柴田勝家のレビュー一覧
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すっかりはまってしまった柴田勝家。短編集は「アメリカン・ブッダ」。
すべての村人がVRの中で生きている世界を描く「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」、ブラッドペリの名作(華氏451度)にインスパイアされたであろう、物語というものがすべて禁止された世界を描いた「検疫官」など尖った設定の数々で楽しませてくれた。
中でも表題作「アメリカン・ブッダ」。アメリカを襲った大厄災に際し、肉体をコールドスリープし、脳から意識だけが取り出されバーチャルの世界で生き続ける人々に対し、ある日突然大災害後の世界に取り残された仏教徒のインディアンがコンタクトを取り、仏教の教えを述べる。バーチャルでほぼ不死の何不自由 -
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先日の柴田勝家の短編が思った以上に良かったので、長編も手に取ってみる。柴田勝家「ヒト夜の永い夢」。
明治から昭和にかけて活躍した、実在の博物学者南方熊楠(みなかたくまぐす)を主人公にした歴史改変SF。
希望の動きをパンチカードとして表し、それを手動で読み込ませて機会を動かす人形が開発されたのに対し、パンチカードの代わりに彼が研究していた粘菌をパンチカードに模して構成し人形に搭載。
すると粘菌がAIのようになりただのからくり人形が意思をもった自動人形になってしまったという私好みの実にベタなSF的な展開から、国家や天皇まで巻き込んだ大騒動へ。
ひいては史実として実在する二・二六事件へと虚実がマージ -
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安定のおもしろさ。壮大なホラ話を読んだような何とも言えない爽快感がある。だからといって荒唐無稽に過ぎることはなく、精緻で細かい舞台設定がリアリティにもつながって、少しも陳腐な感じがしない。
コロナ禍で福男の神事がオンラインで行われ、どんどんエスカレートしていく近未来を描いた「オンライン福男」、信仰には質量があるという自らの学説に取り憑かれた男の顛末を描いた「クランツマンの秘仏」の2本は特に印象的。
だが何と言っても、書き下ろしの表題作「走馬灯のセトリは考えておいて」は傑作である。生前のライフログからAIが生成した分身を残せるようになった世界。この世とあの世の境界が曖昧になりつつある世界で、 -
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初・柴田勝家作品。
民族的な匂いのするSFってのは面白いな。柴田勝家、面白作家だな!
どの作品も面白かったけど、「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」が特に気に入った。
VRのR(Reality)が指すものは、一生VRゴーグルをつけた一族と、一般とではそりゃあ大きく乖離するよな。異文化・異星人交流モノなんだから、SF好きは好きな話だわな〜。
「鏡石異端」は、テッドチャンの「あなたの人生の物語」を想起。この感じも好き。小川一水もILCをお題に作品を書いているようなので、そっちも読みたい。
コロナ禍を経験している現代だからこそ、「検疫官」「アメリカン・ブッダ」も楽しめた。 -
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宗教とか生と死とに関連するSF短編集。
「火星環境における宗教性原虫の適応と分布」は宗教の伝播を原虫に繁殖になぞらえて論じています。固い文章でもっともらしく書いていますが、こういった遊びがいかにもSFです。
表題作である「走馬灯のセトリは考えておいて」は、ライフログや日記などから、死後にその人の人格(もしくは人格を模倣するもの)をAIとして残せるようになった世界を描いています。死後に人格が残るお話はほかにもいろいろあるし、いつか実現しそうな技術ですが、現実としてはどうなんだろうとか思ってしまいます。でも作家死後にAIが続きを書いてくれるとかはいいかもと思ってしまったり。 -
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ネタバレ――
まじで柴田勝家、本名だと思ってましたすんません。
面白かった、と云うにはあまりにも問題提起が多すぎて、読後感を正直に書くなら「混乱」。それも、物語が入ってこなくて混乱してるのではなく、全部受け止めた上で混乱している。
だいたい小説ひとつ読み終わったあとって、大なり小なりその作品の中で描かれていたことに対する持論、というか立ち位置、スタンス? そういうのがある程度定まっていて、なんかまぁあのひともこのひとも恋しい、みたいなことはあるにしても概ね言葉にできるものなのだけれど…
これは…うーむ。
読んだよ、ということだけを記すレヴュになってしまう。本当にまだまだ言葉が、足りな -
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羽野アキラと神無リオンの助葬師コンビはシリーズ化するかな~と最後まで飲み終わって思いました。
呪いと祓いのどっちをとるか、っていう質問で呪われるやつは結局なんか悪いことしてるみたいに神無リオンは言うけどそんなことはないとアキラは思っていて、絶対おばあちゃんに言われたように人のために行動して助けなきゃと、ちょっと空回りしそうなところとか見た目犬っぽい感じとか、そんな羽野アキラの成長していくところは見てみたい気がする。
美少女キャラには飽き飽きしてるので犬っぽいアキラは好きかもと思ったのでした。
ちょっとくらい変なやつで全然いい。
あと安全な場所だと思っていた家は本当は全く安全じゃないかもしれない