柴田勝家のレビュー一覧
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ネタバレ――
へー南方熊楠ってこんなひとだったのか。
……とはならんからな?
一大エンタメであることは間違いなく、冒険小説であり伝奇小説であり、怪奇小説でもあり探偵小説でもありSF小説でもある。その上で哲学書でも思想書でもあり、そして或いは史書であるのかもしれない(最後のは嘘です)。
まさになんでもござれ。それこそ、南方熊楠のような小説である。いやむしろこんな小説の主人公が務まるのは確かに、柳田國男をして「日本人の可能性の極限」と云わしめた熊楠しか居るまい。
ある意味、小説の可能性の極限とも云える。
南方熊楠、福来友吉、江戸川乱歩に孫文と、登場人物リストを読んでいくだけで解るいわゆる -
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ネタバレ口下手な探偵が抱えていたちょっとした謎を、事件を、性別年齢不詳の浪曲師、湖月が「カタリゴト」として謎解きしていく物語。
「カタリゴト」自体も二段仕立て、一見繋がりのない3つのお題から荒唐無稽な物語を語り、そのあと語り直してネタばらし=謎解き。
その「カタリゴト」も真実と思っていたら、実際の事件との齟齬が後から見えてきて、まだ裏があることに驚かされるという。
そして、最後の最後で、これまで語ってきたバラバラの「カタリゴト」が一つの大きな物語として集約されていく。
この構成が最高によかった!
一つの事件を何度も噛み締めて楽しめる、いくつもの解釈で楽しめるというか。
湖月のキャラもいい。
帯には「美 -
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実在の植物学者、南方熊楠を主人公に据えた、粘菌コンピュータ搭載の自動人形「天皇機関」をめぐるSF伝奇小説。
江戸川乱歩に宮沢賢治、孫文など、名だたる歴史上の人物がこれでもかと登場しながらテンポよく描かれる物語はとにかく面白く、600P近い長編でありながら、全くだれることなく読み切ることができました。かなり荒唐無稽な大ホラ話ではあるんですが、実際にあった功績や事件をしっかりなぞっているので、ある意味リアリティも感じられるのが、作者の力量の高さを感じますね。
SFとしては、粘菌コンピュータという核となる設定はちょっと腑に落ちないところもあったのですが、それはそれとして量子論、仏教論、哲学、さま -
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柴田勝家…柴田勝家?!
戦国武将の?となるけど、もちろんペンネーム。
評判が良かったから読んだけど、凝ったSFだった。
私は「鏡石異譚」が好き。
未来の自分が時々「警告」をしに来てくれる少女。
人生で出会うはずの事故を回避して成長し、大人になった時に今度は幼い自分に会える。
遠野物語とSFを絡めるってアイデアが凄いし、首元のアザを見つけた時のゾッとする感じも最高!
タイトルになった「アメリカンブッダ」も面白いけど、バーチャル世界から現実に戻った時に、世界的有名人のミラクルマンが主人公を「待っていたよ」と受け入れたのがよくわからなかった。
あと、巻末の解説を有名声優の池澤春菜さんが書いていて -
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ネタバレ短篇集、ざっくり信仰が全体的なテーマかな。、
推しは宗教、推し活は信仰、オタクがよく言うそれをSF要素も入れつつ考察した感じがして面白い。
クライツマンの秘宝の、信仰は質量を持つ、普通に考えればエセ科学でオカルトに取り憑かれた思想って感じなんだけど、文章の"ちゃんとした"感じと、オタク強さに通じる信仰の持つエネルギーの莫大さを知ってる現代人の感覚としてはホラ話だけどどっかにこういう学者いるんじゃないかなって気もしてくる。
論文、エッセイ、小説、色んなジャンルっぽい文章が詰まってて面白かったし、そのどれもが虚構と現実が入り混じって混乱する感じが面白い。自分の無知故にちょ -
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ネタバレ表題作の『走馬灯のセトリは考えておいて』がとても面白かった。
人が死んだ後にライフログをもとに自分の分身を残せるようになった未来の話。
2023年時点においてすでに故人の生前のライフログやアーカイブを元に、あたかも亡くなった人が目の前にいるかのように再現できる技術が生まれていることから、そう遠くない未来に、終活に向けて自分のアーカイブを整理するという行為が当たり前になるのかなと思った。
自然言語処理のAIの台頭により、故人の受け答えの癖を再現できるAIのような存在も現実味が増してきていると感じる。
本書においても、技術の進化と共に死との向き合い方が変化してきていることの説明や、ライフログから -
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ネタバレ――
大霊界である…!
柴田勝家満喫セット。これ程バラエティ豊かな短編集をひとりで組めるなんて恐ろしいことである。名前以上にすごいひとだ…
壁、や境界、が文学のテーマになって久しいけれど、純文学がその境界を越えようとするのに対し、SFはその境界を曖昧にしようとする独特の死生観がある。そのあたり、所謂「非科学的」な幽霊や妖怪変化と通じるところがあるというのも不思議なもの。
技術で死を克服しようとする、という形は万国共通でも、例えば造り物の生命を繋いで克服するのと、死後もコミュニケーションを取れるようにすることで克服するのとではアプローチが違っていて。
それって死後の世界が身近な