柴田勝家のレビュー一覧

  • アメリカン・ブッダ
    民俗学とSFの融合。技術が人々の生活に入り込んでも、根本にある人間の性質は変わらないというところが描かれている。さまざまな読み味の作品が多く、長編も読んでみたい。
  • ヒト夜の永い夢
    1920年代~30年代を舞台にしたお話で、実在の人物である南方熊楠を主人公としています。人間の動作(右手を上げる、左足を上げるのような)を膨大な数粘菌に覚え込ませ、それを組み込んで自動人形を作ろうというお話。SFぽくもあり、和風ファンタジーぽくもあり。
    結構ハチャメチャなお話です。幻想小説ぽくもあり...続きを読む
  • ニルヤの島
    「誰も気にしないのだな。人が一人死んだというのに」
    「気にしていない訳じゃなくて、既に気にし終えたんですよ」

    お笑いや政治など全ての事柄でもそうですが、
    ある程度背景知識など詳しくないと楽しむことができないものがあります。

    記憶を取り出せるようになることで、「死」がなくなる。
    SFを読むために、...続きを読む
  • アメリカン・ブッダ
    北米全土を襲った〈大洪水〉のあと、肉体を冷凍睡眠させて精神世界に逃げ込んだ白人たちに現実世界のアメリカから〈仏教徒のインディアン〉が語りかける表題作ほか、六篇を収録するSF短篇集。


    〈未来の民俗学SF〉とでも呼べばいいのか、現在や近未来の最先端技術が市井の人びとの生活にまで根づき、ハレとケに溶け...続きを読む
  • アメリカン・ブッダ
    本の帯の推薦文にあるように「柴田勝家は面白い」と思わせてくれる作品集です。
    デビューしたての頃の半村良さんの要素を更にポップな文体で仕上げたような気がしました。
  • アメリカン・ブッダ
    >「貴方が来るのを待っていたよ」

    表題作「アメリカン・ブッダ」のラスト、古い友人との再会が美しくて思わずため息。
  • アメリカン・ブッダ
    『雲南省スー族におけるVR技術の使用例』のみ既読で再読だったがやはり面白い。そして、表題作の『アメリカン・ブッダ』を含む5篇も民俗学とSFの組み合わせが違和感なく、とても楽しめる内容だった。何より素晴らしいと思ったのは、池澤春菜の解説である。著者の大学の先輩なので言いたい放題だが、ここまで著者の魅力...続きを読む
  • アメリカン・ブッダ
    短編集。
    ただ他のアンソロジーでも出てきた作品もあった。
    どれも一捻りあり面白い。特にインナースペースに関連する作品が多い。
  • アメリカン・ブッダ
    柴田勝家のSF短編集。柴田勝家は初めて読んだけど、武将のような名前だなぁと気にはなっていた。いや、どれも面白い。なかでも好きなのは鏡石異譚と表題作アメリカン・ブッダ。鏡石異譚は量子加速器付近で転落した少女がその後未来の自分を見るようになる話。記憶子は未来と過去を繋ぎ、世界の記憶を作り替える。しかし現...続きを読む
  • ヒト夜の永い夢
    南方熊楠にはじまり、福来友吉、江戸川乱歩、宮沢賢治など有名な実在の人物たちが天皇機関をめぐって大暴れするSF。伝記ロマン。

    分厚い割に、ドタバタとした感じというかコメディ調な部分が多いのですぐ読めた。
    脱糞だ嘔吐だがやたら多い。

    ただ、SFがそんなに得意ではないので夢の話とか天皇機関の話はなかな...続きを読む
  • ヒト夜の永い夢
    南方熊楠が主人公。
    昭和初期の混沌とした時代の中で、粘菌による人造人間の天皇機関を作るがテロ集団に奪われてしまう。
    學天則とかが出てくると帝都物語を思い出すが、ストーリーはこちらの方がより幻想的。オドロオドロしい感じとかがホラーっぽくて良い。ただ台詞回しが読み難いところがあった。
    実際の歴史との違い...続きを読む
  • ヒト夜の永い夢
    え、戦国武将の名前のSF作家!? と著者の「映え」には数年前より惹かれていたが、要はオタクを突き詰めた結果なんだろうと、飛びつくことはなかった。
    が、南方熊楠の歴史改変SFと来れば手を伸ばさざるを得ない。
    真っ先に連想したのは荒俣宏「帝都物語」だが、実は小説も映画も未見で、藤原カムイや高橋葉介の漫画...続きを読む
  • ヒト夜の永い夢
    南方熊楠、昭和2年―
    粘菌コンピュータ搭載の自動人形「天皇機関」を発明。

    上は帯の文句であるが、もうこの時点で最高である。

    中身はというと戦前の名士オールスターが、ある陰謀と闘うドタバタSFと言う感じ。
    あらゆる夢が入り交じる東京決戦のシーンは映画『パプリカ』を思い出すような凄まじいもの。

    ...続きを読む
  • 伊藤計劃トリビュート
    目次
    ・公正的戦闘規範 藤井太洋
    ・仮想(おもかげ)の在処 伏見完
    ・南十字星 柴田勝家
    ・未明の晩餐 吉上亮
    ・にんげんのくに Le Milieu Humain 仁木稔
    ・ノット・ワンダフル・ワールズ 王城夕紀
    ・フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪 伴名練
    ・怠惰の大罪 長谷敏司

    ...続きを読む
  • ヒト夜の永い夢
     時は昭和2年。粘菌学者の南方熊楠は昭和孝幽学会という謎の団体に勧誘される。そこは、本流を外れた亜流の学者集団であった。自動人形"天皇機関"を作り上げ、天皇に献上することで自らの存在を知らしめようとする彼ら。南方は天皇機関の頭脳となる粘菌コンピューターを完成させるが、そこに革命家の陰謀が介入し事態は...続きを読む
  • ニルヤの島
    SF ×宗教という組み合わせ。
    我々も正直 死後の世界については うっすら信じてるか信じてないかくらいなものだと思うけど、「科学が進歩して死後の世界が完全に否定されたらどうなるのか?」「SF的な観点から見る死者の国とは?何故 人類はそれを必要としたのか?」という感じの作品。
    読み応えある作品でした。...続きを読む
  • ファントムレイヤー 心霊科学捜査官
    この世界観での特殊事情だけど、ちゃんと密室殺人が成り立ってるのがすごい。この作品で唯一疑問なのは、絹田がクビナシ様を広めてること。姉に由来してると知っていて、あんな風に広めるかな?
  • デッドマンズショウ 心霊科学捜査官
    なかなか入り組んだお話。霊現象とか祟りなんかの説明付けが良くできているので、なんかなるほどなぁと思っちゃうね。
  • ニルヤの島
    伊藤計劃感に文化人類学をミックスした感じ?話の並行数と時間のズレで若干頭がこんがらがるけど、収束していくときのカタルシス的なのはよい。
  • 伊藤計劃トリビュート
    ページ数のボリューム感に感動した…気に入ったのは「未明の晩餐」「ノット・ワンダフル・ワールズ」「フランケンシュタイン三原則、あるいは屍者の簒奪」