感情タグBEST3
Posted by ブクログ
「報道ステーション」コメンテーター(月曜日担当)でおなじみの、新進気鋭の憲法学者による最新刊である。筆者はこの本では、安倍内閣が推し進める「安保法案」の危険性について、わかりやすい言葉で解説している。「本を燃やそうとしている人間は、いずれ自国の憲法を燃やそうとするだろう」という言葉にはゾッとさせられるが、この内閣がこのまま安保法制を強引に推し進めようとすると、早晩国内外で立ちゆかなくなるのは、火を見るより明らかなことである。「法的解釈の安定性」についての意見は必読。この概念を否定するということは、条約の解釈すら自分たちの都合のいいように解釈する可能性もある。それは諸外国との外交関係にも重大な齟齬を来す可能性にもつながるということを、筆者は指摘する。だがほぼ全員が「知性を持つ者」に反感を抱くこの政権は、自分たちの都合の悪いところにはとことん頬被りを決め込むだろう。「この道はいつかきた道」にならないことを祈るしかない。
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集団的自衛権を憲法に照らし合わせて、どう解釈できるのか説明を連ねていきます。ところどころ、読んでいて私には共感を通り越して感動する箇所があって、憲法の持つ底力に出会うときがあります。憲法は国民の理性への信頼とともにある表現されたりすると。テクニカルには、73条の内閣の事務取り扱いの中に「軍事」の行政作用がないため、集団的自衛権の行使は誰が行うのか。規定がない以上、違憲であるといわざるを得ないというすっきりした説明でした。間違いなく私にとってこの本はセンスオブワンダーを与えてくれた本でした。
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憲法学に則り、筋道を追って論理的な説明を抑制的に展開している。論旨がクリアーで非常に分かりやすい。感情的な反応はともかく、これに論理的な反論を安保法に賛成している人はできるのだろうか。
Posted by ブクログ
様々な媒体で発表したものを寄せ集めており、内容が重複する箇所も多いし、専門的すぎて表面だけなぞって読んだところもあるけれど、「集団的自衛権に関する7・1閣議決定とはなんだったのか?」は必読。法解釈には、①基準を立てる作業と、②具体例をその基準にあてはめる作業とがあり、閣議決定は「あてはめ」を変更しただけ。個別的自衛権の行使として正当化できる場合にのみ、集団的自衛権の行使を認めたにすぎない。ただ、首相や外相がその枠を超えるような発言をしているのは問題であり、今後しっかり監視していかねばならない。
Posted by ブクログ
自国内の安全を確保するための、個別的自衛権の行使として説明できるような武力行使は、消防活動や警察活動の延長にあって、行政権の一種と言うことになる。
しかし日本国内の安全ではなく、外国のために、日本国外で武力行使を本格的にやると言うことになると、行政権の延長としては理解できない。集団的自衛権は、憲法73条のどこの事務なのか?