柴田勝家のレビュー一覧

  • ゴーストケース 心霊科学捜査官
    幽霊を化科学的に肯定した世界のミステリー。「ニルヤ」と比べてより砕けた文体で、よりライトな感じ。幽霊は出るけど、ホラー調ではないです。
    霊的なものが書きたかったのか、アイドルが書きたかったのか、どっちでしょう?
  • ニルヤの島
    天国や地獄を信じてるわけではないですが、概念のしての死後の世界は確かにすり込まれている。そういった死後の世界が否定された世界という発想がまず面白い。
    やや概念的な話になることと、章立てが断片化されていて人も時代もころころと入れ替わるので、全体像をつかむのが難しい小説です。読み応えは十分。
  • 伊藤計劃トリビュート
    文句なく面白かった。伊藤計劃と同時代のSF作家はこういう世界を作る ということがよく知らされたと思う。第三世界、AI、ドローンなど共通アイテムを持ちながら、それぞれが興味をそそられつつ読んだし、短編ながら充足感があった。
    長編が気に入らなかった某作家が、意外にもここではめっぽうひきこまれるものを読ま...続きを読む
  • 伊藤計劃トリビュート
    読んでてダルくなる話が多いなと思ったのは私の読解力のせいとして…。未明の晩餐とフランケンシュタイン三原則はとても素敵な香りがしました。
  • 伊藤計劃トリビュート
    収録作のどの作家の作品も読んだことがない
    と思うけど、トリビュートという縁で知ったからには
    少し手を出してみようか、と思うくらいに
    どの作品も面白く読める。
    勿論、伊藤計劃という対象があってのことだけど。
  • 伊藤計劃トリビュート
    SFって踏み込んでしまうとエラいことになりそうで、星新一→筒井康隆→清水義範、小林恭二以外には手を出さないようにしてました、伊藤計劃まで。まぁ伊藤計劃も「ハーモニー」「虐殺器官」「屍者の帝国」しか読んでないけど。
    というSFあまり読まない人間の感想。一番伊藤計劃っぽいなと思って気に入ったのが藤井太洋...続きを読む
  • 伊藤計劃トリビュート
    伊藤計劃をテーマに、影響を受けた作家たちが集まったアンソロジー作品。

    伊藤計劃の作品、虐殺器官、ハーモニー、メタルギアソリッド、屍者の帝国とどこかで繋がるようなとても面白い素晴らしい作品が集まった。

    テクノロジーが人間をどう変えていくかを追求しているらしいが、あまりそこにこだわることなく、伊藤計...続きを読む
  • アメリカン・ブッダ
    SFと民俗学の融合のような話が多い。
    以下ふたつが特に好きだった。

    古い実家の壁が崩れ、そこにあったものにどんどん狂わされていく『邪義の壁』。
    主人公が壁に魅了され、おかしな方向に傾倒していくホラー感が好き。

    物語は悪いものであり感染するものなので、物語を国内に持ち込ませないようにする『検疫官』...続きを読む
  • 走馬灯のセトリは考えておいて
    本書を知るきっかけは『世にも奇妙な物語』
    そして、作者が柴田勝家!

    柴田勝家さんの本は二作品目になります。
    本作品も、近未来っぽい世界のSF短編集になってます。

    オンライン福男:お正月に走る福男をオンラインでやってみたら・・・

    クランツマンの秘仏:秘仏研究科の人生を追う物語、開帳しない秘仏って...続きを読む
  • 走馬灯のセトリは考えておいて
    2023-11-30
    柴田勝家、実は「ニルヤの島」は今ひとつのめり込めなかったが、「アメリカンブッダ」や本作はかなり好き。想う事の構造の思索と外抽が刺さる。
    特に表題作と「クランツマンの秘仏」は表裏一体の物語。
    ニルヤは物語に捕らわれすぎて、そこまで読めていなかったのかも。
  • アメリカン・ブッダ
    なにかの書評で見かけてからずっと読んでみたかった小説。
    なにより作家の名前が「柴田勝家」さんというのが忘れがたくて(笑)。
    久しぶりに日本のSF読んだなぁ。
    仮想空間にまつわる話が多かった。
    ”仮想空間のSFもの”というと、ウィリアム・ギブスンの「モナリザオーバードライブ」なんかを思い出しちゃうけど...続きを読む
  • 本格王2023
    【収録作品】「ある部屋にて」 今村昌弘/「転んでもただでは起きないふわ玉豆苗スープ事件」 結城真一郎/「二〇XX年の手記」 潮谷験/「血腐れ」 矢樹純/「同好のSHE」 荒木あかね/「モーティリアンの手首」 白井智之/「ハリガネムシ」 道尾秀介

    「ある部屋にて」 倒叙形式に一ひねり。
    「転んでも…...続きを読む
  • 本格王2023
    どれも面白かったけど
    結城真一郎さんの「転んでもただでは起きないふわ玉豆苗スープ事件」と道尾秀介さんの「ハリガネムシ」が好き!
    特に道尾さんの音声を聞くと「事実」が分かるっていう趣向がすごく面白かった!!
  • デッドマンズショウ 心霊科学捜査官
    心霊科学が発達し犯罪捜査にも使われるようになった日本を舞台にした特殊設定ミステリ。怨霊や憑依と言った超自然現象も一定のルールに従うので、ロジックに取り込める。ただ、そうした心霊科学の設定が細かすぎ、読者の側に伝わりにくいので本気で犯人当てをするのは少し難しいかも知れない。終盤で怪異の謎がロジカルに解...続きを読む
  • 走馬灯のセトリは考えておいて
    人文科学系SFの泰斗、柴田勝家氏によるバラエティ豊かな短編集。現実と非現実、本物と偽物、生者と死者、といった文化的な対立項を巧みに活かして一つの作品にまとめ上げる、氏の手管の技を堪能できる一巻です。

    表題作が巻の3分の1ほどを占め、作者的に最も力を入れた作品だろうと思います。・・・が、鴨的には主人...続きを読む
  • アメリカン・ブッダ
    民俗学とSFの融合、概念を覆しに来る感じ、ケン・リュウとかテッド・チャンを思い浮かべた。劣らず話もまあまあややこしいのが多く、イメージし切れないことも多々。個人的には、鏡石異譚の考え方なんか凄いなと思った。ついていけんのだけど。スー族とかアメリカン・ブッダも、同様に凄いと思いつつも若干引く程の世界観...続きを読む
  • ニルヤの島
    時間跳躍があって一人称の複数視点なの読みにくいなぁと思っていたけど、ラストで複数の視点が統合されていく様が堪能出来たから満足。土着の湿度と、コンピュータの演算が人を動かす感じとが入り交じる生々しさもよかった。
  • アメリカン・ブッダ
    民俗学×SFは面白い視点だなぁと思って読んだ。でもどっちも分野×分野なので、物語の中でそういうものを読者に分かるよう説明しつつ掛け合わせるのは難しいことだなぁと表題作読みながら思いました。
    「雲南省〜」と「検閲官」、表題作の「アメリカン・ブッダ」が好き。個人的には最後に驚きや伏線回収がもたらされる話...続きを読む
  • 本格王2022
    【収録作品】道尾秀介「眠らない刑事と犬」/大山誠一郎「カラマーゾフの毒」/芦沢央「アイランドキッチン」/方丈貴恵「影を喰うもの」/浅倉秋成「糸の人を探して」/森川智喜「フーダニット・リセプション」

    「眠らない刑事と犬」『N』所収。ペット探偵に犯行現場からいなくなった犬探しを依頼する刑事。母親の気持...続きを読む
  • スーサイドホーム
    『アメリカン・ブッダ』の作者さんらしいホラーだなぁと思いつつ完読。

    民俗学と深く結びついている呪詛をうまく使われているなぁと感心!

    信じてないよ! と言いながら私たちはそうした風俗にがんじがらめになっていたりするんだよね。