちを妨げる。
近藤さん初の短編集は、登場人物の挫折を描くことで、私達が抱く夢をまるで好きな異性への告白を断られるように打ち砕く。それは、現実を突きつけられたり -
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近藤さんの物語を読むようになってから、歌舞伎にも興味を持つようになった。
跡継ぎの重要性など、たぶん一般人が考えている以上に大きなことなのだろう。
だからこそ、跡継ぎを必要とした父親は兄・音也にこだわり続けたのだと思う。
幼くして亡くなってしまった兄。
入れ替わるように実の父親のもとに引き取られた妹。
二人に接点はないはずなのに妹・笙子は兄を殺した夢を見続ける。
誰にも言えずにずっと悩んできた笙子の前に、兄の死の真相を知りたいという銀京が現れる。
兄と出会ったことが歌舞伎に興味を持つきっかけになったと言う銀京。
才能もあり、華もある。
「大部屋役者で終わる気はない」と言いきる銀京には、それ相応