スティーヴン・キングのレビュー一覧
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1958年デリーの街を舞台にした回想と1985年再びデリーの街に集められるかっての子供たちを描く第一巻。
全四巻ということで覚悟して読み始めたものの、やはり話が進まない(苦笑)第一巻ということでまだエピソードを積み重ねている、という印象が強いです。
印象的な場面はいじめられっ子のベンがビル、エディと友達になる場面です。三人が一緒にいる場面というのはそんなに長く描かれるわけでもないのですが、どうしてこんなに優しく清々しいような気分になるのが不思議です。子どもたちがふとしたきっかけで一気に仲良くなる、というのは万国共通で読んでいて清々しいものなのかもしれないなあ、と思いました。
ホラ -
Posted by ブクログ
「1922」と同じ原著の後半で、同様に2つの長い中編小説が入っている。
気になったのは、どちらも主人公が情報収集する際、パソコンでインターネット検索をするところ。グーグルとか、グーグルアースとか、Firefoxとか、なじみ深い名前がそのまんま出てくる。キングはもともと、アメリカ人の日常生活を極めて具体的に描くから、野球選手や歌手、車の名前なども頻繁に出てきた。それと同じ流儀で、今度はいよいよパソコン活用の日常が、流れ込んできたのである。
もうひとつ、キングが描出する危機的状況は、まず「孤独」の輪郭が強調されるという点。まるで他者たちと隔てる四方の壁に囲まれて、そこに当然帰還するとでもいうように -
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ネタバレ恐怖の帝王キングが手加減なしで描く光なく真っ暗な物語。
恐怖の物語に帰還した巨匠の最新作。
「1922」
1930年、8年前に息子と共謀し妻を殺害した男の告白文という形で物語は進行する。
1929年といえば大恐慌の年であるため、それより少し前のアメリカ中西部を舞台としている。
農地を大企業に売ろうとする揺るぎ無い決意の妻の殺害を、土地に深い思い入れのある男は企てる。
妻を殺害後古井戸に遺体を棄て、企業の弁護士や警察の追及からなんとか逃れたものの、
その罪悪感は二人の人生を追い詰めていく……。
「因果応報」とはこのことだが、展開がまったく読めない。
「公正な取引」
所謂「悪魔との取引」をテ -
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スティーヴン・キングは『ペット・セメタリー』のあとでちょっと方向転換をしてしまい、ハッピーエンド志向とか、ゾロアスター教ふうの「善悪二元論」が前面に出されたりとか、あるいはそろそろ創作上のアイディアのパワーが弱まってきたようにも思える。かつてほどの「ベストセラーメーカー」ぶりはもう影が薄く、人々にも飽きられてきたかもしれない。
しかし彼の小説に出てくる「いかにもアメリカ人的な」モノローグの粘りが私は好きで、それはドストエフスキーや太宰治にも比較すべきものだと考えている。彼のスプラッタ趣味には共感というものは感じないが、物語をとおして「内面」のうねりを形成してゆく手腕は、文学的価値をも持っている -
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ネタバレ一気読みでした。うーん、さすが巨匠!どちらの中編も女性視点で、スリリングで、感情移入して読みました。
ビッグ・ドライバー。単なる通りすがりの悪意かと思いきや、共犯が2人も!辛くも生き延びたテスが、暗渠の中で出会うものが、彼女に復讐を決意させる…負けるなテス!ラストの告白が、少しだけ救いになるところがいい。
素晴らしき結婚生活。…よかったねダーシー、旦那の帰宅直後に殺されなくて( ;´Д`)。女の感は鋭いので、長く一緒に暮らしていても、夫の正体に気づかなかったとしたら、夫は相当に頭がいい。そしてそんな夫を、確実に仕留めようと思ったら、それを気づかせないことも難しい。でも、やっぱり最後はよくや -
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ネタバレキングの新作!恐怖の四季、真夜中4分過ぎに続く第3中編集。読むのがもったいなくて、下巻が出るまで積ん読してました。
1922。結構長い作品。ひたすらじわじわと、妻を殺した男が狂って行く様を、彼の視点で語る作品。いやー滅入るわー( ;´Д`)。全く状況が改善される見込みがなく、どこまでもずぶずぶ落ちていく状況がわかっているのに、やめられない止まらない。読後感よくないのがわかってるのに、惹かれて読まされちゃうのは、何でなんだろう。キングの魔法。ネズミ怖いっ。
公正な取引。古典的素材である「悪魔との取引」を、キング流にアレンジした短編。どんなどんでん返しが?と思ったら、意外にあっさり終わったなあ -
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スティーヴン・キングは「悪夢のような話」が本当にうまい。
日常生活に、カチッと悪夢スイッチが入る瞬間。
あるいは、気づいたら悪夢に浸食されていることに気づく瞬間。
現実(リアル)の生活や登場人物自身のリアリティがあってこそ生きる、その怖さ。
でも、ただ怖いだけじゃないところがこの人の小説の面白さです。
列車の脱線事故で田舍の駅に取り残された乗客たち。デイヴィットは婚約者のウィラを探しに町へ向かう――「ウィラ」
子どもを亡くしたエミリーはランニングに没頭するようになる。夫と離れて訪れたオフシーズンのリゾート地でも走り続ける。そこでふと目撃したのは――「ジンジャーブレッド・ガール」
老年にさ -
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大好きなキングの短編集です。7編収録。大好きなキングがあの「9.11」を題材にしているなんて、それだけでどんなものか心躍らせて読み始めました。
「ジンジャーブレッド・ガール」
ローズマダー的な怖さ。追われる恐怖、逃げる女性。すごい緊迫感で次々読み止まらなかった。
「ハーヴィーの夢」 、「パーキングエリア」、「卒業の午後」
世にも奇妙な的な。しかし描写が緻密。
「エアロバイク」
すごくドキドキした。自分の体という工事現場でカロリーと糞の処理に働く4人の男たち。画家の想像の産物にすぎないはずだった彼らは、「ダイエット」によって自分たちの仕事を奪う「体の持ち主」に憤りを感じ始めていた。
絵が -
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ネタバレ正直微妙な話も含まれてる短編集だが中編「ジンジャーブレッド・ガール」はガチ。
幼い娘を亡くした痛手から立ち直れない女は、ある日ふと走ることに興味を持つ。何の脈絡もない行為ではあったが「取り憑かれたように」走り始めた。倒れるまで走る彼女を夫は理解できない。
夫婦は「冷却期間」を設けることとなり、エミリーは父親の別荘がある島へ移った。
普通に予想される展開としては、人々と触れ合い心の交流を果たすうちに傷が癒え、人生と前向きに付き合っていく決意を固めたところで夫と和解して終わりだろうが、そこはキング御大。まったくこちらの期待どおりにならない。
エミリーは頭のイカれた殺人鬼に遭遇する。死体を発