木村草太のレビュー一覧
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p.23-p.26
憲法とは「過去に国家がしでかしてきた失敗のリスト」
「国家権力の三大失敗は、『無謀な戦争』『人権侵害』『権力の独裁』」
「こうした三大失敗を踏まえて、無謀な戦争をしないように軍事力をコントロールしよう、人権侵害を防ぐために大事な権利をあらかじめ示しておこう、独裁にならないように権力を分立したら民主的にコントロールしよう、というルールを憲法に書き込んだのが、立憲主義の憲法」
「ですから、立憲的な意味の憲法では、軍事統制、人権保障、権力分立が三つの柱」
国家批判は抽象論ではなく、具体的に。
夫婦別姓の問題は「男女差別」ではなく「法律婚と事実婚の差別」として戦う。
辺野古基地移 -
Posted by ブクログ
本のタイトルにあるように、日本に今後戦後80年は
くるのかという議題で、現政権を中心に批判する
下記の講義集
内田樹氏ー比較敗戦論
東浩紀-本と新聞と大学は生き残れるか
木村草太-集団的自衛権問題とはなんだったのか
山室信一-戦後が戦前に転じるとき
上野千鶴子-戦後日本の下半身
河村小百合-この国の財政・経済のこれから
姜尚中-総括講演
このなかでも、山室信一氏、上野千鶴子氏、河村小百合氏の
3本がとても興味を引きました。
どれも、日本が破綻し、または戦争の道に進むのでは
ないかという潜在的な恐れを感じる内容です。
支持率は高いですが、本当に今の政権でいいのでしょうか?
他人事ではないような -
Posted by ブクログ
「私は この小説を書くときに、読んでくださる人が小学六年生までの漢字を読む力があれば読んでもらえるものと思ってこの作品を書き始めました」
と「氷点」を書いた三浦綾子さんがいってらっしゃいました。
この本の中で出張授業をされる先生たちは
もちろん、その道のプロフェッショナルの方たちです
そして、聴いている対象者たちは 中学生、高校生たち
その語り口が そのまま 一冊の本にまとめられました
その「語り口」を読んでいて
冒頭の三浦綾子さんの言葉を思い起こしたのです
本当の専門家は
ただ感心させるだけでなく
それなら 僕も(私も) 何かやってみよう
そんな気にさせてくれる方なのです -
Posted by ブクログ
社会学者大澤真幸さんと憲法学者木村草太さんの対談で、新書ということもあり、ライトな語り口、難解なところなど全く無く、余り本を読まない人でもすんなりと一気に読めるだろう。
大澤さんのいつもの心理学的な視点や独特のキーワードも冴えており、本書では特に中核となる「法の支配/人の支配」という二項対立を提起し、一貫して言及される。
日本人にはいまだに「法の支配」という近代社会の原則がなじめない。「法」を外部からの介入としてしか感じ取れないのだ。その上、戦争の責任者を結局うやむやにして過ごしてしまった点、ドイツとは真逆である。日本人は自らが引き起こした戦争を、あたかも天災か何かのように、まるで自分たちが被 -
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対談本という性質上、ある事柄について体系的な知識を学べるというようなものではなかったが、憲法学者と社会学者が、特定のテーマについてそれぞれの専門分野からの知見を述べ合っており、刺激的な内容だった。政治や法律に関心のある人なら何かしらの考えるヒントが得られるはず。
個人的にこれはと思った部分を以下に引用する。
木村「憲法研究者ではない一般の人から見れば、憲法というのは国の物語の象徴としての役割のほうが重要なのではないかと思います。それがどのよに誕生したのかという物語と不可分に結び付いている。……ところが、日本国憲法の場合には、大多数の国民が共有できるような、よりどころとしての具体的な歴史的物 -
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社会学者大澤真幸先生と憲法学者木村草太先生の対談をまとめたもの。
そもそも、法の支配とは何か?
法に書かれているものは絶対神の言葉であり妥協が存在しないイスラム教。法の上に皇帝が君臨し、法を支配する中国。そして、人間が法を作り、その法に人間が支配されるという形での法の支配。
日本国憲法の成立、意義、そして国民感情の成り立ちなど鋭い切り口で明快に分析される。
具体的各論についても、非常に明解である。集団的自衛権はなぜ違憲か、そしてあるいみ明確に違憲である自衛隊の存在と、生存権の関係。法解釈についての議論など、非常に面白く、また気づかされることが多い。
憲法について考えるということだけでなく、法と -
Posted by ブクログ
ネタバレあとがきに
素朴な議論に飛びつかず、難しい問題を知恵を絞って考えることには価値があるし、広く深い検討をし、精密な法概念を積み重ねて結論を出すことは、とても楽しいことである。
本書では、立憲主義・権力分立・人権保障・平和主義・改正手続と、憲法のほぼ全体系を見渡しながら、このことを強調してきたつもりである。
というわけで、本書では、「分かりやすい」素朴な議論に飛びつくことの問題をしてきした。
とある。
分かりやすいスローガン、素朴な議論がいかに問題か、ということが繰り返し指摘されている。「分かりやすい議論」には、つい納得されがちだし、また自ら「分かりやすい理由」を見つけて分かったつもりになってい