感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2021年07月20日
メチャクチャいい本だった。考えることたくさん。
まず佐々木さんの話に衝撃。あの時代に「何度でも命中させて帰ってきます」と公言して戻ってくる男がいたこと。決してそれが綺麗事てま終わらない時世に。
そして4章の実像で語られることがかなり響いた。あの時代の空気感。そしてそれが現代でも続いていること。なんと...続きを読むなくおかしいと思いながらも誰も言い出さないから「続けること」が目的になってしまうこと。当事者の声こそ歴史の闇に光を当てる。
Posted by ブクログ 2024年03月28日
9回特攻に出撃して生き残った特攻兵のインタビューとその物語。戦争をする以前に戦わない選択をすることによって落とさなくてもいい命がある。先の大戦の時、闘うことを選んだ日本が結果的にどうなったか、戦争を経験した人たちは少なくても戦争は絶対してはならないと思ったはず。いつの時代でも犠牲になるのは末端の庶民...続きを読むで、命令する人間は(国民のためと言いながら)自分のことだけを考える。
Posted by ブクログ 2024年02月01日
酒と紅白餅で必勝祈願
し死地へ送り出される。
死のツノと積載量超過
の八百㌔爆弾を抱える
離陸直後の緊張の時間。
高度五千メートルの空。
雲が割れて目標の湾が
見える。
そして爆弾の安全装置
を解除して・・・
当事者にしか語れない
鮮やかな光景が眼前に
広がりました。
体当たりの命令に背...続きを読むき、
けれども逃げずに戦い
何度でも何度でも生還
を果たした八十年前の
一人の若者に、
大概のことは乗り越え
られるはずだよと、
生きる勇気を与えられ
ました。
一方で、精神論の末路
というべき特攻という
愚かな作戦を、
エモーショナルに語る
べきでないと学びとり
ました。
故郷の北海道当別町に
眠る佐々木友次さんに
哀悼の意を捧げます。
Posted by ブクログ 2024年01月07日
戦後72年たってようやく特攻のことを書けるということ、渦中の命令した側が亡くなったからこそ…というのが、戦争を美化する人々や傍観者側の罪が深いと思った。。
Posted by ブクログ 2023年08月26日
テレビから流れる都合よく編集された戦争しか知らなかったことを改めて思い知らされた。この先、真実はもっと消されて行くのかもしれない。どうかたくさんの人に知ってもらいたい。
「命令する側」「命令を受ける側」、「世間」と「社会」。
Posted by ブクログ 2023年08月23日
鴻上さんの別の本で紹介されていて、興味がわいたので読みました。
今まで知らなかったことがたくさん書かれていて、本当に興味深い本でした。戦争の辛い内容だけど、読んで良かったです。日本人として、知っておくべきことがたくさん書かれていると感じました。
丁寧に取材して伝えてくださってありがとう、という気持ち...続きを読むでいっぱいです。
Posted by ブクログ 2023年08月19日
戦争があったということはもちろん知っている。ただ、そこでなにがあったかまでは知らない。40代の私がこの状態なら、さらに若い人たちはもっと知らない。知ろうとしなければ得られない。「死ぬことが使命」だなんて世の中、絶対に嫌だ。今は戦争は日本では起こっていないけど、周りの雰囲気に対する違和感に声をあげられ...続きを読むない、そのことが凶器を孕んでどうなっていくのか、ある意味今も戦時中なのではないか、なんてことも考えた。
生きる、生き残ると決めきった佐々木さんの想い。こんな想いを自分のこどもたちにはさせたくない、もらった命をどう使うか、死ぬことが使命だなんて、絶対にさせない。
Posted by ブクログ 2023年06月25日
衝撃だった。
まさかただでさえ致死率が高い特攻で、9回出撃し、生きて帰ってこられた方がいらしたとは!
まず「「特攻」が全くの犬死であることは、当事者は全員わかっていた。
1)日本の戦闘機がまったくアメリカの操縦機に叶わなくなっていた。最高速度が違う。
2)第一目的目標である空母にたどり着く前に、ア...続きを読むメリカのレーダー網により察知され、VT信管により撃墜される。(アメリカ軍はすぐに対策をとった。)
3)日本の飛行機、特に零戦は、安全性能を犠牲にして性能を上げたので、特攻するにしても、護衛機の援助なしにたどり着くことはまず不可能。すぐに引火する。
4)動く船に、重い爆弾で当てるのは、機銃照射がある中、ほぼ不可能。仮に当たっても効果が薄い。アメリカ軍が発見したように、急降下爆撃による一撃離脱が効果的。
5)最初の特攻こそ、その時点での腕利きが選ばれたが、以降は若年者が選ばれた。
6)とても難しい操縦が要求されるにも関わらず、特攻に選ばれる兵士は、圧倒的に飛行訓練時間が足りない者が選ばれた。
7)末期になるほど、明らかに劣る戦闘機。かつ、護衛機も付けず、行け!となった。
従って、この命令は、全く戦理を逸脱している。目的は、あくまで銃後にある。こうまでして敵と戦うという、やがて本土にいる我々も同じように後に続くという決意を表した。
Posted by ブクログ 2023年06月17日
あらすじを見てみると、あの狂信的だったであろう太平洋戦争の戦時下、上司の命令や周囲の圧力に屈さず特攻を9回も生き延びた方のお話らしい。
ざっくりと3部構成で、
・9回の特攻について
・ご本人へのインタビュー内容
・特攻の始まりと描かれ方の批判と考察
となっていた。
(読んだ本人が勝手に分けてるので...続きを読む違う読み取り方の方もいらっしゃるかも)
読んでみると、9回のうち実際に飛び立たれたのは2,3回のようだった。とはいえ、特攻という死ありきの出陣を前にしても冷静でいらっしゃったようで、敬服した。そしてやはり、ちょっとやそっとでは揺るがない信念をお持ちのようだった。悪く言うと、頑固。当時はさんざん虐められたようですけど、時が変われば本になってるのを見ると、世間の評価なんてテキトーだし頑固も一計よね、と思ったりした。
Posted by ブクログ 2023年05月20日
特攻に関する本(近代日本の戦争も含めて)を初めて読みました。若い兵士が天皇陛下万歳と突っ込んで行ったと聞いていたが、実際はこんなに理不尽なことが行われていたのかと。鴻上尚史氏の丁寧な取材、考察もとてもわかりやすく良かった。
現代も当時と構造が全然変わってないのではないかと思う。
Posted by ブクログ 2023年04月06日
ほとんどの戦争の資料を読んだ中で、まさか佐々木さんのような方がいらっしゃったなんて…本当に嬉しかった。生きて還ってくれた…。
あの時代それが許されなかったのに何回も帰還する強さ。日露から帰還した父の言葉の支えは本当に大きかったんだな。
それから彼の表現性に心を突かれました。
二度の戦死報告後、母に...続きを読む生きてることを伝える。
ーーーーーー
マニラに行って春が来た。
Posted by ブクログ 2023年03月05日
鴻上尚史氏の執念で奇跡的に実現できたインタビューが貴重。劇団や人気番組クールジャパンのホストを経験した視点か、特攻兵ということの成り立ちや本質をわかりやすく説明した内容。
指示する立場とされる立場の責任分担が曖昧な対応は日本だけで考えると、日本人にはなんとなく受け入れられている面もあるのかもしれな...続きを読むいが、ノットクールジャパンな部分かもしれない。
書籍の最後を締めくくる、報道ステーションにある内容(ネタバレになるので詳細は伏せます)には、はっとさせられた。
私達は何か戦前に起きたことに対して学べているのだろうか?佐々木氏の行動が広く知られ希望となりますように。
Posted by ブクログ 2022年08月22日
太平洋戦争時の特攻について1人の帰還兵である佐々木友次さんを中心に理解できた。佐々木さんの生い立ちや特攻での出来事に関する動画を視聴していたので基礎知識はあったが、8度もの出撃後に台湾に飛ぶ権利も与えられず、フィリピンで過ごしていた事実は初めて知った。今後特攻を経験した人は激減し、生の語り手が減る中...続きを読む、このような貴重な話を綴った本を世に出してくれることに本当に感謝する。戦時中や戦後のことをもっと知りたいと思うきっかけを与えてくれた。
Posted by ブクログ 2022年08月13日
学校で教科書でしか特攻隊を学ばない、歴史や戦争に興味が無い人こそ読むべき本。
徹底的な縦社会で上官に対する絶対服従という構図がなければ軍隊というものは機能しない。
その構図を叩き込まれた一兵卒らが上官に意見したり反抗するというのは、私たち一般人が考えるよりずっと大変なものだ。
命を預け合い、時に殺...続きを読む人という罪を一緒に背負った戦友に対する責任感というものも並大抵のものではない。そんな戦友らが特攻で散っていく中自分だけが何度も生き残る罪悪感というのも相当なものである。
そして戦時下でない現代ですら感じる同調圧力が、戦時下となれば想像を絶する強さだ。
そんな状況下でも「体当りでは死なない」という意志を貫き通した佐々木さんの強さに驚かされた。
しかし今回のメインテーマとなっている「9回特攻に出撃して9回生還」というような、歴史に残るようなことをやった元兵士といえば、自伝を残しているイメージがあったが、佐々木さんはインタビューの中で「大ごとにしたくない」と何度もおっしゃっているのが印象的だった。
だからこそこのように実際のインタビューもある本作はとても貴重なものだと思った。
また、記録上の特攻一番機とされる関大尉は菅野直大尉に関する資料でよく目にはしていたが、出撃前に新聞記者に語ったという本音を拝見したのは初めてだった。
作中で特に印象的だったのが芙蓉部隊隊長であった美濃部少佐が私的回想録の中で語ったという次の言葉だ。
「戦後よく特攻戦法を批判する人があります。それは戦いの勝ち負けを度外視した、戦後の迎合的統率理念にすぎません。当時軍籍に身を置いた者には、負けてよい戦法は論外と言わればなりません。私は不可能を可能とすべき代案なきかぎり、特攻またやむをえず、と今でも考えています。戦いのきびしさは、ヒューマニズムで批判できるほど生易しいものではありません」
この部分だけ読むと特攻容認派の意見に取られるかもしれないが、美濃部少佐は徹底して特攻を拒否し部下を1人も特攻に行かせなかった人物だ。
美濃部少佐にとって「不可能を可能とすべき代案」とは芙蓉部隊のことであろう。美濃部少佐はあくまで一飛行長であり、作戦・用兵は仕事ではない。
この「不可能を可能とすべき代案」を考えるのは、特攻が有効な作戦ではないとされてからも特攻の命令を出し続けた参謀の役割だったはずなのだ。
それを放棄し精神論で戦争をした上層部に心底呆れた。
しかし、この精神論で物事を決めそれを強行し途中で論理的に見直したり間違っているところを直したりしない、というのは現代社会でもよく見られることだ。
臭いものには蓋を …ではなく、過去にしっかりと向き合い問題点を洗い出し改善策を見つける、という流れが日本社会には著しく欠如しているのかもしれない。
最終章終盤の日本の集団我に関する話はかなり興味深かった。
Posted by ブクログ 2022年03月23日
2019年11月12日
いわゆる「特攻」について。今まで知られていなかったことが分かった。9回出撃してすべて生還して最近亡くなられた人がいたとは驚き。
また、昨今の自爆テロと同じと言う人もいるが、全く次元が違うということが分かる。
Posted by ブクログ 2021年12月30日
理不尽な体当たり攻撃の命令に背いて、最後まで「敵艦船に爆弾に落とす」という信念を貫いた佐々木友次さんの物語とインタビュー。
著者の鴻上尚史さんは、「自分のやっていることが正しいと信じて上官の命令に逆らい続けることができたのはなぜか?」という観点から、佐々木友次さんにインタビューしている。パイロット...続きを読むしての長い時間飛び続けたからこそ、自分のパイロットとしての腕に自信があるだけでなく、体当たり攻撃の難しさと効果の低さをわかっていることがあった。それでも生還するたびに罵倒され続けるのだから、自暴自棄になってもおかしくなかっただろう。その中で自分を保てたのは、そんな極限の状態でも、佐々木さんは飛ぶことが好きだったということも一因だということに驚く。
本書は著者、鴻上尚史さんの考察で結ばれる。なかでも↓このくだりは、日本人の本質的特性を表している。
--
「命令した側」からすれば、「世間」の「所与性」とは、「現状維持が目的」ということになります。ずっと続いていることを、無理に止める事はない。自分はそれを止める立場にはない。そもそも続いていることは、止めることより、続けることの方が価値があるのだ、という思い込みが「所与性」の現れです。
--
鴻上さんは、高校野球を炎天下の時期から見直そうとしないことも、自衛隊が隊員に行った南スーダンへの駆けつけ警護への参加意思アンケートで「行かない」と回答した隊員への詰問も、特攻を命令した側の論理と同じだと説いている。
戦中と同様の不条理・不合理なことの所与性が、戦後の今も日本中の至る所に残っている怖さと、いつの時代でも不条理・不合理こそが本当の戦うべき敵だということを痛感する。
Posted by ブクログ 2021年12月26日
特攻で死なずに帰還した21歳の伍長は特に人権意識が高かった訳ではなかった。戦後70年経ったインタビューでも「一伍長がそんな立場にない」と司令官への批判をしない。しょうがないと受け入れている。
それでも戻ってきたのは本人も明確には言わないが、飛ぶこと自体が好きだったからではないか。好きがあることが即...続きを読むち自分を大事にすることなのか。自分以上にお国やらを上位に置かなくて済むのではないか。
Posted by ブクログ 2021年08月29日
本書のように懇切丁寧に説いてもまだ分からぬお方はいらっしゃるのでしょうね。
何事も大変。
■
すると、末席にいた29歳の美濃部正少佐が立ち上がりました。
「劣速の練習機(赤トンボ)まで狩り出しても、十重二十重のグラマンの防御陣を突破することは不可能です。特攻のかけ声ばかりでは勝てるとは思えません」
...続きを読む全軍特攻化の説明をした参謀は、意外な反論に色をなして怒鳴りつけました。
「断じて行えば鬼神も之を避く」
東條首相が大好きな精神力をあらわす言葉です。
問題は「精神」であって、技術や装備のリアリズムではない、ということです。
それに対して、美濃部少佐はなんと答えたか。
「私は箱根の上空で零戦一機で待っています。ここにおられる方のうち50人が赤トンボに乗って来て下さい。私が一人で全部たたき落としてみせましょう」
同席した生出寿少尉が「誰も何も言わなかった。美濃部の言う通りだったから」と報告しています。
タイトルと内容はあっていないかもしれません。ただ、鴻上氏が「この人の話を書きたかったんだ」という気持ちが根底にあります。戦争の話なんて、特攻の話なんて、と思わずに、読んでみる価値は大いにあります。迷うなら、読んでみて。
Posted by ブクログ 2024年01月08日
今現在もこの地球上で、人が人を殺める行為を必然とした戦争が起きています。
この日本でもそう遠くない過去には戦争がありました。しかし、既に戦争を体験した方が少なくなった現在、私も含め戦争を知らない人々も、学校の授業や終戦記念日など何かのきっかけで、その実態を知り、考えることも大切なのではないかと思いま...続きを読むす。
私は年に一度くらいは戦争について真剣に考えようと思っています。本を読んだり映画を観たり、その方法は様々ですが、本作はそんな思いで手に取った一冊です。
<作品紹介>
太平洋戦争末期に実施された“特別攻撃隊”により、多くの若者が亡くなっていった。だが、「必ず死んでこい」という上官の命令に背き、9回の出撃から生還した特攻兵がいた。その特攻兵、佐々木友次氏に鴻上尚史氏がインタビュー。
飛行機がただ好きだった男が、なぜ、絶対命令から免れ、命の尊厳を守りぬけたのか。
「第一章:帰ってきた特攻兵」「第二章:戦争のリアル」「第三章:2015年のインタビュー」「第四章:特攻の実像」の4部構成になっているのですが、私は第二章を読み終えるまでに4ヶ月かかりました。辛くてなかなか読み進められなかったのです。
攻撃をして帰還した部下に対して、「次は死んでこい」という上司って何?目的が「死ぬこと」になってしまっている。
現代の自分が生きていく上でも、会社であったり人との関係であったりのなかで、目的達成のための方法はいくつもありますが、私はそれを取り違えてはいけない。といつも思っています。当時の日本軍の上層部においては、まさにその方法を間違えてしまったのだと思うのです。
劣勢になったときに、勝つためには国民を鼓舞しなければならない。そのためには、優秀な操縦士が先陣を切って特攻することに意味がある。と・・・。
冷静に考えれば、優秀な操縦士は貴重であり、先陣を切って後のものを率いて攻撃し、生還させることが重要だと思うのですが。生きていればまた出撃できますし、後に続くものを育成することもできます。
そもそも、生きて帰ることを前提としない攻撃なんてありえない。そんなことを考えた人もそれに同意した人も許可した人も、どうかしているとしか思えない。
ですが、時として人間は過ちを犯すのです。それは多かれ少なかれ自分も含めすべての人に言えることです。
当時の状況から、特攻兵でありながら、9回の出撃から生還するということがどれほど特異であることかは想像に難しくありません。
とにかく怒りを抱きながら、胃が痛くなるような辛さを抱えながら第二章までを読み終えました。
第三章では、それを成し遂げた佐々木友次(ともじ)さんへの、鴻上さんによるインタビューです。佐々木さんがお亡くなりになる数ヶ月前だったようです。体調もよくないなか淡々と鴻上さんの質問に答えられている様子でした。会話から、お人柄の良さが伝わってくる内容でした。
そして、佐々木さんは、ただただ純粋に飛行機を操縦することが大好きで、その操縦にも自信を持っていた。だからこその抵抗だったのかもしれないと思いました。
第四章では、特攻隊の実像について鴻上さんの見解が綴られていました。
また、後書きには佐々木さんのお墓に刻まれた文章が記されています。
21歳の時に9回の出撃にも関わらず生還し、92歳まで生き抜いた彼の言葉は、とても重く心に響きました。
佐々木友次さんのことや特攻隊の話については沢山の書物がありますが、それぞれ見解が違います。命令をする側と受ける側では見えている現実が違うのです。
また、誰かの思惑によって事実が湾曲されていることもあります。
それは遠い過去のことばかりではありません。現在でもそれを感じることが沢山あります。それに踊らされ振り回されてはいけないと心にとめたいと思います。
過去のことを変えることは出来ませんが、未来は変えられるはず。何かを判断する際は一度立ち止まってよく考えることが大切だなと思います。
Posted by ブクログ 2024年01月07日
特攻命令を9回受けるも、生還した佐々木友次氏に関する本です。
佐々木氏は、死んでこいと発狂して命令してくる参謀長へも毅然と、死んできます、と答えるも生還。
次々と軍人が特攻で死んでいく中、そんなことがどういう精神状態で可能だったのか、本人へのインタビューも含め解説しています。
寿命がまだ来ていなか...続きを読むった、という言葉が印象的でした。
また、終盤は鴻上氏が当時の社会情勢なども鋭く分析しており、日本人特有の空気感で大本営発表を信じ国全体が狂ってしまったと言っています。
しかし、この時から何も日本人は成長していません。戦時下のようなことがここ数年前にありました。
コロナ禍による自粛警察、マスク警察、ワクチン警察です。
結局、アホみたいに一生懸命だったパーテーションは意味があったのか?
とっくの昔に検査などを辞め、社会を正常化させた外国はコロナで全滅したのか?
何故もう誰もワクチンを打たないで良いのか?
などなど、ほぼ誰も振り返っていません。
今振り返っている人は、やれ陰謀論者だなんだとレッテル貼りをされていますね。
恐らくは数十年したら学者などが、あの時の狂気を振り返って批判を行うでしょうが、その時は一緒になって自粛警察に協力していたマスコミも、日本人の国民性を手のひらを返し叩くでしょう。
そう、何も変わっていません。そして変わっていないことすら把握できていないので、未来永劫日本は変わることはないでしょう。
Posted by ブクログ 2023年08月25日
天皇の描写は間違っている。
天皇は戦争の最高責任者だけど、戦争を始めようやめようなど決定権はない。
ただ、自分が大臣から上がってくる話を聞いているだけ。
天皇が皇統を何よりも大切にしたというのはウソ。
開戦をせずに済まないのか、何度も大臣に問いただしたのは天皇陛下だった。
Posted by ブクログ 2023年02月23日
特攻隊の真実、本質をしっかりと書いています。
命令する側とされる側…どちらの視点で特攻を語るかで全く見方が変わります。また、命令する側の人の証言は自己弁護から真実を語っていない、あるいは誤魔化している可能性が高いです。そのことをしっかり頭に入れて文献は読まないといけませんね。
Posted by ブクログ 2023年02月16日
ある特攻隊員へのインタビューをベースとして、戦争及び特攻隊員のリアルを描いている。これを書いているのが「空気と世間」を書いている著者・鴻上尚史さんと同じとのこと。この方は演出家の一面も持っているということで、その多彩な活躍ぶりに驚かされる。
さて、話は「9回特攻に出撃して、9回生きて帰ってきた」とい...続きを読むう佐々木友次さんのインタビューから始まる。これまでの「お国のために華々しく突撃してまいります!」的な美談?話が多い中で、このような方の話は貴重とも言える。
その中でも、特攻の効果についてわかりやすく伝えている言葉が印象に残っている。
「卵をコンクリートにたたきつけるようなもの。卵は壊れるが、コンクリートは汚れるだけ」
非常にわかりやすく、かつ特攻というのものがどれだけ効果の期待できない作戦だったかがうかがえる。
太平洋戦争末期、戦況の悪化により、最終的には「勝つ」ことではなく「死ぬ」ことが目的になってしまっていた。またそういった思想に対して誰も意見が言えない状況になるまでの、教育という名の洗脳、マスコミでの報道内容等のリアルについても書かれていたが、本当に恐ろしいなと改めて感じた。
現在も世界を見渡せば戦争は行われているわけだが、日本で二度と戦争が起きないことを切に願うばかりである。
Posted by ブクログ 2022年08月23日
鴻上尚史(1958年~)氏は、早大法学部卒(在学中は早大演劇研究会に所属)の劇作家・演出家で、日本劇作家協会会長(代表理事)、日本劇団協議会・日本演出者協会理事、桐朋学園芸術短大演劇専攻特別招聘教授等。岸田國士戯曲賞(1995年)、読売文学賞(2009年)等を受賞。TV・ラジオ等への出演、幅広いテー...続きを読むマでの執筆活動等も行っている。
本書は、太平洋戦争末期に行われた特別攻撃(生還を前提としない、航空機や魚雷による体当たり攻撃)について、9回出撃して9回生還した特攻隊員・佐々木友次伍長の体験と、本人へのインタビューをもとに、その実態を明らかにしようとしたものである。
体験は、『陸軍特別攻撃隊』(高木俊朗著、文藝春秋)に準拠して書かれ、インタビューは、2015年に92歳で存命だった佐々木氏(翌年逝去)に直に行った内容が記されている。
特攻と言えば、まず、映画化もされた百田尚樹のベストセラー『永遠の0』(同書については、坂井三郎の『大空のサムライ』からの盗作疑惑など否定的な意見を含め、様々な議論があるが)が思い浮かぶし、私は、神坂次郎の『今日われ生きてあり』や『きけわだつみのこえ』も読んでいるが、本書を読んで、9回出撃して生還することを可能にした特攻隊員がいたことに、率直に驚いた。
私は戦後生まれで、特攻を含む戦争の実態、その渦中にいた人々の本音というのは、残された記録・記憶から推測するしかないのだが、特攻として出撃して生還することは、環境的に難しく、多くの特攻隊員が無念の思いを抱きつつ散っていったのだと思うし、よって、命令された側にいた、命令に従って戦死した若者と、命令に抗いながら生き延びた佐々木氏のような若者(どれほどいたのかわからないが)の、どちらが正しかったのかという議論は全く意味をなさないものと考える。因みに、佐々木氏はインタビューで、なぜ生還した/できたのかという問いに対し、「寿命」という言葉を何度も繰り返している。(おそらく「運命」というような意味合いだろう)
一方で、この特攻に関して問われなければいけないこと、我々が学ばなければいけないことは、命令する側の方にあるだろう。その一つは、特攻の作戦決定に至ったプロセスの問題であり、もう一つは、事後の責任の取り方である。これらのことは、特攻に留まらない太平洋戦争の問題点として、戸部良一・野中郁次郎らの『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』ほか様々な分析があるが、現在の日本の政治、官僚機構、企業組織にも残る致命的な欠陥であり(特に、何か事案が起こったときのトップの責任逃れは目に余る)、その欠陥の認識と改善にこそ特攻の教訓を生かさなければならないのだ。
これまであまり明るみに出ることのなかった特攻の一面を知ることによって、様々なことを考えさせてくれる一冊と言えるだろう。
(2022年8月了)
Posted by ブクログ 2022年04月20日
特攻隊と言うよりも極限状態の組織のあり方を考えさせた。個人より組織を優先させることに対しては抵抗がない。
ただし、組織を優先させることを論理的に正しく評価するべきだと強く感じた。
世の中はお気持ち先行しているが、絶えず冷静に評価することをしなければならない。
Posted by ブクログ 2022年03月20日
劇作家の鴻上尚史による、インタビュー・歴史叙述と考察から成る新書。いわゆる「特攻隊」として自爆攻撃を9回命じられ、9回生還した実在の人物、佐々木友次のインタビューや歴史的背景の調査を書いている。「特攻」が行われた背景を、「命令する側」「命令される側」と「命令を横で見ていた側」とに分解し、それぞれがど...続きを読むんな状況に置かれていたのか、そして戦後それぞれの立場の人たちが特攻をどんなふうに描いてきたのかを様々な文献にあたりながら描いている。本書は、特攻に参加した人のことばを、現代の価値観で問いかけながら読むことができるという点で価値がある。また本書を読むことで、特攻を賛美するロジックとそれに対する反論を一通り学ぶこともできる。
ウクライナーロシアの戦争が起きて、日本が第三次世界大戦に巻き込まれるかもという話もでてきた中で、自分は逃げるのか戦うのかほかの形で参加するのかなど苦しく感じつつ悩んだ(悩むのは早すぎるけど)。
鴻上が日本の世間を特に強調するけれども、少なくとも戦時の同調圧力、運命への諦観、集団意識というのは欧米でも同様なのではとも思った。ティムオブライエンの『本当の戦争の話をしよう(The things they carried)』でも、「良心的兵役拒否」を理由にベトナム戦争への徴兵から逃げようと考えるも周囲からどう受け止められるか、そして自分自身が逃げたという事実を受け止められずに苦しむアメリカの若者を描いている。いわゆるナショナリズム(国/民族一丸となって...!系の社会意識)の高まりが、論理的な議論を踏み潰して、プライドや怒りなどに任せて無理を通してしまうというのは、日本に限らないのではないかと思う。
作中に出てくる、別の特攻拒否をしたことで有名な「美濃部少佐」の発言で「戦後よく特攻戦法を批判する人があります。それは戦いの勝ち負けを度外視した、戦後の迎合的統率理念に過ぎません。...戦いのきびしさは、ヒューマニズムで批判できるほど生易しいものではありません」とあった。大前提としてヒューマニズムの観点から特攻や戦争はありえない。しかしそのありえないが通ってしまう有事において、それでも特攻を拒否する理屈は、美濃部としては「もっと効果的な戦法(夜襲)」である。佐々木友次も同じである。
......色々想像を働かせてみたのだが、佐々木さんやそのほかの人たちの状況には本当のところ想像がつかない。なんとなく、権威主義的な力はやばそうだし、南スーダンへの駆けつけ敬語に関して自衛隊内部で同様の動きがあったことなどにも危機感を覚える。メディアが戦争を煽って行ったのは、戦争を煽った方が儲かったから=読者がそちらを好んだから、というのにも、今後警戒していこうと思った。でも今自分にできること(戦争を予防すること)はなんだかわからない。何を受け止めたらいいのかわからないというのが正直なところだった。こういう、戦争やばい、権力やばいという言説を時折読んだり人に伝えたりすることくらいしかないのだろうか。
Posted by ブクログ 2021年10月07日
太平洋戦争末期に特攻に9回も出撃して帰ってきた特攻兵がいた。
しかもなんと最近まで生存していたというのだ。
戦争という異常な状況で繰り返される愚かな戦術「特攻隊」のリアルな声が聞ける。
特攻で戦神となり、天皇陛下にも報告済みであるため生きていては都合が悪い。最後の方には暗殺命令まで出ていたとい...続きを読むうのだから、時代が狂っているとしか言いようがない。
戦争はよくないことではあるが、その時代に生きて、巻き込まれるしかなかった人達の生き様や悔しさが思い起こされる。
いつの時代も命令をする側は命をかける覚悟もなく、戦後も長生きしてたりする。
若者たちが「無駄に」命を散らすしかなかった時代。そのリアルな声を記録した貴重な本だと思う。
劇作家である鴻上尚史氏が書いているので、非常に読みやすく、とても面白かった。良書。
Posted by ブクログ 2021年09月19日
前から気になっていた本だが、ドキドキするほど心を打たれながら、一気に読み進めた。
■理不尽な権力に反抗するということ。
○岩本がツノを3本から1本にし、また、爆弾を投下できるよう改造した点(p.68)。これを機に、着陸への希望、生への希望が少し現実味を帯びた。
○佐々木の反論「私は必中攻撃でも死な...続きを読むなくてもいいと思います。その代わり、死ぬまで何度でも行って、爆弾を命中させます」(p.109)。
○末尾には、美濃部少佐の反抗も出てきたが、これもまた凄い(P.264)。
■夫婦というもの、命というもの
○岩本の、妻・和子との別れや、その後の和子の悲しみや日記は、読んでいて辛いものがある(p.37,49)。妻を大切にし、そして妻のためにも自分の命を大切にしないと。
○「人間は容易なことで死ぬもんじゃないぞ」という父の言葉(p.81)。
■理不尽な体制
出丸中尉の処刑飛行(p.142)、「年齢も学歴も低い者ほど積極的であった」(p.227)、軍部の批判回避の『神風特別攻撃隊』@1951年、、、。
※逆に、今後読みたいと思ったのは、
『陸軍特別攻撃隊』、『青空に飛ぶ』、『特攻隊振武寮』・・・
(本書自体は特攻の様子を伝える大部分が他の著作からの引用なのだよな、、という点も一応書き留めておく)
Posted by ブクログ 2021年05月10日
英霊と讃えられ、あたかも日本のために志願して若き命を亡くした多くの特攻隊の中に、こんな「勇敢な」人がいたことは日本人の多くが知っておくべきことだと思う。
あるテレビ番組で紹介されていて、興味をもちました。
時期的なこともあるかもしれません。
特攻隊員がみんな笑顔で出撃していったなんて信じていませんでしたが、こんな帰還兵がそしてロジカルに特攻に反論した人達がいたという事実には、驚きました。
私にとっては、リーダー論としても読めました。
精神論だけで...続きを読む指示を出すという、無策。
従わざるを得ない地獄。
似たようなケースを今も見聞きする現実。
それを国民性と呼ぶなら、今すぐに見直したい。
命じられた死で、人を英雄化するような世の中に二度としたくないと強く思いました。
人間、自意識の高い人ほど、体制やその中での立場他人の目などに制約され、自分自身の本当の気持ち、生き方に反する行動を取らざるを得ない。
佐久間氏は父親の生き方から得られた生きる事への自信、子供の頃からの空を飛ぶ事への憧れ、人間としての正邪の判断を心底に置いて、余計なことを考えず自分の気持ちに忠実...続きを読むに生を全うしようと言う強い意志があったために結果的にあの戦争を生き残れた。
体制、時代の風潮に流されず人としての生き方を貫く強さがいかに大切か、考えさせられました。
Posted by ブクログ 2022年11月28日
著者の小説「青空に飛ぶ」のなかに出てきた、佐々木友次さんの話。彼は陸軍からの初めての特攻隊「万朶隊」のメンバー。本作には、友次さんの特攻隊としてどのような生活を送ったか、また著者が生前の佐々木さんご本人にインタビューする場面が描かれている。難しい話もあったけど、面白かった。
連合国がフィリピンを侵略...続きを読む後、沖縄を襲撃。その前後で特攻隊の戦果が低下している。それなのに、どうして特攻隊の出動をやめなかったのか?疑問が残る。しかも、飛行練習時間がまだ少ない若い兵士をどんどんつぎこんで…他にも本当のリーダーとはなにか、その本質は?など、考えさせられることが多かった。