柴田勝家のレビュー一覧
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これも一ヶ月前くらいに纏めて読破していた作品です。
岸辺露伴シリーズは読んでると楽しいんですけど、夜中とかに読んでるとたまに本当に怖い話とかもあってなかなかに読みごたえがある作品が多かった印象。
この本にもタイプの違う4つの話が収録されています。
一番好きだったのは最初の「曰くのない人形」かなぁ。
世の中には「曰くのある人形」は沢山ありますが、本当に怖いのはこういうタイプの人形かもしれないなと思います。
だって曰くがなかったらどれだけ理不尽な災難が起こったとしても調べられないし助かりようがないですもんね。
「私は曰くがあります!」と堂々と主張してくれている人形達の方がまだ優しくて親切なのかも -
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いわゆるジャケ買いでした「筋肉少女帯小説家計画」。
表紙は漫画家の藤田和日郎さん。彼をはじめとして、多くの創作に関わる人々にファンが多いのは知っていたけど、本家である筋肉少女帯の歌を聞いたことはあんまりないです。アニメ「うしおととら」のOPぐらいか。
興味はあれど、聞く機会を求めてこなかったので、聞くきっかけになるかな、と思って購入しました。
10代というか思春期が感じる違和感、疎外感、万能感、危機感、無敵感、嫌悪や潔癖、夢想に妄想、強圧や抑制、純真に偽悪、憧憬に共感、拒絶と承認。そういったもののごった煮の中から、その時の、初めて聞いた時の自分が一番欲しがっていたもの、共感できるものを見出 -
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Posted by ブクログ
伊藤計劃氏が亡くなってから16年
この“トリビュート”が出版されてから10年
その間、
大きな地震や災害が続き、パンデミックが現実となる。
理由のよくわからない戦争が続き、ドローンや無人兵器が実戦で用いられる。
SNSを用いた世論誘導、生成AIの実用化やマルウェアなど、目に見えない相手の脅威が現実となる。
現実がSFを超える日、それでも読まれる物語がある。
『虐殺器官』から続く天国と地獄の薄っぺらな境界線上での綱渡り……現代ジャパニーズSFの王道となった感がある。
多少の好き嫌いはあるもののどれも圧巻の出来栄えで、分厚い本の残ページが消えていく。
最終話、長谷敏司『怠惰の大罪』が特に響い -
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Posted by ブクログ
ネタバレ――
へー南方熊楠ってこんなひとだったのか。
……とはならんからな?
一大エンタメであることは間違いなく、冒険小説であり伝奇小説であり、怪奇小説でもあり探偵小説でもありSF小説でもある。その上で哲学書でも思想書でもあり、そして或いは史書であるのかもしれない(最後のは嘘です)。
まさになんでもござれ。それこそ、南方熊楠のような小説である。いやむしろこんな小説の主人公が務まるのは確かに、柳田國男をして「日本人の可能性の極限」と云わしめた熊楠しか居るまい。
ある意味、小説の可能性の極限とも云える。
南方熊楠、福来友吉、江戸川乱歩に孫文と、登場人物リストを読んでいくだけで解るいわゆる -
Posted by ブクログ
ネタバレ口下手な探偵が抱えていたちょっとした謎を、事件を、性別年齢不詳の浪曲師、湖月が「カタリゴト」として謎解きしていく物語。
「カタリゴト」自体も二段仕立て、一見繋がりのない3つのお題から荒唐無稽な物語を語り、そのあと語り直してネタばらし=謎解き。
その「カタリゴト」も真実と思っていたら、実際の事件との齟齬が後から見えてきて、まだ裏があることに驚かされるという。
そして、最後の最後で、これまで語ってきたバラバラの「カタリゴト」が一つの大きな物語として集約されていく。
この構成が最高によかった!
一つの事件を何度も噛み締めて楽しめる、いくつもの解釈で楽しめるというか。
湖月のキャラもいい。
帯には「美