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Posted by ブクログ
・オンライン福男
VRで福男の競争をするというコメディチックな話。ただ、そこに現実味が伴うのが我々の文明の現在地を感じさせる。
・クランツマンの秘仏
短編アンソロジー「異常論文」に掲載された、信仰が質量を生じさせ存在を実在させるという論文と、その実験を行った人物に関する記録。ドラマによって著者への共感が物語に存在感を与えることと相似するところが見事。
・絶滅の作法
ポストアポカリプスものの亜種のような作品。日常への哀愁と文化の継承者になる話。
・火星環境下における宗教性原虫の適応と分布
宗教や言語を寄生虫と捉えて寄生された人間の行動が変容させられている、といった内容の論文風短編。物事の主従を反転させるのは王道の手法だけれど、宗教が人間に寄生しているという題材の選定とディティールの筆致が見事。
・姫日記
戦略ゲーマーが美少女だらけの戦国時代に異界転生、みたいな内容のユーモア作。戦略ゲーマーは共感するところも多い。オイチのつけかたはダイナミック。
・走馬灯のセトリは考えておいて
VTuberをモチーフとした表題作。テクノロジーは人間の意識や魂を解明して再現もするだろうけれど、その先にある身体という限界からの開放をグラデーション的に、現実から緩やかな境界で繋がっているものとして描いている未来観が素晴らしい。
表題作らしい読み応えもあって面白かった。
Posted by ブクログ
安定のおもしろさ。壮大なホラ話を読んだような何とも言えない爽快感がある。だからといって荒唐無稽に過ぎることはなく、精緻で細かい舞台設定がリアリティにもつながって、少しも陳腐な感じがしない。
コロナ禍で福男の神事がオンラインで行われ、どんどんエスカレートしていく近未来を描いた「オンライン福男」、信仰には質量があるという自らの学説に取り憑かれた男の顛末を描いた「クランツマンの秘仏」の2本は特に印象的。
だが何と言っても、書き下ろしの表題作「走馬灯のセトリは考えておいて」は傑作である。生前のライフログからAIが生成した分身を残せるようになった世界。この世とあの世の境界が曖昧になりつつある世界で、往年のバーチャルアイドルが、この世からの「卒業」ライブを決行する。正に今にドンピシャな物語。
どの作品も想像力がガシガシと掻き立てられる。これぞSFの醍醐味。読むなら今。
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