鴻上尚史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本当に思慮深く、相談者の立場になって、わたしでは考えつかないような考えをしっかりたくさん書いておられていつも感服です。ズバッといってくれるので、子どものことで相談された方にも、それは毒親だという話をされていて、本当に相談者のためになることを言っているからすごい。気遣いの人なんだなぁ、言葉があったかい。あと本当に頭がいい…!!!相談17の生きてるだけで価値があるなんて言えるのか、レイプやDV、ニート生活の穀潰しに存在価値があると言えない、という相談者に対し、人間一般論とごちゃになっている、という話にはじまり、レイプやDVは犯罪者についてであり、同じレベルでは議論するモノではないと言われるのがまずすごく腑に落ちた。また、ナチスや優生思想の話にも触れ、とても考え方が勉強になった。
これでシリーズは最後という悲しさ…
だけど鴻上さんの基本的にだいじにされている価値観は、0か100かではない、またシンパシー(同情)でなくエンパシー(共感)という筋の通った価値観がとても印象に残ったシリーズだった。 -
Posted by ブクログ
本書が出版された当時随分話題になったが、あれから十年弱、いまだに夏が来る度特攻隊犬死論争が繰り返されたりもする。
個々の特攻兵を犬死と呼ぶことは死者を貶めることになるとの感覚はよく分かる。ただ一方で、本書で描かれるような醜悪極まりない軍隊組織や堕落したエリート将官のことをどのような言葉で問い詰めればよいのか、それはまさしく人をして犬死を強制した組織であり責任者ではないのか。著者は命令した側とされた側を一括りにして「特攻隊とは何だったのか」を問うことの無意味さを説く。
本書を読むと、「帰ってきた特攻兵」は佐々木伍長の他にも一定数存在したことがわかる。ただ帰ってみると送り出された時と掌を返したような態度で冷酷にあしらわれ、生きながらにして軍神=死者として発表されて、「死んでこいといったはずだぞ」と上官からの罵倒される、その落差にまず大抵の人は心が折れるだろう。言ってみれば組織的パワハラであり、おぞましい自死の強制である。佐々木伍長は自身の来歴や様々な偶然が重なって、そこから生還できたのだ。
一方で特攻隊をめぐる戦後社会の受け止めについては不可解なことが多い。
例えば岩本大尉の「妻を守るため」といった純真さも、結局は自身を無理やり納得させるための言葉であり、彼等の遺書や手記をその胸中を察することなく上辺の感動だけを消費することはしたくない。しかし、戦後特攻から生還した人の語る心情でさえ、周りの第三者が正面から否定する。曰く「死ぬのが怖かったとは何事か」「皆淡々として出撃した」‥これはいったいどう考えればいいのだろう。最後に大きな問いが残された。 -
Posted by ブクログ
2020年の春と秋に、ブレイディさんと鴻上さんが、イギリスと日本の対比をしながら、「世間と社会」「シンパシーとエンパシー」を縦軸に対談した本。2026年に読んでも、とても面白く、多くの気づきがあった。時代はコロナ禍だが、初期の混乱が少し落ち着き始めた頃。菅首相の「自助、共助、公助」と、自助しかなかった昔のサッチャーと、それを皮肉くるジョンソン首相や、英国と日本の教育、国会討論でのエンタメ性の有無などを、「世間と社会」というモノサシで読者に提示している。タイトルの「何とかならない時代の幸福論」は、本文中にはハッキリと示されてはいないのだが、読み終えて本を閉じると、なるほど、私の中にしっかり残っていることがわかる。さすが演劇の演出家だ。
不透明な時代の幸福論は、「自分で考える」ことと「他人の靴を履いてみるアビリティ(エンパシー)を磨く」ことで手に入れられるんだよ、と言っていたと思う。そのために、大人は子供に仕掛けよう、旅をさせよう。同調圧力を極力減らそう。くだらいルールを見直し、自分で考えさせよう。
日本は、社会がなく、世間がある。世間認定されれば生きやすいが、されないと地獄。同調圧力、sameness、無意味な校則、人情と絆。この前読んだ「庭の話」の共同体批判ともつながった。だからイノベーションも無い。自分で考えない方向にいく。それは権力者にとって都合のいい状態。ほんと、2026年の今を予言してる。法のルールと言う「社会」が軽んじられ、「世間」の同調圧力に従順に従う、今を。(たぶん、2020年の筆者たちには想像できないくらい、ヤバさは加速してると思います)
個人的に印象に残ったのは、コミュニケーションについての定義。誰とでも友達になれるとか、わりと簡単に人間関係が築けるとか、そのように定義されるのは「社会がなく、世間が優位」な日本独特のもの。多様性の高い世界では、「物事が揉めたときに何とかできる力」として定義され、そのアビリティが高い人がコミュ力のある人。これ、ストンと腑に落ちた。だよね。人脈ネットワークを自慢する「自称コミュ力高い人」は、本当につまらないし、物事の解決力も持ち合わせていないことが多い。
SNSにも言及。とくにXは「自分と似た世間を強化する」システムだから、社会性も身に付かず、コミュニケーション力も上がらない。日本では「社会」は信用されてない。安倍政権で言われた道徳教育とシチズンシップ教育が混同され、「世間」というご都合主義の枠組みで古い価値観を強要していく。同調圧力、事勿れ主義は、考える力をそぎ、カウンターも生まれにくくなる。◯◯一強。息苦しくて発展性のない体制。まさに今だ。
演劇教育(ロールプレイ)の重要性に、少し希望を見た。分断の時代こそ、エンパシーがマジ大事だと思う。即効薬はない。教育に踏ん張ってほしい。とにかく、旅をしよう、させよう。スマホを置いて、違う価値観と触れ合おう。世界は広い。
まとめれば「みんなで幸せになろう、という人の方が、自分の人生の幸福度も高くなる」ということ。そういうことだね。 -
Posted by ブクログ
あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント (講談社文庫)
の内容をより詳しくした内容になっています。
上記書籍の内容を具体的に知りたい人と初めて鴻上尚史さんの書籍に触れるという人にとってはおすすめの本になります。またWSを受けたという人にとってもこの書籍は復習になると思います。
声と身体に内容をフォーカスして日々習慣として行うメンテナンスから自分の身体感覚を向上させるために必要なワークとその効果が具体的に書かれています。
1人から複数人でできるものまでバリエーション多くかかれてあり、これに関しても魅力のヒントより多く書かれてありました。図解もわかりやすいので鴻上尚史さんの本を買う上で迷ったのであれば参考にしていただければと思います。