木村草太のレビュー一覧
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憲法を創造的に応用するということは、憲法の規定を機械的・量的に解釈するのではなく、その規定の意義や目的(憲法はわれわれに何を要求しているか?)を達成するための方策を「質的に」考えなければならないということ。
第1章
君が代不起立問題を題材に、法律や命令の目的と手段のバランス関係を論じる。法令の目的を達成するために、他のよりよい手段は考えられなかったか?いわゆるLRAの原則。
第2章
一票の格差問題を題材に、政治問題の「正解」を発見するための多様な人物の参加と、みんなが納得して従うことのできる「正統性」のある決定を下すことの重要性を説く。
第3章
裁判員制度を題材に、国民の権利の制限は何と引き換え(公共の利益)なら許されるかを論じる。公共の利益いかんによっては合憲にも違憲にもなりうる。いわゆる比較衡量。
第4章
日本人独特の宗教観の問題を取り上げ、政教分離の問題に警鐘を鳴らす。無宗教を装った「日本的多神教」は国家権力にとって利用しやすい「宗教」であることを日本人は自覚しなければならない。
第5章
仮設住宅が孕む問題を紹介し、保証されなければならない生存権の内容を検討する。社会保障は「生きていくための最低限」という量的な側面だけではなく、他者との交流が人間の尊厳にとって重要であるということを十分に考慮した保障が必要である。
第6章
公務員の政治的行為がなぜ「問題」とされてきたのかを吟味し、これまでの判例を批判する。勤務外の政治的行為の規制は、公務員の職務の中立性にただちに影響を及ぼすものではないし、仮に政治的偏向によって公務員としての職務に及ぼしているならば、懲戒や刑罰などの制裁を受けるので、事前的予防は過剰規制である。政策を形成する公務員組織には、むしろ各職員がさまざまな思想をもっているという意味での「多様性」こそ必要である。
この章は特にウンウンと頷きながら読んだ。 -
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本書は『テレビが伝えない…』というタイトルですが,それは,「テレビなどのマスコミが隠している事実を書いてあります」という意味ではありません。
テレビでは,視聴者に分かりやすい解説が求められます。しかも,短時間でコメントをする必要があるので,これは,この制約はある程度,仕方がありません。
ところが,その「視聴者に分かりやすく,簡単な解説」が曲者となるのです。憲法が持っている本質を説明したり,意見の食い違っている内容の問題点を解きほぐすためには,じっくりと論理を進めなければならないのに,テレビでは,それができません。時間が限られているから…です。
そこで,筆者は,色んな問題について,幅広く,じっくりと語ってくれます。
たとえば「日本国憲法は押しつけ憲法だ」というのも,その一つ。これ,GHQが押しつけた憲法だ!というのですが,それって本当なんでしょうか。では,大日本帝国憲法は,押しつけ憲法じゃないのでしょうか? そもそも,押しつけって,誰が誰に対して? …などと,「押しつけ」一つにしても,考えるべきことはたくさんあるわけですが,テレビやマスコミでは,分かりやすい言葉としての「押しつけ」が先行してしまいます。
これを説明するのに『雨月物語』「白峯」を出してきているのがおもしろいです。「押しつけ論者」をも包みこむ,この論理の展開は,必読です。
他にも,国際法から見た憲法9条の話など,私にとっての初めての視点があって,興味深く読み進めました。 -
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集団的自衛権と憲法解釈、改憲の議論が持ち上がる中で、もっと勉強しなければと思い、まず手っ取り早く、私と同じ年で若手の憲法学者として活躍中の木村草太さんの本を読んだ。奥平康弘さんとの対談本で、第一章は立憲主義について、第二章は改憲論議について、第三章は現代の憲法をめぐる状況と課題、第四章は憲法の可能性と日本の進路についてまとめられている。
いくつか個人的に面白いと感じた箇所について。
なぜ日本人は天皇制に強く惹き付けられるのか?という問いに答えている部分。
日本では、多くの人が今ある事象や体制に対して消極的肯定、消極的賛同とでも言える態度を示していて、それを変えようという人たちは、説得力のある論理展開を出来ていない。これは天皇制の廃止に関しても、改憲に関してもそうだ(安倍政権はそれを力の論理で押し通そうとしているからたちが悪い)。変える変えないは別にして、一人一人がもっと積極的に天皇制や憲法とは何かを理解し、捉え直すという作業が必要だと思う。
次に、「あいまいで情緒的な」自民党について。集団的自衛権をめぐる安倍さんの発言も、自民党の改正草案に関しても、この人たちのロジックのなさと情緒的なレトリックの多用に惑わされている人が多いと思う。強いものやつよい言葉、情緒的なことばに流されるのは、自分が弱いからなのだけど、基本的に人間は自分が弱いことなど認めたくないので(世の中で強いと思われている人や、強くならなきゃと思っているひとほど特にそう)、彼らの出すレトリックを批判的に見るのは決して易しいことじゃない。
本の中では、自民党憲法草案のQ&Aの中にある『国を守る義務』について、奥平さんから「憲法が自分たち国家権力を縛るものだという大前提がわかっておらず、「国民を管理する法律」だと本末転倒の誤解をしている、と痛烈な批判が寄せられている。
現代の憲法をめぐる課題に関しては、表現の自由の箇所でタトゥーについても触れられていた。今までグレーゾーンと見なされてきた様々な問題を「表現の自由」との関連で議論することの意義と難しさを感じた。
最後に、人の心に抱く信条というのは結局のところ歴史感覚である、という箇所。これは日本国内の憲法談義だけでなく、国際関係においても大事な視点だと思う。相手の信条の深さとそれをもたらす歴史感覚を理解しないと、異なった意見を持つ人の間での議論は始めることさえ難しい。
今回のことも含めて、憲法が守っていることやそのあり方について国民全体のリテラシーを上げていかないと、待っているのは衆愚政治だ。この本では特に奥平さんのかたりの中で疑問に思う箇所があったけれど(例えばヘイトスピーチを解決するための「文化の力」の部分や)、憲法に関しては高校レベルで社会科を教えられる教員が最低限持っていなければいけない程度の知識しかなかった私にとっては、大変分かりやすく読みやすい本だった。 -
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○憲法学者で首都大学東京准教授の木村草太氏の著作。
○日本国憲法について、その位置付け、意味合い、規定内容の説明・沿革など、条文や背景をベースに丁寧に解説したもの。
○三権分立の理屈や憲法争訟、改憲論の矛盾点など、緻密な理論に基づき、論理的に解説されており、とても分かりやすく、かつ、スッキリする。
○改憲や護憲と聞くと、どうしても、”単純化”したキーワードで、なんとなく気分や雰囲気で考えてしまいそうだが、そもそも「日本国憲法」の内容や経緯などを知っているのかといわれると、自信がなくなってしまう。
○このままでは、著者のいう「改正論議に参加する資格などない」人になってしまいそうなので、しっかりと論理的かつ客観的な思考で、憲法について考えてみたい。
○また、少なくとも「『分かりやすい』素朴な議論に飛びつく」ような癖は無くすようにしたい。 -
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ネタバレ『憲法の創造力』というタイトルからは、どんな内容か想像がつかない。はしがき「憲法を創る」(ここにも”創る”と書かれているが)の「本書が目指すこと」の段落に、”憲法問題を考える際には、様々な角度から思考を巡らせ、苦境に置かれた人々の状況に想像力を働かせなければならない。また、その解決のためには、多くの人の納得が得られるような公平なルールを創造することが求められる。”と書かれていて、どうやら憲法の理解のもとに公平なルールを創造することらしいと思うが、まだピンと来ない。しかし、君が代起立問題など具体的な論点を読み進めていくと、「憲法の創造力」ということがより具体的にわかってくる。
今までニュースなどの報道を聞いて、どう考えたらいいのか分からないとか、どうも釈然としないと感じていたことが、よく整理されて理解でき、この本を読んでとても良かった。日本的多神教についても、よくまとめられていると感じた。
特に、興味深かったのは、「生存権保障の三つのステップ」の章で、ここで述べられている三つのステップは、職場環境についてもいえることだと感じた。職場でも「最低限」はこの三つのステップを含むと考えるべきだ。
短い解題のついた文献案内が付されている。
取り上げられている論点
1.君が代不起立問題
2.一人一票
3.裁判員制度合憲の条件
4.政教分離
5.生存権
6.公務員の政治的行為
7.生存権
8.憲法9条 -
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「国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する ⒉前項の目的を達するため…戦力は保持しない」自衛のための最小限度は許容されるとした芦田修正/集団自衛的自衛権不行使72年見解/有色人種差別が露骨なマッカーサー憲法でも、日本人は抽象的な条文を器用に運用して立ち回ってきた。大小の国家が混在する以上、弱い国が連帯して防衛するのは必然だがアメリカの戦争に巻き込まれる(具体的には韓国と台湾の防衛)懸念から「集団的自衛権は行使しない」自国の「存立危機事態」に出動(範囲は限定されず)は自衛の範囲とする2014変更。
対談の行われた!2018年にすでにホルムズ海峡へ自衛隊派遣の是非が話題に挙がっている。集団的自衛権は国家の固有の権利だから、放棄を宣言したとしても基本的に存在し、非武装の民間船が襲われるのは戦争ではなく海賊行為なので、対抗するのはジブチ駐在の実績もあり合法と考える。 -
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憲法学者の木村草太さんが差別について書いた本。
差別とはなにか、なぜ差別が起こるのか、差別を防ぐためにはどうしたらいいのか…という問いに、日米の法律や海外の哲学者の論文、実際の裁判の判例などから考えていきます。
今の憲法が成立した経緯から詳しく説明されていて、同性婚や夫婦別姓についても憲法で否定されていないということがよく分かりました。
この二つがどうにか早く法整備されますように。
社会学者のディヴィッド・O・シアーズ教授が提唱した「象徴的レイシズム」が印象的でした。
象徴的レイシズムとは①すでに黒人差別は解消しているにもかかわらず、②現在の黒人たちはあまりに強く、性急な要求をしており、③政府による「逆差別」や不公正な黒人への特別扱いが横行しているという信念を指すそうです。
人は自分の実利と無関係に差別を行う点が重要だといいます。これは人種差別に限らず、選択的夫婦別姓や同性婚の法制化に反対する人々にも見られるといいます。
在日コリアンや女性に対する差別でも、この象徴的差別はよく目にするなぁと思いました。 -
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気鋭の憲法学者木村草太氏が、共同親権、PTA、校則、制服、教科書、給食、いじめ、男女といった、
教育、学校にまつわるテーマに対し、憲法の視点からズバっと斬る
てなところだろうか。
だからこの本、憲法「の」学校 というのは中途半端な表現。
憲法に書かれている学校 くらいな意味の「の」だ。
ふつうは憲法を学ぶ学校、と受け取る。と思う。
まあこれは出版社が付けたタイトルだろうけど。
中身は参考になる。
憲法の視点で見れば、上記テーマはいかなるものか。
共同親権の危うさ。
「強制加入」のPTAの異常さ。
校則は論外。
制服は、もとはといえば親が求めたものであったり、憧れであった側面も加味。
教科書、、歴史認識を国が強制する異常さ。校則にも通じる。自分らに都合のいいようにしたい。
給食、、最近唐揚げ1個の給食が話題になった。貧しい日本?それにしては廃棄食材が多すぎる。
配分、システムがおかしいだけ。むろん食糧自給率4割は問題だし、その中での減反も意味不明。
ただそれ以前に、これだけ無駄が多い中で、育ち盛りの子供が満足に飯が食えないのは、政治が悪い、と言わざるを得ない。
ろくに仕事をしない天下りが高給を食みながら、なんで義務教育の子供が腹を減らしていなくてはいけないのか。
狂ってる。
いじめは犯罪。学校に警察が入ればよいのだ。校長の恥だから隠す、というものではない。
子供より自分がかわいい、ただの保身。くず校長。
男女、、男女同数、成績順、、、これは難しい。成績だけだと女の子だけになる?
そもそも成績ってなに、テストって何?そこまで戻らないと。
でも共学の方がいい気はする。ここは難しいな。この本でも紙面をあまり割いていない。
問題提起型の本。
はじめに なぜ憲法から考えるのか?
日本国憲法(抄)
第一章 親の権利はどこまでか―― 親権、PTA
第二章 「学校」は何を果たすべきか
第三章 誰が教育内容を決めるのか―― 校則、制服、教科書
第四章 学校を「安全」な場所にするために――給食、いじめ
補論 男女別学・男女別定員制と平等権
特別対談 「法的発想」で「子どものため」を見つめ直す
内田良(教育社会学者)
おわりに
主要参考文献一覧 -
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TBSラジオセッションなどで舌鋒鋭く政治を斬る憲法学者木村草太氏の新書。
将棋好きとは聞いていたが、将棋と法を絡めた本を出すとは。
視点は面白い。将棋と法の共通点、、、
私も子供の頃は将棋を指したことはあるがとんとご無沙汰。
10年ほど前に小学生相手に大苦戦、ほとんどの駒を取られたものの、
最後に大逆転したのが最後だったかな。
ということで将棋にはさして思い入れがなく、、
「人をなぜ殺してはいけないか」は直接法では規定していないとか。
法は案外柔軟なのだと。
まあ考えてみればそうか。環境によって人間のふるまいは変化するわけで、
そのふるまいを一部縛って、皆が折り合えるものがルールなのだから、
そんなガチガチであってはまずいわけだ。
そして、、、国会議員というのはそのルールを作ることのできる人たち、のはず。
立法府とはそのことで。
しかし今そんな気概のある議員がどれだけいるのやら。
権限を貰って偉くなったと思っている議員ばかりに見えてしまう。
世襲議員にしても、野心家にしても。
立法する権限、って、選挙で選ばなきゃいかんのかね。
直接民主主義は無理かねえ。
法ってのはシンプルだけど奥が深い
第1章 なぜあらかじめ定められた法で考えるのが楽しいのか?
第2章 将棋とはどのようなゲームなのか?
第3章 解釈論の面白さ:法の支配と人の支配の狭間で
第4章 将棋の楽しさ
第5章 日本の法律はどうやって出来上がっているのか?
第6章 将棋における分岐の考え方
第7章 法的思考をしてみよう
第8章 法的思考における選択の積み重ね
第9章 将棋の自戦記・観戦記の構造
第10章 実定法学のレポートの書き方
特別付録 プロ棋士と考える「将棋の思考」