あらすじ
「建物」にまつわる怪の話を集めた、加門七海待望の怪談実話集。
幻の連載『引越物語』に加えて、本書のために新たに4編を書き下ろし。
自らの引っ越しにまつわる不思議な出来事や、自宅での恐怖体験、
訪れた文化財で出会った“この世ならざるモノ"、東京の最新風水事情考察など、
妖しくも興味深い実話怪談が満載!
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Posted by ブクログ
お気に入りの作家さん。
今回は、建物に関する怪談集。
ご自身の終の棲家探しでのエピソード。
ふつうは、何にも曰の無い物件を求めるが、
何にもなくない、が望みといのは、加門さんらしい。
何にもなくても、「引き寄せ体質」なので、
すぐに「宴会部屋」が出来上がるあたり、笑える!
笑って楽しめる怪談が盛沢山だ。
東京生まれの東京育ちなので、
空襲や地震などの歴史で、いかにたくさんの怪で満たされているか身をもって感じているらしい。
東京国際フォーラム、新都庁、東京タワー、スカイツリーのエピソードなどは、とても興味深かった。
自分は、古いもの、または誰かの使ったものを、
気分的に避けたくなるのは、やはり、何か感じるからだろう。
なんとなく違和感や奇異を感じるときは、自分の第六感を信じて災いを避ければ何よりだと思う。
加門さんのように、見える人でなくて、良かった!
Posted by ブクログ
視える人、加門七海の、たてものにまつわるエッセイ。もちろん、怖くて不可思議な話がたくさん出て来るのだけど、文体はライトだし、物語ではないから、読者を怖がらせようという感じが全然ない。よくよく考えれば怖いのに、家にGが出た、みたいなノリで書いてあるし。でも、行ったことのある場所が出てくるし、全体を通してうっすらコワイ。私は視えたことないので、興味はあるけど、視えなくて良かった、とも思う。
前半の著者の引越し話を読むと、視える人って大変だな〜と思う。視えなきゃ気にならないのでそれはそれでいいのだけど、霊能者や神社に顔が利く知り合いがいるって、ちょっとうらやましい。
それにしても、存在しない部屋が視えるって!しかも、そこから誰か入ってこようとしたって!!
でも著者は、東日本大震災の後にいろいろな気配が消えてしまったことを寂しく思い(読んでた私もえ〜となった)、徐々に戻ってきたモノ達に、おかえり、と思う。いいなあ。
「道の話」は、現実に被害出まくりの、怖い話。偶然が重なった、といえば身も蓋もないけど。今後、自分が家を買うことはないけど、子ども達には、なんとなくの感覚も侮るな、と伝えておきたい。
大学からの友人の実家の話、「ホーンテッド・スウィート・ホーム」。「着信アリ」より怖い自宅!
「花やしき」のお化け屋敷。父親が、花やしきで働いていたので縁がある。自分もお化け屋敷はおそらく入ったことあるけど、あまり覚えてない。それよりも、幼稚園児だった息子2人が、2人で入ると言って聞かないので送り出し、出口で待ってたら、恐怖のあまり途中で踵を返し、泣きながら逆走して入口から出てきた‥という笑い話を思い出した。もしかしたら、ホンモノを見てたりして、とちょっと想像してみる。
新宿にある都庁と、旧都庁舎跡地に建てられた東京国際フォーラムの話も興味深かった。江戸城を築城したという、太田道灌のブロンズ像。へ〜。
章ごとの、扉ページの写真。著者の撮影した写真だとか。古い家や、街の風景を写した、ただの白黒写真なんだけど、なんとなく怪しい。思い込みもあるかもしれないけどね。
実は最初、エッセイか〜と思って読み始めたのでハードルは低かったのだけど、思いの外面白かった。
Posted by ブクログ
怪談とタイトルにあったので、怪談目的で読み始めたのですが…怪談だけじゃなかった。。
でも、その怪談以外のお話も良かったです。
前半は、加門さんがお家を購入されるまでのお話。その後、そのお家での怪異や、いとこさんのお宅での怪異、旅先での怪異など、怖い話になってました。
平屋、古い日本家屋…いいですよね。
畳敷きのお部屋…いいですよね。
私が好む家の様子とぴったりで、ものすごく納得できたし、何より加門さんと好みが似ていることがとても嬉しかった。
住みたい地域に自分の好みのお家があるとは限らない…まさしくです。。
あと、ほんとに、畳敷きのお部屋のある家が少なすぎる(泣) 寒暖差の少ないマンション生活は快適なんだけど… やっぱり畳敷きのお部屋、もっと組み込んで欲しい。
以前に別の本で読んだ内容(いとこさんのお宅のお話)も入ってたので、星を一つ少なくしました。
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住宅や施設などの建物に関わる、筆者によるエッセイ風怪談。
家探しでの出来事や、筆者や友人の体験談、東京の建物に関しての考察など。
筆者が怪異慣れしているおかげか、現象としては絶対怖いはずでも淡々と対処されていて、怖いというよりちょっと面白いと思えてしまった。
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住む家、寺社、お化け屋敷、建物に入り込んだり既にいたりする、生きた人間ではないもの、幽霊や妖、神様などについての随筆風の階段実話集。
半分は著者の引っ越しをするまでの話。
実際に、良くないものがいるだとか、風水が良い悪いとか、そういうものは人それぞれである。
実在するのか、思い込みなのかはわからないが、嫌だ、怖いというものは簡単には変わらない。ましてや自分が生活する建物ならなおさら。怖いものは怖いものとして、その感覚を信じてよい。それが自分の中で納得できるものなのだ。
私も神社好きなのだが、なんだか落ち着かない、不安な気持ちになった神社があった。天気や明かりだけのせいではないようなうすら寒くなるような地下室があった。私は特に霊感とかそういうものはないと思うが、自分の中にある忌避感は無視してはいけない。
それが思い込みであっても、特に自分の家であれば自分自身に悪い影響となってしまうから。
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以前も、加門七海先生の本を読んだのですが、やはり面白い。
怪談本というよりはエッセイに近いもので、怖いというよりは、(そんな不思議な事があるんだ~)と感心させられました。
個人的に印象に残ったのは、風水に関する話題で、金運を上げるために、西に黄色いものをおいたとしても、その人個人の性質次第ではマイナスになるということでした。
やっぱり、風水は奥が深い・・
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「引越物語」は、自分が引越しする前に読んでおきたかったなぁ、と。ま、積読にしておいたこちらのせいなんですが。
それぞれの話の前に写真があって、それが章の区切りの役割をしてるんですが、作者自身が撮影したということ。なにかしら映り込んでいるんじゃないかと、びくびくしちゃいます。怖い話は好きだけど、映像としてみるのは嫌い。ダイレクトに飛び込んでくるのは怖いです。たぶん、杞憂なんだろうけどね。載せている目的が違うし。
「在宅怪談」のフラッシュたいた話が一番怖かったかなぁ。
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前半は、加門さんのお引越し物語。後半は、たてものに纏わる怪談エッセイ。
お引越しする予定のある人は読むと…お引越しが決まらなくなるかもしれません。
後半に含まれる都庁と風水のエッセイを読むとなおさら「住む場所」について気になってしまうかも。
悪いものを除けるに越したことはないので私も今後引っ越すならば念頭に置きたいと思います。という実用?的な部分はもちろん、怪談も面白く、加門さんの短い怪談エッセイは、内容と長さがちょうどいい、スッキリした怪談だなと思います。
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常ならずものを見る作家が、家を買おうと思ったらどうなるのか。
だって、旅をすれば怪異に出会う人であるのだ。
安全な家などあるのか?
なにかが見えること、障ること、そこにあること。
それらを自然に受け入れて、排除することなく共存していく作者のまなざしが好きだ。
でも、あの角の家の近くには行きたくない。
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タイトル通り建物にまつわる怪談。それほどぞっとする話ではないけど、この手の怪談は家で読みたくなくて出先で読んだ。
引っ越しまでのあれこれが興味深かった。氏神さまからどう思われてるかおみくじにあらわれる件とか、人ならぬものが集まる宴会部屋とか。東京タワーの蝋人形館は子供の時に行って大泣きしたのを思い出した。
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実話なので怖いというよりは、ゾッとするものがちらほらある感じ。謎のままな分想像力が掻き立てられる。あとは苦手な氏神様にきゃーきゃー慌てながら対応したり、家に出る怪異にブチギレたりする加門さんが可愛いと思ってしまった。
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Twitter(X)でたまに見かける人の本だ、と思って読んでみた。
怪談ものだが書き手が理性的…ではないか、幽霊を怒鳴りつけたりと感情優先ではあるけども、存在する怪異に対して分析し、理屈をきちんとつけて語っていくので、後味の悪い不条理な恐ろしさはなくすいすいと読めた。
東京の風水の話は毛色が違っているような気もしたが作者的には同じ根っこから出ているのだろう。
Posted by ブクログ
マンションを購入するまでのホラーまじりの体験記がおもしろかった。
自分には霊感がないので、敏感な人の気にするポイントがすごく新鮮だった。
あとはたてものに関する怪談?なのだけど、あまり怖くなく、軽く読めるものなので、ホラーが苦手な人にも読みやすそう。
風水について調べてみたくなった。
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毎晩、寝苦しい…暑苦しいと言った方がいいのか。
こうも暑いと怪談ものを読みたくなる。
怖いのを全身で感じたくなる。
建物にまつわる怖い話である。
引越物語は、気になるところが次々とあると進まなくなってくるのがよくわかる。
新築ならいいと言うわけでもなく、元は何の場所だったのか?風水的に大丈夫なのか?建物周りに澱んだ気は無いのか…そこの氏神様は?とか
我が家は、全く気にせずに一軒家を購入し、28年住んでいるなら問題はないのか?と思ったり。
怖かったのは、道の話ー終わらない話ーである。
不幸に見舞われた家は皆、一本の線の上にあるという事実。
この実際にあったことが、何よりぞわりとさせる。
ホーンテッド・スウィート・ホームの友人Tの超旧家、感じることのない人でもわかるのだろうか…。
曰くあるところは数あるだろうが、霊というものを見たことがないので、なんとも言えない。
建物に何かしら憑いていて、呪われ祟られて心身ともにどうにかなるなら、無下にできないとなる。
日常に入り込まないで…となる。
Posted by ブクログ
色々な怪しいモノを「視る」加門さんの建物に纏わる体験談集。「道の話」では被害者続出だし「お化け屋敷の話」の得体の知れなさとか遭遇したらめっちゃ怖いのが想像出来るのに怪しげなモノ達は「いるもの」前提で話が進むので語りとしてはあんまり怖くない。というかそんな世界に全然縁の無い身としては寧ろ悩まされっぷりが面白い。ほぼ半分を占める「引越物語」での風水とか色々気にして氏神様にも丁重に対応したのにやっぱり出た、とか「ホーンテッド·スウィート·ホーム」の友達の平常心ぶりとか。「着信アリ」より怖い我が家って。ネタか!
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加門七海2016年作品。
30歳を過ぎたあたりから、家を買おうと考え始める加門。
本来は、日本家屋平家、庭付きを考えていたが、資金をはじめ、毎年のように起こる天災に考えを変える。
そんな家探しから、実際にある都庁などの建築を始め、勉強を重ねた風水で読み解く。
もちろんいつものように、家に住みつく不思議な現象なども!
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がっつり体験談かなと思って読み進めたけども、エッセイだった。
一息に読めるくらい軽めの文体で、怖さもほぼほぼ無い。
『怪談徒然草』を期待して読むと拍子抜けするかも。
引越しのために、こんなに念入りに準備する人は初めて。笑
Posted by ブクログ
「家」をテーマにした怪談(『残穢』)を以前読んで、その類いだろう、つくりもの、つまり嘘だろう、と思って読んでみたら......違った。
著者自身の経験、つまりエッセーだ。
もちろんこれは巧妙に見せかけた「物語」かもしれない。
そう思わせておいてやはり事実なのかもしれない。
どちらにせよ、少しばかりの寒気を感じる代物だ。
「お化け屋敷の話」では私自身も感じていたことが書いてあった。
東京タワーの蝋人形館、花やしきのお化け屋敷。
もともと怖がりで、夫が帰宅しただけでも飛び上がって驚くほど(大不評だ)。
しかしそれとは別に、なんとなく長居してはいけないところというのは感じる。
動物的な勘、第六感、いろいろ言い方はあるだろうが、やめた方がいい、という体の声には耳を傾けた方がいい。
私はお化けは見たことはないが、それはその体の声に従っているからではないか。
もちろん避けようのないこと、例えばタクシーの客となった幽霊、は確かにあるだろうけれど。
「道の話」は、『残穢』を思い出させる。
人の念というものはあるかもしれない。
一番恐ろしいものである人が残したもの、実体がないからこそさらに制御不可能になっていくもの。
本書を馬鹿馬鹿しいとか、非科学的だと評することもできようが、私にとってはそうやって周囲の声に耳を貸さないことの方がよっぽど恐ろしく感じる。
くわばらくわばら。
Posted by ブクログ
前半は、著者が自分の住みたい物件を探して引っ越すまで(加門さんらしく、普通の物件探しとはちょっと違う目線やこだわりも)のことが書かれており、大変興味深く、面白かったです。
後半はたてものに関する怪談色々。他の本で読んだお話やその続編も一部ありました。
結構怖くてゾクゾクしたけれど、加門さんの書き方は「怖がらせよう」といった感じではないのでまだ良かったです(まぁ、だからこそ滲み出る怖さというのもあるのですが)。
Posted by ブクログ
相変わらず文章が冗長で、
メインはうっすーいエッセイ。
何本か、他で読んだ話がチラホラ。
とりあえず東京タワーの蝋人形館
クローズしてたの知らなくてびっくりした!
しーちゃんが死んでしばらくして
しまってたんだね。
とりあえずお化け屋敷は、本物がいそうで
最近入れなくなったけど…
Posted by ブクログ
一念発起して引っ越しを考えたKさん。決して安くなく、当たり外れが大きい案件なだけに、何を以って「好物件」かをひたすら考えた結果、出した結論は“運の良い家”だった。 ――しかし。
「……で? 何なんだよ、その運の良い家ってのはよお」
なまじ様々な方面への知識があり、しかも感性豊かゆえに起きる、物件選びから引っ越し、生活してからの四苦八苦をコミカルかつオカルティックに書き綴った『引越物語』、不幸が起きた家や場所を線で繋いで初めて明らかになる恐怖を描いた『道の話』など、私達にごく身近な道や土地や建物をテーマにしたオカルトエッセー。
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怪談、とありますが、著者自身が後書きで書いたように、その内容はどちらかと言えば著者の近況や昔話、そして考察を綴ったエッセー。
再録もありますが、過去作に収録された『道の話』の後日談や都庁の考察など、読み応えは十分。人が居心地良い場所には人以外の存在も間借りするのは当たり前。それが虫であろうと彼岸の存在であろうと謎の存在であろうと。
しかし……。
ここ十数年の首都圏の猛暑の要因の一つがアレだったとは! もし本当だったら、再開発で全部除くか山側に移してほしい。