鴻上尚史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
買って2年ほど本棚で眠っていだ本。コロナ禍真っ最中の時に書かれたものだ。
どの国でも新自由主義のヤバさに気づき始めた現代に、日本だけが、自助が大事と言う。日本社会の遅れ具合がよくわかる。
イギリスと日本との違いが浮き彫りになる本。何が違うって、まずは市民の力。しかも演劇力が違うらしい。
若い黒人の男の子が酔って「フェミニズムはナンセンスだ、ファック・フェミニズム」とか叫んでいる時に、黒人のウーピー・ゴールドバーグみたいな恰幅のいい女性が腰に手を当てて、「黒人の命は大切だが、女性の命も大切」と説教した話で、イギリスには必ずそういう人が登場する、それは国民に演劇教育が下地にあるのではないか、とブレイディさんは言う。
コロナ禍でも家の壁に「自分は水道業者だから、何か困っていたら電話してくれ」などと書いて貼っている人も多いという。このシチズンシップの違いなのかな。
日本で道徳が教科として導入されるにあたって、道徳教育も他の国でもあるんだという説得の仕方を政府はしているが、イギリスでは実はシチズンシップ(政治的な人間を作ろうとする教科)だったり、ライフスキルズ(性教育わLGBTQ、お金について)だったりして、日本の道徳とは中身が違うという…。いろんなカラクリが2人の対話でまた自明のものとなっていく。
ブレイディみかこの息子さんが言ったこと。
「本当に個人として自分のことを考えたら、そこで誰かの生命に対して責任を負うなんてことはしないはずだ」
周囲の人たちがきっと嫌だっていうに違いないから拒否するということの多さに、彼は「日本はあまりにも社会への信頼が足りない」と。
ブレイディみかこがなぜイギリスに行ったのか、とてもよくわかる。こういう国で子どもを育てたい。そう思うのは当然だなと。
水筒のお茶を飲む時に、「誰が飲んでいいと言った!飲みたかったら飲んでもいいのか!」と叱られる教育現場に子どもを入れたくない、ということだ。 -
Posted by ブクログ
COURRIER JAPON
著名人の本棚
石倉洋子さんの推薦図書より
「いろんな「世間」とつながるということ。〈世間‐間‐存在〉を意識して、少しでも「世間」に風穴をあけてほしい。そうなれば、もう少し自由闊達に生きることができるんじゃないかと思います。」
これは窒息しそうなくらい息苦しい日本に生きていて、
中学生くらいの時からずっと考えていた、私の人生の指針である。
なぜ、いじめやひきこもりや自殺が起こるのか、
なぜ、異様に偉そうに振る舞われ、理不尽な関係を要求されるのか、
どうすれば防げるのか、をずっと考えていて、到達した答え。
的確な言語化に感謝したい。
複数の集団やコミュニティに属して、渡り歩き、風通しをよくすべし。
フィールドは一つではない。
あなたは、今のその世間だけで生きているのではない。
家庭や学校や職場がしんどいと感じたら、別のコミュニティを見つけて、緩い繋がりを広げていけばよいと思う。
世間は広いようでとてつもなく狭いのだから、いくらでも通り過ぎるべし。
そして、社会に向けて、声を上げられる、生き方をしたい。
ただし、世間があたかも、国家が介入することで、国民全員の意思であるかのようなうねりになる時は危険である。
意思などではなく、思考停止状態なのだろうが。。
コロナ禍では本当にそれを痛感した。
個人の恐怖や不安から生じてしまう小さな積み重ねが、巨大になり暴走することもある。
そういった危うさを知っておく為にも、本書は広く読まれて欲しい。
世間と社会の違いについては、興味深く拝読した。