加門七海のレビュー一覧
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ネタバレ呪い、じゃなくて、占い、じゃなくて、お咒い(おまじない)。それいがいにも祈祷、お祓い…これらはすべて、根源は同じところ、我々が普段いるところの「こちら側」ではなく「あちら側」の力を借りようとするという意味で根源は一緒。
オカルティックに語られると引くし、科学的に解説しようとされても引く。この本はそのどちらでもなく、作者の蓄積された知識や資料、取材内容を礎にした上で「こちら」と「あちら」はあると説明されるので、すんなり本の中身に入っていける。
「迷信は信じない、非科学的なものは認めない」でもなく「科学は冒涜している、信仰一番、伝統第一」でもなく、日常生活に溶け込んでいる「あちら」との小さな接触に対して、畏敬の気持ちを持ちつつ、不用意に深入りしないよう、最低限の知識を教えてくれる。
こういう本は素晴らしいと思う。 -
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すでに何度か読んでいるけど、やっぱり好きな本。
もののけの物語・・・人形やお酒器など人以外の物で起こる不思議な話。表紙の招き猫さんも作中で加門さんに修復をお願いした猫さん。
怪談徒然日記・・・加門さんの日常で起こる不思議というか怖い話。でも加門さんが書くと怖さ半減(笑)。だって、座布団に現れた男の首をとうっ!て蹴っちゃうんだもん(笑)。またある時は「助けてください」って男の声に「嫌です」って言っちゃうし(笑)怪談読んでるのに毎回吹き出す。
ほんとだよ・・・加門さん曰く「怪談馬鹿話」だそうです。充分怖いんだけど、結局説明のつかない不思議な話。特に好きなのは加門さんのお友達のTさんの話。旧家で感じる気配。こんな家には私は住めない。
加門さんの建物にまつわる話も怖かったな~。また読みたくなったな。 -
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幼い頃からこの世にいる、人ならざるものを見続けていた著者。彼女が体験した不思議な出来事は数知れず。その出来事達は時に恐ろしく、悲しく、優しい。様々な側面を持つ。彼らは、何を思ってそこにいるのだろうか?
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前回読んだホラー小説が面白かったのて、引き続き加門七海さんを。ホラー小説が胃に来るぐらい怖かったので実話怪談集に戻ってみたり。こちらの怪談集もちょっとエッセイよりな雰囲気。全部で20話入っており、不思議だったり、怖かったり、悲しかったりと様々な様相だった。
話によっては前回読んだ「船玉さま」の様に読みづらいと感じるものもあったが全体的にこちらの方が面白かったかも。今回のは日本文化に関連する蘊蓄が少なかったのに何で読みにくく感じるのかなと思い返してみたが、その話のほとんどが作者が怪異に立ち向かっている話だった。実話怪談集で恐れ戦かず、向かっていくというのは、今までなかったので違和感を覚えて入り込めなかったのかもしれない。
ともあれ、前回の船玉さまより個人的には段違いで怖かったので、こちらの一冊は大変楽しめた一冊だった。
では、お気に入りの話をいくつか。
「霧の話」
友人と高原を訪れた著者。その高原にある宿泊施設を起点に日帰りで行ける山に繰り返し上っていた。そんな中、とある湿原にたどり着く。湿地の植物や水面が夏の日差しを受けすがすがしい雰囲気である。湿地のほとりに名も知らぬ小さな社を見つける。挨拶をし、食事をしていると不意にどこからともなく霧が低く立ち込めてくる。そして、獣の鳴き声のような雷がとどろいた。その光景に神秘性を感じた著者であったが、山に詳しい友人は急に変わった天気に危機感を覚え引き返すことに。後ろ髪引かれる思いであったが、悪天候になって遭難するわけにもいかず、下山することに。しかし、振り返ると立ち込めていた霧は消え失せ、燦々と降り注ぐ日差しがあるだけであった。
宿に戻った後も、あの光景が頭から離れない著者は、その夜その湿原に関する不思議な夢を見たのだった。
神秘性を見出せるが、その神秘の裏側に人が踏み込んではならない領域があると感じるお話。荘厳で畏怖の念を抱かせる、恐怖とは別の方向で鳥肌が立つ話だった。迎える結末は恐ろしいとわかっているのに、果たしてその結末を迎えたとして後悔するのか……。後悔できる思考が残るのかが気になる。
人間をはるかに超越したものに誘われるとこんな感じになるのかも。著者は誘われたといっていたが、著者側も魅入られていた様子で、もし友人と一緒におらず、一人であの場にいたら結末は変わっていたかもしれない。そして、その結末を迎えた時、この話を読むことはかなわなかったことだろう。
「嵐の夜の話」
自宅で大型台風に見舞われた著者は、更に運悪く停電も起こってしまう。周りの家を見てみると、電気はついており、自分の家だけ停電してしまっているようだ。自分の不運を呪いながら、念のためブレーカーを見に行くと、電源はすべてオンになっている。電源を上げ下げしてオンオフを切り替えてみたが、進展はなく部屋の中は暗いままであった。すると、設置しているインターフォンから警報が鳴り響いた。突然の警報音を止めようと受話器を外したりして慌てる著者。音を止めるボタンを見つけ、音をやっと止めた際、手に持ったままの受話器を無意識のうちに耳に当ててしまう。インターフォン越しに外の風や雨の様子が聞こえてくる。来訪者もいないのに、受話器を耳に当てたことを不思議に思いながら、じわじわと外の様子が気になり始める。なぜ自分の家だけ停電しているのか、なぜインターフォンは警報音を発したのか。明らかに不審な状況であるのに、何も警戒せずドアを開けた。ドアの向こう側にあったのは、片足だけの乾いた足跡であった。
恐怖の度合いが高いこちらの話。台風の夜、真っ暗な家で巻き起こされる怪奇現象の数々。事の始まりに違いない、玄関の向こう側にあった片足の、乾いた足跡。その時点でもう怖すぎる。いつからそこにいたんだ?という感じ。明確に著者を狙ってきている感じだが、何が目的なのだろう。
著者をどうにかして騙して貶めてやろうという悪意が漂っている。著者との因果関係が明確でなく、更に目的もわからず、通り魔的な幽霊なのか気味が悪いの一言。助けを求めて電話した友人から折り返し電話がかかってきたことによって、救われた著者だが、あのまま何もせず家にこもっていたら、嵐の夜を超えられたかは怪しい。
「友人の話」
家族を亡くした友人のM子は、そのショックから塞ぎごみガチになっていた。もともと明るく活発で前向きな性格だったが、今は見る影もなく、何をするにも面倒くさいが口癖になるほどであった。
心配になった著者は、毎日電話をかけて他愛のない話をして、彼女を気遣うことにした。同時期に、著者よりも長い付き合いの男友達もM子の体調を心配して同じように電話をかけていた。しかし、周囲の気持ちとは裏腹に、彼女の体調が回復することはなく、むしろ悪化の一途をたどっていく。
これはいよいよ鬱ではないかと疑い始めた著者だったが、普通の鬱にしては様子が違うと感じていた。素人なので、何が違うのかは明確に説明できないが、彼女の気持ちが上向きになって何かをしようと思った途端邪魔が入るのだ。これは何かあると睨んだ著者はいろいろな不気味な体験を乗り越え、原因を考えた末、一つの結論にたどり着いた。
こちらも恐怖度の高い話だった。
怖い話を読んでいると、たびたび怖いのは生きている人間である、というのはよく聞く話しだ。こちらの話も、人間がらみの怖い話。直接人間が害を及ぼすわけでは無いが、人間の念が複雑に絡み合ってM子という人物をからめとっている状態だ。
悪意でない分質が悪い。少なくとも、M子をこの状態に落とし込んだ人物は多分。その裏にいる人間たちに悪意があるかないかは分からないが……。
なんにせよ、心のよりどころがあるのはいいことだが、それに囚われるのは恐ろしい。それが本人の世界だけで完結しているなら、まだ大丈夫だがそれが外部に向かった時、害になるというのはあまりに救いがないではないか。
今回紹介しなかったが、他にも「神像の話」、「ひとり旅の話」、「雑踏の話」なども面白かった。
勝気に怪異に立ち向かっていく著者も、目を見張るものがあるが、恐怖を共感したい人間なので、立ち向かっていく話よりも、怖い話がさらに読みたい。
同著者の本で、「怪談徒然草」というのが怖くて面白いらしい。この本は未所持なのでさっそくネットでポチってみた。今から届くのが楽しみである! -
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住む家、寺社、お化け屋敷、建物に入り込んだり既にいたりする、生きた人間ではないもの、幽霊や妖、神様などについての随筆風の階段実話集。
半分は著者の引っ越しをするまでの話。
実際に、良くないものがいるだとか、風水が良い悪いとか、そういうものは人それぞれである。
実在するのか、思い込みなのかはわからないが、嫌だ、怖いというものは簡単には変わらない。ましてや自分が生活する建物ならなおさら。怖いものは怖いものとして、その感覚を信じてよい。それが自分の中で納得できるものなのだ。
私も神社好きなのだが、なんだか落ち着かない、不安な気持ちになった神社があった。天気や明かりだけのせいではないようなうすら寒くなるような地下室があった。私は特に霊感とかそういうものはないと思うが、自分の中にある忌避感は無視してはいけない。
それが思い込みであっても、特に自分の家であれば自分自身に悪い影響となってしまうから。 -
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気になる作家さんが居るとき、なるべく第1作目を読むようにしている。可能ならば、書かれた順に読みたい派だ。
そんなわけで、最近気になっている郷内心瞳さんのデビュー作が収録されているこちらを手に取る。
そうか。デビュー前から拝み屋としてのスタンスを出しつつ怪談書いてたのか。と驚いた。それから最初から構成力とか文体がずば抜けている。
どうして書き始めたんだろう。供養という意味合いもあるだろうけれど、これでもかというくらい構成を練ったり、余計なものをそぎ落とすような文体は、書いてみた、だけでは収まらない気がする。それはいつか語られるのだろうか。
それから、文末のコンテスト講評を見ると、表現や構成に厳しい世界なのねってなる。だから面白く読めるのか。ありがたや。 -
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ネタバレ人ならざるモノが「見えて」しまう怪談作家がある日病気の子猫を拾う。家に猫がやってきたその日の夜から作家の身に怪異が襲う・・・。
と、書くとホラー小説みたいですが、中身は猫バカエッセイ。
加門さんの愛猫ののちゃんに対する愛情がいっぱい。
そりゃあ、黒い飛蝗の影を焼き殺したり、動物霊が部屋中を駆け回っていたり、ののちゃんの体から四つ葉のクローバーのようなモノが生えてきたりもしちゃいますが。
“たかが猫”にこれほどにまでも真剣になることを自分でも「他人には滑稽にみえるかもしれない」と自覚しつつも、ののちゃんのために全力投球する加門さんは素敵です。
浅生ハルミンさんの解説もいい。