スティーヴン・キングのレビュー一覧
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子ども時代の回想が中心となる3巻
なにより描写の細かさがすごいです。じっくりじっくりと書かれていき、ある意味では粘着質とも表現できそうな文章。それでいて不思議と冗長には感じませんでした。
子どもたちの友情やいじめっ子たちとの対決、11歳という男女を少しだけ意識する年代の少年たちの描き方、孤独だった少年が、はみ出しクラブの面々との出会いで強く成長する姿と青春小説としても読ませます。
そして恐怖の描写も秀逸! 人外のものの描き方も迫力があって映像で想像するとかなり怖い……。映像版ではピエロのイメージしかなかったのですが、こんなに一巻から併せるとこんなにも怖い場面があったのだなあと思ったり。
次巻はいよいよ完結編の四巻。登場人物の一人は子ども時代の信じる心がITを倒すのに必要だったと分析します。成長し大人になったはみ出しクラブの面々はITに打ち勝つことができるのか。気になるところです。
1993年版このミステリーがすごい!4位 -
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アメリカ メイン州の小さな町が透明のドームによって外部から遮断される。
その「遮断」という劇的な場面から始まるこの小説。
スピルバーグのプロダクションでTVドラマ化されている(日本ではDlifeで放映されている)とのこと。未だ見たことはないが、読んでいるとそのTVドラマの画面が目に浮かぶ様。
複数の出来事が平行して発生し、読者に先を読ませながら、隠されていた、または新たな出来事によって、読者を裏切る。息もつかせず、ドラマが進んでゆく。
これからドームの中はどーなって行くのか?
水と空気と光と電波しか通さないドーム。地中も深く遮断されたはずなので、通信ケーブル切断されたはずだが、インターネットや携帯電話は可能。この町の通信はすべて無線なのだろうか? -
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回想でははみ出しクラブの面々が絆を深めていく様子や怪異に襲われる様子が、現在では仲間たちの再会が描かれる2巻。
子どもたちにしか見えない血しぶきや、さまざまなモンスターの出現、数々の現象の描写は迫力が十分!さすがホラーの帝王です。
人物描写もいいんですよね。回想で血の見えてしまう少女のためにみんなで血の吹き出した洗面所を掃除したりだとか、荒れ地のダムでのやり取りとか。現在でもメンバーの再開シーンのやり取りがよかったです。
あんまり読むのに時間をかける気はなかったのですが、いろいろバタバタしていたことと、キングのボリュームたっぷりの文章のため合間時間ではなかなかページが進まなかったこともあって結果時間がかかってしまいました。読みにくいわけじゃないんだけどなあ……。
再開シーンまでかなりスローテンポなのもその一因かもしれないです。ただこの巻から話が動き始めそうな気配がしたのでここから加速度的に面白くなってくるのではないか、と期待しています。
どうでもいいことですがキングの作品を読んでいると、アメリカ人の小説を読んでいるなあ、って気分がします(笑)表現が時々下品なんだよなあ。(悪い意味じゃないです)
同じ英語圏でよく読むクリスティーの文章を思い出しながら読むと、その文章の違いが面白く感じられます。
1993年版このミステリーがすごい!海外部門4位 -
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1958年デリーの街を舞台にした回想と1985年再びデリーの街に集められるかっての子供たちを描く第一巻。
全四巻ということで覚悟して読み始めたものの、やはり話が進まない(苦笑)第一巻ということでまだエピソードを積み重ねている、という印象が強いです。
印象的な場面はいじめられっ子のベンがビル、エディと友達になる場面です。三人が一緒にいる場面というのはそんなに長く描かれるわけでもないのですが、どうしてこんなに優しく清々しいような気分になるのが不思議です。子どもたちがふとしたきっかけで一気に仲良くなる、というのは万国共通で読んでいて清々しいものなのかもしれないなあ、と思いました。
ホラー的な場面では日本とアメリカのホラー観の違いを感じるところも。一巻の終盤で少年が大きな怪鳥に襲われる場面があるのですが、これは日本のホラーではなかなかない描写のような気がしました。
どちらかというと日本のホラー幽霊や呪いなど静のホラー、対してアメリカのホラーはゾンビや、モンスターなど動のホラーという印象が強いので、下手に日本人がこの場面を書けばなんじゃこりゃ、と冷めてしまいそうなのですが、スティーヴン・キングのようなアメリカの大物作家が書くとやはり迫力があります。
今のところあまり出てきていませんが殺人ピエロや、ところどころ出てくる怪物の描写もモダンホラーの帝王と呼ばれるだけあって、不気味で印象的です。
1993年版このミステリーがすごい!海外部門4位 -
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「1922」と同じ原著の後半で、同様に2つの長い中編小説が入っている。
気になったのは、どちらも主人公が情報収集する際、パソコンでインターネット検索をするところ。グーグルとか、グーグルアースとか、Firefoxとか、なじみ深い名前がそのまんま出てくる。キングはもともと、アメリカ人の日常生活を極めて具体的に描くから、野球選手や歌手、車の名前なども頻繁に出てきた。それと同じ流儀で、今度はいよいよパソコン活用の日常が、流れ込んできたのである。
もうひとつ、キングが描出する危機的状況は、まず「孤独」の輪郭が強調されるという点。まるで他者たちと隔てる四方の壁に囲まれて、そこに当然帰還するとでもいうように、主人公らは「孤独」に戻ってくる。そして、つぶやく。このへんが、現代人の状況を適切に描写していると思った。
この本の2編とも、他者との隔絶がまずあって、主人公は「孤独」のなかに舞い戻る。個室でインターネット検索をすることが、とりあえず彼女らの「やるべきこと」である。壁の向こうの他者は恐怖の対象である。だから個室が必要であり、個室に戻らなければならない。
その意味で、はじめから典型的現代人は「地下生活者」なのである。「地下生活者」の無力感、救済不能性を、この2つの小説は暗示している。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ恐怖の帝王キングが手加減なしで描く光なく真っ暗な物語。
恐怖の物語に帰還した巨匠の最新作。
「1922」
1930年、8年前に息子と共謀し妻を殺害した男の告白文という形で物語は進行する。
1929年といえば大恐慌の年であるため、それより少し前のアメリカ中西部を舞台としている。
農地を大企業に売ろうとする揺るぎ無い決意の妻の殺害を、土地に深い思い入れのある男は企てる。
妻を殺害後古井戸に遺体を棄て、企業の弁護士や警察の追及からなんとか逃れたものの、
その罪悪感は二人の人生を追い詰めていく……。
「因果応報」とはこのことだが、展開がまったく読めない。
「公正な取引」
所謂「悪魔との取引」をテーマにした短編。
主人公の男は癌で死期を間近に控えている。
彼は道路脇の露店の看板に奇妙な文言を見つける。「公正な延長(Fair Extention)」。
エルビッド(ELVID)と名乗る小太りのその男は、客が望む様々な《延長》を提供すると語る。主人公は気乗りもせず自分の寿命の《延長》を持ちかけるのだが、エルビッドは金のほかに取り除いた"負の部分"を請け負う相手を挙げろという。
高校時代からの「親友」であるトムの名を挙げる主人公だったが……。
こちらも展開通りとはいかない。わたしたち人間の深層心理に罪深く暗いものが根付いていることを思い出させる。
ミステリ :☆☆
ストーリー :☆☆☆☆☆
人物 :☆☆☆☆
読みやすさ:☆☆☆☆☆ -
Posted by ブクログ
スティーヴン・キングは『ペット・セメタリー』のあとでちょっと方向転換をしてしまい、ハッピーエンド志向とか、ゾロアスター教ふうの「善悪二元論」が前面に出されたりとか、あるいはそろそろ創作上のアイディアのパワーが弱まってきたようにも思える。かつてほどの「ベストセラーメーカー」ぶりはもう影が薄く、人々にも飽きられてきたかもしれない。
しかし彼の小説に出てくる「いかにもアメリカ人的な」モノローグの粘りが私は好きで、それはドストエフスキーや太宰治にも比較すべきものだと考えている。彼のスプラッタ趣味には共感というものは感じないが、物語をとおして「内面」のうねりを形成してゆく手腕は、文学的価値をも持っていると思う。
さてこの本には2つの作品が収められているが、最初の「1922」は文庫本1冊として出しても良いくらいに長く、面白い。
この小説では、冒頭、農夫が息子と共に、性悪な妻を殺害し、井戸に死体を隠す。動機としては、妻の人格的問題もあるが、「土地」を売るか売らないかという問題が、いちおうきっかけになっている。それにしても、14歳の息子に彼の母親の殺害を手伝わせるというシチュエーションは、一体そういうこともあるのかなという気がした。
だが作品のリアリティは、モノローグの巧緻さによってぐっと重くなる。
私はなぜか若い頃から、自分が(殺人か何かは知らないが)取り返しのつかない何かを既にやってしまっており、誰かにそれを暴かれ、糺弾されることに怯えながら逃げまどう・・・という夢を頻繁に見る。この小説はその気分をぴったりと表出していて、とても親近感を感じた。
このメランコリー親和型ふうの感情は、ラスコーリニコフ的なものでもあるが、この小説は堂々と描ききっている。
結局は罪悪感を象徴する「ネズミ」が親子をほろぼすのだが、近年のキング作品がそうであるように、若干ラストは弱いかもしれない。意外さを求める向きにとっては。
もう一方の短い「公正な取引」は、後半のサクセス・ストーリーをアイロニーとして読まないと妙なことになってしまう。 -
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ネタバレ一気読みでした。うーん、さすが巨匠!どちらの中編も女性視点で、スリリングで、感情移入して読みました。
ビッグ・ドライバー。単なる通りすがりの悪意かと思いきや、共犯が2人も!辛くも生き延びたテスが、暗渠の中で出会うものが、彼女に復讐を決意させる…負けるなテス!ラストの告白が、少しだけ救いになるところがいい。
素晴らしき結婚生活。…よかったねダーシー、旦那の帰宅直後に殺されなくて( ;´Д`)。女の感は鋭いので、長く一緒に暮らしていても、夫の正体に気づかなかったとしたら、夫は相当に頭がいい。そしてそんな夫を、確実に仕留めようと思ったら、それを気づかせないことも難しい。でも、やっぱり最後はよくやった!
というわけで、イヤミス?のわりに読後感の悪くない作品でした。キングが後書きで言う「普通の人が異常な状況におかれる話」、それが面白くて自分の好みなんだなあ、と今更納得。この後も新刊が出待ちしてるようで、大変楽しみ!特にシャイニングの続編〜早く〜( ̄◇ ̄;)誰の訳かな? -
Posted by ブクログ
ネタバレキングの新作!恐怖の四季、真夜中4分過ぎに続く第3中編集。読むのがもったいなくて、下巻が出るまで積ん読してました。
1922。結構長い作品。ひたすらじわじわと、妻を殺した男が狂って行く様を、彼の視点で語る作品。いやー滅入るわー( ;´Д`)。全く状況が改善される見込みがなく、どこまでもずぶずぶ落ちていく状況がわかっているのに、やめられない止まらない。読後感よくないのがわかってるのに、惹かれて読まされちゃうのは、何でなんだろう。キングの魔法。ネズミ怖いっ。
公正な取引。古典的素材である「悪魔との取引」を、キング流にアレンジした短編。どんなどんでん返しが?と思ったら、意外にあっさり終わったなあ。でもストリーターに感情移入し、トムの凋落にカタルシスを感じてしまうのは、私が悪魔に魂を売る側の人間だからだ…!と思わせるキングの仕掛けなんだきっと(T_T)。ううう。