柴田勝家のレビュー一覧

  • ヒト夜の永い夢
    今様「帝都物語」、あるいは、「學天則は粘菌エンジンで夢を見るか」、か…

    SFだと思って読み始めると、なんだ落語か、と思っていると、お約束の量子論SFにシフトし、と、まぁこれも今様か。
    (「死体人形」の時点でリアリティを失っているのだが、パンクな夢ならなんでもありなのかね…)

    「チョウたちの時間」...続きを読む
  • デッドマンズショウ 心霊科学捜査官
    陰陽師+刑事が心霊事件の謎を解くシリーズ第2弾。
    あるシリーズ映画の出演者が次々とバラバラ死体で発見され、霊捜研が捜査に乗り出すが謎は深まるばかり。その間にも次の映画の撮影が始まって…
    心霊現象がある程度科学的に解明されうる世界設定なので、霊子や怨素といったものが手がかりになり、それに慣れるまでは読...続きを読む
  • ニルヤの島
    何か見えない大きなモノ。
    でもそれは個々の人がもつ小さなモノの集合体。

    (以下抜粋)
    ○喩えるなら、一度読んだことのある本を、あえてバラバラに読み直すようなものだ。ただ違うのは、読んだことがあるという意識があるだけで、実際には次の場面を想像することはできない。(P.12)
    ○つい落ちた夢を見たから...続きを読む
  • ゴーストケース 心霊科学捜査官
    それを聴いたファンが次々と自殺するというアイドルのCDの呪い。陰陽師にして心霊科学捜査官が謎に立ち向かう。
    ”霊子”や”怨素”という概念で呪いや陰陽道が科学的に説明できる世界の中で、オカルトに特化せずミステリしているのが面白かった。そして地下アイドルへの愛が感じられる。
    キャラ造型はラノベの王道的だ...続きを読む
  • クロニスタ 戦争人類学者
    SF。アクション。
    背表紙によると、「2010年代SFの最前線」らしい。
    はじめ30ページほど読んだだけで、伊藤計劃の影響を強く感じた。結末も『ハーモニー』に近い印象。
    伊藤計劃の残したインパクトが大きかったということでしょうか。
    人類全体で個人の認知と感情を共有できる”自己相”と、その問題点など、...続きを読む
  • 伊藤計劃トリビュート
    藤井太洋「公正的戦闘規範」★★★
    伏見完「仮想の在処」★★★★
    柴田勝家「南十字星」★★
    吉上亮「未明の晩餐」★★★
    仁木稔「にんげんのくに」★★★
    王城夕紀「ノット・ワンダフル・ワールズ」★★★
    伴名練「フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪」★★★★★
    長谷敏司「怠惰の大罪」★★★
  • クロニスタ 戦争人類学者
    ぼくは書評も広く見ています。そこで、「え? 随分変わった本を書いている人がいるな」というときは必ず買うようにしているんです。これは、日系の米軍の軍属が、南アメリカでたった1人しかいない民族の生き残りに出会うっていうお話です。その筋書きが面白いじゃないですか。しかもその世界では全ての人間がネットに生体...続きを読む
  • ニルヤの島
    2017.05.20
    2回目。時系列を書き出しながら再読。

    死ぬ間際に真の安らぎを得るには、天国を確信すること。
    強く広く伝播することを指向するミームが「ニルヤの島」という死者のための国を新たに「実存」させる。他者への不理解と断絶を乗り越えた海の向こうにこそ永遠があると「確信」することで生死の差異...続きを読む
  • 伊藤計劃トリビュート
    いろんな作家さんの短編集。
    伊藤計画っぽさとかは問うていないらしい。
    伊藤計画らしいのもあれば、全く違うものも。
    影響を受けて書いた作品というところでまとめてもこれだけ幅のある短編になるんだなあと感心しました。

    個人的には、「怠惰の大罪」という作品が面白く、「公正的戦闘規範」という作品が伊藤計画っ...続きを読む
  • 伊藤計劃トリビュート
     今は亡き伊藤計劃。
     彼に贈る儚さに満ちた物語。
     サイコパスまんまだなぁ、とか、ブレードランナーだなぁ、とか、ディックだなぁ、とか。
     藤井さんのゲームの大元が、っていうのは実際ありそうだなー、とか。
     殆どが、血にまみれ肉にまみれ、痛々しい箇所もありますがそれもご愛嬌。
  • 伊藤計劃トリビュート
    「未明の晩餐」「仮想の在処」「フランケンシュタイン三原則」がよかった。「ノット・ワンダフル〜」は露悪的すぎて感心しないけど、後期クィーン的問題なのはよかった。