木村草太のレビュー一覧
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社会学者大澤真幸先生と憲法学者木村草太先生の対談をまとめたもの。
そもそも、法の支配とは何か?
法に書かれているものは絶対神の言葉であり妥協が存在しないイスラム教。法の上に皇帝が君臨し、法を支配する中国。そして、人間が法を作り、その法に人間が支配されるという形での法の支配。
日本国憲法の成立、意義、そして国民感情の成り立ちなど鋭い切り口で明快に分析される。
具体的各論についても、非常に明解である。集団的自衛権はなぜ違憲か、そしてあるいみ明確に違憲である自衛隊の存在と、生存権の関係。法解釈についての議論など、非常に面白く、また気づかされることが多い。
憲法について考えるということだけでなく、法というものはなにか?法を運用するということはどういうことかなど、法治国家で生活し、法律を使用して仕事をしている私たちには非常に参考になる本だと思いました。 -
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<目次>
はしがき 憲法を創る
序章 憲法とは何か?
第1章 君が代不起立問題の視点ーなぜ式典で国歌を 斉唱するのか?
第2章 一人一票だとどんな良いことがあるのかーク イズミリオネアとアシモフのロボット
第3章 最高裁判所は国民をナメているのか?-裁判 員制度合憲の条件
第4章 日本的多神教と政教分離ー一年は初詣に始ま りクリスマスに終わる
第5章 生存権保障の三つのステップー憲法25条1 項を本気で考える
第6章 公務員の政治的行為の何が悪いのか?-国 民のシンライという偏見・差別
終章 憲法9条の創造力
文献案内
<内容>
実際の憲法問題の判決を基に、「憲法とは何か?」を問うた本。若き憲法学者の意気込みが伝わる良本。第9条の問題は別の本にあるが、政教分離や公務員の政治行為、憲法25条の「社会権」、そして裁判員制度、その良心による鋭い分析が見事である。 -
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ネタバレあとがきに
素朴な議論に飛びつかず、難しい問題を知恵を絞って考えることには価値があるし、広く深い検討をし、精密な法概念を積み重ねて結論を出すことは、とても楽しいことである。
本書では、立憲主義・権力分立・人権保障・平和主義・改正手続と、憲法のほぼ全体系を見渡しながら、このことを強調してきたつもりである。
というわけで、本書では、「分かりやすい」素朴な議論に飛びつくことの問題をしてきした。
とある。
分かりやすいスローガン、素朴な議論がいかに問題か、ということが繰り返し指摘されている。「分かりやすい議論」には、つい納得されがちだし、また自ら「分かりやすい理由」を見つけて分かったつもりになっていることもある。事に則して丁寧に考えることが大事だと思った。
「押し付け憲法論」についての議論で、背景に敗戦の屈辱の物語があることを指摘。『雨月物語』の『白峯』を引き、西行が「いかにせん」の気持ちは自らが乗り越えなくてはならないものだ、と諭したことを紹介する。
”スジが通らない議論は、スジが通らないと論難し、「押し付け憲法論」を突き放さなければならない。しかし、それだけではいけない。あなたなら、スジの通らない議論に拘ってしまう浅ましい気持ちを乗り越えることができるはずだ、と尊敬を示す。”として、「押し付け憲法論」者とのコミュニケーションを促している。
確かに、この「屈辱の物語」を克服しない限り、いかに論理的に説いても、繰り返し、手を変え品を変えて改憲論が起きてくるだろう。
随所の挿入される著者独特の、やや荒唐無稽なたとえは、いささか「やり過ぎ」感がある。たとえを使うことで、状況が鮮明になるところもあるが、概ね、無くても理解できる。 -
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≪目次≫
序章 日本国憲法の三つの顔
第1章 憲法の価値を噛みしめるー国家を縛るとはど ういうことか?
第2章 日本国憲法の内容を掘り下げてみるーいわゆ る三大原理とは何を語っているのか?
第3章 理屈で戦う人権訴訟ー憲法上の権利はどう やって使うのか?
第4章 憲法9条とシマウマの檻ーどのように憲法9 条改正論議に臨むべきか?
第5章 国民の理性と知性ー何のための憲法96条改 正なのか?
終章 日本国憲法の物語ー事を正して罪をとふ、こ とわりなきにあらず。されどいかにせん
≪内容≫
若き憲法学者の本。とてもわかりやすかった。たとえ話も上手く使われているし、何より不勉強の私に、憲法の本質と現在の論議の争点(自民党の憲法への理解のなさ)がよくわかった。
①三権分立の意味と三大原理との違い
②「人権」の話
③9条の意味=外交宣言であり、諸外国に信頼を得るためのもの
④憲法改正論議の稚拙さ
⑤現憲法のできるまでのお話と改正論者の論点の稚拙さ -
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日本国憲法のメッセージをわかりやすく説いてくれるいい入門書だと思う。
諸外国から日本は立憲主義でなく立憲君主制だと思われている。日本国憲法は国民の権利ではなく、天皇を守る為に立憲したものになっている。日本は天皇制をどうするという議論をしないままの「慣性の天皇制」になっている。日本は国体に固執したし、他の国は反対はしたもののアメリカは天皇制を維持する方が、日本を制御しやすいと見抜きこのような形になった。
ただ、日本国憲法がGHQからの押し付け憲法かといえばそうとも言えない。日本側の意見も反映されている。
奥平氏は立憲主義とは国家の問題、民主主義というのは社会の問題。ジョン・ロールズは「民主主義的な立憲主義」を気に入って使っている。
「すべての人間を尊重することこそが民主主義であっての根幹であって、全員が政治決定に参加することが民主主義ではない。」p.87ということはまず第一に国民一人一人の基本的人権の尊重があって、次に憲法は国家を縛るものという順番になる。
少なくとも今の日本国憲法は平和な国をつくるというメッセージがある。自民党の憲法改正案はどのような国にしたいというメッセージが無く、改憲することが目的となってしまっている。また集団的自衛権についても、独自の平和憲法をもつ日本が常任理事国すること貢献していこうという考え方ではなく。軍備を強くして常任理事国に認めてもらおうという他国に合わせた思考になってしまっている。
憲法は国がどうありたいかを国の内外にそれを示すものだ。憲法くらいの文章でなら日本の理念はしっかりと語れる。憲法はそこ向かっていく為の大きな目標なのだから、理想でいい。ただ「美しい国」というようなあまりにも詩的な言葉で語ることは意味が無い。集団的自衛権はどう結びつくのかわからない。 -
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ネタバレ木村草太氏の憲法入門書。君が代の不起立問題・一票の格差問題などなどホットな話題から、日本人の宗教観・憲法9条などの根深い問題までさまざまな課題を扱っている。一見関係ない無駄話のように見える話題が導入に書かれており難しい憲法の話題にすんなりと入っていけた。
団体とは、要するに、共通の「ルール」に従う「人の集まり」である。「ルール」と「人」の二大要素のうち、「ルール」は頭の中にしかないが、「人」は目に見えるし、触ることもできる。団体の「正体」を、「ルール」だと見るのが擬制説、人間という「実在」だと考えるのが実在説だが、団体の「正体」などという怪しげなものを観念する必要はなくて、擬制説と実在説は同じものを右から見るか左から見るかの違いにすぎない、と評価するのが筆者の立場である。
経験により検証できない性質の事実認識を「宗教」と呼ぶのである。
ボーアの蹄鉄 ある人が宗教を「信じていない」といったからといって、その宗教を行動の前提としていないとは限らない。
などなど参考になる文章が多数 -
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憲法改正問題が取り沙汰されている中、平易で読みやすく、現実的な問題を憲法を通じて解説してくれる良著だと感じた。作者を変えて、何冊か読み、自分なりの考えを持つべきなのだろう。
著者は引用する。憲法は終わりの無い仕事であると。
自衛権の行使以外に武力を行使してはならない、というのは、憲法第9条以前に、現在国際法の大原則である。9条の内容というのは、それが守られるような、国内外の状況を作っていかなければならない、という意義そのものなのだと。
現在の憲法があるのが当たり前のように感じているが、その存在意義を改めて考えることは、現在の国の成り立ちを考えることでもある。 -
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最近何かと喧しい「憲法」周辺。この本は特に改憲の是非に議論を絞ったものではないが、憲法をめぐる諸問題に触れながら、国家のあり方を議論するうえでのベースとなる考え方のいくつかを示してくれている。
この本の特徴としては、君が代不起立問題や公務員の政治活動等の憲法上の問題について重要なファクターを抽出し、これをより卑近な例に置き換え、その場合に生ずる不都合からより根源的な論点を照射する方法が多く取られていること。例えば、
・君が代を否定する思想をもつ公務員にその斉唱を強要する行為と、ベジタリアンに肉を強制的に食べさせる行為との違いは何か?
・公務員が職務時間外に政治活動をするのを禁止すべきというなら、より政治色の強い行為である「選挙権の行使」も禁止すべきなのか?
といった具合。全て納得できるわけではないが、なかなか分かり易い。
私も「そんなの国や自治体から給料もらってんだから当たり前だろう」と安易に考えていたが、そのように短絡的な思考では見落とす部分が沢山あることを思い知らされた。
なお、終章で少しだけ9条に触れているが、安倍の改憲論を精神論呼ばわりしている。ある程度肯けるのだけど、それをいうなら本書の「9条が日本の非武装を選択できるための世界の創造を要求する」という主張もかなりナイーヴな精神論なのではないかと思ったりもした。 -
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ネタバレ「ニッポンのジレンマ」に出演していた若手憲法学者の本。テレビ出演時の意見が興味深かったので、購読。
<国家と憲法の定義>
国家:権力を作ることを目的とした組織。
権力:暴力を背景に有無を言わさず人に言うことを聞かせる権利のこと。
憲法:国家のルール。国家の領域範囲、王位継承の方法、裁判の手続き、軍隊の指揮権の所在などを決めたもの。
<入学式での「君が代」ピアノ伴奏拒否事件の判決について>
・入学式で「君が代」伴奏を拒否したピアノ教員は、「君が代」を軍国主義と結びつけて拒否した。
・反対論者は、「君が代」を古い日本の歴史と結びつけて擁護した。
・どちらも「君が代」と思想、歴史的価値の連関を認めている。
・最高裁は、「君が代」の固有の意味や、歴史的価値について考察することを留保した。「君が代」は今国歌なのだから、入学式で歌うことに問題ないとドライに扱った。
・憲法は、個人的なこだわりを他者に強いることを否定する立場を取っている。
<生存権保障>
・人間が人間らしく再生産される社会の創造は我々の義務。
<憲法9条の想像力>
・9条は自衛のための必要最小限の自衛権を認めている。
・憲法9条は世界の中で特殊な憲法なんかではなく、むしろ世界で主流の考え方。自衛以外で戦争するのは、世界では侵略行為と呼ばれる。9条が言っているのは、国際法の常識に照らしてみれば、実は当たり前のこと。 -
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最新判例を素材にした憲法の入門書。
著者の見解が前面に押し出されているが、最高裁の論理を丁寧に分析しているので、司法試験受験生にとっても参考になると思う。
特に、第一章(君が代不起立問題)、第二章(一票の較差)、第六章(公務員の政治的行為)については、司法試験論文で出題されても文句が言えない分野だと思うので、本書を読んで議論の要点を押さえておくことは有用だと思った(もっとも、君が代不起立問題についてはその性質上、そのままの事例が試験に出ることはないと思うが)。
個人的に、裁判員制度や生存権についての記述はあまり説得力を感じなかったが、全体的には参考になる部分が多く、面白かった。