【感想・ネタバレ】アメリカン・ブッダのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年09月11日

これは面白い。物語の世界に没入してしまう。

■雲南省スー族におけるVR技術の使用例
VRゴーグルを装着したまま一生を過ごすというスー族の話。食事とかどうしてるのか?などと思いつつ楽しんで読んでいたらラストで納得。

■鏡石異譚
素粒子衝突実験、時間経過の一方向性、予言などをベースとしながら、自分の...続きを読む過去や未来と向き合う話。これまたスッキリ。

■邪義の壁
家の分厚い白い壁を信仰する話。壁の秘密にゾクゾクする。歴史を絡めた妖しさがいい。

■1897年龍動幕の内
公園に出没するという天使を追う物語。ただのファンタジーや謎解きではないところに痺れる。南方熊楠の万能ブリが活かされてる。

■アメリカン・ブッダ
大水没から逃れたアメリカ人と残った先住民。先住民の一人のミラクルマンは、もう水没は終わったというが本当なのか。時間の流れのスピードの違いが生み出す混乱ぶりが面白い。56億7千万年

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Posted by ブクログ 2022年09月25日

「伊藤計劃トリビュート』でその名を目にして依頼気になってた作家さん。
民俗学×SFの短編集、どれもおもしろー。

特に最初の「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」とタイトル作の「アメリカン・ブッダ」が好き。前者は論文の形を採りながらリアルに架空の民族の風俗を描く切り口が新しく感じた。絶対にいないは...続きを読むずなのに、ちょっと本当にいそうな気がする。近未来にはもしかしたら。
後者は仏教とメタバースとインディアン(ネイティブ・アメリカン)を組み合わせるというウルトラC級の盛り盛り大スペクタクル。拡げた風呂敷が最後綺麗に畳まれていく展開に感動した。
「鏡石異譚」はファンタジーみのあるタイムトラベルSF。
「邪義の壁」はこの中では異色なホラー作品。オチをはっきりと書かずに読者に想像させるのがかえってゾッとさせる。
「検疫官」少し「華氏451度」や「1984年」を彷彿とさせる正統派?ディストピア小説。この本全体的にテッド・チャンみを感じたけど、この作品が一番それを感じた。

良かった。他の作品も読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2022年03月03日

好き。すごいよかった!
短編集だけど、どれもよく出来てるなーって。
少数民族とVR、最先端科学技術と民俗学、インディアンと仏教と仮想現実。普通一緒に並ばないでしょっていう意外な組み合わせが起こす化学反応ったらもう。どの話にもノスタルジーみたいなものを感じる。のは、無機質なもの、未来的なものののなかに...続きを読む、失われた(失われるであろう)情緒的なもの、文化的なものを感じるからかもしれない。そういう淡い想い出に浸る感覚になれるような、物語の美しさ。好き。
特に最後のアメリカン・ブッダがいい。お話のつくりもなかなか劇的というかロマンティックというか。現実世界→仮想現実→宇宙という展開は描写的にはスケールが大きくなっていくけど、実はどんどん個人の内面だけで完結するようになっていって、壮大なようでいて個でしかない感じ。はたまた世界(アメリカ)の危機みたいな大きな話と思いきや、2人の登場人物のプライベートな話でもあるような。個の内面で壮大な箱庭世界をつくったと思ったらそれが現実世界に繋がってる、みたいな。マクロだったりミクロだったり、精神世界だったり現実世界だったり、階層なのか円環なのか、流動的なのがまたおもしろいのかも。最後のシーンやセリフは感動してしまったと同時に、はえーそーゆーこと?!って驚きと感心が。読み終わりアドレナリンどばどばだったー。

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Posted by ブクログ 2022年01月12日

民族学SF!着眼点が面白い。

VR世界で生まれて死ぬ少数民族を描いた『雲南省スー族におけるVR技術の使用例』から始まって、人口の大多数がバーチャルに逃げたアメリカを描く『アメリカン・ブッダ』で締める構成がすごくきれいだと思った。

個人的には物語を病気として排除する『検疫官』が一番面白かった。
...続きを読むまれてから一切の物語を見出さずに生きるなんてことは不可能なのでは??それが可能なのは洗脳されてる状態なのでは??って深く突っ込むとめちゃくちゃ恐ろしい思想統制ディストピアだ……

『一八九七年:龍動幕の内』も、キャラ主体の文章が軽やかで楽しい。あとで『ヒト夜の永い夢』も読もう。

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Posted by ブクログ 2021年10月09日

雲南省スー族の話は割とリアルにあり得そうなので面白い。邪義の壁もよかった。骨が壁から見つかり、念仏を唱える話。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年08月23日

おもしろかった


雲南省スー族におけるVR技術の使用例
鏡石異譚
邪義の壁
一八九七年:龍動幕の内
検疫官
アメリカン・ブッダ


鏡石異譚
仙台の実験で記憶子の観測
未来の自分の忠告に従っていたが、記憶の書き換えに過ぎなかった

RADWIMPSのオーダーメイド
未来と過去どちらか一つを
見れる...続きを読むようにしてあげるからさ
どっちがいい?

映画インターステラー
愛は時空を超える
5次元の特異点から娘に0と1を送る



雲南省スー族におけるVR技術の使用例
VRをつけ成長、仕事、結婚
介添人
オリヴァーサックスの「色のない島へ」

鏡石異譚
邪義の壁
ウワヌリの壁は罪の上塗り
異端の排斥

一八九七年:龍動幕の内
革命家
木の上の天使を捕まえにいこう
蛍光塗料
アイス屋の少年
聖書の引用
誰でも牧師になれる
福音の天使が降臨
人間の行動を数値化し、それを解析する。
聖書の引用でなく直接的な指示を与えることで
人物の精神をコントロールできる
「海外に知音と逢う」

検疫官
空港で働く検疫官
ジョン通りのそばの病院で生まれたジョン
感染症を国内に持ち込ませない
人から人へ感染し、体よりも思想に害をなす
物語
創作物、他国の歴史、伝記、神話伝承、歌謡
文字でも絵でも音や動作でさえ
何かを訴え物語る存在
世界で唯一、物語を病気として扱う国
空港の名前こそ、物語禁止令を出した大統領の名前なのでは
想像病院に管理入院した母親の子ども
幾何数独で解いていた階段みたいな形アップステアーと名付けた
防疫作戦
ラウンジの壁の幾何学模様の落書き
少年のこれからと、この国の未来を示す物語
空港、飛行機、それを撃ち落とそうとする拳銃
波に飲まれそうな大統領官邸
それらの光景を見守る直線ブロック、ジョン通り。
仕事をやめた、物語中毒者になった、30年後
物語解放運動
死んだ最期の言葉「俺の話を聞いてくれ」
握っていた酒瓶のラベルには、就任した大統領の顔写真
空港が、アップステアー国際空港と呼ばれるようになった日のことだった

アメリカン・ブッダ
エンプティからMアメリカへの公聴会
ハトとコヨーテ
大洪水の後、仮想世界へ移住した

形而上的メタフィジカル
束の間のモーメンタリ
千年王国ミレニアム

精神的メンタル

実世界の1秒が4時間弱に相当する

仏陀の教えを伝える唯一のインディアン、アゴン族

ミラクルマンの白人の親友
インド哲学で真理を示す神様、ブラフマン
輪廻転生
因果応報

ハクトウワシはコヨーテに様子を見てくるよう命じた
水のないところを大地と呼んだ

致死性の昏睡症
経済とインフラの喪失は人間から社会を奪い、暴力が共通の通貨となった
暗くて不気味な死の波だ

六つの生き方タディ・ワドゥ
星の人々、人間、戦士、獣、精霊、悪霊

電子ペットの削除
ランダム生成の子供型AIの子
容姿の変更
貢献しない子の削除

電子ペット
亡くなった母親のAIに恋人を会わせる
子供型AI
80年前に妻とは別れた
4000年近い交際期間
アレックスと別れてから18人の相手と結婚した

攻撃
攻撃BOTの放置
クラッキング
電子資産の盗み

冷凍睡眠から目覚めるか
宇宙へ移住するか

地球型惑星で生物の進化をシミュレーション
何度やってもアメリカからインディアンを追い出す

貴方は、ブラフマンだ

よくやく私は目覚めることにした

何十億年と過ごしてきた精神時間の経験は、エンプティには持ち越せない
個人の脳では処理しきれない情報たちは、まるで夢の出来事のように断片的で、また日毎に薄れていく儚いものだった

ミラクルマン
とても可愛い人、僕の名前を覚えているかな
君の、本当の名前はミロクだ


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Posted by ブクログ 2021年05月20日

本書を通勤電車で読み始め、何度も乗り過ごしそうになった。面白い本かどうかの基準のひとつは、どれだけその世界に入り込めるかにあると思う。

ペンネームからして「柴田勝家」などという、何とも人を食ったものだが、書く内容はそれに輪をかけて愉快だ。例えは悪いけど、とても壮大なホラ話を聞かされた気分になる。あ...続きを読むまりない読書体験だった。

本短編集は正にSFの最先端。柴田さんが大学で学んだ民俗学をSFと融合させて出来上がったのがこのスタイル。他に類を見ない独特な世界観になっている。冒頭話「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」はその世界観が存分に発揮された衝撃的な作品。生まれてからずっとゴーグルをつけVRの世界で生きる少数民族の話を文化人類学風にまとめたものだ。表題作の「アメリカン・ブッダ」も面白い。大災害に見舞われた本国を捨てVRの世界に移り住んだアメリカ人に、現実世界から仏教徒であるインディアンの若者が語りかける。物語は永劫回帰のような天地創造にまで発展し、最後の一文にニヤリとさせられる。

よくもまあ、こんな話を思いつくものだと思うが、ただのアイデア勝負ではなく、その裏には膨大な取材の蓄積がありそう。とても楽しい読書だった。

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購入済み

面白い

2020年09月14日

ネットで見かけた「柴田勝家は才能の持ち腐れ、才能有り余ってる」って言葉に興味が湧いてこちらを購入。
ひとつひとつが長編になり得る題材なのに短編でまとめてしまっている。
これらの設定ひとつでどれほどのストーリーができるのだろう。
惜しみなくジャブジャブと注いだ短編集。

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Posted by ブクログ 2024年03月23日

柴田勝家…柴田勝家?!
戦国武将の?となるけど、もちろんペンネーム。
評判が良かったから読んだけど、凝ったSFだった。
私は「鏡石異譚」が好き。
未来の自分が時々「警告」をしに来てくれる少女。
人生で出会うはずの事故を回避して成長し、大人になった時に今度は幼い自分に会える。
遠野物語とSFを絡めるっ...続きを読むてアイデアが凄いし、首元のアザを見つけた時のゾッとする感じも最高!

タイトルになった「アメリカンブッダ」も面白いけど、バーチャル世界から現実に戻った時に、世界的有名人のミラクルマンが主人公を「待っていたよ」と受け入れたのがよくわからなかった。

あと、巻末の解説を有名声優の池澤春菜さんが書いていて驚いた。

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Posted by ブクログ 2024年02月11日

柴田勝家、ずっと気になってたのがやっと読めた。がっつり民俗学の雰囲気。SFで擬似数学的科学的な発想の世界観のものは多いけど歴史社会的なアプローチで語るとこういう感じになるのか、と興味深かった。設定は全てが新鮮で、スー族のVR技術、邪義の壁、アメリカンブッダあたりが展開としても面白かった。

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Posted by ブクログ 2023年12月03日

表題作をはじめ6本の短編が収められている
私の好みでは表題作であるアメリカン・ブッダが面白かった
仏教の教えを訥々と語るミラクルマンとそれを仮想世界で聴く主人公の視点で描かれている
仮想世界は現実世界と体感時間の速度が異なっており、ブッダの教えを聞きながら世界が一巡する
現実で語るミラクルマンに仮想...続きを読む世界が追いついて入れ子の構造となる
それにより現実と仮想の壁を曖昧にした幻想性を仄かに感じた

私達の現実も今あるルールや常識に確固とした礎はない
そんな当たり前を感じさせてくれた作品

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Posted by ブクログ 2023年04月18日

すっかりはまってしまった柴田勝家。短編集は「アメリカン・ブッダ」。
すべての村人がVRの中で生きている世界を描く「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」、ブラッドペリの名作(華氏451度)にインスパイアされたであろう、物語というものがすべて禁止された世界を描いた「検疫官」など尖った設定の数々で楽しま...続きを読むせてくれた。
中でも表題作「アメリカン・ブッダ」。アメリカを襲った大厄災に際し、肉体をコールドスリープし、脳から意識だけが取り出されバーチャルの世界で生き続ける人々に対し、ある日突然大災害後の世界に取り残された仏教徒のインディアンがコンタクトを取り、仏教の教えを述べる。バーチャルでほぼ不死の何不自由ない生活と、現実世界から語りかけられる仏教の教えの中で浮かび上がってくる「果たして生きるとは何か」という問い。
この人はわかりやすく哲学的な問いを投げかけてくるのが好きで、そして我々SF者の多くはそういう問いを好物としているのだけれども、この人はその問いのあぶり出し方が大変に極端(村人全員がVRゴーグルをかけていたりするのもそう)でダイナミックでわかりやすくて良い。

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Posted by ブクログ 2023年04月13日

民俗学✕SFは面白いと教えてくれた短編集。発想力の勝利。
哲学も科学も宗教も宇宙も混ざり合った世界を浮遊する楽しさが詰まっている。
著者の他の作品も読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2023年02月18日

短編ひとつ読んだ後に、ぼーっと取り留めもなく考えてしまう余韻に襲われて楽しい。民俗学の薄ら寒い感じ、VRに生きる部族、物語が病原体、で仏陀を信じるインディアン。やー面白かった!他のも読む!

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Posted by ブクログ 2023年01月07日

初・柴田勝家作品。
民族的な匂いのするSFってのは面白いな。柴田勝家、面白作家だな!

どの作品も面白かったけど、「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」が特に気に入った。
VRのR(Reality)が指すものは、一生VRゴーグルをつけた一族と、一般とではそりゃあ大きく乖離するよな。異文化・異星人交...続きを読む流モノなんだから、SF好きは好きな話だわな〜。

「鏡石異端」は、テッドチャンの「あなたの人生の物語」を想起。この感じも好き。小川一水もILCをお題に作品を書いているようなので、そっちも読みたい。

コロナ禍を経験している現代だからこそ、「検疫官」「アメリカン・ブッダ」も楽しめた。

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Posted by ブクログ 2022年07月14日

猫も杓子もポリコレだのハラハラいうこのご時世を考えると、検疫官の世界になる日も遠からずあるのかもしれない。
そう思うとぞっとする。

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Posted by ブクログ 2022年04月17日

短編集。ガチガチのSFもあれば、オカルトチックなものもある。なにより発想が素晴らしい。1話目の生涯VRヘッドセットをつけて仮想空間に生きる少数民族とか。「ヒト夜の永い夢」の主人公、熊楠先生に再会できるのもうれしいです。
表題作は、インディアン、仏教、加速された仮想世界などなどをミックスした作品。ちょ...続きを読むっと思いつかない組み合わせです。

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Posted by ブクログ 2022年03月11日

民俗学とSFの融合。技術が人々の生活に入り込んでも、根本にある人間の性質は変わらないというところが描かれている。さまざまな読み味の作品が多く、長編も読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2021年10月30日

北米全土を襲った〈大洪水〉のあと、肉体を冷凍睡眠させて精神世界に逃げ込んだ白人たちに現実世界のアメリカから〈仏教徒のインディアン〉が語りかける表題作ほか、六篇を収録するSF短篇集。


〈未来の民俗学SF〉とでも呼べばいいのか、現在や近未来の最先端技術が市井の人びとの生活にまで根づき、ハレとケに溶け...続きを読む込んで民俗学の研究対象になった世界を描いているのが面白い。かと思えば、19世紀末のロンドンで南方熊楠が人工知能の元祖みたいなマシンに遭遇したり、〈物語〉が検疫対象になった『華氏451度』みたいな国が登場したり。「邪義の壁」はド直球の民俗ホラーだし、さまざまに品を変えて楽しませてくれる。
巻頭の「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」と表題作「アメリカン・ブッダ」はどちらも現実を見ることをやめVR空間で生きることを選んだ人びとの話だが、スー族の在り方はシャマニズムの延長として肯定的に描かれ、アメリカの白人たちの在り方は現実逃避として描かれる。この二作の対比が短篇集の構成を引き締めていると思う。ミラクルマンと白人富裕層の関係性はジョン・クロウリー『エンジン・サマー』の〈しゃべる灯心草〉と天使によく似ていて、テーマ的にもオマージュかと思ったのだけどどうなのだろう。

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Posted by ブクログ 2021年10月25日

本の帯の推薦文にあるように「柴田勝家は面白い」と思わせてくれる作品集です。
デビューしたての頃の半村良さんの要素を更にポップな文体で仕上げたような気がしました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年10月21日

>「貴方が来るのを待っていたよ」

表題作「アメリカン・ブッダ」のラスト、古い友人との再会が美しくて思わずため息。

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Posted by ブクログ 2021年08月15日

『雲南省スー族におけるVR技術の使用例』のみ既読で再読だったがやはり面白い。そして、表題作の『アメリカン・ブッダ』を含む5篇も民俗学とSFの組み合わせが違和感なく、とても楽しめる内容だった。何より素晴らしいと思ったのは、池澤春菜の解説である。著者の大学の先輩なので言いたい放題だが、ここまで著者の魅力...続きを読むを言い表している解説はなかなかお目にかかれない。短篇と解説、共に満足いく内容の一冊だった。

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Posted by ブクログ 2021年05月18日

短編集。
ただ他のアンソロジーでも出てきた作品もあった。
どれも一捻りあり面白い。特にインナースペースに関連する作品が多い。

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Posted by ブクログ 2022年01月16日

柴田勝家のSF短編集。柴田勝家は初めて読んだけど、武将のような名前だなぁと気にはなっていた。いや、どれも面白い。なかでも好きなのは鏡石異譚と表題作アメリカン・ブッダ。鏡石異譚は量子加速器付近で転落した少女がその後未来の自分を見るようになる話。記憶子は未来と過去を繋ぎ、世界の記憶を作り替える。しかし現...続きを読む実は変わっていない。想像が膨らむ感じ。表題作は加速した電子世界と荒廃から復活しつつある現実世界のアメリカの話。時間はいくらでもあり、数千年単位で暮らしている電子世界は気が遠くなる。

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Posted by ブクログ 2024年03月21日

SFと民俗学の融合のような話が多い。
以下ふたつが特に好きだった。

古い実家の壁が崩れ、そこにあったものにどんどん狂わされていく『邪義の壁』。
主人公が壁に魅了され、おかしな方向に傾倒していくホラー感が好き。

物語は悪いものであり感染するものなので、物語を国内に持ち込ませないようにする『検疫官』...続きを読む
検疫官である主人公が少年と出会い、数十年後に……という話でオチがとても良かった。

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Posted by ブクログ 2023年11月04日

なにかの書評で見かけてからずっと読んでみたかった小説。
なにより作家の名前が「柴田勝家」さんというのが忘れがたくて(笑)。
久しぶりに日本のSF読んだなぁ。
仮想空間にまつわる話が多かった。
”仮想空間のSFもの”というと、ウィリアム・ギブスンの「モナリザオーバードライブ」なんかを思い出しちゃうけど...続きを読む、本作の仮想空間は、なんていうか、植物的な?穏やかな涅槃的世界観。リアルと仮想の狭間で緊迫した戦いなんてない。
モナリザの頃は、サイバーパンクなんて呼ばれてたけど、あれから40年超。仮想空間の世界はパンクから緩やかな死へ向かっているみたい。
当時はどこまでも広がる無限の空間だった電子世界は、閉塞感とともに平和すぎて死の匂いがするよう。

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Posted by ブクログ 2023年03月25日

民俗学とSFの融合、概念を覆しに来る感じ、ケン・リュウとかテッド・チャンを思い浮かべた。劣らず話もまあまあややこしいのが多く、イメージし切れないことも多々。個人的には、鏡石異譚の考え方なんか凄いなと思った。ついていけんのだけど。スー族とかアメリカン・ブッダも、同様に凄いと思いつつも若干引く程の世界観...続きを読む。あと、やっぱりSF自体が苦手かなって思い知った。

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Posted by ブクログ 2022年10月26日

民俗学×SFは面白い視点だなぁと思って読んだ。でもどっちも分野×分野なので、物語の中でそういうものを読者に分かるよう説明しつつ掛け合わせるのは難しいことだなぁと表題作読みながら思いました。
「雲南省〜」と「検閲官」、表題作の「アメリカン・ブッダ」が好き。個人的には最後に驚きや伏線回収がもたらされる話...続きを読むが好きなんだけど、そういうものは少ないように感じた。

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Posted by ブクログ 2021年11月18日

民俗学SFが6篇。人々が人口冬眠して意識だけVR世界に移し平和に暮らしている世界に、リアル世界からブッダの教えを説くインディアンが語りかけると大混乱。最後は「百億の昼と千億の夜」を思い起こさせる壮大な展開になっていきます。

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Posted by ブクログ 2021年09月26日

『アメリカン・ブッダ』は2回読んだら良かった。
常に分断は発生し同じ方向に進化は進むということや、悟りが中庸にあるということは2回目の方がすんなり入ってきた。

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Posted by ブクログ 2021年10月24日

「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」★★★★
「鏡石異譚」★★★
「邪義の壁」★★★
「一八九七年:龍動幕の内」★★★
「検疫官」★★★
「アメリカン・ブッダ」★★★

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