鴻上尚史のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
鴻上さんの人生相談二冊目です。
一冊目と変わるところはなく、違う種類・内容の相談に鴻上さんが答える形式です。
前回のものと基本的に同じ感想で、様々な相談に対して親身にアドバイスしていて、しかも応用できるようなところが少しずつあり、読んでいても楽しい(というと語弊がありますが)ところも良い感じです。
が。
一問だけ、少し気になってしまった部分があったので、それについて書こうと思います。
【相談5】
「これまで容姿に対する男性の態度・言動に、ひどく傷つけられてきました」というもの
回答の内容をざっくりまとめると:
・ネガティブな人には誰も近づいてこないから、無理せず頑張って笑うこと。無理をしているのは辛いけれど、頑張って微笑むのには前向きな気持ちがある
・谷川俊太郎の詩を引用:『無表情に梅割りをすすっている彼女の Tシャツの下の二つのふくらみは コトバをもっていないからココロを裏切って 堂々といのちを主張している』という結び
それに対して、私が思ったこと:
まだ若いのだから、と言っているけれど、相談内容全文を見ても、少し疲れすぎて精神的に参っている感じの女性の悩みに対して「頑張って笑え」はちょっと違うかなと感じました。笑うのをやめてしまうのはもったいない、という風に言いたかったのかなと想像しますが、恐らく頑張って微笑んできたであろう彼女に掛ける言葉としてどうなのかな、というのが一点。
そして谷川俊太郎の詩について、詩歌とは言え、表現としては複雑な想いがしました。
女性として見られる性であることを自覚し、そこに傷ついている相談者に対して、彼女を傷つけてきた男性からの視点の代表のような内容ではありませんか?
そう思うのは私だけでしょうか。
前半、「世の中にはそういう男性もいて、その場合は小学生から精神面で成長していないのと同じ。そうやって自分は女性をジャッジ”する”側で、ジャッジ”される”側ではないと思っている人は、いずれ容姿の若々しさがなくなったころに他人にジャッジされて同じ苦しみを味わう」という主旨のことを言っていてなるほど、と思ったのに、後半でガッカリしました。
やはり男性と女性の壁は厚いのかなと感じてしまいました。
詩歌なんだから『二つのふくらみ』くらいいいじゃないか、と思う人もいるかもしれません。
(私は、そう思ったというだけですので……念のため) -
Posted by ブクログ
28の悩みについて著者が回答する。
以下は、その一例。
・夫とは価値観が合わず、毎日一緒にいたいと思いません。結婚の意味ってなんですか?
・個性的な服を着た帰国子女の娘がいじめられそうです。普通の洋服を買うべきですか?
・小3から好きだったKちゃんと同窓会で再会。火鉢の底で赤く燃える炭のような私の思いは続いています
・鬱になった妹が田舎に帰ってきましたが、世間体を気にする家族が、病院に通わせようとしません
・友達と元カレが付き合いだしました。友達が許せないし、彼のことも忘れられません
・兄が継いだ実家の酒蔵がうまくいかず、田舎に帰って手伝うよう迫られ、断る決断ができません
・専業主婦の妻が、突然働きたいと言いだしました。突然の方向転換はルール違反じゃないでしょうか?
・そこそこのスペックだと思うのに、恋は連敗。モテるにはどうしたらいいですか?
・10キロ太ったら周囲の男性の態度が変わりました。結局女は容姿が10割でしょうか?
・学校のグループ内で私は最下層扱い。本当の友達がほしいです
・4歳の娘が可愛くありません
・就職活動がうまくいかず絶望的な気持ちです
世の中の理不尽に泣くもの、自分のふがいなさに歯噛みするもの、親兄弟との軋轢に消耗するもの、
様々な悩みが提示されている。
この目次だけ眺めていても、人生を生きるというのは大変な事だなあ、と思ってしまう。
内容を読むと、それぞれに真剣に懊悩する想いが相談の文章からうかがえてしまう。
数年前まで読売新聞を購読していて、その人生相談の欄を愛読していた。
人生の悩みは、健康、家族、金、職業、人間関係の5つに集約される(そりゃそうだ)
過去の悔悟、将来への不安、現在の窮地など様々ななかで、一番心に響いたのは
「やらなかった後悔より、やった後悔」アクションこそが人生を拓くきっかけになる。
仮に失敗したり恥をかいたとしても人生は0or100ではない。
58点や36点の時もあれば95点の時もある。
晴れた日も雨の日も生きて行く。雨の日は傘を差せばいいし、何だったら出かけなければいい。
まあ、そんな風に思えれば悩む事も無いんだけどね。
自分なりに悩みを解決するとしたら:
・アクション
・寛容と諦念
・違う視点の探求
・仮説と検証
・自省、自律、自尊
といったところか。 -
Posted by ブクログ
世間と社会の違いを論じる。
世間は、多分に情緒的で、排他的で、共有する時間があり、神秘的。
この辺、甘えの構造とか、タテ社会の人間関係などと通じる。
宗教に背中を守られる個人からなる西洋社会と異なり、日本人はそも、世間との関わりでしか自分がないのだが、この世間が失われていく中で、空気、というものが捉えられる。
そもそも、日本語が、極めて世間に立脚した言語であるし。
まあ、なるほどと思わせる内容だが、保守、ネトウヨを、世間原理主義とぶった切るのは辟易。
リベラルが別段、理知的というわけではないし。
ま、10年以上前の本出し、その頃はそうだったのかな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『不死身の特攻兵』のほうがわかりやすかった??
主人公の現在と 本を読んでの歴史が交互に繰り返されるのだが
中学生にも読みやすいよう、主人公がかみ砕いたような特攻の歴史だと もっととっつきやすいだろうか
(イジメものなので とっつきやすくはないのだが)
奇跡なんて起こらなくて
でもラストの 島への転校の選択は こういう方法もあるのか、と。
確かになぜいじめられた方が転校したり、引っ越したり負担が大きいのだろう。。。という問題はあるけれど
また大人数の慣れない環境に 疲弊しきった状況で飛び込むよりは
こういったせめて 負担の少ないであろう新境地への方が
いいのかと。
3月のライオンで まず動物の友達をつくって
大人の友達をつくって。。。 という方法も目からうろこでした。
同世代がきついのならば、周囲が大人な対応をしてくれる大人のいる環境に行ったって、別にいいのか。と。 -
Posted by ブクログ
表紙の爽やかさとは裏腹に、読むのが非常にきつかった一冊。
親の仕事の都合でアメリカの学校へと通っていた主人公。
帰国し日本の中学校へ通い些細なことからクラス中でイジメを受ける事になる。
とにかくイジメの描写が生々しくて、読み進めるのが辛くなる。
アメリカの学校では幼い頃から「報告」と「チクリ」の違いを学ぶのだとか。
イジメを見かけたら大人の助けを求めなさいと。
それは決してチクリとは違うと。
主人公がイジメをきっかけに、戦時中9回も出撃し生きて帰ってきた元特攻隊の佐々木友次さんの存在を知る。
私も本書で実在していた方だと言うことを初めて知った。
戦時中の報道は本当に嘘だらけで、
「特攻で戦果をあげて死んだと世間に言ってしまったから、今から特攻して死んでくれ」
なんて丸で小さい子が嘘をついているみたいな幼稚さなのに、大の大人がこんなことを言ってまかり通るだなんて。
戦争とは本当に一体何なのか。
主人公は佐々木さんの「寿命は自分では決められない」
の一言に励まされるのだが、
傷ついた心が回復するには長い時間が必要だろうな。
私は子供に逃げ道を作ってあげられる、そんな大人になりたい。 -
Posted by ブクログ
舞台の演出家が主人公の中編2編を収録。
いずれも『ロミオとジュリエット』がらみの芝居を通して繰り広げられる、恋愛物。
最近は舞台から遠ざかっている作者だが、本業の脚本、演出家の経験を生かした、リアルな舞台づくりの事情がうかがえる。
中味はタイトルのとおりジュリエット喪失の話で、2編とも主人公の身勝手な嫉妬と苦悩には共感できなかった。
かつて、作者が早稲田で旗揚げした劇団「第三舞台」の芝居をいくつか観たことがある。
東大の野田秀樹率いる「夢の遊眠社」ほど難解ではなく、渡辺えり子の「劇団3〇〇」ほどロマンティックでもない。「第三舞台」の芝居はわかりやすく万人受けするため、チケットの入手が困難だった(ちなみに三谷幸喜の「東京サンシャインボーイズ」は後発で、まだ小さな小屋で必死に上演していたっけ)。
そう言えば、このあたりの劇団はみんな解散しちゃったんだ…。
と、そんなこんなで当時の記憶がよみがえり、小劇場ブームの裏側を垣間見ることができたという点では、なかなか興味深かった。