加門七海のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
7人の作家によるホラーアンソロジー。
編者の三津田信三が、それぞれのテーマで「自分が最も怖いと思う怪談を書いて下さい」とお願いして出来上がった一冊。
澤村伊智「霊能者怪談」
加門七海「実話系怪談」
名梁和泉「異界系怪談」
菊地秀行「時代劇怪談」
霜島ケイ「民俗学怪談」
福澤徹三「社会系怪談」
三津田信三「建物系怪談」
霜島ケイ「魔々」と名梁和泉「燃頭のいた町」が面白かった。
「魔々」田舎の古い家に一時的に住むことになった主人公が夜な夜な天井や壁からの異音に悩まされ、リフォーム業者に調べてもらうと、塗りつぶされた壁の向こうに階段があり、屋根裏には白い布が被さった神棚が…怪しさ満点。民俗学怪談好き -
Posted by ブクログ
2015年作。
先日『祝山』(2007)で「ほぼ全改行」の文体が私をひっくり返し苛つかせた加門七海さんの作品。文体はひどいものの、物語としては悪くなかったので、本書を読んでみた。
やはり「ほぼ全改行」の文章は私には逆に読みにくく、改行法則のデタラメさに呆れさせられるが、それ以外は悪くない。いや、なかなか良い。意外にも凝った表現も見られた。
<空気が重い。
張り詰めている。
その空間に、僅かな罅(ひび)が入ったごとく、背を向けた廊下の行き止まりから、ぎしっと板を踏む音が聞こえた。>(P.154)
悪くない。「ほぼ全改行」という悪習さえ改め文章を煮詰めたら、本作はなかなか良い作品に -
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Posted by ブクログ
「着物憑き」というタイトル。「きものつき」と読むのでしょうが、「きものづき」と読んで、「きものずき」と呼ばせたかったのではないか。
好きだから憑かれるのか。憑かれたから好きなのか。読後がどちらともいえない、どちらともありえる、という感覚になったからでしょう。
「古着」の話が、「憑く」という想いについて考えさせるからでしょうか。人の想いという点では、振袖火事でも同じか。
タイトルの件。奥付で「きものつき」となっているので、自分の想像過多なんですが、読んでる最中はそう思ってしまったので、素直な感情として受け止めたいと思います。想い、ってそういうもの。