本書では、著者がマッキンゼー時代を通して学んだという「リーダーのあるべき姿」が描かれている。
まず、そもそもリーダーの仕事とは何か。
優秀なプレイヤーだった人が、マネージャーを任された途端に成果を上げられなくなる、ということは多い。
それは、プレイヤーとマネージャーでは求められるものが違うからである。
プレイヤーのやるべきことは、上司の指示の範囲内で、それを上手くこなすこと。
だがマネージャーがやるべきことは、部下を使って成果を上げること、つまり「部下を活かす」ことである。
よくある失敗例に、リーダーが部下と張り合ったり、ましてや「自分でやったほうが早い」症候群に陥ってしまうというものがあるが、それではいけない。
リーダーは部下を活かすことに最大限注力すべきであり、それがリーダーがやるべきたった一つのこと、とも言える。
では、部下を活かすとはどういうことか。
まず最初に、部下の信頼を得ること。
これがマネージャーをやる上での第一歩である。
そして信頼を得るためには、ズバリ部下の話をしっかり聞くこと。
相手から信頼される最も簡単で効果的な方法だが、これが出来ない人が実に多い。
話をしっかり聞くための要点は3つ。
一つは、話を遮らず、決めつけず、最後までちゃんと聞くこと。
上司が早わかりして「はいはい、こういうことだろ?」と話を打ち切ることほど、部下を苛立たせるものはない。
社会人になると、言いたいことを最後まで聞いてもらえる機会はあまりない。
なので多くの場合、その体験に感動し、部下は信頼してくれるようになる。
次に、相手に聞いてもらう姿勢が伝わるようにすること。いわゆるアクティブリスニングである。
身を乗り出して、頷き、「なるほど」「そうだね」等の感想を言うようにする。
日本人にはこの手のアクションが苦手な人が多いが、自分の気持ちに嘘をつかない程度に言葉にしていく。
3つ目は、疑問があったらその場で質問すること。
最後にまとめて質問しようとすると、疑問点が有耶無耶になってしまうことが多い。
逆にその場ですかさず質問するようにすれば、自分自身の納得感が高まり、相手も「聞いてもらえてる感」が得られる。
さらに、良い質問をすれば、「我が意を得たり」と相手の話をより引き出すことが出来る。
部下の信頼を得たら、次のステップは、部下を成長させること。
リーダーを任されたときに、チームメンバーが全員優秀で最初からモチベーションも高い、なんてことはまずあり得ない。
優秀でない人も、モチベーション低い人も、マネジメントして活躍できるようにしていく。
そうでなければ、部下を活かして大きな成果を上げることはできない。
部下を成長させるためには、丸投げは絶対やってはいけない。
「丸投げしないと人は育たない」「自分はそうやって育った」等と言う人もいるが、これは全くの誤りである。
事実、外国人に丸投げをすると、即座に転職されてしまうこともあるという。そのくらい時代錯誤と言える。
かと言って、手取り足取り、隣に張り付いて全てを見守る、というのも違う。
リーダーの貴重な時間を、たった一人の部下の育成だけに使い切るわけにはいかない。
効果的に、しかし効率よく、部下を導く必要がある。
部下を育てるコツは2つ。
一つは、最初にアウトプットイメージを渡すこと。
例えば書類作成なら、表紙・目次・章ごとのページ数・各ページの内容等の、イメージだけを30分程度で書き上げ、それを部下に渡す。
そして一度最初から説明した上で、これをガイドラインとして書類を作成してもらう。
あとは毎日ミーティングをして、進捗を確認するだけで良い。
これならゴールとやることが明確なので、毎日のミーティングも15分程度で済む。
また部下だけでなく、上司も鍛えられる、よいマネジメント方法と言える。
書類作成以外にも、様々に応用が効くだろう。
もう一つのコツは、育成方針を一緒に作ること。
まずは長所、成長課題(短所)、取り組み内容、支援内容を、上司がまとめ、一度叩き台を作る。
そして本人のフィードバックを経て、一緒に取り組み内容を決める。
あとはこれも定期的にミーティングをして、進捗確認をすれば良い。
その際には、長所はできるだけ具体的に、多く出したほうが良い。
人は自信を付けながらでしか、本当の意味で成長はできない。
褒められたからといって、気が抜けたり怠けたりすることはない。どんどん褒めるべきである。
もし部下の長所が思いつかない時は、それは部下への関心が足りていない証であろう。
逆に成長課題は、やれることには限りがあるので、重要なもの数個に絞る。
加えて、勇気を持って、しっかり伝えることを心がける。
日頃パワハラをするような理不尽な上司でさえ、不思議と短所の指摘は出来ないことが多い。
だが本人が自覚しなければ、成長しないどころか、このままで良いと勘違いされてしまうことすらある。
遠慮せず、かつ本人も納得感が得られるように、ちゃんと伝えるようにする。
本書の物語は、「マンガでわかる! マッキンゼー式ロジカルシンキング」からの続きものとなっている。
そちらがためになったので読んでみたが、こちらも十分、読んだ価値はあった。
また本書には上記以外にも、会議の仕切り方や、プロジェクトから外すべき人物など、極めて現実的なケースへの知見もある。
リーダーになった人は、読んでおいて損はない本だろう。