鴻上尚史のレビュー一覧
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戦争があったということはもちろん知っている。ただ、そこでなにがあったかまでは知らない。40代の私がこの状態なら、さらに若い人たちはもっと知らない。知ろうとしなければ得られない。「死ぬことが使命」だなんて世の中、絶対に嫌だ。今は戦争は日本では起こっていないけど、周りの雰囲気に対する違和感に声をあげられない、そのことが凶器を孕んでどうなっていくのか、ある意味今も戦時中なのではないか、なんてことも考えた。
生きる、生き残ると決めきった佐々木さんの想い。こんな想いを自分のこどもたちにはさせたくない、もらった命をどう使うか、死ぬことが使命だなんて、絶対にさせない。 -
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久しぶりに鴻上さんの本を読んだが、おもしろかった!
この本のテーマ「日本をこんなにも息苦しくしているものっていったい何なんだ!?」ということについて、私自身も最近頻繁に考えていることだったので、すごく興味深かった。鴻上さんの意見には大きくうなずくことばかりで、読んでいてとても気持ち良かった。
なぜ最近そんなことを考えるようになったかというと、最近仕事が変わって、やたらお堅い日本企業で働くようになって、その息苦しさに驚愕しているから。
だから、鴻上さんが紹介していた第二次世界大戦中のCIAの「妨害工作ガイド」には超笑った。(鴻上さんはsabotageをカタカナ語的に「サボり方」と訳していたけ -
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ネタバレ衝撃だった。
まさかただでさえ致死率が高い特攻で、9回出撃し、生きて帰ってこられた方がいらしたとは!
まず「「特攻」が全くの犬死であることは、当事者は全員わかっていた。
1)日本の戦闘機がまったくアメリカの操縦機に叶わなくなっていた。最高速度が違う。
2)第一目的目標である空母にたどり着く前に、アメリカのレーダー網により察知され、VT信管により撃墜される。(アメリカ軍はすぐに対策をとった。)
3)日本の飛行機、特に零戦は、安全性能を犠牲にして性能を上げたので、特攻するにしても、護衛機の援助なしにたどり着くことはまず不可能。すぐに引火する。
4)動く船に、重い爆弾で当てるのは、機銃照射がある中 -
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あらすじを見てみると、あの狂信的だったであろう太平洋戦争の戦時下、上司の命令や周囲の圧力に屈さず特攻を9回も生き延びた方のお話らしい。
ざっくりと3部構成で、
・9回の特攻について
・ご本人へのインタビュー内容
・特攻の始まりと描かれ方の批判と考察
となっていた。
(読んだ本人が勝手に分けてるので違う読み取り方の方もいらっしゃるかも)
読んでみると、9回のうち実際に飛び立たれたのは2,3回のようだった。とはいえ、特攻という死ありきの出陣を前にしても冷静でいらっしゃったようで、敬服した。そしてやはり、ちょっとやそっとでは揺るがない信念をお持ちのようだった。悪く言うと、頑固。当時はさんざん虐め -
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メインターゲットは10代のようだが、大人にもお勧めしたい。平易な文章なのでサラッと読めるし、悩んでいた子供のころの自分にタイムマシンに載せて愛情と助言を届けることができたような気持ちになり、癒される。それに、大人になるにつれ、悩みの表面的な形こそ変わるが、根本的な部分は10代のころにはもう形成されていることが多いのではないか。
さて、親子とは、「他者度」が0から100を目指して成長するものである。それを前提に、本書は、そもそも「他者」どうしのコミュニケーションとはどういうものか、という一般論から説き起こす。
コミュニケーションとは、お互いの意見がぶつかったときに、ワーストを避けながら -
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ネタバレブレイディみかこさんと鴻上尚史さんの対談ふたつ。
「世間と社会」「エンパシーとシンパシー」など、学びがありました。面白い対談だった…もっとお話聞いていたい。。
日本人は、自分の周りの「世間」は関わりがあるとして考えられるけど、それより外の「社会」はそうではないから自分に関係ないものとして捉えてしまう、みたいな説はすごく腑に落ちました。政治の話が出来ないのもこれなんだな。
政治の話してると「意識高い系」と揶揄されるのほんと意味分からないけど、うちらにはどうも出来ないこと言ってるwwwみたいなのもあるかも。歴史的に、民主主義を自力で勝ち取ってないというのもこの傾向を大きくしてると思います。大正デモ -
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ほのぼの人生相談シリーズを読んで、鴻上さんのものの考え方に感銘を受けていたところこの本を発見して読んでみた。
孤独と不安というものに向き合うことが人生にとっていかに大切か、考えさせられる本だった。
特に響いたのが他人と他者の話。
深く関わり合わない人は「他人」、深い喜びや愛情をくれるが同時に悲しみや苦しみもくれる人が「他者」。この「他者」と上手に付き合えるかが、孤独や不安とも付き合えることというのは深い学びとなった。
最後に鴻上さんが生きる力をもらっているという詩がいくつか紹介されているのも良かった。あとがきにも沢山書いてあったが、一番大切なこと、
「なにがあっても死なないように」。
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鴻上尚史氏の執念で奇跡的に実現できたインタビューが貴重。劇団や人気番組クールジャパンのホストを経験した視点か、特攻兵ということの成り立ちや本質をわかりやすく説明した内容。
指示する立場とされる立場の責任分担が曖昧な対応は日本だけで考えると、日本人にはなんとなく受け入れられている面もあるのかもしれないが、ノットクールジャパンな部分かもしれない。
書籍の最後を締めくくる、報道ステーションにある内容(ネタバレになるので詳細は伏せます)には、はっとさせられた。
私達は何か戦前に起きたことに対して学べているのだろうか?佐々木氏の行動が広く知られ希望となりますように。