鴻上尚史のレビュー一覧
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鴻上尚史という人の名前は見たことがあってもよく知らないまま、タイトルにひかれて手に取った。
劇作家としてショーを続けなければならないので現実的な悩み解決をしてきたというところなどが面白かった。
悩まずに考えろ、なりたい自分とありたい自分のギャップの解像度を上げろ、というところは実践していきたい。
印象に残ったこと
・演劇は続けなければならないので具体的で実現可能な解決法を見つけてきた
・悩むことと考えることは違う
・何者かになりたい欲が現代は刺激され過ぎる
・ありたい自分といまの自分との差を埋めるためには、ありたい自分の解像度を上げること
・ありたい自分になれない自分をどう受け入れるか -
Posted by ブクログ
日本の国の本質は、「『世間』と『社会』そして、『空気』に現れて」(p.188)おり、いかに同調圧力が強い国であるのか、ということを解説し、さらに同調圧力に負けないで生きていくための知恵を伝授するという本。
著者はイギリス留学の経験がある劇作家、演出家で、前に読んだ『演技と演出のレッスン』という本がとても面白く、この人の本なら人間や社会を分析した面白い話が読めるかなと思って、読んでみた。
結論から言うと、本自体が小学生向けの感じで、とても明確で分かりやすすぎるのだけど、ちょっと物足りない感じだった。巻末に『「空気」と「世間」』という講談社現代新書が紹介されて、もっと学問的に知りたい人はこっち、と書いてあるので、そっちならもっと面白く読めたかなあ。
以下、印象に残ったところのメモ。まず内容とは全く関係ないメタ的なことだけど、著者は一生懸命まず世間と社会を説明する意義について説いているが、それは「なぜ説明しているのかが分からないことが、一番、残念なことですから。」(p.67)とあって、よく分かる。最悪の場合、なんでその話をしているのか話している自分自身が分からなくなることってないことないよな、と思った。日本語では世間を受け入れているし、天災も多いので、「しょうがない」という言葉を連発する、みたいな話のところで、「実際、英語でも、『しょうがない』という言葉はあまり使われません。一番、ニュアンスが近いのは、『It cannot be helped.』ですが、僕はアメリカ人やイギリス人がこう言っているのを聞いたことがありません。」(p.112)という話で、アメリカやイギリスではないのだけど、フランスに海外旅行したときに、それなりに英語が通じていたはずなのに、最後おれがIt cannot be helped.って言ったら、その言葉だけ通じず、Sorry, I don't understand.みたいなこと言われたのを思い出した。「ぎりぎり、『We have no choice.』です。これは彼らも口にしますが、『私たちはやれることはぎりぎりやった。でも他に方法がない』というかなりポジティブな意味で、『しょうがない』のあきらめとは違います。」(同)だって。というのは勉強になった。あとは後半で「世間と戦う方法」が具体的に紹介されるが、「贈り物が大切」というルールは面白かった。やっぱり日本では物をあげるって大事なことなんだな、とか。あとおれも中高の教員で挨拶と時間と掃除は指導するのだけど、「学校でもクラブ活動でも、『あいさつ』をしようと盛んに言うのは、同じ『世間』のメンバーだという確認をしたいから」(p.167)という、まあ、そういうことかな。修学旅行とかでバス乗ったら降りる時に運転手さんに一言挨拶しろ、とかも指導するけど、この挨拶は「社会」の人への挨拶だから、そういう「社会の人にも挨拶をする世間」を演出したい、ということなんだろうなあ、とか思った。その後に書いてある「『弱い』世間を強くしたい」(p.175)という欲求の現れかな、と思った。最後に話はずれるが、ネットで誰かの悪行を告発したがる心理について、人のルール違反を非難するような文章を「SNSに書いても、否定されません。ネットで見つけて、堂々と告発すると、まるで自分が『何者かになった』ような気分になれます。だから、最近、『正義の言葉』を発信する人が増えてきました。」(p.183)という、確かにそういう心理はあるのかなと思う。誰か敵を作って、みんなで連帯したいとか?そういうのもあるのかな。「ずっとインターネットをさまよい、観察し、告発し続けないといけないのです。とても疲れる人生だろうと思うのです。誰かを憎み、告発することを基本にするのではなく、自分を認めること、つまり『自尊意識』を高めることを目標にした方がいいと思っています。」(同)なんて、まったくその通りだと思った。学校に生徒の言動でクレームをつけてくる人っているけど、もちろん丁寧に指摘してくれる人はいいのだけど、時々怒りに任せて、すごい辛辣なクレームをつける人がいる。学校はとにかく謝るしかないわけで、なんか安全な相手にしつこく激しくやる人ってほんと自分の生活がうまくいってない腹いせなんじゃないか、とか思いたくもなる。
ということで、もっと生きやすい国にするために「世間」の力を弱めよう、というのが著者の主旨なのだけど、学校の教員をやっているおれとしては複雑。著者の話もわかるけど、でも世間でまとまっているからこそ、まとまろうとするからこそ身に付けられる力ってあると思うんだけどなあ。そしてこの日本でそういう力は割と大事だと思うのだけど。と思ってしまうおれは、もう完全な日本人なので。別に極端な昭和の非効率な考えや行動とか、SNS上の「世間」の強化は違うと思うけど。でもこれだけおれ海外行って英語教えて本読んで色々な価値観は分かってるつもりだけど、それでも、この著者のように世間というものを弱くしよう、という価値観にはそんなに賛成できないかな。学校とかクラス運営成り立たなくなっちゃう。教員困る。むしろ同調圧力の文化にある程度耐えられる人間を作りつつ、その価値観だけが全てでも絶対でもないし、大人になったら自己責任で好きに生きればいいけど、いざ必要な時には世間に従える力も発揮できるように備えておこう、と教えることの方が大事だと、現場の一教員として思った。そういう意味で、「複数の世間を持つ」という話には賛成できる。別に一つの価値観が絶対ではない、ということだから。
最後に全く関係ないけど、とても文が分かりやすいので、どっかの大学で和文英訳の素材として使われないかな、とか思った。(25/06/01) -
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Audibleで就寝時に小学生の子どもたちに少しずつ聴かせていました。
前半は、コミュニケーションやスマホの話、自分の頭で考えることなど子どものうちに知っておいてほしい納得のいく内容で好印象でした。
後半は、若干筆者の主観的な意見が多く感じて、100%は首肯しかねると思いました。
対象年齢は、中学生以降がお勧めです。
なぜなら、合理的に考えることの例えで、サンタクロースの存在を挙げているからです。
まだ小学生の子どもたちに、突然正体をばらされてしまい、合理的に考えればおかしな点をズバズバと指摘されてAudibleを聴きながら全員絶句でした。
何もそんな例えを挙げなくてもいいのに、、、。
翌朝、子どもに「サンタクロースってお母さんなの?」とやはり気になったようで聞かれました。
「合理的に考えた場合はね」とだけ答えました。 -
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「他人に迷惑をかけてはいけない」という呪いを親や教師からかけられている。
世間体という技術的な根拠のない恐怖に支配されている。
そして、そんな状況の中でお互いの首を絞め合っているドM集団が「古き良き」日本人だ。
世間という狭い共同体の中では距離感がバグったのかと思うほどベッタリとまとわりつくくせに、社会においては互いを信用しないし理解するつもりもない。
だから過剰に防御的な姿勢になって「させていただく」を連呼するようになる。
高度にマニュアル化されたロボットのような店員を見ると、なんだか寂しくなる。
彼ら彼女らは頑張っているつもりだろうから、なおさらである。
過剰な礼儀正しさは、寂しい。
また本書の中で、「大学は子供が大人になる場所」といった言及があったが、今や大学だけでなく入社式にまで親が来るようになったらしい。
ひどい例になると、面接に親が付き添うケースもあるようだ。
(会社側も会社側で、わざわざ保護者の控え室を用意しているらしい)
個人的には、保護者同伴で面接を受けに来た時点でお引き取り願いたい。
一体いつまで「保護」されるつもりなのだろうか。
気持ちが悪い。
ちなみにアメリカではいわゆる「子供部屋おじさん、子供部屋おばさん」は「Loser」らしい。
日本人よ、頼むからどうか「自分の人生」を生きてくれ。
それが無理なら、せめて干渉してくれるな。
地獄に落ちたいなら、誰も巻き添えにせず自分だけで落ちてくれ。頼む。 -
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人生には悩みは付き物、特に10代から20代は学友との共同生活から始まり、社会人の仲間入りと全く違った世界へ踏み出す時など必ずや出てくる。その悩みは人それぞれだが、決して一人で悩まず、友人、家族、同僚、先輩、それに上司と相談する事だ。素直に率直に申し出る(質問)事から自分の悩み、思い、対処方法など「自分で考えた事」を思い切って行ってみる事で、思わぬ「解答、少なくとも助言」が貰え、気持ちも楽になる。ここにあるように「無口で籠ってしまう」と誤解が生じたり、思った方向へ進まない事にもなりかねない。悔やむとしたら「あの時話ししなかった」とか「あの時自分が何もしなかった」ことを後から悔やむのだ。現代は自分の「好き」なことを追求していく事が「なんのために生きているのか」を発見でき、過去の「皆んなと一緒」(協調性社会)から自分はこう生きたいという独自行動(多様性)があることを知っておくべきだ。
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人生相談を読んでいてマトモな人だなという印象を持ってるので、若者向けのこの本も読んでみた。
世間体なんて大人こそ耳が痛い内容だし、スマホとの付き合い方、悩むと考えるの違い、自信を持つこと(これは心がけてるけどすぐ忘れる)はためになった。
自分が40数年でわかったこともアッサリ書いてあった笑
・たった一つの正解があるものはラク。(なので私は幼児に勉強させないようにしている)
・絶対はない
・人の考えてることはわからない(こう思われてるんだろうなと思ったり、勝手に悩んでも全然違ってたことは多々あった)
世の中どんどん単純なことが好まれる傾向が強まってるけど、人は人と関わらずには生きていけないことや、人心・人間関係が単純ではないことは変わらない。
最後にすぐ「めんどくさい」がクセなので気をつけようと思います。
若い子だけでなく大人も一読の価値あり。 -
Posted by ブクログ
劇作家・演出家である鴻上尚史さんと、脳科学者である中野信子さんの対談本。タイトルにある「同調圧力」について語っている場面もあるものの、コミュニケーション全般について、鴻上さんが演出などの経験から培われた視点を、脳科学の観点からはどうなのか中野さんに質問する形が多い。
鴻上さんは「世間」を家族や近しい人など自分の知っている人で構成されている世界、「社会」をその反意語と定義されており、「世間」を大切にしている日本人は「社会」との繋がり方が分かっていないのではと提起されていたのが面白かった。
また、中野さんのお話で印象に残ったのは、97%もの日本人はセロトニントランスポーターが少なく、不安に陥りやすい民族であるということ。曰く、地震や台風などの災害が多く、不安を感じやすい人の遺伝子が残っていったのではないかと。
そのほか、鴻上さんが紹介されていたものとして、アメリカの道徳の授業には「Tattling or Telling(告げ口か情報か)」と呼ばれるものがあり、いろいろな課題をどちらかに分けることで生命や身体に危険性があることは先生に言おうと生徒に教えているというのが興味深かった。
タイトルから期待していた内容とは少し違ってはいたものの、お二人の知見、経験則に触れられて良かった。 -
Posted by ブクログ
読みやすいし、面白い。
「クール・ジャパン」。それは「クールなメイド・イン・ジャパン」。つまり、「それ、クールだね。」な日本製品。
日本にルーツを持っていたり、日本発祥だったりする商品や文化を、有名どころからマイナー物まで知ることができて、学びの多い本だった。
クール・ジャパンを知ることは、自分と自分の国を知り、未知の世界と出会うことであるという鴻上さんの主張には大いに納得した。
しかし、国民性や「◯◯人だから」と属性・分類に当てはめて、安易に批判したり評価したりすることは、危険であるということは改めて感じた。人は、一人ひとり違うから。
それを踏まえて、文化的信念や日本人の誇り・魂を持つことは大切なことであり、国際社会において国と国と、人と人が尊重し合うためにも、自国を知り、世界を知り、共に生きていくことを一人一人が自覚できるような社会が理想的なのだと考えた。