柴田勝家のレビュー一覧

  • スーサイドホーム

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    面白かった〜!最終章でなるほど〜ッ!こうきたか!!となりながら読みました!全ての謎がキレイに回収されていて、これがホラー✕ミステリーか〜
    羽野アキラと神無リオンのコンビでの活躍がまた読みたい!台湾のあの話は初めて聞きました〜実際にあることなんだろうか…

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    2024年08月17日
  • ヒト夜の永い夢

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    実在の植物学者、南方熊楠を主人公に据えた、粘菌コンピュータ搭載の自動人形「天皇機関」をめぐるSF伝奇小説。

    江戸川乱歩に宮沢賢治、孫文など、名だたる歴史上の人物がこれでもかと登場しながらテンポよく描かれる物語はとにかく面白く、600P近い長編でありながら、全くだれることなく読み切ることができました。かなり荒唐無稽な大ホラ話ではあるんですが、実際にあった功績や事件をしっかりなぞっているので、ある意味リアリティも感じられるのが、作者の力量の高さを感じますね。

    SFとしては、粘菌コンピュータという核となる設定はちょっと腑に落ちないところもあったのですが、それはそれとして量子論、仏教論、哲学、さま

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    2024年07月31日
  • 走馬灯のセトリは考えておいて

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     VRやゲーム、語り口調など、「今風!」という印象のSF短編集。反面、歴史や生物論をモチーフにしたものも異常な説得力を持っていて、複数の分野に跨がる筆者の精通ぶりに舌を巻きました。ただぶっちゃけ、あまりに詳しすぎて「宗教性原虫」は全く理解できなかった……orz
     個人的なお気に入りは、人の生死と魂について考えさせられる表題作の他、「オンライン福男」と「絶滅の作法」の三作。が、「姫日記」で次々と主人公を襲う不条理ぶりには、なんか悔しいながら笑いを堪えられなかった……(笑)

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    2024年06月22日
  • アメリカン・ブッダ

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    柴田勝家…柴田勝家?!
    戦国武将の?となるけど、もちろんペンネーム。
    評判が良かったから読んだけど、凝ったSFだった。
    私は「鏡石異譚」が好き。
    未来の自分が時々「警告」をしに来てくれる少女。
    人生で出会うはずの事故を回避して成長し、大人になった時に今度は幼い自分に会える。
    遠野物語とSFを絡めるってアイデアが凄いし、首元のアザを見つけた時のゾッとする感じも最高!

    タイトルになった「アメリカンブッダ」も面白いけど、バーチャル世界から現実に戻った時に、世界的有名人のミラクルマンが主人公を「待っていたよ」と受け入れたのがよくわからなかった。

    あと、巻末の解説を有名声優の池澤春菜さんが書いていて

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    2024年03月23日
  • アメリカン・ブッダ

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    柴田勝家、ずっと気になってたのがやっと読めた。がっつり民俗学の雰囲気。SFで擬似数学的科学的な発想の世界観のものは多いけど歴史社会的なアプローチで語るとこういう感じになるのか、と興味深かった。設定は全てが新鮮で、スー族のVR技術、邪義の壁、アメリカンブッダあたりが展開としても面白かった。

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    2024年02月11日
  • 走馬灯のセトリは考えておいて

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    秘仏の話は、自身の人生と研究が重なり異様な熱を帯びた研究者を第三者の視点から書く民族史のような文体が「ありそう」で面白かった。
    エンタメとしては走馬灯がいちばん面白かった。死後も残されたもののためにクローンを残す設定だけでなく現在のVブームを数世代前の文化として描くこともSFっぽい。

    (元)文化人類学生としての好奇心が刺激された。

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    2023年12月30日
  • 走馬灯のセトリは考えておいて

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    ネタバレ

    短篇集、ざっくり信仰が全体的なテーマかな。、

    推しは宗教、推し活は信仰、オタクがよく言うそれをSF要素も入れつつ考察した感じがして面白い。

    クライツマンの秘宝の、信仰は質量を持つ、普通に考えればエセ科学でオカルトに取り憑かれた思想って感じなんだけど、文章の"ちゃんとした"感じと、オタク強さに通じる信仰の持つエネルギーの莫大さを知ってる現代人の感覚としてはホラ話だけどどっかにこういう学者いるんじゃないかなって気もしてくる。

    論文、エッセイ、小説、色んなジャンルっぽい文章が詰まってて面白かったし、そのどれもが虚構と現実が入り混じって混乱する感じが面白い。自分の無知故にちょ

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    2023年12月05日
  • アメリカン・ブッダ

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    表題作をはじめ6本の短編が収められている
    私の好みでは表題作であるアメリカン・ブッダが面白かった
    仏教の教えを訥々と語るミラクルマンとそれを仮想世界で聴く主人公の視点で描かれている
    仮想世界は現実世界と体感時間の速度が異なっており、ブッダの教えを聞きながら世界が一巡する
    現実で語るミラクルマンに仮想世界が追いついて入れ子の構造となる
    それにより現実と仮想の壁を曖昧にした幻想性を仄かに感じた

    私達の現実も今あるルールや常識に確固とした礎はない
    そんな当たり前を感じさせてくれた作品

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    2023年12月03日
  • ヒト夜の永い夢

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    昭和初期の日本を舞台にした歴史SF。思考するAI粘菌「天皇機関」を巡って、南方熊楠が革命主義者と対決する。江戸川乱歩やら北一輝やら孫文やら、歴史上の実在の人物が次々と登場してきて、とにかく展開が賑やかだ。
    タイトルどおり、現実なのか夢なのか、お祭り騒ぎのような展開に飲まれた。南方熊楠と北一輝の問答がおもしろい。

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    2023年10月18日
  • 走馬灯のセトリは考えておいて

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    ネタバレ

    表題作の『走馬灯のセトリは考えておいて』がとても面白かった。
    人が死んだ後にライフログをもとに自分の分身を残せるようになった未来の話。
    2023年時点においてすでに故人の生前のライフログやアーカイブを元に、あたかも亡くなった人が目の前にいるかのように再現できる技術が生まれていることから、そう遠くない未来に、終活に向けて自分のアーカイブを整理するという行為が当たり前になるのかなと思った。
    自然言語処理のAIの台頭により、故人の受け答えの癖を再現できるAIのような存在も現実味が増してきていると感じる。

    本書においても、技術の進化と共に死との向き合い方が変化してきていることの説明や、ライフログから

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    2023年08月11日
  • 走馬灯のセトリは考えておいて

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    ネタバレ

    ――

     大霊界である…!


     柴田勝家満喫セット。これ程バラエティ豊かな短編集をひとりで組めるなんて恐ろしいことである。名前以上にすごいひとだ…

     壁、や境界、が文学のテーマになって久しいけれど、純文学がその境界を越えようとするのに対し、SFはその境界を曖昧にしようとする独特の死生観がある。そのあたり、所謂「非科学的」な幽霊や妖怪変化と通じるところがあるというのも不思議なもの。
     技術で死を克服しようとする、という形は万国共通でも、例えば造り物の生命を繋いで克服するのと、死後もコミュニケーションを取れるようにすることで克服するのとではアプローチが違っていて。
     それって死後の世界が身近な

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    2023年05月04日
  • スーサイドホーム

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    1章ごとの短編かと思ったが最後に伏線を回収してまとまっていた。誰の視点かが分かりにくい事も含めて納得感があった。
    呪いについてはあまり聞いたことがないことが多く楽しく読めた。特に三隣亡は建築業界では大凶日らしく現在でも活きている呪いのようで興味深い。
    カテゴリとしてはホラーだろうが民俗学とも組み合わさって面白かった。

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    2023年04月26日
  • アメリカン・ブッダ

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    すっかりはまってしまった柴田勝家。短編集は「アメリカン・ブッダ」。
    すべての村人がVRの中で生きている世界を描く「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」、ブラッドペリの名作(華氏451度)にインスパイアされたであろう、物語というものがすべて禁止された世界を描いた「検疫官」など尖った設定の数々で楽しませてくれた。
    中でも表題作「アメリカン・ブッダ」。アメリカを襲った大厄災に際し、肉体をコールドスリープし、脳から意識だけが取り出されバーチャルの世界で生き続ける人々に対し、ある日突然大災害後の世界に取り残された仏教徒のインディアンがコンタクトを取り、仏教の教えを述べる。バーチャルでほぼ不死の何不自由

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    2023年04月18日
  • ヒト夜の永い夢

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    先日の柴田勝家の短編が思った以上に良かったので、長編も手に取ってみる。柴田勝家「ヒト夜の永い夢」。
    明治から昭和にかけて活躍した、実在の博物学者南方熊楠(みなかたくまぐす)を主人公にした歴史改変SF。
    希望の動きをパンチカードとして表し、それを手動で読み込ませて機会を動かす人形が開発されたのに対し、パンチカードの代わりに彼が研究していた粘菌をパンチカードに模して構成し人形に搭載。
    すると粘菌がAIのようになりただのからくり人形が意思をもった自動人形になってしまったという私好みの実にベタなSF的な展開から、国家や天皇まで巻き込んだ大騒動へ。
    ひいては史実として実在する二・二六事件へと虚実がマージ

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    2023年04月18日
  • 走馬灯のセトリは考えておいて

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    柴田勝家はなかなか食指が動かず今回このタイトルのあまりのキャッチーさに心動かされ初めて手に取る。

    短編集なのだが、信仰とはなにか、信仰の役割とはなにかということをSF的に切り込んだ作品が半数を占める。
    昔から存在する宗教からアイドルに対する偶像崇拝まで。対象を問わず、なにかを純粋に信じることで生まれる力と、その力がもたらす心の安寧。拠り所の重要さ。
    なかなかに深いテーマを軽妙な題材に乗せ、我々にわかりやすく伝える技術が素晴らしく、食わず嫌いをするものではないなと反省。

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    2023年04月18日
  • 走馬灯のセトリは考えておいて

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    自分や大切な人の魂を記憶をバーチャルとして保存できるとしたら『死』とは一体何なのだろう。
    『死=この世からの引退』と言われる世界で、壮大なラストライブが始まる。

    やっぱり著者が書く架空世界は突き詰められていて面白い。

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    2023年04月13日
  • アメリカン・ブッダ

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    民俗学✕SFは面白いと教えてくれた短編集。発想力の勝利。
    哲学も科学も宗教も宇宙も混ざり合った世界を浮遊する楽しさが詰まっている。
    著者の他の作品も読んでみたい。

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    2023年04月13日
  • 走馬灯のセトリは考えておいて

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    安定のおもしろさ。壮大なホラ話を読んだような何とも言えない爽快感がある。だからといって荒唐無稽に過ぎることはなく、精緻で細かい舞台設定がリアリティにもつながって、少しも陳腐な感じがしない。

    コロナ禍で福男の神事がオンラインで行われ、どんどんエスカレートしていく近未来を描いた「オンライン福男」、信仰には質量があるという自らの学説に取り憑かれた男の顛末を描いた「クランツマンの秘仏」の2本は特に印象的。

    だが何と言っても、書き下ろしの表題作「走馬灯のセトリは考えておいて」は傑作である。生前のライフログからAIが生成した分身を残せるようになった世界。この世とあの世の境界が曖昧になりつつある世界で、

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    2023年03月31日
  • 走馬灯のセトリは考えておいて

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    表題作がとても良い。AIがポンと進化してるこの時代にこそ読むべき作品。ライフログを入力することにより、あたかもその人かのような人格が死後にも再現できる世界。まさに、いまAIで癖を覚え込ませたりファインチューニングしていることがすすめば実現できることである。
    さて、その結果生まれた人格はどのようなものと扱えば良いのか。死と生命と信仰。本短編集を通して語られるテーマを、表題作が引き取って示してくれる。
    なお、異常論文に掲載されたクランツマンの秘仏も大変良いもの。その他は、少々ライトというか自分好みではなかったので星四つというところ。

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    2023年03月24日
  • スーサイドホーム

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    台湾の土着要素まで絡めてくるホラー、複数の登場人物の視点を切り替えてどう結びつけてくるか楽しみになってくる展開。初っ端から不気味な雰囲気が続くし、誰がどんな役を果たすのかもあっさりとは明かされないのでミステリ的にも面白かった。それでもさくっと読めてしまうし、もっとじっくりじんわり描いてくれても良かったかも。まだ登場人物の素性が謎な部分もあり、続編も期待出来るかも。

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    2023年02月25日