鴻上尚史のレビュー一覧
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ある特攻隊員へのインタビューをベースとして、戦争及び特攻隊員のリアルを描いている。これを書いているのが「空気と世間」を書いている著者・鴻上尚史さんと同じとのこと。この方は演出家の一面も持っているということで、その多彩な活躍ぶりに驚かされる。
さて、話は「9回特攻に出撃して、9回生きて帰ってきた」という佐々木友次さんのインタビューから始まる。これまでの「お国のために華々しく突撃してまいります!」的な美談?話が多い中で、このような方の話は貴重とも言える。
その中でも、特攻の効果についてわかりやすく伝えている言葉が印象に残っている。
「卵をコンクリートにたたきつけるようなもの。卵は壊れるが、コンクリ -
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COURRIER JAPON
著名人の本棚
石倉洋子さんの推薦図書より
「いろんな「世間」とつながるということ。〈世間‐間‐存在〉を意識して、少しでも「世間」に風穴をあけてほしい。そうなれば、もう少し自由闊達に生きることができるんじゃないかと思います。」
これは窒息しそうなくらい息苦しい日本に生きていて、
中学生くらいの時からずっと考えていた、私の人生の指針である。
なぜ、いじめやひきこもりや自殺が起こるのか、
なぜ、異様に偉そうに振る舞われ、理不尽な関係を要求されるのか、
どうすれば防げるのか、をずっと考えていて、到達した答え。
的確な言語化に感謝したい。
複数の集団やコミュニティに属 -
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ネタバレ演劇の演出家は、人間とつきあうのが仕事です。つまりはずっと「人間ってなんだ」と考え続けているのです。
全く理解できない行動を取る俳優やスタッフに対して、「どうしてあんなことをするんだろう」「何を考えているんだろう」と相手の立場に立って考える訓練をずっとしてきました。
それは「道徳」とか「優しさ」の話ではなく、そうしないと仕事ができないからです。なんとか演劇という共同作業をするためには、相手を愛するとか好きになるとかではなく、相手の立場を理解することが必要だからです。
僕は演出家として、ずっと「どんな人にも事情がある」と思って仕事をしています。同情するかどうかは別にして、その「事情」を知 -
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社会人になりたての頃の手帳を開いたら、この本から抜き出したフレーズがいっぱい書いてあったので、懐かしくなり再読した。
中途半端に壊れた世間、本物の孤独と前向きな不安を共にして、死なないように。
運悪く配属先の先輩に頭のおかしい人がいて、毎日職場イジメを受けていた頃だった。難癖をつけては怒鳴り散らしたり、周りがみんなお前の悪口を言っているぞ、俺は専務と通じてるんだぞ、とか言っていた。地獄の日々は1年弱続いたのち、先輩が異動、休職して終わった。今思えば専務と通じているわけがなかった。
この本のおかげで死なずに済んだ、自分を責めずに周りに助けを求めることが出来た。鴻上さんは私の命の恩人なのだ -
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人生相談を読むのが大好き。全然参考にならなかったり、面白くもない回答がしばしばあるなかで、ここのところのお気に入りが、上野千鶴子さんと鴻上尚史さん。回答の傾向はかなり違うけど、なるほどねえと思うことが多い。
今回一番心に残ったのは、鴻上さんがツイッターをはじめWeb上で発言するときに決めている「自分なりのルール」について書いていたところだ。ネットで情報を探り、つながりを求めていると、誹謗中傷の言葉は避けようがない。だからといってネットをやめてしまうのはあまりにもったいない。自分にはどうしても言いたいことがあるから発信は続けるが、なるべく炎上は避けたいので三つのルールを考えたという。
一つ目 -
購入済み
上官とは
部下には特攻を指示しながら本人は敗戦時日本に逃げ帰った悪名高き富永中将の話も出てくる。空気に支配されやすいのは保身を第一に考える上官側の方が多いと感じた。
絵柄は第一巻よりも丁寧で、原作の雰囲気や主張をよく伝えていると感じた。 -
購入済み
日本社会の空気
数多く出版されている特攻隊ものの一つ。
言い尽くされたことではあるが、本音と建前の違い、周辺の空気に逆らうことを恐れ流されてゆくみんな、その理不尽さをこの作品も十分に表現している。
絵柄は とてもうまい というわけではないが、原作の持っている雰囲気 原作の主張をよく表現している。