加門七海のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
まず表紙の双眸に引き込まれる。可愛らしいとか愛嬌があるという形容詞ではなく、井戸底を覗き込むような酩酊感がある。つまり「怖いもの見たさ」。
中を読むと案の定だったが。
著者のエッセイは、オカルティズム溢れる事象が詰まっているが、軽いタッチですんなり読むことが出来るので嬉しい。だが、表現を冷静に想起すると恐れ慄くこと筆舌に尽くし難い。
私は「この世の不可思議」を感知しない人間で良かった、とつくづく思う。知らぬ世界の話は、書籍を媒介に俯瞰するくらいでちょうど良い。
それにしても、著者よりどうも上手なのが御母堂様。切り返しが、いちいち秀逸で脱帽。 -
Posted by ブクログ
鹿角南シリーズの3冊目。
関わり方しては3冊の中でかなり消極的な関わり方。食指が動かなかったのか本にならないからか。
今回は偶然手入れたお面を被り踊った生徒が亡くなったことからその源へと向かうお話。
目の部分が縦に裂けたような穴だけがある仮面。口で咥えて固定する面。知識の中では激しく動く踊りとかでそういうのがあると聞いたけれど、そうするには通気穴がないのでかなり苦しかろうと思う。
お面を被るのは、仮面の人として振る舞うためとか、神のふりをするとかあるけれど、この話では神に目を貸して見ることなのか、神が見ているのを見ることなのか、どちらになるのだろう。日本の神様は目をつけられたら終わり、みたいなところがある以上、神と共に見るという行為もそもそも外れた行為のようにも思う。
後半にいくにつれ、怪異に巻き込まれ、思い通りにならず、気力でどうにか死なないようにもがく主人公の心の声のクソッタレ感が面白く、悪い方向にいっているのに人の生きるという強さで死を押し返そうとしているようにも見えて面白い。
たたろうがよわかろうが神は神である以上当たり前の結末ではあるけれど、怪異を恐れず受け入れてしまうことの怖さは、他のホラーにもあるように悪手なのだわかる? -
Posted by ブクログ
ネタバレまさかの心霊系。
昔は大好きだった心霊・怨念ものも、年々苦手になってきた。それでも序盤は怪異そのものより、人間の思い込みや逆恨みが生み出す「ヒトコワ」として面白く読んだ。
それにしても、とんだ濡れ衣だ。
なぜキンケシ本人に確かめないのか。
なぜ亮子が相手だと思い込むのか。
何も知らないまま人違いで恨まれ、
憎悪を向けられる理不尽さは、
下手な心霊現象よりよほど恐ろしい。
ところが物語が進むにつれ、これでもかと怪異現象のオンパレード。あまりに畳みかけてくるものだから、怖がるどころか少々興醒めしながら読み進めていた。
――が、ラストで一転。
最後に待っていたとんでもない展開を知った瞬間、それまで見えていたものの意味まで変わってしまった。
幽霊も怨念も十分怖い。
けれど結局、一番恐ろしいのは人間なのかもしれない。
そして中でも――女の嫉妬、恐るべし。