鴻上尚史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本社会には「社会」というものはなく、過剰に忖度し自主規制するシステムである「世間」しか存在しない。キリスト教という一神教(→イスラム教も一神教である)が社会の下地にあり、「個人」というものが確立している欧米社会では「社会」が存在するが、「個人」というものを認めず「世間」というものが同調圧力によって人々を支配する日本社会には欧米社会でいうところの「社会」が存在しない。
本書は日本社会(←世の中という意味での社会)において新型コロナ下でさらなる息苦しさを感じている全ての人々に知見を与える内容の一冊です。
本書の記載内容にも関連しますが、先日一年間延期された東京五輪が何とか開催され、日本人選手から -
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Posted by ブクログ
<感想>
疲れた時は人生相談を読む。辛いのは自分だけじゃないと思えると、いくぶん気持ちも軽くなるからだ。よこしまな動機だが、わざわざ本を開いて他人の悩みを知ろうというのだから、多かれ少なかれ野次馬根性とカウンセリングのよこしまハイブリッドなんじゃないだろうか。
本書はそういった他人の悩みだけではなく、著者のコメントのリフレーミング効果も秀逸で、これまでの自分の視点がいかに固定されていたものか自覚できるのである。
読めばいくぶん気が楽になる。しかも品質が安定している。
<アンダーライン>
★★★年に一回しかバッター・ボックスに立たない人は、ただバッター・ボックスに立つだけでドキドキします。でも -
詩が好きなら!
谷川俊太郎さんの詩の中に、
「詩は誰のものでもありうる
世界が誰の所有でもないのに
すべての人のものでもあるのと同じように
詩は微風となって人々の間をめぐる」
とあるように、
詩は誰のものでもなければ、誰のものでもあって、私たちの「想い」に、「悩み」に、「迷い」に、「戸惑い」に、「日常」に、「生活」に、「人生」に、いつでも寄り添ってくれて、時にヒントを与えてくれて、励ましてくれて、感動を与えてくれて、力を与えてくれる。
詩の力って本当にすごいのです。
谷川さんの詩の中には、心の琴線に触れて、涙がぶわ〜って溢れてくる詩があります。
言葉がリズムにのって次々と頭の中に入り込ん -
Posted by ブクログ
第一弾に続き購入。
帯にブレイディみかこさんの【人はわかり合えない。その認識に立った回答がどうしてこんなにもポジティブなのか】とのコメントがあるが、本当にそうだな、と思う。
鴻上さんの回答がストンと落ちるのは、こうあるべきだ、とか、人と人は、特に親と子・兄弟・友達は話し合えばわかり合えるものだ、とか、そんな綺麗ごとや理想論に基づいた、どこを向いて発しているのか分からない回答、ではないからだと感じる。
親子だろうと夫婦だろうと、努力をしようとわかり合えないものはわかり合えないのだ、と言う前提の上で、それでも回答者の苦しみを和らげるために、具体的にできそうなことを提案してくれる。
わかり合えない= -
購入済み
数合わせの特攻
特別攻撃が大本営に承認されたから各軍は特攻可能な飛行機とパイロットの数で取り合えず特別攻撃をやることにしたわけだ。それが死に損なって帰ってきたら攻撃をプラン下参謀は死人が生きていては大本営に報告した数が合わなくなるのでどうしてもそういうパイロットには死んでもらおうとしたわけだ。それで米軍に勝てると誰が思ったんだろう。
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購入済み
読みやすいです
無料分の3巻まで読んで続きが気になって購入してしまいました。
知らなかった真実が漫画で読みやすく知れるのは良いことだと思います。 -
Posted by ブクログ
鴻上尚史さんの本はこれが初めてです。
読後、思わずありがとうを言いたくなるような、目を開かされる思いでした。
主題は「世間」と「空気」なのですが、読み進めていくと「世間」と「社会」を対比して述べる内容に展開していきます。
「世間」と「空気」はその場の人間を「長幼の序(=年功序列)」や「共通の時間意識」で縛り上げる「排他的で差別的」な集団のことを指します。平たく言うと、「自分の今と未来に関係してくるであろう人たち」で、会社や学校、近隣住民などの集団を指します。
対して「社会」は「世間」より外側にある集団で、「自分には直接関係がない(と今は思われる)人たち」のことを言います。
日本人は「世間」の