鴻上尚史のレビュー一覧
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工藤校長が、部活動をPTA主催にし、部活動を指導する教員はPTAに入って指導することで、保護者からは文句の代わりに感謝の言葉をかけられるようになったと言うのは、凄まじい発想の転換。部活動以外の様々なことに応用できそうである。
演出家の鴻上さんが「このシーンで1番大切なことは何か?」を俳優とともに話して「何を表現すれば良いのか」を俳優が自分で気づくかたちで導くことができるのが1番良い演出家というのは、良い教師と重なると感じた。
「社会のために学校は何ができるのか?」を常に意識していくことが大切だと感じた。その為には教員や大人達が常に社会にアンテナを立てていなくてはならない。 -
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「空気が読めない」などの空気とは、所謂、世間を形づけるルールに合致した状態の様な強固なもので無く、流動性が高い状態の事を言う。
要するに、この先何かの事情で状況が変わる可能性(流動性)が高い場合に用いられる。さらに「空気」には潜在的に畏怖や圧力を感じる何かが存在しており、これらは人を拘束する。日本人は「空気」に目に見えない畏怖するものを感じている。
実は「空気」がルール化させると「世間」へと変貌する。ここで「世間」と「社会」の違いは何かと問われると世間とは自身のコミュニティに近い場合であり、社会とはその以外である。
例えば、近所の行きつけのお店(世間)の人への態度とコンビニ店員(社会)への態度 -
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身を置いてきた学校というシステム、それにあまり疑問も持たずにきた自分に辟易すると同時に、今この本を読めて良かったなと思う。
対立軸ってキーワードが1番印象に残った。学校や職場じゃなくてもっと身近な家庭でも、安易に対立軸を持ち込んで(家族の非を感情的に責め立てたり)、それで結局何もならない、分かり合えなくてってことは多い。相手を思い通りにはできないってそもそもそういう前提であること、そして妥協点を探していけるってことはどんな人間関係でも大事なのかなと思う。
自分の感情を押し通す、相手を思い通りに動かす、そんなことじゃなくて、もっと本質的なことは何かにいつも焦点を置いていたいと思う。
加えて無意味 -
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世間と社会を対比させ、日本と欧米を比べることで両者の違いを分かりやすく書いている。
特に欧米が優れていて、日本はそれを真似るべきだという安易な主張ではなく、それぞれの背景の違い(キリスト教と世間)から冷静に分析しており非常に理解しやすかった。
現在(2024年)は本書の執筆時点(2009年)と比べてリアルな「世間」はますます崩壊している一方で、インターネット上の主にSNSを中心とした仮想の世間や空気の力は増していると感じる。
複数のコミュニティに緩く参加する、というのは自分自身も実践していることであり、それにより各コミュニティへの依存度が下がり気持ちが楽になる実感をもっているだけに、非常に -
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イギリスと日本の空気感、暮らし、教育の違いが分かりやすく興味深かった。
プレイディーさんの著書を読んでいたので、解像度上がった気がする。
幸福論という点では明文化されているわけではないけれど、政府や世間の目を気にしてただ流されて生きていくことは幸福ではないと改めて感じた。
当たり前に行われてきたことに疑問を持ち、自分なりの考えを持ち、できれば発信もしていく、そうありたいと感じた。
結末にも記載があったけれど、コロナは大変なパンデミックであるけれど、情報に疑問を持ち自分たちで考え行動するキッカケになったのは感じる。
劇的に良くならなくとも少しずつ社会が良くなるよう小さな一歩を踏み出していくことが