【感想・ネタバレ】憲法問答のレビュー

あらすじ

憲法改正に関する議論は、これから国民単位で語られる重要なテーマ。ほかにも君が代問題、死刑制度の是非など、法にまつわる課題は山積している――。前大阪市長の橋下徹と、憲法学者の木村草太が繰り広げる「憲法問答」から、この国のあるべき姿、国際社会との協調においていかなる道を歩むべきなのかが浮かび上がってくる。10時間以上に及ぶ対談で白熱した議論は、対立構造や二元論を超えた、深みある“憲法論”となった。全国民必読の一冊!

【目次】
まえがき/木村草太

序章/対談後、アフタートーク

第1章/憲法に何を書いてはいけないのか
・政治家は憲法を読んでいない?
・憲法は国に対する義務規定
・「法律婚尊重」の不平等性
・間接適用説を知らない国会議員

第2章/本当の「立憲」の話をしよう
・権力の縛り方
・立憲とは憲法を拠り所にすること
・「法の支配」とは
・最高裁人事を内閣が選ぶのは政治介入?
・教科書採択とルール
・文楽発言の真意
・ダメなやつを辞めさせるのが民主主義

第3章/地方と憲法
大阪都構想での住民投票
辺野古移設問題と憲法
解決のカギは手続法

第4章/9条との対話(1)─「当てはめ」か「解釈」か
・あまりにも憲法ありき?
・自衛権の定義とは?
・サイバー攻撃と新しいルール作り
・72年見解は「遺産」なのか?

第5章/9条との対話(2)─「軍」なのか「行政」か
・日本には軍の規則がない?
・どうなる、集団的自衛権
・自民党の改憲案について考える

第6章/「 護憲」「改憲」の二元論を超えて
・実は根拠のない内閣の解散権
・憲法裁判所の必要性
・国民に付すべきか、付さぬべきか
・「鍵」として機能する憲法
・憲法は権力を動かすか

あとがき/橋下徹

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Posted by ブクログ

ロザンの楽屋で、宇治原さんがおすすめしてたので。
めっちゃおもしろい。

①憲法は極めて実務的で、国家権力をどう動かすのかを定めるものです。p35
⭐︎だから、家族は仲良くしなければならない、みたいなどうでもいいことは書いてはいけない。そういうことを書くと、家族が仲良く協力していないため、公的な補助は受けられません、のようなことが起こる。これがとてもわかりやすかった。
そこからの2人の深堀りもまた面白い。 
そもそも憲法は、国が守る義務。国民に押し付けるものではない。納税の義務とか教わっているから、どうしてもそういうものだという思いがありがちだけれど、そうではないらしい。

②ですから立憲というのは、絶対的に正しいものに常に行き着くことを保証するものではない。しかし立憲というものによって正しいものに行き着いたと「みなしていく」しかないんじやないかな。p99
⭐︎ルールに照らし合わせて、今のやり方が本当に正しいか考えるって視点、個人でも大切にしたいね。慣例だから、ってとき、よくあったりする。

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2022年01月30日

Posted by ブクログ

考えを述べ合うとはこういうことなのか、と納得。そして、憲法とは、かくも解釈の方法やそれを基に行動をおこすことに幅がでてくるものなのか、と驚愕。

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2020年01月06日

Posted by ブクログ

憲法の役割について、これまでで一番理解できたと思います。議論が噛み合ってない部分が長すぎますが、それもまた、社会の縮図かと思えば、趣があります。

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2019年09月10日

Posted by ブクログ

憲法とは国家権力に適切に権力を行使させるもの。国家権力を統制するもの。国家権力を縛るもの。権力のあり方や、その限定を定める法典。
権力自体は「重要な公共財」である。しかしそれは、本質的に悪い方向に使われる傾向があるものなので、安全装置を一生懸命かける必要がある。

手続き法を規定しておくことの重要性。何が正解かわからない中で正解に近づけていくプロセスを重視する

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2019年01月08日

Posted by ブクログ

橋本氏は元々弁護士なので、法律の解釈については素人ではないのである程度議論になると思ったが、結論的には木村氏の憲法解釈の正論にはかみ合わないことが多かった。
それは橋本氏の政策的判断の熱量が高すぎて、無理筋な法解釈に走りがちだからだ。
木村氏も指摘するように無理な法解釈ではなく憲法を改正する(ルール変更)ことが本筋なのだ。
しかも憲法が予定しているように民主的統制と専門家=法の専門家の監視が必要なことの理解が乏しい印象が強い。
ただ橋本氏が大阪府知事や市長在職中の職務執行において立憲主義、法の支配、プロセス=手続法の重要性を意識しつつ携わっていたことを強調していたことは記しておきたい。

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2024年07月14日

Posted by ブクログ

立憲とは何か、国家権力の適切な行使を実現するための憲法の重要性や手続き論の意義、9条の論点等、恥ずかしながら今まで余り理解が及んでなかった憲法の基礎知識に触れられたように思う。施政者として現実の問題に真剣勝負で取り組んできた橋本氏の熱量、憲法学者として丁寧な分析と思考を重ねてきた木村氏のロジック。お互いの相違点を明らかにしながら、それぞれの主張を熱く説きつつ、そこから気づきを得る姿勢には、議論のお手本として学ぶことが多かった。より憲法を身近な問題と考えられるようになったのも良かった。

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2021年09月20日

Posted by ブクログ

説明が上手い二人の対談なので、憲法という硬い話題でも分かりやすく話に入り込めた。それでも中盤難しくてあまり深く理解できなかったところもあったので、これから二回、三回と読んでいきたい

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2019年10月03日

Posted by ブクログ

集団的自衛権を容認する安保法の改正がなされたとき,立憲主義に反するとの主張をよく聞きましたが,この本は立憲主義とは何かの理解に役立ちました。
もちろん,立憲主義と言っても,色々な見解があるとは思いますが,1つの見方として,お二人の対談は大変興味深かったです。

憲法改正をめぐっては色々な考え方がありますが,その時代時代の立法事実を検討しなければならないという点については,深く同意します。

権力を行使するにあたり,何が正解かは誰にも分かりません。そこを,適正手続を踏むことによって,一応の正当性を担保するという視点も,強く印象に残りました。


あと,日本の民主主義が成熟していくためには,知っておくべきこと,検討していなければならないことがたくさんあって,国会議員の方にはそれなりの資質を持つ方を選ぶべきだなと有権者の一人として改めて思いました。

参院選も予定されており,憲法改正の論議も出ている今,幅広い方に読んでいただきたい本です。

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2019年06月09日

Posted by ブクログ

何かと世間を騒がす元大阪府知事・大阪市長で弁護士の橋下徹氏と、気鋭の若手憲法学者の木村草太氏の憲法を巡る対談。
本人達も言及しているように、意外にもこの二人の対話が噛み合っていて驚いた。まさに法と論理という共通の基盤に基づくインタレスティングな議論だと感じ、憲法を考えるのに一読の価値があると思った。
「何を憲法に書くべきじゃないか」という問題設定による議論や、集団的自衛権を巡る憲法9条解釈についての議論、憲法改正国民投票の意義付け(国民意思の発露の機会としての憲法改正手続き)についての議論などが、特に興味深かった。また、二人いずれも「適正手続き」という考え方を非常に重視しているのが印象的だった。

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2019年04月19日

Posted by ブクログ

面白かったけど、結構難しい。自分の勉強が足りない。
橋下徹は責任と権力をセットに考えていることを終始一貫して主張していた、と思う。
木村草太は、内心は色々思うこともあるけど、学者として法理論に忠実であろうという感じ?
意見対立や共通点も沢山あって、良い議論本だったように思う。

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2022年09月05日

Posted by ブクログ

無秩序という悪を是正するため、主権国家権力を頑張って打ち立てた。今度はその国家を縛るために憲法が必要になった。この順番が大事。

対談形式だが、お互い忖度なく、反対意見についても論点が分かりやすい。解釈論、実務面での実際性、実効性について、政治の現場を経験している橋下徹の論拠は明確である。

しかし、日本語の解釈を巡った議論は憲法に限らず至る所で存在するが、その調整コストは計り知れない。言葉のニュアンスの違いがどこまで社会に変化を齎らすか。自衛隊を国防軍に表記変更した場合の社会変化のシミュレーションなど、別の観点に興味が向いた。認知社会における言葉の重要性、神話の大切さ、という所だろうか。

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2022年06月01日

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