柴田勝家のレビュー一覧

  • デッドマンズショウ 心霊科学捜査官

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    心霊科学が発達し犯罪捜査にも使われるようになった日本を舞台にした特殊設定ミステリ。怨霊や憑依と言った超自然現象も一定のルールに従うので、ロジックに取り込める。ただ、そうした心霊科学の設定が細かすぎ、読者の側に伝わりにくいので本気で犯人当てをするのは少し難しいかも知れない。終盤で怪異の謎がロジカルに解き明かされる、ミステリ的展開を持つホラーだと思った方がいいかも知れない。それでもロジックは緻密で真相は意外で凄惨。愉しい。

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    2023年04月24日
  • 走馬灯のセトリは考えておいて

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    人文科学系SFの泰斗、柴田勝家氏によるバラエティ豊かな短編集。現実と非現実、本物と偽物、生者と死者、といった文化的な対立項を巧みに活かして一つの作品にまとめ上げる、氏の手管の技を堪能できる一巻です。

    表題作が巻の3分の1ほどを占め、作者的に最も力を入れた作品だろうと思います。・・・が、鴨的には主人公の2名のどちらにも感情移入することができず、ちょっといまいちな感じ。それよりも、前半に納められた洒脱で知的好奇心に溢れる軽い作品の方が、楽しく読めましたね。
    人によって好き嫌いの出る作家さんだと思います。今の日本SFシーンにおいて貴重な作風だと思いますので、これからも期待しています。

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    2023年04月12日
  • アメリカン・ブッダ

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    民俗学とSFの融合、概念を覆しに来る感じ、ケン・リュウとかテッド・チャンを思い浮かべた。劣らず話もまあまあややこしいのが多く、イメージし切れないことも多々。個人的には、鏡石異譚の考え方なんか凄いなと思った。ついていけんのだけど。スー族とかアメリカン・ブッダも、同様に凄いと思いつつも若干引く程の世界観。あと、やっぱりSF自体が苦手かなって思い知った。

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    2023年03月25日
  • ニルヤの島

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    ネタバレ

    時間跳躍があって一人称の複数視点なの読みにくいなぁと思っていたけど、ラストで複数の視点が統合されていく様が堪能出来たから満足。土着の湿度と、コンピュータの演算が人を動かす感じとが入り交じる生々しさもよかった。

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    2023年02月25日
  • アメリカン・ブッダ

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    民俗学×SFは面白い視点だなぁと思って読んだ。でもどっちも分野×分野なので、物語の中でそういうものを読者に分かるよう説明しつつ掛け合わせるのは難しいことだなぁと表題作読みながら思いました。
    「雲南省〜」と「検閲官」、表題作の「アメリカン・ブッダ」が好き。個人的には最後に驚きや伏線回収がもたらされる話が好きなんだけど、そういうものは少ないように感じた。

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    2022年10月26日
  • スーサイドホーム

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    ネタバレ

    『アメリカン・ブッダ』の作者さんらしいホラーだなぁと思いつつ完読。

    民俗学と深く結びついている呪詛をうまく使われているなぁと感心!

    信じてないよ! と言いながら私たちはそうした風俗にがんじがらめになっていたりするんだよね。

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    2022年05月06日
  • 本格王2021

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    【収録作品】「コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎」笛吹 太郎/「弔千手」羽生 飛鳥/「顔」 降田 天/「笛を吹く家」 澤村 伊智/「すていほぉ〜む殺人事件」 柴田 勝家/「犯人は言った。」倉井 眉介/「アミュレット・ホテル」方丈 貴恵
    つまらなくはない。でも、これがトップクラスの短編だと言われると…… 「アミュレット・ホテル」は、既視感があるものの、連作でまとまったら読んでみたいと思える。続きあるかな。

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    2022年01月15日
  • アメリカン・ブッダ

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    民俗学SFが6篇。人々が人口冬眠して意識だけVR世界に移し平和に暮らしている世界に、リアル世界からブッダの教えを説くインディアンが語りかけると大混乱。最後は「百億の昼と千億の夜」を思い起こさせる壮大な展開になっていきます。

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    2021年11月18日
  • ヒト夜の永い夢

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    作中、南方熊楠は、世界は「物」と「心」が掛け合わさって「事」が生じると論じています。ウランは自然にも崩壊していきますが、連鎖反応は人の心が作用しないと発生しないですよね。いつかは心が物理でフォローされるようになるんでしょうか。

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    2021年11月18日
  • ニルヤの島

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    意識をコンピュータやネットに移して不死になるという話はたくさんありますがこれはユニークではないかと思います。でも、そのやり方だと再生できるのは生まれてから死ぬまでの間のはずなので、永遠にループするの?などと少し疑問も。

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    2021年11月18日
  • ヒト夜の永い夢

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    ネタバレ

    昭和初期。千里眼研究で世を追われた福来友吉に誘われ、「昭和考幽学会」なる怪しい研究者の集まりに参加することになった博物学者・南方熊楠。かつて英国留学中に出会った親友の孫文が遺した「人の動きを計算する機械の〈設計図〉」と粘菌が結晶化した人工宝石の力によって、悲願である少女型アンドロイド〈天皇機関〉を完成させた熊楠たちは今上天皇にその姿をお披露目しようと画策するも、実は学会内部に別の目的を持った裏切り者が紛れ込んでいて……。粘菌AIを中心に据え、熊楠をはじめとして宮沢賢治や江戸川乱歩、北一輝に石原莞爾らの運命が絡まり合うSF伝奇小説。


    破天荒な熊楠おじさんを主人公に、粘菌でできた人工知能という

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    2021年11月03日
  • アメリカン・ブッダ

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    ネタバレ

    「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」★★★★
    「鏡石異譚」★★★
    「邪義の壁」★★★
    「一八九七年:龍動幕の内」★★★
    「検疫官」★★★
    「アメリカン・ブッダ」★★★

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    2021年10月24日
  • ゴーストケース 心霊科学捜査官

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    出だしのホラー感とか主人公の描写とか良かったんだけど、そもそもの世界設定で科学的に心霊現象が解決されている設定だと、さて、どう感じるべきか迷いますね。(^^;
    一応、ホラー要素有りの推理小説だけれど、そう怖くないし、かといって推理小説として目新しいかというと、それもちょっと疑問。
    オリジナリティはあるけれど、素直に楽しめない感じとでも言いましょうか。
    この手のからくりに慣れていない人なら楽しめるとは思いますが。(^^;

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    2020年10月11日
  • ヒト夜の永い夢

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    SF物は久しぶりに読んだ。南方熊楠が主人公。1860年〜1910年位までの実在の有名人がわんさか登場。2.26事件も絡み、最終対決の北一輝と南方熊楠との闘いは…という話。死体を使った生き人形を製作するまでには、たくさんの人が絡む。最終目的は違っても意思を持つ人形製作の情熱は本物。宮沢賢治、江戸川乱歩も登場。昭和初期に詳しい人ならより楽しめそう。

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    2020年05月04日
  • ゴーストケース 心霊科学捜査官

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    色々なジャンルでマンガのようにキャラクター性の強い作品が増えてきているけど、これもなかなかだった。土佐弁で陰陽師で捜査官の主人公。だけど思考は割と常識的だから、同僚の捜査官たちのアクの強さがまあ目立つ、目立つ……。
    カルト宗教マニアで、あらゆる宗教団体からブラックリストに入れられてるキャラなんて、自分は一生かかっても思いつかないだろうなあ。

    この小説はいわゆる特殊設定のミステリです。“霊子”や"怨素”などといった人間の精神から発せられる原子など発見によって、霊現象や祟り、呪いが科学捜査にも使われるという設定。
    だから主人公である陰陽師の御陵(みささぎ)も捜査官の一員で、警視庁にも心

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    2020年04月15日
  • ゴーストケース 心霊科学捜査官

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    初めましての作家さん。
    幽霊が科学的に解明されている世界。
    霊子科学(リョウシカガク)が発達して、高校くらいなら知っている事。
    心霊科学捜査研究所(略して霊捜研)の心霊科学捜査官っていうのが
    新しい。しかも陰陽師!
    そんな世界だから警視庁には死後犯罪撲滅キャンペーンとか
    幽霊との遺産相続問題とか、防霊スプレーとか漢方とか
    幽霊が商業利用されている。
    ≧(´▽`)≦アハハハハハ・・・
    一風変わった捜査の結果、浮き上がって来たのは
    あまりにも切ないアイドルの真実
    まぁ感動まではいかないまでも、楽しめました。

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    2019年12月18日
  • ヒト夜の永い夢

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    予想外にこれも波動関数SFで、仏教の”因縁”で波動関数が収束するというストーリー。 宮沢賢治等、実在の人物が作中に出てくるのが面白い。しかしながら、登場人物のほとんどが男性で、その男性たちが少女の死体からオートマタを作るという流れにはアリガチ感が否めないのと、その罪に無自覚なのがまたアリガチ。なんでオートマタって大体少女の形態なんですかね…

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    2019年11月20日
  • ニルヤの島

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    これほどまでに巻末の解説をありがたいと思った本はないのではなかろうか。
    この作品がSF好きの人達にとって傑作とされているのだとしたら、自分にはSFを楽しむための素養が決定的に足りていないんだなと教えてくれたような一冊。SFを楽しむためには、社会構造に興味がないとダメなんじゃないだろうか。
    作中でどんなことが起きて、どんな仕掛けがあって、ラストにどんなカタルシスが用意されているのか、を雰囲気で感じ取ることこそできたものの、文系育ちの自分には「なんとなく」でしか意味を捉えきれていない単語がそこかしこで飛び交っているので、それを全部理解できたらきっともっと楽しめるんだろうなぁ……と思いつつ、そこを楽

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    2019年09月22日
  • ヒト夜の永い夢

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    ネタバレ

    主人公が南方熊楠の帝都物語という印象。機関の出てくるシーンや幻想現実入り乱れる辺りは動画や映像で見たいなと思ったけれど、嘔吐脱糞シーンも多いのでやっぱり嫌だな。

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    2019年07月14日
  • ヒト夜の永い夢

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    ネタバレ

    柴田先生の魅力はわちゃわちゃ感にあるのではないかと感じた。それは今作で言えば天皇機関の見せる夢のわちゃわちゃ感、二・二六事件のお祭り騒ぎにおけるわちゃわちゃ感、『ニルヤの島』終盤のわちゃわちゃ感。彼の仕掛けるSF的なギミックによりあらゆるキャラクターや世界が翻弄されていく、その様に「生」を感じる。SF的ギミックそれ自体よりも、それを人々がどう受け入れていくのかに真髄がある。

    本作に関しては惜しいかな、と感じた。非常に魅力的でドッタンバッタンなエンターテイメントとして楽しくは読めたが、1本のSFとしてはまとまりきっていない印象を受ける。天皇機関、という踏み込んだものを作成したはいいが、そこまで

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    2019年05月27日