鴻上尚史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
書店の平積みから手に取り、ぱらぱらめくってドキッとした文章。
コミュニケイションが下手なことは、自分の人格が劣っているかのような錯覚を持ってしまいがちです。とある。
以下引用
コミュニケイションが下手なのは、野球が下手なことと同じです。野球が下手な人は、そもそも、野球を(まったくか少ししか)やったことがありません。野球をやったことがないのに、野球が下手だと悩むのはバカバカしいことです。
野球やサッカーが下手なことは、それだけのことです。そのことはあなたの人格とは何の関係もありません。野球やサッカーが下手だから、人格的に問題があるなんてことはありません。コミュニケイションもまた同じです。コミュニケイションが下手なことは、それだけのことです。あなたの人格とは何の関係もありません。
この言葉に励まされる。
著者が30年間、演出家をやりながら、ずっとコミュニケイションに関して考え、実践してきたことを書いたというこの本。
コミュニケイションは純粋に技術の問題であり、大切なことは「コミュニケイションが下手なこと」と、「コミュニケイションに怯え、コミュニケイションを避けること」を区別することだという。
レッスンという形式でわかりやすく書かれていて面白く、感心しきりでありました。
五十路の坂に差し掛かり、こんなふうに教えてもらえるということが有り難いです。
そして「技術」のアドバイスばかりだけでなく、日本人独特の「世間」の歴史から現代の「中途半端に壊れてる世間」と「社会」の違いなど、なるほど〜と思うことばかりでおもしろい。世間と社会を見分けたら、人との関わりの交通整理が出来たようで気が楽になります。
「聞く」「話す」「交渉する」の技術、わかりやすい例が用いられ、大変に役に立つ一冊だと思いました。
実践については、さぁどうだろう?(^ ^;)
少しでも向上することを目指そうと思う。
『おわりに』では著者のあたたかい言葉が…。
人間はゆっくりとしか変われないのです。
けれど、ゆっくりでも確実に変わります。
何度も何度も実生活で使っていくうちに、ゆっくりとあなたは変わるのです。
何度も何度も「伝える技術」を探っていくことで、あなたはゆっくりと確実に変わるのです。…と。
あー読んでよかった! -
Posted by ブクログ
正直、職業的な興味でふっと衝動買いした本です。
割と面白かったです。
内容は所謂ワークショップ本とでも言いますか、鴻上尚史さんが、あちこちで若い人向けにワークショップをやるときに、やることや言うこと、を効果的にまとめました、みたいな感じです。
面白かったのは、何が良い演技・良い俳優なのか、という定義不可能な問題について、鴻上さんは、
「それはまあ分かんないし、天才とかいるし、才能とかあるし。でもとりあえず、あなたが職業俳優になった場合に、"なるたけ失業期間の短い職業俳優"、になるには、どうしたら良いか?」
という、もうちょっとブレイクダウンした具体的な次元で、まず課題を設定していることですね。
その上で、スタニスラフスキーシステム。昔、スタニスラフスキーの本はちょっと読んだんですが、正直まったくピンときませんでした。訳が悪いのか・・・。スタニスラフスキーって、名前からして早口言葉ですよね。
で、鴻上さんは、スタニスラフスキーシステムは、テレビドラマ的大量生産の現場での演技術の中で崩壊した、と考察していて、まずそれが、うんうん的確だなあ、と思うんですね。それだけでも興味深いんですが、鴻上さんは、
「記憶と感覚、みたいなスタニスラフスキーシステムは、スタニスラフスキーの前期の考え方です。
それはそれで無論価値はあるんですが、僕はそれよりもスタニスラフスキーが晩年に至った考え方、内面よりもまず外面、体の動きを重視する考え方が好きです」
と、立場表明する訳ですね。
面白いですねー。ちょっとドキドキしますねえ。・・・普通、何が何だかワカラナイですよね。
ものすごーく大雑把に言うと、役柄とか芝居を考えるときに、
「自分がいちばん傷ついた記憶をさぐる」 とか
「内面を深く掘り下げて感情の源からどうのこうの」 とか
そういう、そりゃーほとんど新興宗教じゃねーか?
と聞こえかねない言葉があって、
それはそれで言葉がいい加減に使われているだけで考え方は悪くなかったり、方法の一つとしてはアリだったりするんですね。
ただ、そういうことよりも、
「悲しい」 という状態は、表現はできない。無理にしても紋切りになるだけ。
悲しいなら、何をする?
どういう状況にいるのか、自分で細部まで妄想する。
例えば、17歳で川沿いで失恋して誰も見てなくて夕焼けがあるならば、「叫んでみる」とか「川に飛び込んでみる」とか「しゃがみこんで空を見つめる」とか。
とにかく、「悲しい」ということを自分の中で具体にブレイクダウンして、外面化する、みたいなこと。
その辺を妄想する思考力?想像力?それを表現できる身体性。
例えば声の出し方のバリエーションを持っているか。
しゃべりかたのテンポのバリエーションを持っているか。
自分で集中するときに、集中の段階を使い分けられるのか
(独りの内面に入る。相手とふたりの関係に没頭する。周辺の社会まで意識する。みたいなパターン分けができるか)。
みたいに、とにかく切れば血が出るような具体性を意識して書かれている。結構面白かったです。
というワケで、ヘンに過剰に超人的内面性に依拠した演技論とか、スタニスラフスキーの前期の思想をなんだかヘンテコに衒学的に訳した本に依拠した、一見カッコイイけど具体的には 「結局そりゃアンタの主観次第じゃん」、 となってしまうような演技論とか、そういうものを読むよりは、俳優志望の人や、実際俳優の入口に立っている人、入っちゃった人とかには、お薦めですね。
なーんて言いつつ。
僕は実は、かつて鴻上さんの監督映画「ジュリエット・ゲーム」を封切りロードショーで観たんですね。誰も知らないだろうなあ・・・。
村上弘明さんと国生さゆりさん主演で、一目惚れ映画で、とにかく劇中でRCサクセションがバンバン流れて、それが好きだったんです。
それから、ずーっと後年ですが、鴻上さん作・演出の演劇「リンダリンダ」を観た事があります。山本耕史さん主演で、ブルーハーツが流れまくるんですが、僕はコレも感動しちゃいました。
不勉強なことにそれだけで、第三舞台とか観たことないんですけど、その二つの体験は割と覚えてるんですね。
そんな体験があるから、何となく説得力があるように読めちゃうだけかも知れませんけどね。
ま、でもコレ、シリーズなんで、いつか別のモノも読むかもです。 -
Posted by ブクログ
本のタイトルとおり、表現力をアップするための本。
著者が演出家ということもあって、かなり実践的だ。
体を動かす、その一言に尽きる。
その体の動かし方も面白い。自分自身を表現するために色々な手法をとる。
早稲田大学の授業でやっていたことをテキストにしたものだと思われるので、複数人でやることを前提にしている。ただ、読むだけでも面白い。
あぁ、こういうことやって、表現を活かすんだと。
日常的というよりは舞台などの特訓に近いのかも。
「声」、「感覚」、「歩き方」と様々な角度から表現力の特訓に活かす本。
前作である「あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント」という著書を読んでみたいと思った。 -
Posted by ブクログ
「感情」「声」「体」「言葉」まず、意識すること 自分の魅力を演出するものとして、一般的に人が意識するのは「顔を含めた外見」という外側、そして「人生経験」などの内側、もう一つあるとすれば、「対人関係のうまさ」などの対人間的魅力だろう。これは、僕がこの本を読む前に持っていた人の魅力の考え方でもあった。
1.外見 2.内面 3.対人間的なもの
しかし、本書を読むと、この考えかたがいかに大雑把な捉え方であり、表面上の問題に過ぎないかに気づかされる。著者はこれらの三つの観点を、少し違った角度からみるという見方を気づかせてくれる。つまり、それらを「どう表現するか」という部分を意識すると言うことが大事だということを教えてくれる。わかり易い例でいうと、声がある。単純に声と言うが、これにはさまざまな使い方がある。早さ、間、音色、高さ、大きさ。高さで言うと心から一番遠いところのことを話すとき声は高くなるらしい。そういう種類の事を意識的に行うことにより、声に表情がうまれ、人を引き付ける話し方にもなるのだ。
また、非常に面白い発見として、「第一の輪」「第二の輪」「第三の輪」という考え方がよかった。第一は一ごとの世界、第二は二人の世界、第三はみんなのせかい、それぞれに話し方がかわると言う。それを意識することによって、伝えるべき内容も変わってくるし、受けての印象も断然変わってくる。
このように、目に見えない部分を技術的に学ぶことにより、魅力を増すということは言われてみれば確かに納得できることなのだが、それに普通の人は気づかないと思う。やはり、演出家の目の付け所は違うと思い、感動した。
読み物としては一般的だし、非常に読みやすい。
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Posted by ブクログ
とても読みやすく、中学生の時に出会っていたらもう少し楽に学校で過ごすことができたのかもしれないと思った本。本書では空気をつい読んでしまうのは、日本には「世間」を気にして生きてきた歴史が長いからであり、海外では「社会」を意識して生きるため文化の違いがあると指摘。この「世間」を形作るには
①年上が偉い
②「同じ時間を生きる」ことか大切
③贈り物が大切
④仲間外れを作る
⑤ミステリアス
の5つの要素があると書かれている。
また、本書は海外と日本の比較をベースに書かれていて、海外の世間を気にしない文化についても言及していた。
読んでいて確かに海外の文化で見習うべきところもたくさんあると感じたが、テレビで海外では1人で外食ができない、男同士で出かけると変な目で見られるなどの事例も聞いたことがあるので海外にも世間の目という意識はあるのでは?とも読んでいて感じた。
学校などの狭い環境の中で息苦しさを感じる人には突破口となるかもしれないアドバイスも書かれていたのでお勧めしたい1冊である。