鴻上尚史のレビュー一覧
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本書は、工藤先生と演出家の鴻上さんの対談本です。
学校を「変えた」人として注目される工藤先生ですが、全編を通じて、工藤先生も鴻上さんも、何も難しいことはおっしゃっていません。
大事なのは自分で考えること。大事なものとどうでもいいものを間違えないこと。
それに、命より大事なものなんてないじゃないか。分かり合えなければ、分かり合えるまで対話したらいいじゃないか、と。
決して精神論や根性論ではない具体的な思考プロセスが示され、非常に納得感のある内容でした。誰かに責任を負わせるのではなく、何はなくとも現場でこれだけのことができるんだよ、と道筋を示しているところが良いです。
繰り返し読み、自分なりに理 -
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他の方の投稿で「質問が(益々)ほがらかじゃない。(笑)」に対して笑ってしまいましたが、鴻上さんはほがらかの姿勢を崩さないですね。
(全体的に)
★こういう相談の返しができると「理想の上司」になれるのかな…あくまで頑張るのは…もしくはその人の人生を生きるのはその人なんだもんね。
(参考になった、「そうだそうだ!」と思ったところ)
★リーダーは情報を流通させる人
自分だけで決めてゴリゴリ進めるのではない
★ブラック校則にしがみつく教員にしろ「手段」(を守り抜くこと)が「目的」になったまま思考停止している
大企業の崩壊と同じ。
★堂々巡りする「悩んでいる」という状態と「考える」は別物 -
Posted by ブクログ
様々な問題に悩んでおられる相談者さんのお悩みを読んでいると、そんなことが自分の身におこっていたら…と考えてしまい、相談者さんの悲しみや怒りが直接心に届きます。
鴻上さんは、そんな相談者さんからのお悩みの解決策を丁寧にお答えされています。鴻上さんからの「心より応援します。」という言葉は、本当に良い言葉だなと思いました。
私自身も、先日、ちょっとした誤解から意地悪なことを言われて嫌な気持ちでしたが、この本を読んだら、悩みが消えてしまいました。そして、もしも誰かにお悩みを相談されたら、鴻上さんのようには解決策は浮かばないかもしれないけど、真剣にお話を受け止めて、「心より応援」できたらと思いました。 -
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学校って団体の中で、これから世の中に出て普通に過ごせる様、基本的な事を学ぶ・教える所だと思っています。
生徒主体に学校を持って行くのは本当に大変だったと思います。
工藤さんすごい!
やはり先生作り?から始めないとダメですよね。
昔、中学校の用務員を3年間勤めていました。大学出てすぐの世間も知らない22歳の新人教員が、生徒、親、みんなに「先生!先生!」って毎日呼ばれていると普通の人でも調子に?のりますよね。そうゆう新人先生を沢山見てきました。
一般社会を何年か経験してから「学校の先生」になるのがいいのではないかなぁ。
教員になるための仕組みを変えないと、本当の「学ぶところ」、学校にはならないと思 -
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以前ここでも感想を書いた阿部謹也氏の『「世間」とは何か』をはじめとした、彼の「世間」にまつわる著作を非常に分かりやすく整理した一冊だ。
著者の鴻上氏は、自分に関係ある世界のことを「世間」、自分に関係のない世界のことを「社会」と位置付け、阿部氏の著作を引用しながら、「世間」の主なルールとして「贈与・互酬の関係」「長幼の序」「共通の時間意識」「差別的で排他的」「神秘性」があると述べ、これらのうちいくつかだけが機能している(鴻上氏は「流動化」と表現している)状態が「空気」だという。
さらに山本七平氏の『「空気」の研究』を引用する形で、「空気」の持つ絶対的な力のありようについて論じ、では我々はこの見え -
購入済み
悪名高い冨永少将
悪名高い冨永少将が登場し史実もそうであったであろう憎々しいふるまいをしている。今も昔も注意すべきはマスコミの役割である。この作品でも戦意高揚のためのみの役割をしているように思える。本来の役割は事実.真実の報道のはずなのだが。
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新しい気づきがある本だった!
自律・対話・創造
本当に守らないといけないことを考えると校則のバカバカしいところが見えてきたりとか、宿題はいらないとか(できる人にはムダ、できない人にはただの壁。机に向かわせるのが美徳という観念だけであり、時間マネジメントの概念も大切)、定期テストは一夜漬けを産む悪しき慣習で、単元テストで履修確認すれば良い(テスト失敗したらやり直しあり)とか、物の見方を覆されるような討論がされていて、面白く読んだ。
横浜創英、3年前に見学会行ったときは本当に普通のややかっちりした高校だと思ったけど、工藤校長になって変わったのかなぁ。秋に学校説明会行く予定なので、変化と校長の話がか -
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どの相談の答えも、想像力の深さや頭の良さからくる、説得力と温かさがある。
一番納得した考え方は、子どもの人と理解し合うことは難しいのは仕方がないという、以下の考えから。
大人になる
というのは
他者となんとかやっていける人になること
他者とは
受け入れたいけど、受け入れられない
同時に
受け入れなきゃいけないんだけど、受け入れたくない
という矛盾した相手のこと
理解したいのにできない相手と、なんとかやっていけるとしたら、それは、大人になったということ。
成熟した人間になるということは、理解しがたい相手と、とりあえず、なんとかやっていける能力を身につけた、ということ。
自分を殺して相手を丸 -
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ネタバレこれまで週刊誌で連載されてきた1,200本以上のエッセイから、人間とは、というテーマで30本までに絞り込み、厳選した、いわば「作品集」。
鴻上尚史さんの本は、コロナ前後からたくさん読むようになりました。
鴻上さんの文章のすごいところは、とっても「現実的」で、かつ「血が通っている」、でも「筋が通っている」ところです。
他人事のように、論文のように断定することがよしとされる風潮に疑問を持っている方には、すっと入ってくるんじゃないかなと思います。
個人的に印象的だったのは、
「色っぽくなるためにはどうすればいいのか」
と
「体と精神の不思議な結びつき」でした。
特に前者は、おおっぴらには言えないネタ -
Posted by ブクログ
予想外だったのは、「ブラック校則」の撤廃そのものは重要ではなかった、ということでした。ブラック校則自体は、生徒が自分の生きる社会を変えていく過程で削ぎ落とされた、硬直した不要なシステムの一つに過ぎなかったのです。
それは学校という社会の本質的問題ではありませんし、校則についての議論を深めると、子どもたちを大人が作った無意味な対立軸に閉じ込めてしまい、本質的問題の議論から遠ざけることになってしまいます。
作られた対立軸のトラップは、学校に限らず、政治や統治の思惑が働く場面ではよく見られるものです。大人の社会でも瑣末な対立軸を与えていないか、手近な対立軸に乗っかっていないか注意する必要がありそうで