鴻上尚史のレビュー一覧
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生きづらさの正体ってなんだろう。
筆者は、「世間」と「社会」という言葉を使って紐解いていく。
「世間」とは、現在または将来、関係のある人たち
「社会」とは、現在または将来、なんの関係もない人たちのこと。
日本では世間の目を気にして生きることが強いられる。生きづらさの根本はここにある。
一方で世間があるから、自らの居場所を見つけ安心している。
だから、世間はなくならない。
世界には「世間」はないらしい。
あるのは「社会」だけ。
だから、知らない人とも気軽に挨拶を交わす一方で、友人同士でも食べたいものが違ったら、合わせるのではなく、各々が好きなものを食べてまた合流するそうだ。
生きづらさをやわらげるには、弱いつながりの世間を複数持つことと、社会の人とも話をすること。
単純化し過ぎているきらいはあるものの、知っているだけで、楽に生きられそうだと思ったので、人にも伝えたい。
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Posted by ブクログ
言わずと知れた演出家でタレントの著者による、舞台や映像で効果的、魅力的な演技をするための考え方や練習方法を紹介したもの。たくさん「エクササイズ」が収録されているので、誰かとこの本を実践するのは確かに面白いし役に立つかもしれない(でもやっぱり講評してくれる人は欲しいと思うけど)。「世界で初めて、演技の秘密を解明し、演技へのアプローチを科学的に体系化した人」(p.17)と言われているロシアの俳優・演出家スタニフラスキーが提唱したスタニスラフスキー・システムという演技訓練方法に基づいている。著者自身がイギリスで苦労しながら身につけたということが伝わってきて、必ずしも上から目線でもない感じも良かった。
文章がとても分かりやすく読みやすい。内容も面白いのでスイスイ読める本だった。おれは昔演劇をやっていたのに「スタニスラフスキー」という人を初めて聞いた。これはプロの人たちにとっては、こういうメソッドがあるというのは常識の範疇なのだろうか。どれくらい受け入れられているものなのか、客観的な評価とかは全く分からないので、別に手放しに肯定することはできないけれど、それでも自分が演劇をやっていた時にどこかで言われたこととか、なんかやったり見たりしたことがあるエクササイズが載っていたので親近感を持てた。
あとは自分が気になったところのメモ。まず演技をしている時の理想は「考える」と「感じる」をうまくバランス取る、という部分で、「『感じること』と『考えること』のせめぎ合いを、ぎりぎりコントロールすること。それが、一番、感動的な演技なのです。」(p.16)というところは納得した。大人になってからちょっとだけ演劇に参加したこともあるけど、その時は「考えること」ばっかりで、まったく下手くそだったなあと思う。もうセリフを言うだけで頭いっぱい、みたいな。おれやっぱり向いてないかも、と思った。言い換えると、「演技とは、『心で体験する芸術』と『形で表現する芸術』の総合されたもの」(p.125)ということらしい。そして心に集中するのか、形の結果として心が生まれるのか、という2つのアプローチでスタニスラフスキーという人は方針を前者から後者へと変えた、ということらしい。プロの人でもこうやって方針が変わるんだから、アプローチはいろいろあるんだろうな、と想像できる。表現と内面が双方向(p.168)、とか、状態を行動にする(p.111)、という話とも関連すると思う。
他に演技について印象的な言葉がいくつかあり、まず「演技は、他人になることではありません。演技は、自分の人生のありえた可能性を追求することです。」(p.63)というのは演じることの面白さ、楽しさを表している気がして、ゾクゾクした。狭い演劇経験から思っていたことは、演技うまいと思う人ってその人の素と、役を重ねられる人だよなと思っていたけど、確かにこういう捉え方はできるかもなと思った。あとは「派手な表現をしようが抑えた表現を選ぼうが、観客が見ていて面白いと感じるのは、心が激しく動く瞬間です。強烈な感情が自然に湧き上がる俳優を目撃することが、観客の興味につながる」(p.76)も分かりやすいし、ここがポイントであると思った。これをどう自然に湧き上がらせて表現につなげるか、ということに苦心するのがこの本でやろうとすることだと思う。そして実際に「行動」として表現にうつすために、「目的」と「障害」がある、という話で、「『目的』と『障害』の緊張感のあるワンセットが成立しなくなった時に、ドラマの緊張も失われ、面白さや興味深さ、スリリングさが作品から失われる」(p.83)ということだから、自分の役の瞬間瞬間で「目的」と「障害」を意識する、ということが重要だそうだ。例として『ロミオとジュリエット』のセリフのない「門番」の役だったらどうするか、という話が書かれていて、プロになるとこういう役にこそ演技の方法を見出すものなのか、と思った。「俳優は、『予想を裏切り、期待に応える』必要がある」(p.210)って、ほんと難しい技術だなと思う。あとは上手い演技とは、という話の裏返しとして、下手な演技とは、という話を読むのも参考になるが、「俳優を目指す若者は、日常、『しゃべっていること』と『考えていること』が違うことがよくあるのに、セリフになると、例えば、『私がやります』というセリフがあると、一生懸命、『私がやります』と叫び続けます。」(p.181)という部分があったが、これは下手な例、ということだと思う。最後に、「自然な感情」と「ひねった表現」と「面白さ」の重なるところが目指すべき演技、ということだが、この3つの軸を知っていれば、いろんな人の演技を見て分析できる指針になりそう、と思った。個人的にはこの「ひねった表現」というところがやっぱり一番難しいが、必ずしも特殊な表現をすることではなく、「日常的または生理的なうなずきや動きを削ぎ落とす、というのも、じつはひねった表現」(p.246)は、おれも昔やったことあるなあと思った。あえて絶対に動かないようにする、みたいな。最後に、「観客は、あなたが自慢することやカッコつけることや気取ることからは、何も感じません。けれど、あなたが勇気を持って、人間が人前では隠したいと思っていること、取り繕いたいと思っていることを表現すると感動するのです。」(p.281)ということだから、俳優の素質や動機って「出たがり」というのがあると思うけど、それと矛盾したところに目指すべきところがある、という点ではとても難しい技術職、ということがわかった。
なぜこの本を読んだのかと言えば、少しまた久しぶりに演劇に参加する機会に恵まれたからだけど、今度は「感じること」も十分できるように、でも「嘘くさく」ならないように、楽しみたい。「レッスン13」の「癖ではなく、表現」という部分をもっと頑張りたいと思い、著者が書いた別の文庫本も早いうちに読もう。(25/01/27) -
Posted by ブクログ
2009年に第一刷が発行され、その後も発行され続けて、もう少しで第二〇刷が発行されようとしている。
内容こそ、当時の時事ネタを挙げながら平易に解説している本書だが、
発行から15年が過ぎた今でも、いや、今だからこそ、
信頼できる「生きかたの指南書」として多くの人たちに読まれ続けているだろうことは
容易に想像できる。
山本七平『「空気」の研究』、
阿部謹也『「世間」とは何か』、
また、阿部さんの仕事を受け継ぎ「世間学」というアプローチをされている佐藤直樹さんの著書
『「世間」の現象学』
などを参照しつつ、「世間」の正体をつぶさに観察し、浮き彫りにした一冊。
曰く、世間のルールがいくつかあり、
世間のルール1 贈与・互酬の関係、
世間のルール2 長幼の序、
世間のルール3 共通の時間意識、
世間のルール4 差別的で排他的、
世間のルール5 神秘性、
の5つを挙げていて、
必ずしもこの5つだけに限らない、
としている。
実際、読み進めていくと、
「いじめに苦しんでいる中学生に届いて欲しい」
という著者の眼差しが真っ直ぐに伝わって来る。
すべての世代の人たちに向けて書かれた一冊
とも言える、と感じた。
著者は、さまざまな具体例を挙げながら、
「空気」とは、「世間」として確立されていない、
いわば「世間」が流動化したものである、
ということを紐解いていく。
また、「世間」と「社会」の違いを示し、
現代日本人にとっての「社会」や「個人」について、
“明治十年(一八七七)頃に societyの訳語としてつくられた言葉社会という言葉がつくられた。そして同十七年頃にindividualの訳語として個人という言葉が定着した。それ以前にはわが国には社会という言葉も個人という言葉もなかったのである。ということは、わが国にはそれ以前には、現在のような意味の社会という概念も個人という概念もなかったことを意味している。(40ページより)”
と、そのルーツを紹介し、
明治維新後の西洋化の過程で半ば強引に輸入された概念であると説明している。
それ以前の日本に定着していたのは、もっぱら「世間」のほうであったらしい。
そのため、「個人」がつくる「社会」という感覚は
いまだに日本には定着せず、
建前としての「個人」「社会」と、本音としての「世間」
という、ダブルスタンダード状態で日本の経済も政治も動いてきたことを筆者は解き明かしていく。
西洋でも、キリスト教が絶対的な影響力を持つまでは「世間」が存在していたことも明かしている。
人あるいは人々は、放っておけば自然に「世間」をつくり出す。
それを一神教の名の下に強く禁じたのがキリスト教であり、
西洋人はキリスト教を絶対視することによって、キリスト教以外のあらゆる概念を相対視できるようになった、と説明する。
日本では、絶対視できる一神教のような概念はしない代わりに「世間」がその役割を果たしてきた、という著者の指摘は極めて鋭い。
私自身、これまでにモヤモヤと感じていたことが
厚紙を剥ぐように一気に氷解した。
本書の内容は学術論文ではないけれども、
こうして個人的に納得感が得られることは私個人にとって非常に大きい。
「古き良き日本」というのも「世間」である、と
著者は喝破していく。
生きにくい日本を生き抜く方法として、万能薬は無いとしつつも、
“ほんの少し「個人」がしっかりした人は、同じことを言うことに意味がないと思って、幻の「空気」がそこにあっても、自分の言いたいことを言います。
これぐらいの「個人」の強さは、必要だと思っています。それは、その方が快適だからです。(214ページ)”
と勧めている。
日本語文化圏の特徴や、
社会的であることの意味、
セーフティネットとして「複数の『共同体』にゆるやかに所属すること」の有効性、
などをわかりやすく説明した上で、
“たった一つの「共同体」に対して頼っているだけだったり、支えを求めているだけだったりしたら、いくらゆるやかに支えてもらおうと思っても、「共同体」の方からあなたを放り出すでしょう。
複数の「共同体」とゆるやかな関係を作りながら、あなたもまた、その「共同体」の人たちを支えるという気持ちを持つのです。(250ページ)”
と、
ひとつの処方箋を提示している。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本以外はじゃんけんはあまり有名ではない。日本人が対話が苦手なのは、じゃんけんがあるから。大切な問題はじゃんけんに任せてはいけない。
多数決もどうか。最終的にはそうするにしても、対話が先にあるべき。数の暴力を防ぐ。
シンパシーとエンパシー。同情、共感、と客観的な立場で相手の気持ちを考えること。シンデレラの継母は、なぜシンデレラをいじめたのだろう、と考える能力がエンパシー。
被災地に折り鶴を送る人はシンパシーが強い人。しかし相手の立場では考えていない。シンパシーよりエンパシーを育てる。
進路、良いもの、ベター、がわからないときは、最悪じゃないもの、を選ぶ。どちらがいいか、ではなくどちらが避けたいか、を考える。
考えることを邪魔にする強敵「面倒くさい」と「普通」。
面倒くさいは好奇心を殺す。普通(別に)は思考が停止する。思考停止は、その瞬間は楽だが、ゆっくり腐らせる=不幸にする。
普通を疑うためには、考える必要がある。
優秀な工場労働者が必要な時代から、多様性に対応できる優秀な人材=自分の頭で考える人材、が必要になった。日本にユニコーン企業が生まれないのは、考えず、和を大切に、という工場労働者を作る教育から、多様性の時代に合わせた教育に切り替えなかったから。
みんなのために頑張る、はわかりやすい動機だが集団がなくなったら何もできない。
答えがひとつではない問題に取り組むのは、考えるため。
では、答えが一つの問題を学ぶのはなんのためか=多様な視点を身につけるため。知識が多ければいろいろな角度から考えられる。
大学で急に考えろ、といわれても無理。それまでは暗記=正解を出す、ことが勉強だった。
世界の問題はひとつの正解がないものばかり。地球温暖化、経済格差、エネルギー問題、食料問題、紛争、核問題など。
今は面白いが苦しい時代。情報が多くて偽物も多い。
スマホによって、1,自意識が拡大した=いいね、を意識する。2,不安が加速した=他人と比較することが増えれば不安になるのは当たり前。3,デフォルトモードネットワークが働かない=ぼーっとする時間がなくなった。4,広告が追いかける=検索ワードに従って広告がでてくる。5,孤独がなくなった=ひとりで孤独を味わう時間は無い>孤独を知ると、新しい世界が見えてくる。どこにいても、自宅と同じ生活ができてしまう、のは孤独がないという欠点。
スマホは日常生活そのもの。連れ戻される。
ネットで簡単に時間が潰れるのは、考えずにいられるから。長編映画、本を読むように体力や精神力がいらない。
簡単に手に入れた知識は簡単に忘れる。何かに感度したら、ひとりでゆっくりと考える時間をつくる。
ツイッターでの匿名率は、諸外国は3割くらい。日本は75%。
悩んで意味のあることと悩んでもしょうがないこと、を分けられるか。
成熟する、大人になる、成長する、とは、問題がおきたときになんとかできる人、もめたとき、トラブル、調子がいいとき、など、いつでも主体的に解決できる人。
映画は時々ぼーっとしても終わるが、本は終わらない。
なんのために生きるか=幸せになるために生きる=幸せとはなにか。これを考えると、なんのために生きるか、の解答が出る。 -
Posted by ブクログ
安定の鴻上本。
この人の書く文章は常に気づきを与えてくれる。リフレーミング効果がある。同じような事象に対して異なる角度からの視点や、解釈の方法を教えてくれる。
★★★★
本当の孤独」とは、自分とちゃんと対話することなのです。
★★★★
本当に何が食べたいかを知るためには、一定時間、ちゃんと空腹になることが必要なのです。
★★★★
頭は、一瞬で旅行日程を理解します。が、体の理解は遅いのです。体は簡単には変わりません。体が変わらないから、旅行を実感として楽しめないのです。
★★★★★
あなたが有能なセールスマンであるほど、あなたは自分との対話が苦手です。有能なセールスマンとは、「他人の欲望に敏感な人」のことです。
★★★★★
僕たち日本人は、共同体が神だったのです。村の掟に逆らわない限り、村は僕たちを守ってくれました。けれど、一度でも村の掟を破れば、もう二度と村は受け入れてくれなかったのです。
★★★★★
家に飛行機が落ちてこないかと心配のあまり眠れないことは?たぶん、あなたはこれらのことは眠れないほど心配してないはずです。それは、心配してもしょうがないからです。心配してもしょうがないことは悩まない、ということを、あなたも知らないうちに実行しているのです。
★★★★★
不安を大きくするのは、あなたの想像力です。あなたの想像力が豊かであればあるほど、不安は大きくなるのです。
★★★★★
大きな喜びと幸福は、激しい孤独と不安を生むのです
★★★★★
自意識が強ければ強いほど、自分の孤独と不安を考えます。そして孤独と不安を成長させてしまうのです。