【感想・ネタバレ】ニルヤの島のレビュー

あらすじ

人生のすべてを記録し再生できる生体受像(ビオヴィス)の発明により、死後の世界という概念が否定された未来。ミクロネシア経済連合体(ECM)を訪れた文化人類学者イリアス・ノヴァクは、浜辺で死出の船を作る老人と出会う。この南洋に残る「世界最後の宗教」によれば、人は死ぬと「ニルヤの島」へ行くという――生と死の相克の果てにノヴァクが知る、人類の魂を導く実験とは? 新鋭が圧倒的な筆致で叙述する、第2回SFコンテスト大賞受賞作。

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Posted by ブクログ

本年六冊目の柴田勝家作品、クロニスタの次に書かれた作品とのことだが、共通のポイントが色濃く出ており、初期柴田勝家を掴む素晴らしい読書体験になった。いくつもの物語が組み上がる様は凄まじいカタルシスをもたらしてくれた。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

自分の好みにバッチリはまった。人間の行動は、思想は、何に起因するのか、そういう概念と死後の世界や生体による計算、通信の技術が、違和感なく扱われているのが良い。
構造も特殊で、この先に何があるのか、現実、現在は何なのか、ハラハラしながら読めた。
201114

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2020年11月15日

Posted by ブクログ

4つのエピソードがシャッフルされ、終盤に近づくにつれ段々と一つに繋がっていく。

主体も時系列もバラバラなエピソードの断片を四次元的に組み上げながら世界観を理解するという、能動的読書が楽しめる。

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2019年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

――

 まじで柴田勝家、本名だと思ってましたすんません。


 面白かった、と云うにはあまりにも問題提起が多すぎて、読後感を正直に書くなら「混乱」。それも、物語が入ってこなくて混乱してるのではなく、全部受け止めた上で混乱している。
 だいたい小説ひとつ読み終わったあとって、大なり小なりその作品の中で描かれていたことに対する持論、というか立ち位置、スタンス? そういうのがある程度定まっていて、なんかまぁあのひともこのひとも恋しい、みたいなことはあるにしても概ね言葉にできるものなのだけれど…
 これは…うーむ。

 読んだよ、ということだけを記すレヴュになってしまう。本当にまだまだ言葉が、足りない。それとも信仰が足りないのか? 立脚点が無いんだな。ふーむ。

 それでも☆3.9くらいはある。じっと、コアになる部分に繰り返し、死生観を問い掛けられる作品。

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2022年06月18日

Posted by ブクログ

「誰も気にしないのだな。人が一人死んだというのに」
「気にしていない訳じゃなくて、既に気にし終えたんですよ」

お笑いや政治など全ての事柄でもそうですが、
ある程度背景知識など詳しくないと楽しむことができないものがあります。

記憶を取り出せるようになることで、「死」がなくなる。
SFを読むために、さまざまな知識を得ようと感じました。

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2021年12月06日

Posted by ブクログ

SF ×宗教という組み合わせ。
我々も正直 死後の世界については うっすら信じてるか信じてないかくらいなものだと思うけど、「科学が進歩して死後の世界が完全に否定されたらどうなるのか?」「SF的な観点から見る死者の国とは?何故 人類はそれを必要としたのか?」という感じの作品。
読み応えある作品でした。時系列が作品の根本設定としても入り乱れてるので読み返し必須。


“{ミームとは即ち、人間の持つコーデックなんだ。人はあらゆる文化事象をコード化し、自身の脳内にあるミラーニューロンにおいて接続する。接続された文化事象は、個人の行為となってデコードされる}”

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2019年02月23日

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伊藤計劃感に文化人類学をミックスした感じ?話の並行数と時間のズレで若干頭がこんがらがるけど、収束していくときのカタルシス的なのはよい。

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2017年09月17日

Posted by ブクログ

天国や地獄を信じてるわけではないですが、概念のしての死後の世界は確かにすり込まれている。そういった死後の世界が否定された世界という発想がまず面白い。
やや概念的な話になることと、章立てが断片化されていて人も時代もころころと入れ替わるので、全体像をつかむのが難しい小説です。読み応えは十分。

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2016年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時間跳躍があって一人称の複数視点なの読みにくいなぁと思っていたけど、ラストで複数の視点が統合されていく様が堪能出来たから満足。土着の湿度と、コンピュータの演算が人を動かす感じとが入り交じる生々しさもよかった。

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2023年02月25日

Posted by ブクログ

意識をコンピュータやネットに移して不死になるという話はたくさんありますがこれはユニークではないかと思います。でも、そのやり方だと再生できるのは生まれてから死ぬまでの間のはずなので、永遠にループするの?などと少し疑問も。

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2021年11月18日

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これほどまでに巻末の解説をありがたいと思った本はないのではなかろうか。
この作品がSF好きの人達にとって傑作とされているのだとしたら、自分にはSFを楽しむための素養が決定的に足りていないんだなと教えてくれたような一冊。SFを楽しむためには、社会構造に興味がないとダメなんじゃないだろうか。
作中でどんなことが起きて、どんな仕掛けがあって、ラストにどんなカタルシスが用意されているのか、を雰囲気で感じ取ることこそできたものの、文系育ちの自分には「なんとなく」でしか意味を捉えきれていない単語がそこかしこで飛び交っているので、それを全部理解できたらきっともっと楽しめるんだろうなぁ……と思いつつ、そこを楽しむための努力をする時間はきっと他のことに使うべきなんだろう。少し寂しい。
作品としての完成度で言えばきっと星5つ。個人的に楽しめたかどうかと言われると星1つ。間をとって星3つです。

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2019年09月22日

Posted by ブクログ

何か見えない大きなモノ。
でもそれは個々の人がもつ小さなモノの集合体。

(以下抜粋)
○喩えるなら、一度読んだことのある本を、あえてバラバラに読み直すようなものだ。ただ違うのは、読んだことがあるという意識があるだけで、実際には次の場面を想像することはできない。(P.12)
○つい落ちた夢を見たから筋肉が反応したかのように因果関係を結んでしまうが、実際はまず筋肉の動きがあって、そこから目を覚ますまでの僅か数コンマの間に脳が夢の中で、筋肉が動いた理由を映像として再現するんだ。(P.277)

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2017年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2017.05.20
2回目。時系列を書き出しながら再読。

死ぬ間際に真の安らぎを得るには、天国を確信すること。
強く広く伝播することを指向するミームが「ニルヤの島」という死者のための国を新たに「実存」させる。他者への不理解と断絶を乗り越えた海の向こうにこそ永遠があると「確信」することで生死の差異は無効化される。
航海士の役目は入れ替わった。乗り物としての役割が終わり、進化の終着に辿りつく。ニルヤの島で、きっとすべてはゆるやかに停止する。
船頭が導いた先で涙を流すのは、不理解も断絶も、愛さない理由にはならないからだろう。

2016.11.14
一回目。
あ、これ二回読んで完成するやつだ。

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2017年05月20日

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