スティーヴン・キングのレビュー一覧

  • IT(1)

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     1958年デリーの街を舞台にした回想と1985年再びデリーの街に集められるかっての子供たちを描く第一巻。

     全四巻ということで覚悟して読み始めたものの、やはり話が進まない(苦笑)第一巻ということでまだエピソードを積み重ねている、という印象が強いです。

     印象的な場面はいじめられっ子のベンがビル、エディと友達になる場面です。三人が一緒にいる場面というのはそんなに長く描かれるわけでもないのですが、どうしてこんなに優しく清々しいような気分になるのが不思議です。子どもたちがふとしたきっかけで一気に仲良くなる、というのは万国共通で読んでいて清々しいものなのかもしれないなあ、と思いました。

     ホラ

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    2013年09月13日
  • ビッグ・ドライバー

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    「1922」と同じ原著の後半で、同様に2つの長い中編小説が入っている。
    気になったのは、どちらも主人公が情報収集する際、パソコンでインターネット検索をするところ。グーグルとか、グーグルアースとか、Firefoxとか、なじみ深い名前がそのまんま出てくる。キングはもともと、アメリカ人の日常生活を極めて具体的に描くから、野球選手や歌手、車の名前なども頻繁に出てきた。それと同じ流儀で、今度はいよいよパソコン活用の日常が、流れ込んできたのである。
    もうひとつ、キングが描出する危機的状況は、まず「孤独」の輪郭が強調されるという点。まるで他者たちと隔てる四方の壁に囲まれて、そこに当然帰還するとでもいうように

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    2013年08月19日
  • 1922

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    原書刊行時に読み、翻訳を再度読んだ。
    「1922」が好きだ。
    あとがきにもあるけど、大恐慌で農業従事者が行き場を失い追い込まれていった悲劇を、目をそむけたくなるような「醜悪な妻殺し」というキングらしい禍々しいストーリーで魅せる。どんなに取り繕っても、軌道修正しようとしても、妻殺しという呪いから逃れられず、全て失っていく年老いた男の姿がとても怖くて悲しい。

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    2013年07月08日
  • 1922

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    ネタバレ

    恐怖の帝王キングが手加減なしで描く光なく真っ暗な物語。
    恐怖の物語に帰還した巨匠の最新作。

    「1922」
    1930年、8年前に息子と共謀し妻を殺害した男の告白文という形で物語は進行する。
    1929年といえば大恐慌の年であるため、それより少し前のアメリカ中西部を舞台としている。
    農地を大企業に売ろうとする揺るぎ無い決意の妻の殺害を、土地に深い思い入れのある男は企てる。
    妻を殺害後古井戸に遺体を棄て、企業の弁護士や警察の追及からなんとか逃れたものの、
    その罪悪感は二人の人生を追い詰めていく……。

    「因果応報」とはこのことだが、展開がまったく読めない。

    「公正な取引」
    所謂「悪魔との取引」をテ

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    2013年06月29日
  • 夜がはじまるとき

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    凄いうんこな本だった。アメコミ化もされているクトゥルー神話系に分類されうる「N」や2つの意味での死後の世界をしんみりと描ききった「ニューヨーク・タイムズを特別割引価格で」という傑作がありながらも最後に文字通りのうんこ作品「どんづまりの窮地」が全てをかっさらってしまった。

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    2013年06月03日
  • 夕暮れをすぎて

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    いかにもキング作品といった感じの「ジンジャーブレッド・ガール」があるけど全体的な印象としては「彼らが残したもの」や「ウィラ」のじんわりしんみりするような話が心に残った。

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    2013年06月03日
  • 1922

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    スティーヴン・キングは『ペット・セメタリー』のあとでちょっと方向転換をしてしまい、ハッピーエンド志向とか、ゾロアスター教ふうの「善悪二元論」が前面に出されたりとか、あるいはそろそろ創作上のアイディアのパワーが弱まってきたようにも思える。かつてほどの「ベストセラーメーカー」ぶりはもう影が薄く、人々にも飽きられてきたかもしれない。
    しかし彼の小説に出てくる「いかにもアメリカ人的な」モノローグの粘りが私は好きで、それはドストエフスキーや太宰治にも比較すべきものだと考えている。彼のスプラッタ趣味には共感というものは感じないが、物語をとおして「内面」のうねりを形成してゆく手腕は、文学的価値をも持っている

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    2013年05月05日
  • ビッグ・ドライバー

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    ネタバレ

    一気読みでした。うーん、さすが巨匠!どちらの中編も女性視点で、スリリングで、感情移入して読みました。

    ビッグ・ドライバー。単なる通りすがりの悪意かと思いきや、共犯が2人も!辛くも生き延びたテスが、暗渠の中で出会うものが、彼女に復讐を決意させる…負けるなテス!ラストの告白が、少しだけ救いになるところがいい。

    素晴らしき結婚生活。…よかったねダーシー、旦那の帰宅直後に殺されなくて( ;´Д`)。女の感は鋭いので、長く一緒に暮らしていても、夫の正体に気づかなかったとしたら、夫は相当に頭がいい。そしてそんな夫を、確実に仕留めようと思ったら、それを気づかせないことも難しい。でも、やっぱり最後はよくや

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    2013年04月29日
  • ビッグ・ドライバー

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    中編集「Full Dark,No Stars」の後半2作を収録。
    どちらも女性がトラブルに巻き込まれ、自分の手で決着を付ける話。簡単と言えば簡単なストーリーを、主人公の立場や性格やライフスタイルからじわっとと編み上げていく、キングが長編を書くときの手法が使われていながら、コンパクトにまとめられていて読みやすい。
    陰惨といえば陰惨だが「1922」収録の2編に比べると、ひじょうに救いがあるカンジ。漆黒の闇にも、ちらりと小さな星が輝く。
    マニアとしては「素晴らしき結婚生活」に、久々に登場するキャッスルロックにニヤリ。

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    2013年04月21日
  • 1922

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    ネタバレ

    キングの新作!恐怖の四季、真夜中4分過ぎに続く第3中編集。読むのがもったいなくて、下巻が出るまで積ん読してました。

    1922。結構長い作品。ひたすらじわじわと、妻を殺した男が狂って行く様を、彼の視点で語る作品。いやー滅入るわー( ;´Д`)。全く状況が改善される見込みがなく、どこまでもずぶずぶ落ちていく状況がわかっているのに、やめられない止まらない。読後感よくないのがわかってるのに、惹かれて読まされちゃうのは、何でなんだろう。キングの魔法。ネズミ怖いっ。

    公正な取引。古典的素材である「悪魔との取引」を、キング流にアレンジした短編。どんなどんでん返しが?と思ったら、意外にあっさり終わったなあ

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    2013年04月20日
  • 1922

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    表題の「1922」と短めの「公正な取引」の2作収録。
    「1922」は妻を殺した父子の転落を、「公正な取引」は余命僅かだった男の呪詛を描く。
    「1922」はあっと驚く展開はないが徹底した因果の応報と悲劇にキングらしいホラーが詰まってる。
    個人的には「公正な取引」が好き。非常に歪んだ幸福の物語で救いがないが、取引材料が有限なことを思うとその後の展開の予想はつく。二重に毒を持つ作品だった。

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    2013年03月23日
  • 夕暮れをすぎて

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    スティーヴン・キングは「悪夢のような話」が本当にうまい。
    日常生活に、カチッと悪夢スイッチが入る瞬間。
    あるいは、気づいたら悪夢に浸食されていることに気づく瞬間。
    現実(リアル)の生活や登場人物自身のリアリティがあってこそ生きる、その怖さ。
    でも、ただ怖いだけじゃないところがこの人の小説の面白さです。

    列車の脱線事故で田舍の駅に取り残された乗客たち。デイヴィットは婚約者のウィラを探しに町へ向かう――「ウィラ」

    子どもを亡くしたエミリーはランニングに没頭するようになる。夫と離れて訪れたオフシーズンのリゾート地でも走り続ける。そこでふと目撃したのは――「ジンジャーブレッド・ガール」

    老年にさ

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    2012年12月20日
  • ミザリー

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     ジョジョの作者の荒木比呂彦氏が面白いと言っていたので読んでみる。有名な作品だけど初めてだ。
     舞台は僻地の女の家、登場人物はそこに閉じ込められた作家と家主の女。極限までの閉鎖空間なんだけど、展開が面白くさくさくと読める。

     そして作家の業がすごい。極限状態に追い込まれても物語に書ける執着がありえそうである。作者本人なのなかなぁ。面白かった。

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    2012年07月25日
  • IT(2)

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    アメリカ人ならわかるのかもしれない固有名詞がいくつも出てきて読みずらい。
    やっぱり翻訳物は読みにくいな。
    でも、それを差し引いても面白いですね。

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    2012年05月29日
  • ペット・セマタリー(上)

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    「そのペット霊園には死者を蘇らせる不思議な力があった」

    自分の愛するものを蘇らせられるなら、そんな恐ろしい力に手を出してしまうのだろうか。その力が、死者を全く別の化物に変えてしまうかもしれないとわかっていても、愛する者を蘇らせようと思うのだろうか。

    幸運にも家族を失った経験がない私には、想像しかできないのだけれど、もし家族が死んで、この霊園を目にしたら、やはり試してみたくなるのかも。
    それが死者を冒涜することで、自分が更に傷つく結果が待っていて、決して最善の手段ではないとわかっていても、死体をそっと埋めるのかもしれない。

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    2012年04月22日
  • IT(4)

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    ネタバレ

    子どもらを使うというところが卑怯だぞ。まあ怖かったけど。しかし、なぜセックスが解決になるかがややこじつけぽい気がした。

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    2012年03月23日
  • IT(1)

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    この小説に登場する怪物は形を持っておらず、子供が抱いた恐怖のイメージがそのまま形をなして現れる。ゆえに”it”
    映画化作品のモンスターの造形はトホホ。想像のままにしておけば良かったのに・・・

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    2011年11月04日
  • 夕暮れをすぎて

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    大好きなキングの短編集です。7編収録。大好きなキングがあの「9.11」を題材にしているなんて、それだけでどんなものか心躍らせて読み始めました。

    「ジンジャーブレッド・ガール」
    ローズマダー的な怖さ。追われる恐怖、逃げる女性。すごい緊迫感で次々読み止まらなかった。

    「ハーヴィーの夢」 、「パーキングエリア」、「卒業の午後」
    世にも奇妙な的な。しかし描写が緻密。

    「エアロバイク」
    すごくドキドキした。自分の体という工事現場でカロリーと糞の処理に働く4人の男たち。画家の想像の産物にすぎないはずだった彼らは、「ダイエット」によって自分たちの仕事を奪う「体の持ち主」に憤りを感じ始めていた。
    絵が

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    2011年09月27日
  • IT(1)

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    街の地下に、殺人ピエロが住んでいる?!
    大人にはみえない悪鬼に7人の少年少女が立ち向かう。
    面白い。しかし長い。

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    2011年09月19日
  • 夕暮れをすぎて

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    ネタバレ

    正直微妙な話も含まれてる短編集だが中編「ジンジャーブレッド・ガール」はガチ。

    幼い娘を亡くした痛手から立ち直れない女は、ある日ふと走ることに興味を持つ。何の脈絡もない行為ではあったが「取り憑かれたように」走り始めた。倒れるまで走る彼女を夫は理解できない。

    夫婦は「冷却期間」を設けることとなり、エミリーは父親の別荘がある島へ移った。

    普通に予想される展開としては、人々と触れ合い心の交流を果たすうちに傷が癒え、人生と前向きに付き合っていく決意を固めたところで夫と和解して終わりだろうが、そこはキング御大。まったくこちらの期待どおりにならない。

    エミリーは頭のイカれた殺人鬼に遭遇する。死体を発

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    2011年08月15日