東京大学出版会作品一覧
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-朝鮮朝の朱子学の定型化はどのように進んだのか? そして、朝鮮朝固有の朱子学はどのような過程を経て成立したのか? 李滉と李珥を軸に、朝鮮朱子学の成立の経緯とその思想について詳細に論説。基本書かつ重要文献として、必読の書。 【主要目次】 前言 上編――中国元の朱子学から朝鮮固有の朱子学へ 第一章 朱子学の東伝――高麗朝末期,元学の隆盛 第二章 朱子学の刷新と高麗の革命――元学から独自の学へ 第三章 権近の朱子学 第四章 朝鮮朝前期朱子学と陽村学 第五章 士林学の台頭と朱子学の変質 下編――朝鮮朱子学の成立とその学術 第六章 士禍と清隠の学 第七章 豊穣な知の世界――退渓学成立前夜の朱子学をめぐって 第八章 李滉略伝――経世行道と隠居問学の葛藤 第九章 李滉と朝鮮朱子学大一統 第十章 退渓心学と『心経附注』 第十一章 李滉の四端七情分理気論――退渓心学,道徳感情の研究 第十二章 李滉の最後の哲学挑戦――理の実在化と物格無極の新解釈 第十三章 李珥略伝 第十四章 栗谷学総論――朝鮮朱子学のもう一つの集大成 第十五章 性・情・意の心論 第十六章 李珥道学――朝鮮朝の現実主義哲学 第十七章 李珥の文廟従祀――朝鮮朱子学の二大学派 補章 在人の神――中国医学の“たましい”論 後言 参考文献/索引
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-アジア太平洋地域の旧日本植民地や占領地では、20世紀、とりわけ戦争期に、日本の植民地支配や軍政支配のもとで、膨大な数のアーカイブズ(官公署や企業の記録,民間の歴史文書など)やその他の文化遺産が失われた。詳細にその実態を分析し、日本におけるアーカイブズ史を切りひらいた著者による集大成。全2巻。 【主要目次】 はじめに 序章 「失われた記憶」――アーカイブズ史のまなざし 第Ⅰ部 戦争とアーカイブズをめぐる国際関係 第1章 国際法におけるアーカイブズの地位――戦時国際法を中心に 補論1――敵産管理法制とアーカイブズ 補論2――戦争とアーカイブズをめぐる日本の国際法認識 第2章 第二次世界大戦期における在外公館文書をめぐる日英の確執 第3章 1940年上海土地記録問題をめぐる日本と欧米諸国 第Ⅱ部 植民地支配とアーカイブズ 第4章 日本の植民地支配と「植民地アーカイブズ政策」 第5章 「満洲国旧記整理処」――望まれざる「植民地アーカイブズ事業」 第6章 朝鮮総督府統治下の「植民地アーカイブズ事業」
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-日本におけるアーカイブズ史を切りひらいた著者による集大成の第2巻。アジア太平洋地域の旧日本植民地や占領地、日本の植民地支配や軍政支配のもとで、失われた膨大な数のアーカイブズ(官公署や企業の記録,民間の歴史文書など)や文化遺産の詳細分析し、歴史資料を保存する意義と課題を提示する。 【主要目次】 はじめに 第Ⅰ部 日本占領下アジアにおけるアーカイブズ 第1章 日中戦争期における図書・文書の押収――「占領地区図書文件接収委員会」を中心に 第2章 日本軍政の「アーカイブズ政策」とその影響――英領マラヤ・シンガポールを中心に 第3章 南方軍政の調査活動とアーカイブズ 第4章 日本占領下香港における記録とアーカイブズ 第Ⅱ部 日本の敗戦とアーカイブズ 第5章 日本敗戦前後アジアにおける連合国の文化財・アーカイブズ保護活動 第6章 日本敗戦前後における連合国の日本アーカイブズ接収活動 終 章 歴史認識の相互理解はアーカイブズの共有から――アジアにおけるアーカイブズ・ネットワーク形成の課題
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-根拠を吟味し、基礎づけせよ――近代日本思想の黎明期に「批評」概念はいかにして生まれたのか。大西祝、井上哲次郎、章炳麟らを軸に、対象の根拠を問う知的営みとしての「批評」概念の変遷と展開を描く。 【主要目次】 序章 思想としての批評 第Ⅰ部 明治中期の批評と思想 第一章 「批評」言説の生成――メディア・哲学・批評論 第二章 批評の根拠――大西祝の目的論的良心論 第三章 批評の政治哲学――大西祝の目的論的制度論 第四章 批評と宗教批判――大西祝における宗教・言語・社会 第Ⅱ部 批評と近代東アジア哲学 第五章 経典を批評する――近代学術における聖書批評と考証学 第六章 批評から実在へ――井上哲次郎の現象即実在論と倫理的宗教観 第七章 批評と共同体――井上哲次郎の大我小我論 第八章 「神」を批評する――章炳麟の宗教批判 第九章 批評の言語哲学――章炳麟における「名」の両義性 終章 「批評」のその後
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-近世を通じて統治権力を失っていた天皇の存在が幕末の政治舞台に浮上し、王政復古が実現するのはなぜか。公家日記や古義堂伊藤家の史料などを博捜し、19世紀前半の朝廷と幕府の関係と、学問・思想が朝廷運営に及ぼした影響を検証することで、日本が大きく変革する過程と新たな視座を示す。 【主要目次】 序 章 鷹司政通と近世朝廷研究の課題 第Ⅰ部 朝幕関係および朝廷像の展開と鷹司政通 第一章 昇進御礼使者の派遣と朝廷・幕府の思惑 第二章 武家社会の朝廷像と公家文化への視線 第三章 律令封禄の再興構想と関白鷹司政通 第Ⅱ部 朝廷運営における学問・思想の影響と鷹司政通 第四章 仁孝天皇の和漢書物学習と公家社会 第五章 古義堂五代目伊藤東峯と公家社会の交流 第六章 天皇号・漢風諡号の再興と古義堂伊藤家 第七章 天皇・将軍の没後称号選定と関白鷹司政通 第八章 幕府天保改革への対応と教育機関の設立構想 終 章 朝廷運営と鷹司政通の役割
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-近代日本の台湾人認識とその変遷を、台湾社会と接点を持った現場の日本人たちの書き残した史料に依拠しながら、「支那民族性」を補助線として、把握、考察し、台湾人のアイデンティティの形成の一端をあきらかにする。本書は台湾史、また、日本帝国史、日本近代史、中国近代史にあらたな視覚を提供する。 【主要目次】 序 文 若林正丈/薛 化元/川島 真 序 章 第一章 人文地理――領有当初の地誌における「移住支那人」認識 第二章 治安問題――「土匪」認識の形成と変容 第三章 同化教育――修身教科書頒布前における公学校教員の修身観から 第四章 宣伝事業――東洋協会『現在の台湾』と後藤朝太郎の台湾人認識 第五章 政治運動――1920 年代の台湾議会設置運動をめぐる「民族心理論」 第六章 皇民化――戦時下の「民族性」言説にみられる対決とその終焉 終 章 監修・校訂者あとがき 川島 真 参考文献
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-第一次世界大戦による大規模な構造変化、そして昭和恐慌をはさんだ1920年代から1930年代にかけて日本経済はいかに変動したのか、その経済構造を明らかにする。1920年代半ばに帝国主義的経済構造がほぼ定着し、金融資本的蓄積が形成し、支配体制が再編強化されていく過程を実証的に明らかにする。 【主要目次】 序 章 問題意識と分析方法 一 本書の課題と問題意識/二 段階的な把握の意味/三 段階的把握の進化/四 対象となる第一次世界大戦後 第1章 第一次世界大戦ブーム下の構造変容 はじめに/一 産業構造変化の国際的条件/二 金融緩慢と株式ブーム/三 財閥コンツェルンの成立/四 過剰資金と資本輸出/五 賃金の上昇と労資関係の変化/六 一九二〇年恐慌とその帰結 第2章 労資関係 はじめに/一 労働力市場の拡大/二 労働条件の改善/三 労資関係の動揺 第3章 国際環境 はじめに/一 世界経済の再編成/二 日本の貿易構造 第4章 景気循環 はじめに/一 一九二〇年/二 不均衡成長と「不況感」/三 一九二九年 第5章 構造変容と政策的対応 はじめに/一 政治経済構造の変容/二 景気調整政策の転換/三 一九二〇年恐慌期の救済策/四 重点産業政策の展開/五 財政運営と在外正貨 第6章 大企業の構造 はじめに/一 大企業の構造/二 企業間関係の変化/三 カルテル活動の展開 第7章 昭和恐慌と日本経済 はじめに/一 金解禁政策と昭和恐慌/二 昭和恐慌の社会経済史/三 恐慌脱出の構造的特質 終 章 一九二〇年代の日本帝国主義――調停法体制の形成
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-戦後統制期の復興をめざすなかで、復興金融金庫は日本の金融政策の「失敗」の代表例とされている。その原因は何か。外部機関による審議の実態は不明であるが、日本銀行の役割や、復金融資の実施過程について、これまで明らかでなかった側面を実証的に解明する。 【主要目次】 序 章 第1章 東京地方融資懇談会期の復金融資実施過程 第2章 復興金融委員会幹事会期の復金融資実施過程 第3章 石炭鉱業向け復金融資実施過程 第4章 電力業向け復金融資実施過程 ――電力融資委員会の設置から廃止まで 第5章 昭和電工向け復金融資 ――会計検査院の指摘と復金の回答 終 章
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-映画研究/写真論における必読文献、本邦初訳 『映画の理論』はクラカウアーの主著であり、映画研究において揺るぎない地位を占めている「古典」かつ金字塔である。「物理的現実を記録し、開示する」映画媒体を一貫性と包括性をもって探究し、その核心へと漸近していく。 Siegfried Kracauer, Theory of Film: The Redemption of Physical Reality, Oxford University Press, 1960 の全訳。 【「序言」より】 映画を突き動かしているのは、束の間の物質的な生を、もっともはかない生を映し出したいという欲望だと考えられる。 映画にとって、街路の群衆、無意識におこなった仕草、その他さまざまな束の間の印象こそが欠かせない内容なのだ。リュミエールの映画作品の数々――歴史上最初の映画――が同時代人たちによって称賛されたのは、それらが 「風に吹かれてさざ波のように揺れる葉」を見せてくれるからだったのは意味深長である。それゆえ、映画作品は、われわれの眼のまえに広がっている世界に浸透すればするほど、この媒体に忠実となるように思われる。 《主要目次》 イントロダクション 第1章 写真 I 一般的特徴 第2章 基本概念 第3章 物理的存在の確立 第4章 内在的な親和性 II 諸領域と構成要素 第5章 歴史とファンタジー 第6章 俳優についての見解 第7章 台詞とサウンド 第8章 音楽 第9章 観客 III 構成 第10章 実験映画 第11章 記録映画 第12章 演劇的なストーリー 第13章 幕間:映画と小説 第14章 〈見出されたストーリー〉とエピソード 第15章 内容の問題 エピローグ 第16章 現代における映画 【訳者解説】偶然と事物の美学:ジークフリート・クラカウアー『映画の理論』について(竹峰義和)
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5.0忍者のすべてが、ここにある 忍者・忍術がはじめて学際的に学問として取りあげられたのではないか――小和田哲男(歴史学者) 小説を書く前に読みたかった――和田 竜(作家) 軍略・暗号、また当時の最先端の科学までを操って歴史に見え隠れし、漫画・小説・映画などの題材としても使われる「忍者 Ninja」は、国内ばかりではなく、海外からも注目されている。各分野の第一人者たちが、その実像から虚像までを網羅した忍者研究の決定版。 【主要目次】 総説「忍者学とは何か」(山田雄司) 第I部 忍者の虚実 第1章 忍術書を読み解く 一・一 忍術書成立に対する兵法書の影響――『万川集海』と『軍法侍用集』を比較して(福島嵩仁) 一・二 忍術伝書解説――紀州徳川藩『合武伝法急勌嗅物見の巻』(中島篤巳) 一・三 兵学書と忍術書における座標型の換字式暗号(吉丸雄哉) 一・四 伝承された忍術の修行法について(川上仁一) 第2章 忍者文学から忍者映画まで 二・一 忍術雑記集――現代日本で忍術を評した人々(酒井裕太) 二・二 近世実録と忍者――孫子・軍学者・講釈師(高橋圭一) 二・三 忍者マンガの系譜――忍術マンガからNINJAマンガまで(橋本博) 二・四 東映忍者史(山口記弘) 二・五 芭蕉忍者説の周辺(岡本聡) 二・六 秘術の叙法と視覚情報――昭和三〇年代忍法小説の表現と挿絵(牧野悠) 二・七 忍者と暗殺――杉谷善住坊と音羽の城戸(クバーソフ・フョ―ドル) 第3章 現代忍者 三・一 近代日本の霊術運動と藤田西湖(一柳廣孝) 三・二 陸軍中野学校と藤田西湖(山本武利) 三・三 奇術と法術(河合勝) 三・四 「忍術」への想像力――伊藤銀月と藤田西湖(森正人) 三・五 「我ならざる我」を働かせる――伊賀忍者は石になる(甲野善紀) 三・六 実学としての忍者学――防災教育への忍術の活用とその検証(三橋源一) 第II部 忍者の科学と技術 第4章 医学・薬学・食 四・一 忍者の印と息長の効果の医学的検討(小森照久) 四・二 忍者食の設計デザイン(久松眞) 第5章 火術 五・一 忍者の火器・火術(荒木利芳) 五・二 忍者の情報伝達方法(加藤進) 第6章 武具 六・一 隠し武具の世界(近藤好和) 六・二 弓の種類と目的に応じた射法(松尾牧則) 第7章 築城と忍 七・一 伊賀・霊山山頂遺跡と歴史的重層性(伊藤裕偉) 七・二 伊賀国における中世末・近世初頭の石塔・石仏(竹田憲治) 七・三 小天狗清蔵について――その活動と天正伊賀の乱後の復興(瀧川和也) 第III部 忍者の実像を探る 第8章 合戦戦略と忍者 八・一 戦国島津氏の忍びについて――「いくさ忍び」の事例と特質(桐野作人) 八・二 戦国期関東の忍びと特殊武装集団(岩田明広) 八・三 島原・天草一揆と忍び(山田雄司) 第9章 伊賀者の成立と各地の忍び 九・一 天下泰平の構造(藤田達生) 九・二 徳川幕府伊賀者の成立と展開(高尾善希) 九・三 弘前藩の忍者が担った北日本の治安維持(清川繁人) 九・四 福井藩の忍之者を創設した軍学者──井原番右衛門頼文という個性(長野栄俊) 第10章 公儀隠密・御庭番と江戸期の忍び 一〇・一 将軍直属の隠密、御庭番の実像(深井雅海) 一〇・二 伊賀者の町――鮫河橋谷町(福重旨乃) 一〇・三 江戸時代の伊賀者――一揆探索の隠密御用(深谷克己) 一〇・四 甲賀の山伏と薬、そして忍術を考える(長峰透) 一〇・五 彦根藩伊賀歩行の職務とその供給源をめぐって(東谷智) 第11章 幕末維新期の忍び 一一・一 忍びたちの明治維新(井上直哉) 一一・二 幕末維新期の無足人の軍役と生活――伊勢国無足人を事例に(藤谷彰) 付録 忍術書『軍法間林清陽巻中』と『万川集海』(福島嵩仁)
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-学問の中心であった漢学が江戸期から明治期に至っていかに変容したのか。西洋の学問が流入し、新しい教育制度のなかで、東京大学を中心とする近代日本のアカデミアによって学問史、思想史がいかに継承され展開していったのか、井上哲次郎・島田重礼・服部宇之吉といった教授陣を丹念に追って明らかにする。 【主要目次】 序章 東京大学と近代漢学 第1章 漢学から「支那哲学」へ――草創期の東京大学および前身校における漢学の位置と展開 第2章 漢学から「日本哲学」へ――井上哲次郎による世界発信の挑戦とその挫折 第3章 漢学から「実用支那学」へ――井上(楢原)陳政を中心とした明治期の漢学改革論 第4章 「孔子教」の前提――島田重礼と服部宇之吉 第5章 漢学から「孔子教」へ 終章 中心と周縁
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-灰燼に帰した日本の都市はどのように現在の姿へと至ったのか 終戦から60年代までを軸に、「戦災復興」「不燃化運動」「都市再開発」の3つの主題から、インフラ整備だけではない姿を浮かび上がらせ、戦後都市の実相に迫る、気鋭の研究者のデビュー作を、その後の戦後都市研究をサーベイする論考を所収し、装いも新たに復刊する。 【主要目次】 序章 都市の戦後、戦後の都市計画と建築 第一部 東京の戦災復興とその後 第一章 東京戦災復興計画と実現した空間 第二章 闇市の簇生と変容:都市建築としてのマーケット 第三章 石川栄耀の都市計画論と「戦後」 第二部 都市不燃化運動とその終焉 第四章 都市不燃化運動の生成と伝播 第五章 日本橋問屋街の都市不燃化運動 第六章 今泉善一と地方都市の防火建築帯 第三部 「都市再開発」の誕生 第七章 用語「再開発」の誕生と変容 第八章 新橋西口市街地改造事業に見る社会と空間:ニュー新橋ビルに刻まれた戦後 補章 民間ディベロッパーと再開発コンサルタントの誕生 結章 戦後日本の都市の位相 増補 戦後都市史研究その後
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-1998年から始まる民主化以降もなお残るインドネシアの非自由主義的な性質の解明に向け、スハルト体制が強固に作り上げた統治理念(「パンチャシラ」(=5つの国家原理))を明らかにし、一貫して窺える暴力の実態に迫る。未解明とされる過去の惨事の詳細な分析を通じて、現在のインドネシア政治との連続性を浮き彫りにする。 【主要目次】 第一章 無法の暴力が支える調和 一 問題設定 二 既存研究における位置づけ 三 本書の構成 第二章 パンチャシラ――変動する体制、変わらない国家原則 一 はじめに 二 パンチャシラの誕生――独立準備調査会 三 国軍とパンチャシラ 四 パンチャシラの変遷 五 反政党とパンチャシラ 六 スハルトのパンチャシラ 七 スカルノとスハルト――その違いと連続性 第三章 九・三〇事件 一 はじめに 二 スハルト体制が描く「大衆の自発的行動」 三 地方における虐殺 四 一体化する国家と民衆の暴力 第四章 タンジュンプリオク事件 一 はじめに 二 事件の経緯 三 スハルトのパンチャシラとイスラーム知識人 四 タンジュンプリオクにおけるイスラーム・シンボル 五 情報統制 六 対イスラーム作戦としてのタンジュンプリオク事件 七 統治手段としての「暴徒」 第五章 「謎の銃殺」事件 一 はじめに 二 ペトルス事件の経過 三 ペトルスに対する反応 四 ペトルスに見るスハルト体制の国家と社会 第六章 一九九八年五月暴動――体制崩壊と残された分断 一 はじめに 二 背景――激化する抗議運動 三 暴動の発生 四 陸軍における権力闘争 五 暴動と体制崩壊 終章 統治理念と暴力 一 調和を支える暴力 二 一九九八年五月暴動被害者のその後 三 スハルト体制の遺産
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-世界で高く評価される舞踏(BUTOH)。始まりは一九六〇年代、土方巽による新しい芸術表現であった暗黒舞踏があらゆる前衛芸術家を巻き込み、やがて超越境的な現代芸術となった。本書は土方を受け継ぐ中嶋夏をはじめとする11人の舞踏家と対談し、なぜこの芸術を志し、どう生きてきたかを展開するものである。 【主要目次】 総論 舞踏家を選んだ人生 1 身体とその奥にあるものをめぐって――舞踏家中嶋夏に聞く 2 北に向かう身体をめぐって――舞踏家ビショップ山田に聞く 3 包み込む闇の身体――舞踏家小林嵯峨に聞く 4 漆黒の闇から純白の拡がりへ――舞踏家雪雄子に聞く 5 繫がっていること、独りであること――舞踏家上杉満代に聞く 6 《復活》と向き合うこと――舞踏家笠井叡に聞く 7 自然とともに踊る――舞踏家森繁哉に聞く 8 金沢で踊り続ける――舞踏家山本萌・白榊ケイに聞く 9 土方巽最後の弟子――舞踏家正朔に聞く 10 京都で踊るということ――舞踏家今貂子に聞く 11 縒った肉体――舞踏家玉野黄市・玉野弘子に聞く おわりに――舞踏家の生と死
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-中国にとって、中央の方針を徹底し、地方の自立的な活動を活性化させることは非常に重要な一貫して重要なテーマであった。本書は、存在が広く知られながら、深く研究されることがなかった中国共産党中央局の内実と機能の実態を明らかにし、中国政府の支配体系の一端を明らかにする画期的な論考。 【主要目次】 序 章 毛沢東時代の中央地方関係と中央局――新たな理解へ 第一章 大行政区の廃止をめぐる政権内力学――広域統治機構の成立と継承 第二章 地方分権と中央集権の間――大躍進運動における経済協作区の変容を中心に 第三章 中央集権化と中央局統治のジレンマ――1960年代初期の中央局の経済管理機能を中心に 第四章 1960年代の政治統制からみた各中央局の統治方針 第五章 中央局体制の再強化から消滅へ――戦争準備計画を中心に 第六章 改革開放への道――秩序の再建と広域統治機構 終 章 広域統治機構の研究の意義と展望 参考文献 索引
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-「俯瞰」と「虫めがね」で明かす、新しいゴシック建築論 近年の研究潮流である建築考古学の方法論を基礎にして、ゴシック特有の建築要素である「トリフォリウム」と呼ばれる通路状の部分への詳細な立ち入り調査実施。 トリフォリウムにみられる、石積みの変化、金属材の使用法、彩色法、足場や仮枠、石材の規格化等を詳細観察することで、ゴシック建設技術の総体を高解像で明らかにしながら新しい「ゴシック建築像」を示す。 【主要目次】 序 章 物質としての大聖堂 1 俯瞰の作業と虫めがねの作業 2 トリフォリウムとは何か 3 方法と対象 4 本書の構成 第1章 様式発展を支える石組みの技 1 ゴシック以前の壁内通路 2 「石積み」から「石組み」へ 3 盛期ゴシックにおける立面と石材の大規模化 4 迫石のないアーチの採用 5 レイヨナン様式のトレーサリー 6 簡素化と柱頭の省略 7 フランボワイヤン様式の表面装飾 第2章 石材の規格化と加工過程 1 作業小屋と石積み職人の出現 2 規格化の手法 3 石材の寸法と重さ 4 加工と施工の痕跡 5 サインや落書き 第3章 材料の純化と複合化 1 充填積みの壁から単積みの壁へ 2 柱の純切石化による安定性の確保 3 構造の複合化――鉄と鉛 第4章 ゴシックの建設現場 1 宙に浮いた足場 2 トリフォリウムに残る足場固定の痕跡 3 部材の引き上げと運搬 4 工事の進行と中断 5 新旧の接合――サン=ドニ修道院教会堂を例に 6 階段状の建設――ノワイヨン大聖堂を例に 第5章 通路としての実用性 1 階段と水平通路のネットワーク 2 通路へのアクセスの可否 3 トリフォリウムの使用法 第6章 色彩と彫刻における可視性と不可視性 1 伽藍は白くなかった―色彩と擬似石積み 2 植物、顔、動物―個性的な建築彫刻 3 見えない部分の装飾を省くか施すか 終 章 書斎のゴシックから現場のゴシックへ 補 遺 「トリフォリウム」、由来不明の言葉 あとがき トリフォリウム関連地図 調査建物一覧 用語集 図版出典一覧 参考文献 索引
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-ヨーロッパ史上に出現する多様な団体と結社。そこに通底する宗教的・秘儀的な原理=「友愛と秘密」に着目し、その儀礼と象徴にかかわる思想潮流や組織形態を比較考察する。近代市民社会形成のひとつの原動力となり、現代にまで続く団体・結社を、社会文化史から捉えなおす。 【主要目次】 緒 言(深沢克己) 序 章 友愛団・結社の編成原理と思想的系譜(深沢克己) 第I部 友愛団の宗教史的文脈 第1章 エレウシスの秘儀とオルフェウスの秘儀(桜井万里子) 第2章 秘儀・啓示・革新(千葉敏之) 第3章 中世ブルッヘの兄弟団と都市儀礼(河原 温) 第4章 彗星、世界の終末と薔薇十字思想の流行(ウラジミール・ウルバーネク) 第5章 ヨーゼフ寛容令と「狂信者」(篠原 琢) 第II部 友愛団・秘密結社の諸形態 第6章 マルタ十字から赤十字へ(西川杉子) 第7章 フリーメイソンの社交空間と秘教思想(深沢克己) 第8章 秘密結社と国家(勝田俊輔) 第9章 戦間期フランスの亡命イタリア人とフリーメイソン(北村暁夫) あとがき(桜井万里子)
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-我々の社会に各種の便益を提供している技術システムは、どのようなメカニズムで過去から未来へと進化していくのかを、新幹線をケーススタディとして検証する。戦前の弾丸列車構想や、戦後の国鉄の労使問題などから、社会や組織が技術システムに与える影響を解き明かす。 【主要目次】 序章:本書の課題と分析視角 第Ⅰ部:本書の目的・位置づけ 第1章:技術の進化に関わる先行研究の検討と本書のフレームワーク 第2章:国有鉄道と鉄道技術の概要 第Ⅱ部:広軌の実現をめぐる鉄道の進化 第3章:広軌改築をめぐる論争 第4章:弾丸列車計画 第5章:戦後の新幹線計画と広軌の実現 第Ⅲ部:速度をめぐる新幹線の進化 第6章:環境問題・労働組合問題による新幹線の速度向上の停滞 第7章:組織の支持率と新幹線への資源動員 補論:民営鉄道・公営鉄道の要素技術開発とその普及・採用 終章:技術システムにおける継承と選択の組織メカニズム
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-従来の西洋中心主義から脱却し、諸地域で展開する思想の差異から「比較思想」そのものを問い直すとともに、新たに注目されている「世界哲学」との対話を通じて、普遍的な価値を探求する。国内有数の研究者たち、海外の気鋭の哲学者たちによる17の論考を収録。 【主要目次】 はじめに(中島隆博) Ⅰ 比較思想と世界哲学 第1章 文化的差異を超えて(マルクス・ガブリエル)/第2章 意味の出現から意味の到来へ(下田正弘)/第3章 ギリシア哲学とインド哲学の対決(納富信留)/第4章 中国哲学を普遍化する(中島隆博) Ⅱ 日本哲学から見た比較思想と世界哲学 第5章 西洋哲学から世界哲学へ(ブレット・デービス)/第6章 哲学・思想の「日本性」?(板東洋介)/第7章 西田の根本経験と比較哲学の基盤(氣多雅子)/第8章 世界から自己を考える立場(板橋勇仁) Ⅲ 空海と世界哲学 第9章 空海と世界哲学(種村隆元)/第10章 空海の思想概観(大塚伸夫)/第11章 中世インドの言語哲学から空海を読む(川村悠人)/第12章 比較思想としての天長六本宗書(師 茂樹)/第13章 霊異と即身成仏(安藤礼二) Ⅳ 普遍的思想史の夢の続きへ――中村元と比較思想研究 第14章 普遍的論理学の夢(護山真也)/第15章 比較思想の意義とその展開(保坂俊司)/第16章 普遍思想史の構想(水野友晴)/第17章 ヴェーダーンタ哲学から普遍思想へ(加藤隆宏) 付録 1.文化とアイデンティティ(中野裕考)/2.哲学的方法を再考するために(ゲレオン・コプフ)/3.空海の思想構造――ことばと身体(阿部貴子) あとがき(中島隆博)
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5.0習近平とは、どのような人物なのか? 彼が最高実力者となった軌跡を豊富な資料を渉猟し、中国共産党の支配、中国政治の本質に迫る画期的な論考。 【主要目次】 序章 「問題」としての習近平 一 本書の課題――「習近平時代の政治」の全体像の討究(最高指導者、支配体制、社会との関係) 二 時代状況と指導者に対する分析の視座 三 習近平研究の動向、主な先行業績の紹介と批判的検討 四 本書の特徴と独自性――分析、叙述、資料 五 本書の構成と各章の概要 Ⅰ 習近平体制とはなにか 第一章 習近平時代の支配と中国の自由、民主主義の「現在地」――歴史発展と国際評価 はじめに 一 政治の思惟と行動にみる歴史的連続性――革命党、被害者意識と欠落感、歴史の復仇 二 現代中国政治史における習近平体制の位置づけ 三 習近平時代における支配の正統性と「デジタル・レーニン主義」の支配 四 習近平時代の自由と民主主義 五 グローバルパワーとしての存在感と人権をめぐる国際対立 おわりに 第二章 「労働者」と訣別する「前衛」――創立百周年を迎えた支配政党の組織実態 はじめに 一 党員統計の特徴と分析の方法的限界、議論の前提 二 習近平時代の党勢発展 三 党員集団の組織構成の変化とその趨勢 おわりに 第三章 「お仲間」の政治学――ポスト社会主義、比較社会主義の習近平・中国とプーチン・ロシア はじめに 一 ロシア型権威主義とプーチン体制――ロシア・ウクライナ戦争前の研究動向 二 ロシアのウクライナ侵攻をめぐる中国の学習状況――ロシア・ウクライナ戦争開始後の研究動向 おわりに Ⅱ 習近平とはどのようなリーダーか――過去、現在、未来 第四章 〈支配体制の申し子〉の政治的来歴――最高指導者になるまでの歩み(1966~2012年) はじめに 一 資料と分析の視角、解釈の留意点 二 政治論のなかの持続的要素――支配と指導スタイルの要点 三 政治家としての成長と政治認識、政治行動の変遷――任地と職位に伴う変化と発展 おわりに 第五章 中国共産党「領袖」考――政治文書の用例にみる指導者称号と個人独裁の問題 はじめに 一 「領袖」復活の兆しと個人崇拝の懸念 二 政治文書における「領袖」の使用状況とその政治的意味 三 「新時代」の政治的退行と党主席制の復活 おわりに 第六章 「語録の世界」と「闘争」の人――習近平、毛沢東、文化大革命の政治連関 はじめに 一 分析の方法と視角、解釈の留意点 二 『毛沢東語録』と文化大革命期の政治社会 三 習近平のなかの毛沢東思想 四 時代精神としての「闘争」 おわりに 第七章 〈最高実力者〉の誕生――事件は会議室でも起こる(2015~2018年) はじめに 一 中国政治研究と経営学のリーダーシップ論 二 〈最高実力者〉への勝負と飛躍 おわりに 第八章 〈中華民族の父〉を目指す習近平、あるいは「第二のブレジネフ」か「第二のプーチン」か ――権力、理念、リーダーシップ はじめに 一 制度による集権、集権によるシステムの変革 二 「中華民族の偉大な復興」をめぐる習近平の政治的思惟 三 「家族と個人の時代」における父権主義的リーダーシップ 四 「習近平時代」の政治発展のゆくえ おわりに 第九章 台湾有事と「東アジア近代史の総決算」の可能性――台湾統一/併合をめぐる政治論 はじめに 一 習近平政権の台湾政策の特徴と論理 二 「中華民族の偉大な復興」に対する台湾の意義 三 台湾政策の「原風景」、認識の「古層」としての福建省時代 おわりに 終章 習近平時代の中国政治の将来、台湾問題をめぐる日本の政治戦略 一 習近平研究の暫定的な総括と補足 二 権力の伝統に回帰する中国政治 三 台湾海峡での紛争予防に向けた日本の政治戦略
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-夏目漱石は、どのようにイギリス、そして日本の伝承された歌や物語を活用し小説を書いたのか。伝承文学の語りと歌とが漱石に大きな示唆を与えたこと、それらが文学内容にも深く関与していることを明らかにする。 【主要目次】 総論 バラッドを書く 第Ⅰ部 歌と争闘 第一章 なぜ『オシアン』を翻訳したのか(一)――古代スコットランドから 第二章 なぜ『オシアン』を翻訳したのか(二)――バラッドの復興 第三章 古謡と語り――漱石の翻訳詩から小説へ 第四章 バラッドの『夢十夜』 第五章 ウォルター・スコットの明治 第六章 『三四郎』に重なる王権簒奪劇 第Ⅱ部 詩神の声 第七章 スティーヴンソン小説からの伝授 第八章 古代日本バラッドの作用 第九章 『リリカル・バラッズ』から漱石へ 第一〇章 小品の連続性と英詩の役割――『永日小品』 第Ⅲ部 伝承の生成 第一一章『草枕』に息づく伝承 第一二章 古譚と『草枕』 第一三章 古い宗教の生々しい声と『行人』 第一四章 漱石文学に生きる古譚の蛇 第一五章 『彼岸過迄』の彼岸と此岸
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-詩画比較論の新たなステージへ 東西思想往還のダイナミズムを捉えた詩情豊かな美学史 レッシング『ラオコオン』が引き起こした論争を基点に、近代中国は西洋の美学理論を受容しつつ、中国の伝統的な芸術理論を更新し、詩画比較論の新たな次元に至る――東西の思想往還のダイナミズムを捉え、思想家の思考のスタイルの細部までも描く、詩情豊かな美学史。 ▽▼ 主要目次は下記よりご覧いただけます ▼▽ 【第14回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】 ★田中純先生(東京大学名誉教授) 東京大学南原繁記念出版賞授賞時講評より 『ラオコオン』論争との対峙を切り口とすることにより、一九二〇年代から六〇年代にかけての中国における独自な美学思想の生成過程を鮮やかに浮き彫りにしている〔………〕書籍化の暁には、東西の古典に対するあらたな視角を提供する二〇世紀中国美学史として、広範な読者の関心を必ずや惹起するであろう。 【主要目次】 序章 一九二〇年代から六〇年代の中国美学 第一部 二〇世紀中国美学の基本的枠組み――朱光潜と宗白華 第一章 朱光潜の『ラオコオン』論の変遷(上) 第二章 朱光潜の『ラオコオン』論の変遷(下) 第三章 宗白華による古典哲学に基づく近代中国美学 第四章 「気韻生動」論の近代化――中国美学を再構築するための枠組み 第二部 二〇世紀中国美学の刷新――銭鍾書の文学論 第五章 銭鍾書による学問的枠組みの刷新 第六章 銭鍾書の文学論 第七章 銭鍾書の『ラオコオン』論の形成背景――呉宓の受容 終章 二〇世紀中国美学 あとがき 初出一覧 参考文献 索引
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-かつて「停滞のアジア」を象徴し「援助の実験場」とも呼ばれたバングラデシュは、1990年以降安定的な経済成長を実現し、もはや途上国を脱しようとしている。本書は、長期的な視点と最新のフィールド調査の知見を結集し、その躍進の背景と課題を検証し、南アジアの社会変動の最前線に立つバングラデシュの姿を鮮明にとらえる。2024年政変のゆくえを考えるうえでも必読の一冊。 【主要目次】 序 論 現代バングラデシュ――経済成長と激動する社会(杉江あい・外川昌彦) 第1部 経済発展と社会開発 第一章 低開発から脱した経済――南アジアにおける東アジア型産業発展(山形辰史) 第二章 経済発展と労働市場の変化――農村女子就業を中心に(藤田幸一) 第三章 社会開発の進展と取り残される人びと――貧困・教育・保健・災害をめぐる課題(日下部尚徳) 第2部 地域社会の変容と開発の争点 第四章 NGOの戦略変化と北のNGO――ショミティ・アプローチから小規模金融(MF)へ(大橋正明) 第五章 小規模金融(MF)からみた女性の社会関係――エンパワーメントをめぐる争点(石坂貴美) 第六章 社会経済変動のなかの女性への暴力――家父長制的な保護の揺らぎ(池田恵子) 第七章 川とともに生きる農村の変化――生態環境と地域社会をめぐる課題(杉江あい) 第3部 イスラーム化と変容する女性 第八章 農村社会の五〇年――女子教育の拡大と宗教意識の変化(外川昌彦) 第九章 イスラームとライフスタイル消費――巡礼とハラール市場からみた家族と女性(中谷哲弥) 第一〇章 パルダ実践のダイナミズム――都市化する社会と女性労働の拡大(ラミレズ(鈴木)亜望) 第4部 グローバル化と人の移動 第一一章 移住からみた社会――調査経験と文献サーベイから(高田峰夫) 第一二章 海外出稼ぎと農村経済――女性の海外出稼ぎの拡大への期待(須田敏彦) 第一三章 移民女性が抱える課題――日本での妊娠・出産・子育てからみる(工藤昭子) 第一四章 外交の変容――対印関係を中心として(村山真弓) あとがき(日下部尚徳)
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-近代国家は統治対象の土地や人間に関する各種情報をいかにして収集し、社会の状況を見えるようにするためにどのようなことを行うのか。日本統治時代の植民地当局による台湾原住民に対する可視化の展開について検証し、その現地社会への影響を明らかにする。 【主要目次】 はじめに 第1部 台湾原住民社会の可視化 第1章 近代国家による統治と可視化 第2章 「蕃地」の可視化と地図、公的書類 第3章 もう一つの可視化と原住民の生業構造の改変という施策 補論1 視覚的秩序と可視化 補論2 可視化が何をもたらすのか:「保留地」の土地測量・土地登記が引き起こした変化 第2部 身分登録と臣民統合 第4章 身分登録の二面性と身分の多元性 第5章 臣民統合と資源の流用 第6章 身分登録書類の記載項目としての「姓名」:原住民の人名が登記されること 補論3 戦後「山地」監視体制と国家にとっての安全 おわりに 付録 「可視化」「可視性」という日本語についてのノート
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-ヴァナキュラーを知らずして、現代の多様な文化現象を把握することはできない。普通の人びとのありきたりで、平凡な日常世界での創作活動=ヴァナキュラー・アートとは何かを民俗学的視点から浮かび上がらせる、未完のプロジェクトとしてのヴァナキュラー文化決定版論集。 【主要目次】 序章 ヴァナキュラー・アートと民俗学(菅 豊) Ⅰ ヴァナキュラーなアート理論 第1章 ヴァナキュラー・アートとは何か?:「小さきものの芸術」へのまなざし(菅 豊) 第2章 現代美術の民俗学的転回:ヴァナキュラー・アートと限界芸術(福住 廉) 第3章 「ヴァナキュラー」と「アート」の「あいだ」に:大正・昭和初期における余技・南画家たちの暮らしと実践(塚本麿充) 第4章 〈アート〉における「ヴァナキュラー」/「グローバル」:フェスティヴァルの考察から(小長谷英代) 第5章 占領期ヴァナキュラー写真を浮上させる:米国での調査をもとに(佐藤洋一) Ⅱ ヴァナキュラーなアート実践1 造形 第6章 超老芸術論:レジリエンスとしての表現(櫛野展正) 第7章 おかんアート:人生における創作活動や技能の蓄積を日常生活で可視化する(山下 香) 第8章 ペンギンがやってきた町:ヴァナキュラーなお土産文化(加藤幸治) 第9章 お地蔵さまにマフラーを:ヴァナキュラー・アートによる信仰実践(西村 明) Ⅲ ヴァナキュラーなアート実践2 表演 第10章 祭礼アートとしてのつくりもの:タピオカと紫芋フレークの現代民俗芸術論(塚原伸治) 第11章 島の地産地〈笑〉論:ヴァナキュラーに笑い合う余興笑芸人たち(川田牧人) 第12章 歌わずにはいられない人々:在日フィリピン人の歌コンテスト「ウタウィット」(米野みちよ) 第13章 ヴァナキュラーな踊りの価値と、その限界:大里七夕踊の休止をめぐって(俵木 悟)
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-日露戦争後から第一次世界大戦末にかけて、陸軍が独立した政治勢力として登場する過程を解明する。大陸政策、満州経営政策をめぐる対立、陸軍内部の権力状況に光をあて、政党政治確立過程における藩閥と政党の対抗=提携関係の中に位置づけた名著、待望の復刊。全て新しく組み直し、「復刊によせて」を付す。 【主要目次】 はじめに 第一章 日露戦後における大陸政策と陸軍 序 説 明治四〇年帝国国防方針の成立 第一節 満州権益確立過程における陸軍 第二節 桂園時代における陸軍 第二章 明治末・大正初期における大陸政策と陸軍 第一節 満州権益確立後における大陸政策の模索 第二節 大正政変期における陸軍 第三章 大戦期における大陸政策と陸軍 第一節 積極的大陸政策の諸類型とその帰結 第二節 長州閥陸軍の変容過程 おわりに 地図 関係年表 資料および文献について あとがき 復刊によせて
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-退勤後も仕事について考えてしまうのはなぜか。その苦痛の要因は何か。リモートワーク普及でより身近になった仕事と生活の切り替えの問題について、日本の組織人の実情に寄り添って検討し、開発した「自分ケア意識」を育むICTプログラムによる支援モデルを提案する。 【主要目次】 はじめに Ⅰ ワーク・ライフ・バランスと「切り替え」の問題 1 仕事と生活の「切り替え」に関する先行研究 2 本書の目的と構成 コラム1 「仕事」と「生活」の関係に関する重要なテーマ Ⅱ 「仕事切り替え困難」の体験と生起プロセス 3 生起プロセスに関する質的検討(研究1) 4 「仕事切り替え困難尺度」の開発(研究2) コラム2 バウンダリー・マネジメント――仕事と生活の境界管理 Ⅲ 「仕事切り替え困難」の生起に関わる要因 5 ポストコロナ社会における自己調整の重要性(研究3)――リモートワーカーを対象にした研究報告 6 「切り替え」におけるセルフモニタリングの限界(研究4)――シフト制勤務の女性社員を対象にした調査から 7 セルフモニタリングから「自分ケア意識」へ(研究5)――日本人の特徴に寄り添ったセルフケアに向けて コラム3 リモートワークでも仕事のスイッチを「オン」にするヒント Ⅳ 「切り替え」支援プログラムの開発と検証 8 「自分ケア意識」を促進する「切り替え」支援プログラムの開発 9 開発した「切り替え」支援プログラムの検証と改善(研究6)――3カ月間の試験的実践報告から コラム4 働き方の主体的なデザインに向けて Ⅴ 持続可能な働き方の主体的な実現のために 10 これからの「切り替え」支援に向けて あとがき Appendix 第3章(研究1):概念の一覧 第4章(研究2):「仕事切り替え困難尺度」 第5章(研究3):リモートワーク低頻度群・高頻度群の全体相関 第8章:セルフモニタリングシステムで使用したチェック項目
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-★講評・宇野重規(東京大学教授) 「人権の哲学」とはあまりに大きなテーマと思われるかもしれない。言うまでもなく、人権に関して、その普遍性や歴史をめぐって数多くの議論が積み重ねられてきた。さらに、憲法学や法哲学、政治学や倫理学などの分野において、個別の思想家や理論家、あるいは学派についての研究も数多くなされてきた。 しかしながら、本書が注目するのは、人が人であるがゆえに持つ権利である人権についての哲学的な根拠である。特に近年の英米圏の政治哲学における、人権の正当化根拠をめぐる「政治的構想」と「自然本性的構想」の対立に焦点を定めている点に最大の特徴がある。選考にあたっては、膨大な先行研究を丹念に整理し、自らの立場を明確に示していることが高く評価された。(中略) 人権を根拠に「人道的干渉」が行われる現在、人権をめぐる議論がますますグローバルな文脈で展開されるようになっている。本書の理論的示唆はもちろん、実践的示唆もきわめて大きい。多くの方に読んでいただけることを期待したい。
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-明治から大正、昭和という時間軸のなかで国際秩序への対応を迫られ、近代日本の外交は大きな変化を繰り返してきた。西洋の国際秩序の変動にもともない、いわば古典的帝国主義に順応した日本は、国際秩序の新しい原理や仕組みに適合できなかった。日本外交が国際社会に対峙した実態を多角的に論じる。 【主要目次】 序 章 日本外交の近代史(黒沢文貴:東京女子大学名誉教授) 第一部 東アジアと日本 第1章 金玉均暗殺事件をめぐる中朝日英関係――中華秩序の崩壊の始まり(森万佑子:東京女子大学現代教養学部准教授) 第2章 三浦梧楼朝鮮公使任命の再検討(大澤博明:熊本大学大学院人文社会科学研究部教授) 第3章 「模範国ドイツ」の崩壊と朝鮮統治(小林道彦:北九州市立大学名誉教授) 第4章 日露戦後における曾我祐準の対外政策論――台湾統治と中国進出問題を中心に(小林和幸:青山学院大学文学部教授) 第二部 第一次世界大戦と日本 第5章 大正期における徳富蘇峰の国際情勢認識(中野目徹:筑波大学人文社会系教授) 第6章 川村竹治と立憲政友会(西川誠:川村学園女子大学教授) 第7章 独探と『神戸新聞』(諸橋英一:慶應義塾大学非常勤講師) 第8章 日本海軍の遠洋練習航海の外交史的意味――第一次世界大戦期を中心として(奈良岡聰智:京都大学大学院法学研究科教授) 第9章 外務省情報部の設置と中国認識――その適否と限界性をめぐって(熊本史雄:駒澤大学文学部教授) 第三部 昭和期の戦争と日本 第10章 一九三〇年代の日本の原料問題への対応――「原料品問題調査委員会」を中心として(庄司潤一郎:防衛研究所研究顧問) 第11章 一九四〇年の国家総動員体制――近衛新体制運動と「世論」(森 靖夫:同志社大学法学部教授) 第12章 日米交渉にみる国際秩序形成の相剋――大東亜新秩序と太平洋全域の平和プログラム(佐藤元英:元中央大学政策文化総合研究所長) 第13章 A級戦犯の独白(日暮吉延:帝京大学法学部教授)
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-ナチズムの映像表象、権力の身体性、男性結社のエロス、建築と政体の関係を鋭く分析し、政治的暴力が美化され、エロティックなものにさえなる情動の論理を探究する表象文化論の極北を、その後の著者の研究を概観し、展望する論考を増補し、装いも新たに復刊する。 《書物復権2025》 【主要目次】 序 I 一九七〇年代のナチ・テロル・ロック――時代論 序 「ファシズムの美学」再考――スーザン・ソンタグ「魅惑するファシズム」 第1章 キッチュな黙示録――ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク『ヒトラー、ドイツからの映画』 第2章 白い恐怖、赤い亡霊――クラウス・テーヴェライト『男たちの妄想』と一九七〇年代ドイツ 第3章 自殺するロックンロール――デヴィッド・ボウイにおけるロック・イデオロギー II 権力の身体――政体論 序 権力の三つの身体――聖体から革命の身体へ 第1章 ギリシア幻想の身体――ヨハン・ヨアヒム・ヴィンケルマンと古代の模倣 第2章 レヴィヤタン解剖――イメージ・表象・身体 第3章 子午線のデザイン――カール・シュミット『大地のノモス』 第4章 「英霊」の政治神学――橋川文三と「半存在」の原理 III 男たちの秘密――結社論 序 男性結社のエロス――三島由紀夫と結社論の諸問題 第1章 主権の秘密――オットー・ヘフラー『ゲルマン人の祭祀秘密結社』とその周辺 第2章 戦士の到来――社会学研究会とジョルジュ・デュメジル 第3章 亡命者たちの山――日本における男性結社論の系譜 IV 建築と政体――表象論 序 建築空間の政治学――ミース、アールト、ル・コルビュジエ 第1章 近代というナルシス――ル・コルビュジエの遡行的問い 第2章 小国民の建築――アルヴァ・アールトの「小さな人間」 第3章 ファシズムの表象――ジュゼッペ・テラーニの倒錯的合理主義 第4章 「どうしようもないもの」との葛藤――堀口捨己における日本・近代・建築 エピローグ 註 跋 補 章 「政治的感性術」の分裂生成に向けて 増補新装版 跋 附録/年表/書誌・フィルモグラフィ・ディスコグラフィ/図版一覧/人名索引/事項索引
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-ある権利を求める動きがナショナリズムや排他主義に結びつくのはどうしてなのか イスラエルで20世紀末から興隆した性的少数の権利と動物の権利という2つの権利に関わる政治がいかにしてイスラエルのナショナリズムや排外主義に結びついてきたのかを精緻に分析する。政治から紐解く、中東研究の新たなる視点。 ●第14回東京大学南原繁記念出版賞受賞作 【主要目次】 序章 第Ⅰ部 性の政治 第1章 「中東で最もゲイ•フレンドリーな街」――テル・アヴィヴの新自由主義 第2章 再配備されるゲイの権利とホモナショナリズム 第3章 シオニズムにおけるクィア性の系譜 第Ⅱ部 動物の政治 第4章 「ヴィーガン・フレンドリーなテル・アヴィヴ」の成立――ヴィーガンニズムの商業化と新自由主義 第5章 ヴィーガン・ナショナリズム――対テロ戦争時代のイスラエルの動物の権利運動 第6章 シオニズムにおける動物性と動物の形象 終章 あとがき 参考文献 巻末資料 索引 凡例
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-室町幕府や戦国大名の法、寺院領主の法、社会慣習など15世紀から17世紀初頭の時期の法や慣習を通して、法にあらわれた当時の権力と社会の関係を描き、当時の社会の転換の一端を明らかにする。 【主要目次】 はじめに 第一部 室町幕府法と社会 第一章 壁書・高札と室町幕府徳政令 第二章 室町幕府「分一徳政」の展開 第三章 撰銭令にみる室町幕府法の展開 第二部 検断と室町・戦国の社会 第一章 戦国時代における領主検断の理念 第二章 中世後期の集団間紛争の解決における「罪科の成敗」 第三部 検断と戦国法 第一章 三好氏「新加制式」の検断立法 第二章 「塵芥集」検断法の「成敗」 第三章 「塵芥集」法文の立法論理の一事例 第四章 中世から近世初期の盗品法の展開 おわりに
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-戦後日本の貧困の実態、その貧困から脱出する方法の模索、そして新たな社会問題の発見――。半世紀以上前に行なわれた複数の社会調査の個票をデジタル復元し、その統計分析と各種史資料とを検討することにより、戦後期日本社会の世帯・家族と福祉の実像を再構成する。 【主要目次】 まえがき(佐藤 香) 序章 戦後日本社会の世帯と福祉を復元二次分析から解読する(相澤真一) 第I部 戦後の貧困へのまなざし――1950年代・1960年代の貧困はいかなるものだったか 1章 社研所蔵社会調査の由来と特徴――復元二次分析の可能性(岩永理恵) 2章 「調査員」を中心に社会調査を描きなおす――神奈川調査シリーズにおける民生委員の役割に着目して(堀江和正) 3章 戦災母子世帯の戦後(渡邊 勉) 4章 「ボーダー・ライン層」調査の復元二次分析――データから見る1960年代前半の低所得層(相澤真一) 第II部 人びとはいかに厳しい状況からの脱却を図ったか――貸付・教育・住宅・生業 5章 高度経済成長期の福祉貸付――昭和30年代の世帯更生資金貸付(生業資金)の位置と効果(角崎洋平) 6章 高度経済成長初期段階の進学支援とその意味(白川優治) 7章 福祉貸付と医療保障――療養資金の機能と「ボーダーライン層」の健康(坂井晃介) 8章 既存持家の改善からみる住宅資金の歴史的意義――住宅事情および政策の棲み分け(佐藤和宏) 9章 福祉資金の利用にともなう恥の規定要因――民生委員による伴走支援に注目して(石島健太郎) 第III部 マージナルな人びとのライフコース 10章 耐久消費財の普及は妻の家事時間を減らしたのか(渡邉大輔・前田一歩) 11章 団地のなかの児童公園――高度経済成長期の外遊びをめぐる生活時間データの分析(前田一歩) 12章 1960年代における高齢者の生活の実相――「老人問題」の諸相(羅 佳) 13章 戦後日本型労働・雇用――保障体制の手前における高齢者の働き方と子からの自立生活意識(渡邉大輔) 付録(復元作業過程・調査票) あとがき(佐藤 香)
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5.0今,求められるマネジャーは, 優れた戦略家でもカリスマ的司令塔でもない⁈ 無秩序な日常の中からこそ早発する適応的な学習の姿を, 認知科学が描き出す 大きな変化が常態化した現代の組織では、マネジャーはそれまでの得意技を捨て、新しいやり方にチャレンジする高次学習を何度もしなければならない。そこでは高次学習の熟達=メタ学習が求められる。心理学実験とフィールド調査、認知科学と経営学を組み合わせたユニークなアプローチで、無秩序な日常の中から創発するメタ学習のメカニズムに迫る。 【主要目次】 プロローグ 第1章 現代のマネジャーに求められる学習 1.1 背景としてのビジネス環境の変化/1.2 予測困難な変化が常態化する組織で求められる学習/1.3 本書の目的/1.4 熟達をめぐる経営学・認知科学の先行研究の課題/1.5 ミニチュアによるモデル化を用いた段階的アプローチ 第2章 メタ学習のミニチュアとしての洞察の熟達 2.1 なぜミニチュア課題として洞察を選ぶか/2.2 洞察とその熟達をめぐる論争/2.3 メタ学習の暫定的な概念モデル/2.4 図形パズルを用いた実験デザイン/2.5 概念モデルの構成要素のミニチュア課題の事象へのマッピング/2.6 洞察の熟達の生起とモデルの妥当性の検証(第一実験)/2.7 構成要素間の関係性の分析(第二実験)/2.8 ミニチュア課題でのメタ学習と概念モデルの修正/2.9 ミニチュアからフィールドへ 第3章 フィールドでのマネジャーのメタ学習 3.1 フィールド調査にあたって/3.2 調査の概要/3.3 マネジャーの日常/3.4 概念モデルの構成要素のフィールドの事象へのマッピング/3.5 組織パフォーマンス/3.6 標準プロセスからの逸脱/3.7 早期フェーズの修正判断/3.8 高次学習の仕方の変化/3.9 ゴールの漸次的創発/3.10 計画の分散/3.11 マイクロ・コーディネーション/3.12 予測困難な変化に適応するメタ学習 第4章 創発過程としてのメタ学習 4.1 本書の歩みを振り返る/4.2 メタ学習のメカニズム/4.3 本書の貢献/4.4 本書の課題と展望 あとがき 付録――第2章第二実験の事例分析と言語報告
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-最高裁判事を務めるなど、法曹実務においても主導的役割を果たしてきた刑法学の泰斗の古典的名著を、新たに「復刊によせて」を収録し待望の復刊。古くて新しい問題である「危険」の概念を深く掘り下げ、往来危険罪や放火罪をはじめとする危険犯の理論的問題について解決の糸口を導き出す。 【主要目次】 第一章 問題の所在と本稿の目的 第一節 従来の判例・学説 第一款 序 第二款 具体的危険をめぐる問題状況 第三款 抽象的危険をめぐる問題状況 第二節 本稿の目的 第二章 刑法における危険の概念――予備的考察 第一節 法益侵容の危険 第一款 危険判断の構造 第二款 結果としての危険 第二節 危険判断の方法 第一款 危険判断の基準 第二款 危険判断の基礎 第三章 具体的危険犯の処罰根拠 第一節 従来の学説の検討 第一款 一般的危険説 第二款 具体的危険説――「事前判断」の立場 第三款 客観的危険説――「事後判断」の立揚 第二節 具体的危険とその判断 第一款 我が国の判例の若干の検討 第二款 「事後的」危険判断 第四章 抽象的危険犯の処罰根拠 第一節 従来の学説の検討 第一款 純粋不服従説と批判 第二款 抽象的危険説 第二節 抽象的危険犯の解釈の試み 第一款 抽象的危険の意義 第二款 危険の「推定」について 第三款 「準抽象的危険」の概念 終章 危険犯の類型 復刊によせて
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-戦争の時代に生み出された コスモポリタニズム(世界市民主義)の秩序構想 戦争が絶えない18世紀のフランス、そしてヨーロッパ。平和を求め続けた人々の世界秩序構想とはいかなるものだったのか。啓蒙の時代に生み出されたコスモポリタニズム(世界市民主義)の多様な相貌を明らかにし、その意義を捉え直す。争いのない世界をめざす、思想的格闘の軌跡。 【主要目次】 序論 第一章 祖国への愛と人類への愛 第二章 世界市民の肖像――ル・ブランとフジュレ・ド・モンブロン 第三章 平和のための制度 第四章 商業平和論の展開 第五章 ジャン=ジャック・ルソーにおける戦争と平和 終章 カントの平和論――一八世紀フランスのコスモポリタニズムのプリズムを通して 結論
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-第一次世界大戦の惨禍を踏まえて模索された国際秩序の構築に、日本はいかに関わったのか――戦間期の重要なトピックであり、日本外交の成功例や失敗例として位置付けられる三つの事例(国際司法制度、外国人待遇問題、国際人道法への対応)を詳細に分析。国際機構を舞台とした日本外交の実態を解き明かし、その可能性と限界を浮き彫りにする。 【主要目次】 序 章 多国間外交の時代としての戦間期と日本 第一節 本書の問題関心 第二節 本書の構成 第一章 外務省における組織改革と国際機構――「連盟派」の再検討 はじめに 第一節 外務省条約局と臨時平和条約事務局の設置と管掌業務・人員数の変遷 一 外務省条約局と臨時平和条約事務局の設置/二 条約局第三課の創設と臨時平和条約事務局の廃止(一九二四年)/三 外務省分課規程改正(一九三四年)と条約局人員数の変容 第二節 各国における外政機構の組織編成と国際機構 一 イギリスの場合/二 フランスの場合/三 イタリアの場合 小 括 第二章 国際裁判の制度化と日本外交――裁判付託範囲の維持から変容へ はじめに 第一節 伝統的態度の維持から変容へ 一 日本=スイス仲裁裁判条約締結交渉/二 ジュネーブ平和議定書(一九二四年)への対応 第二節 態度変容の反映――日米仲裁裁判調停条約締結交渉 一 交渉開始までの経緯/二 日本政府の対案と交渉の停滞 第三節 さらなる変容の兆候 一 日蘭仲裁裁判調停条約締結交渉と一般議定書(一九二八年)/二 常設国際司法裁判所規程改正(一九二九年)/三 一九二九年の選択条項受諾問題 第四節 満洲事変後の日本外交と国際裁判 一 常設国際司法裁判所残留問題/二 日蘭仲裁裁判調停条約の締結とその後 小 括 第三章 外国人待遇問題と日本外交――多国間枠組みの積極的活用 はじめに 第一節 人種平等提案の挫折から外国人衡平待遇の提案へ 一 国際連盟総会における人種平等提案再提案の挫折/二 第一回国際移民会議(一九二四年)/三 国際連盟経済財政仮委員会における外国人衡平待遇の提案 第二節 国内管轄事項をめぐる相克――ジュネーブ平和議定書(一九二四年)の日本修正 一 日本修正案提出に至る経緯/二 修正案をめぐる紛糾と日本政府代表 第三節 多国間枠組みにおける外国人衡平待遇提案の行方 一 ジュネーブ国際経済会議(一九二七年)/二 国際連盟外国人待遇問題会議(一九二九年) 小 括 第四章 国際人道法の形成と日本外交――捕虜条約(一九二九年)批准の挫折 はじめに 第一節 赤十字条約改正と捕虜条約起草の初期段階における日本政府の対応 一 日本政府による国際赤十字運動への関与の経緯/二 赤十字条約改正と捕虜条約起草の開始と日本政府の対応 第二節 赤十字条約改正と捕虜条約起草のための外交会議(一九二九年)における日本政府の対応 一 外交会議における方針の策定/二 外交会議における議論と条約調印 第三節 捕虜条約批准の挫折と国際赤十字運動への態度の変容 一 第一五回赤十字国際会議(一九三四年)と捕虜条約批准の挫折/二 第一六回赤十字国際会議(一九三八年)までの日本政府の対応 小 括 終 章 日本の多国間外交の可能性と限界
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-日本が国際環境の大きな変動を受けて近代化をめざすなか、近代国家の一組織としての軍が、時代の価値観や思想、雰囲気や作法などを吸収し、自らを変化させていく過程を描く。軍という組織が、国家、国民、天皇の軍隊として変貌していく視点から日本の近代を考察する。 【主要目次】 序章 日本陸海軍の近代史(黒沢文貴:東京女子大学名誉教授) 第一部 政府・議会と軍――政軍関係の文脈 第1章 徴兵令と外征をめぐる政軍関係――正院・左院・陸軍省と旧藩兵(大島明子:東京女子大学非常勤講師) 第2章 文官総督と台湾軍――原敬内閣期の政軍関係(大江洋代:東京女子大学現代教養学部准教授) 第3章 政党内閣期の海軍の議会対策(太田 久元:立教大学立教学院史資料センター助教) 第二部 民衆・社会と軍――民軍関係の文脈 第4章 日本海軍の大正デモクラシー認識(小磯隆広:防衛大学校人文社会科学群准教授) 第5章 日本陸軍の宣伝と恤兵――満洲事変における陸軍恤兵部の活動(石原 豪:明治大学文学部兼任講師) 第6章 『小説日米未来戦記』押収事件とその影響(藤田 俊:北九州市立大学基盤教育センター准教授) 第三部 戦争と軍――戦争指導の文脈 第7章 日本海軍と総力戦(相澤 淳:元防衛大学校防衛学教育学群教授) 第8章 1930年代における海軍権力構造と軍事輔弼体制の変動――元帥府・元帥の視点から(飯島直樹:釧路公立大学経済学部講師) 第9章 軍事指導者としての天皇(黒沢文貴) 第四部 国際的文脈における軍 第10章 万国医学会と日本陸軍軍医(日向玲理:青山学院大学青山学院史研究所助教) 第11章 華北駐屯アメリカ軍の撤退と支那駐屯軍(櫻井良樹:麗澤大学国際学部教授) 第12章 日本軍の捕虜処遇と「文化差」――歴史と歴史コンテンツの相剋(小菅信子:山梨学院大学法学部教授)
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-民主主義は躓くことなくして前進しえない。民衆・暴力・国民国家がそれぞれ積極面と消極面をもつからである。古代ギリシアから「1968」まで、植民地主義から昨今の社会的保守主義までを展望しつつ、民主主義の挫折と成熟の過程を歴史的かつ思想的に捉える。 【主要目次】 はじめに 第1章 永続的な革命としての民主化 1.歴史になりえない民主主義/2.平等をめぐる闘いと民主的社会/3.戦後秩序と社会革命 第2章 民衆と民主主義 1.民衆不信と民主制/2.民主主義を掘り崩す――大衆かエリートか/3.代議制民主主義と選挙民 第3章 民主主義の暴力 1.民主制における暴力/2.都市住民の抗議と民主化/3.民主化と暴力/4.民主主義の帝国 第4章 国民国家と民主主義 1.民主主義における搾取と排除/2.独立による民主化と国民国家/3.民主主義とマジョリティ/マイノリティ/4.後発国のジレンマ 第5章 失われた確信と新たな試練 1.民主主義の危機/2.民主主義の後退とその背景 終 章 未完の民主主義 1.躓く民主主義と民主制/2.情報伝達と連帯/3.情報伝達における蛙飛びと民主主義/4.生き方としての民主主義 おわりに
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5.0古典入門、かつ美学概説の一冊 美学は18世紀半ばに作られた哲学的学問であり、「感性」「芸術」「美」という主題が収斂するところに成立した。美学の古典といえるカント『判断力批判』(1790年)を題材にし、そこでの重要なテーマをめぐって、古代ギリシアから21世紀までの美学史を概説する。美学を深く学ぶための決定版。 【主要目次】 序文 第I章 美の無関心性 A 美しいものの分析論――質に即して B カント『判断力批判』前史 C 実践的無関心と美的関与 第II章 趣味判断の普遍妥当性 A 美しいものの分析論――量に即して B 趣味の普遍性ならびに快の本性 C 二〇世紀の趣味論 第III章 目的なき合目的性 A 美しきものの分析論――関係に即して B 美と合目的性 C 目的なき合目的性のゆくえ 第IV章 趣味判断の範例性 A 美しいものの分析――様相に即して B 範型・実例・模範 C 範例性のゆくえ 第V章 感性の制約と構想力の拡張 A 崇高なものの分析論 B 言語の崇高さから自然の崇高さへ C 崇高論のその後 第VI章 構想力と共通感官 A 美的判断の演繹論 B 共通感覚論の系譜 C 二〇世紀の共通感覚論 第VII章 美しいものから道徳的なものへ A 美しいものへの関心 B 社交人・未開人・隠遁者 C 自然の暗号文字 第VIII章 「美しい技術」としての芸術 A 美術論(その一) B 芸術の誕生 C 範例的独創性 第IX章 「美的理念」と芸術ジャンル論 A 芸術論(その二) B ライプニッツ的感性論の系譜 C カント的芸術論のゆくえ 第X章 美しいものと超感性的なもの A 美的判断力の弁証法 B 認識・感情・欲求 C 美的なものと生 あとがき 用語解説 読書案内
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-先端科学のラボラトリーで、社会政策の「実証実験」で、そしてアートの前衛で、人は「実験」の名のもとに、いったい何をしているのだろうか。リービッヒの研究室から、鎌倉の交通実験、ケージの「4分33秒」まで、STSの最新成果をもとに、「実験」という思想/実践の多様な生態系を、科学・社会・芸術の3つの領域を横断して探索する。 【主要目次】 始めに 第1章 科学実験 序 Ⅰ STSにおける実験とラボ Ⅱ 実験/ラボラトリー概念の系譜学 Ⅲ 近代的ラボの原型 Ⅳ 実験とスケールの問題―ビッグ・サイエンスとその周辺 Ⅴ 実験と非線型性 Ⅵ ラボとフィールドの間 結語 第2章 社会実験 序 Ⅰ メタファーとしての実験 Ⅱ 政策における実験 Ⅲ 中間考察 Ⅳ 参加と研究の間で―交通系社会実験 Ⅴ 小回りに実験する―建築系社会実験 Ⅵ ラボ、社会に出る―(都市)リビングラボ 結語 第3章 芸術実験 序 Ⅰ 実験音楽の世界 Ⅱ 偶然のもう一つの相貌―デュシャン、ゾラ、パタフィジック Ⅲ 中間考察 Ⅳ 科学・芸術・STS Ⅴ 芸術的研究(AR)というハイプ 総括 第4章 STSと実験再考 Ⅰ 残された論点 Ⅱ 理論と実験 Ⅲ 学習の実験的領域再考
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-革命に成功した2つの国、その歴史を描く 20世紀の世界史を知る上で、また、日本近代史を知る上でも、最も重要な二国間関係の一つである中ソ関係。本書は中国を代表する国際関係史の専門家が、豊富な資料をもとに、上巻では、ロシア革命、中国共産党の成立、日中戦争、国共内戦、中華人民共和国の成立、朝鮮戦争、新中国へのソ連からの経済援助、軍事援助、そして中ソの対立までを描く。 ★高原明生氏(東京大学名誉教授・東京女子大学特別客員教授)推薦 『中ソ関係史』は、政権に都合よく書かれた歴史の「常識」を覆し、読者を驚かせる内容を満載している。――(中略)――また、内容は濃密だが訳文はこなれており読みやすい。現在、中露関係は再び大きく注目されている。これは間違いなく、広く読まれるべき本である。 【主要目次】 Ⅰ 不確かな相手(1917~1949) 第1章 中ソ国交樹立の声のなかでの革命輸出 第2章 ソ連援助下の国民革命 第3章 モスクワと中国のソヴィエト革命 第4章 戦争の脅威が迫るなかでの中ソ外交 第5章 中ソ両国の戦時協力と衝突 第6章 中国内戦と中ソ・国共関係 Ⅱ 同志かつ兄弟(1949~1960) 第7章 同盟条約の締結と中ソの利益衝突 第8章 朝鮮戦争と中ソ同盟の実質的な進展 第9章 ソ連共産党第二〇回大会及びその中ソ関係への影響 第10章 ソ連の経済的援助と中国共産党の政治的支持 第11章 ソ連の中国核兵器開発に対する援助と限界 第12章 毛沢東、共産党モスクワ会議の中心的な人物となる 第13章 「大躍進」、人民公社と中ソ国内政策の対立 第14章 軍事協力、金門砲撃と中ソ対外政策における対立 第15章 中ソ両党の理念及び政策上の修復困難な決裂
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-実証に基づく臨床心理学の現在地 公認心理師必携のハンドブック 今やスタンダードである、実証に基づく臨床心理学への大きな流れを作った認知行動アプローチ。不安、抑うつ、幻覚など、日常・臨床の問題ごとに、世界的な動向を踏まえつつ、日本における研究・実践の展開を紹介し、今後の方向性を示す。公認心理師必携のハンドブック。 【主要目次】 序 認知臨床心理学の今後に向けて(丹野) 第Ⅰ部 不安とストレス障害(佐々木淳:大阪大学大学院人間科学研究科教授) 第1章 不安症(佐々木) 第2章 社交不安症(星野貴俊:甲南女子大学人間科学部准教授) 第3章 睡眠と不安(高野慶輔:産業技術総合研究所主任研究員) 第4章 ストレス・不安と認知機能(林明明:理化学研究所脳神経科学研究センター研究員) 第Ⅱ部 反復思考(杉浦義典:広島大学大学院人間社会科学研究科准教授) 第5章 不安と認知バイアス(守谷順:関西大学社会学部教授) 第6章 反復思考(杉浦) 第7章 マインドワンダリング(飯島雄大:帝京大学文学部講師) 第Ⅲ部 抑うつに関連した問題(森脇愛子:帝京大学文学部講師) 第8章 抑うつと心理社会的側面(森脇) 第9章 抑うつと記憶(小林正法:山形大学人文社会科学部准教授) 第10章 注意機能と抑うつの関係(西口雄基:千葉大学教育学部准教授) 第11章 抑うつと自己注目(森正樹:株式会社ディー・エヌ・エー ヘルスケア事業本部) 第12章 自己洞察(中島実穂:立教大学現代心理学部助教) 第13章 自殺予防と援助希求行動(山内貴史:東京慈恵会医科大学医学部准教授) 第Ⅳ部 幻覚・妄想および統合失調症(石垣琢麿:東京大学大学院総合文化研究科教授) 第14章 一般人口における精神病症状体験(山崎修道:東京都医学総合研究所社会健康医学研究センター副参事研究員) 第15章 被害観念と社交不安(森本幸子:東北医科薬科大学教養教育センター准教授) 第16章 幻聴への認知的アプローチ(古村健:東尾張病院臨床研究部精神科リハビリテーション療法研究室長) 第17章 メタ認知トレーニング(石垣) 第Ⅴ部 パーソナリティとそれに関連する障害(丹野) 第18章 パーソナリティ理論と公認心理師の実践――ビッグ5理論の可能性(丹野) 第19章 完全主義の臨床心理学(小堀修:国際医療福祉大学赤坂心理・医療福祉マネジメント学部准教授) 第20章 攻撃性と精神病理(上野真弓:元・精神保健研究所心身医学部流動研究員) 第21章 冷たい(基礎)と温かい(臨床)のあいだ(浅井智久:株式会社国際電気通信基礎技術研究所認知神経科学研究室主任研究員)
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-障害者運動、自助グループなどに淵源をもつ当事者研究。その系譜と方法を、著者自らの自閉スペクトラムの当事者研究を振り返りながら探ってゆく。周縁化された経験への応答として当事者研究の誕生をとらえることで、未来に受け継ぐべきものを展望する試み。 【主要目次】 序章 第I部 当事者活動における当事者研究の歴史的位置づけ 第1章 力を取り戻す――難病患者・障害者運動の系譜 第1節 障害者運動とエンパワメントの思想 第2節 向谷地生良を介した難病患者・障害者運動の影響 第3節 浦河における当事者活動のはじまり 第2章 無力を認める――依存症自助グループの系譜 第1節 AAの日本到来とアディクション治療の展開 第2節 川村敏明を介した依存症自助グループの影響 第3節 浦河における当事者活動の醸成 第4節 まとめ 第3章 当事者研究の誕生――2つの当事者活動の系譜の合流 第1節 「社会進出」のツールとしてのSST 第2節 浦河AAとアディクション治療 第3節 当事者研究のはじまり 第4節 依存症自助グループへの当事者研究の還流 第5節 まとめ 第II部 周縁者としての自閉スペクトラム者の当事者研究 第4章 障害者運動から見た自閉スペクトラム症概念批判 第1節 混沌:言語化できない「わからなさ」 第2節 障害の社会モデルに基づく従来の自閉スペクトラム概念批判 第3節 さらなる周縁化のツールとして用いられる自閉スペクトラム概念 第4節 まとめ 第5章 身体的自己感の当事者研究 第1節 意味のまとめあげ困難 第2節 行為のまとめあげ困難 第3節 意味・行為の階層の他者との差異から来る困難 第4節 まとめあげ困難がもたらす「夢侵入」 第5節 不安定な身体的自己感 第6節 周囲の配置転換と自己感の安定化 第7節 まとめ 第6章 自己身体を基点とした社会変革としての情報保障 第1節 記号のまとめあげにおけるすれ違い 第2節 身体的特徴に対応した情報提示のデザインの提案 第3節 意味づけ介助の発展:ソーシャル・マジョリティ研究 第4節 まとめ 第7章 置き去りにされた過去と歴史的自己感の当事者研究 第1節 身体的自己感の安定が生み出した「時間」 第2節 「現在の私」と「過去の私」の分離 第3節 「現在の私」と「過去の私」の共存 第4節 過去の変容 第5節 まとめ 第III部 当事者研究の方法論的検討 第8章 未来に向けて:当事者研究を仲間に伝える実践 第1節 浦河べてるの家とダルク女性ハウスの当事者研究に共通する心構え 第2節 社会モデルと2つの自己感に注目した当事者研究の方法論 第3節 ダルクにおける当事者研究ワークシートを用いた実践 第4節 まとめ 終章 付録 当事者研究ミーティングの基本情報
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-「国家神道」をめぐる様々な論争は近代・敗戦・戦後にいたる日本のかたちを経めぐってゆく。伊勢「参宮旅行」のツーリズム、地域社会と学校と神社…、私たちはいまだ「国家神道」が展開する磁場の中にいるのではないか。「隠された神」といま向き合う論集。 【主要目次】 はじめに 国家神道の現代史(高木博志) 総 説 国家神道の現代史、あるいは身体感覚としての天皇制(駒込 武) 第Ⅰ部 国家神道と皇室祭祀と神社 第1章 伊勢論―神宮・神話・日本人(ジョン・ブリーン:国際日本文化研究センター名誉教授) 第2章 神社「公の宗教」論の地域社会史―「神社非宗教」言説の二〇世紀(畔上直樹:上越教育大学人文・社会教育学系教授) 第3章 神々の「昭和維新」―「理念としての天皇」の行方(福家崇洋:京都大学人文科学研究所准教授) 補論 世界遺産と天皇陵問題(高木博志) 第Ⅱ部 国家神道と学校教育 第4章 国民道徳と神道の関係史―「敬神」と「祟祖」と憲政原理とのはざま(高瀬幸恵:桜美林大学リベラルアーツ学群准教授) 第5章 「厳粛」な帝国―学校における天皇・皇室祟敬(樋浦郷子:国立歴史民俗博物館准教授) 第6章 小学校児童の伊勢参宮旅行―「天照る光」を仰ぎみる子どもたち(橋本 萌:信州大学学術研究院総合人間科学系助教) 第Ⅲ部 国家神道と象徴天皇制の現在 第7章 神かくし時代の大嘗祭―近現代の歴史的特質(高木博志) 第8章 全体主義の時代における国家神道体制(駒込 武) 第9章 日本国憲法における天皇制と政教分離原則(佐々木弘通:東北大学大学院法学研究科教授) コラム 世界遺産と天皇陵問題(高木博志) 靖国の現代史―慰霊、顕彰そして追悼(ジョン・ブリーン) 「新入学児童祈願祭」のいま(駒込 武) 現代の国家神道―弁護士の視点(加島 宏:大阪弁護士会所属弁護士)
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-人々は読書という行為にいかなる期待を込め、そしてその期待はいかなる社会的背景で形作られたのか。1930年代、1980年代の中国を対象に「いかに読むか」に対する論争を歴史的に分析する本書は、過去からつながる現在の中国を理解するとともに、これからの読書を考えるものである。 【主要目次】 序章 焚書の政治から読書の政治へ――書物をめぐるシンボリズム 第1章 上海の「グーテンベルクの銀河系」――先行研究・視座・時期設定 第2章 消費する読者への交錯する期待――読書雑誌とその機能 第3章 民族を引き上げる読書――国民党の文化運動 第4章 行動のための読者――左翼にとっての抗戦 第5章 革命的な読書――連続性のなかの毛沢東時代 第6章 読書熱の両義性――ポスト文革へのあゆみ 第7章 未完の「八十年代」――『読書』時代の終焉 終章 読書の政治学
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-「法と経済学」からのアプローチをもとに、効率性を基準とした斬新な理論を展開する田中会社法の真骨頂に迫る。個々の法解釈の背後に潜む分析手法を浮き彫りにした一級の研究書にして、いまや定番となった著者による教科書『会社法[第4版]』をより深く読み解くための有用な参考書。 【本書「はしがき」より】 本書は、筆者がこれまで公表してきた研究論文のうち、「企業法学の方法」というテーマに関連したものを選んで纏めた論文集である。より具体的にいうと、本書には、筆者の専門である企業法の領域において、解釈論や立法論をどのような方法で行うことが望ましいかを論じた論文(本書第1部所収)と、そのような方法論的な問題を意識しながら、企業法の具体的な諸問題について論じた論文(本書第2部所収)とを収録している。 また、本書の冒頭には、「序論」と題して、筆者が企業法学の方法に関してどのような問題意識のもとに研究を行い、その結果、現在どのような考えを持つに至ったか、また、何を将来の課題と考えているのかを説明した書き下ろし論文を収録した。本書の読者には、まずはこの序論に目を通していただきたい。その後は、読者の関心に従って、どの論文から読んでいただいても差し支えない。 【主要目次】 [序論] 企業法学の方法 第1部 方法論 [1] 商法学における法解釈の方法 [2] 経済分析は法学の発展にどのように寄与するか [3] 会社法学における実証研究の意義 [4] わかりやすい会社法と法の評価基準を求めて [5] なぜ法律家は数理的分析を学ぶべきなのか 第2部 その実践 (1)会社法 [6] 上場会社のパラドックス [7] 株主第一主義の合理性と限界 [8] 忠実義務に関する一考察 [9] 従業員と会社法についての一試論 [10] 自己株式規制の過去・現在・未来 (2)諸法 [11] 担保権消滅請求制度の経済学 [12] 事業担保に関する一考察 [13] 公益通報者保護制度の意義と課題 [14] 財産権と経済活動
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-国際社会の表舞台で苦闘した日本外交 サラエヴォで放たれた一発の銃弾によって引き起こされた第一次世界大戦は、戦闘方式を一変させると同時に、それを担う国家と社会の在り方を大きく変え、さらにはヨーロッパ中心の世界そのものを変容させることになった。その結果、戦後処理と秩序構築を図るパリ講和会議において、平和の再建に向けた国際組織=国際連盟が創設されることになる。 本書は、国際政治の表舞台となった国際連盟における日本外交の姿を、その中心を担った安達峰一郎を軸にさまざまな視角から立体的に描くものである。公正な仲介者としての役割が国際社会からの信頼を獲得するものの、満洲事変を機に暗転する日本外交の光と影を、ヨーロッパ協調の崩壊過程とあわせて浮き彫りにする作品として、昭和100年/戦後80年を迎えた今こそ紐解かれるべきであろう。 【主要目次】 序 章 パリ講和会議と日本 第1章 外交官 安達峰一郎 1.生い立ちと外交官への道/2.日露戦争とポーツマス講和会議/3.フランスとの条約改正 第2章 メキシコ革命と日本外交――メキシコ公使 安達峰一郎 1.日本外交とメキシコ/2.軍艦「出雲」派遣問題/3.タンピコ事件とアメリカの介入(一九一四年四月一五日)/4.ナイアガラ調停会議と安達/5.首都内戦状況と安達の帰国/6.アメリカの参戦と日米関係の再調整 第3章 パリ講和会議と安達峰一郎 1.帰国後の安達――パリ講和会議までの足跡/2.戦争責任問題――ドイツ皇帝の訴追をめぐって/3.民族少数者保護条項 第4章 戦勝国会議から国際連盟へ――ポーランドとアルバニア、二つの国境紛争 1.ドイツ・ポーランド紛争と国際連盟/2.コルフ島紛争/3.法律家委員会での検討 第5章 ジュネーヴ議定書と「日本問題」 1.「日本問題」とは何だったのか/2.幣原喜重郎と日本人移民排斥問題/3.国際紛争の平和的解決をめぐって――第五回国際連盟総会/4.議定書案の浮上/5.議定書の形成/6.安達の修正提案/7.日本の対応と評価 第6章 国際連盟とヨーロッパ協調 1.ロカルノ条約とドイツの国際連盟加盟/2.パリの安達峰一郎/3.不戦条約の調印/4.民族少数者問題とドイツ・ポーランド対立 第7章 戦争の総体的清算 1.賠償と占領解除をめぐるハーグ関係国会議/2.ドーズ案からヤング案へ――専門家委員会の設置/3.ヤング専門家委員会での審議/4.ハーグ会議と安達峰一郎/5.凱旋帰国と講演 第8章 国際紛争の司法的解決をめぐって――常設国際司法裁判所とアメリカの加盟問題 1.常設国際司法裁判所の設立と「勧告的意見」/2.アメリカの常設国際司法裁判所加入問題/3.常設国際司法裁判所と日本 第9章 ヨーロッパ協調の崩壊と安達峰一郎 1.独墺関税問題/2.常設国際司法裁判所の勧告的意見/3.満洲事変と安達 終 章 国際連盟と安達峰一郎
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-詩や小説、絵画、写真、映画など多彩なテクストやイメージを対象に都市こそが可能にしてきた想像力の経験の根拠であり、関係性の論理たる「詩学」を明らかにする表象文化論の極北を、その後の著者の研究を俯瞰し、軌跡を辿る論考を増補し、装いも新たに復刊する。 《書物復権2025》 【主要目次】 序 都市の詩学 第1章 都市の伝記――類型・類推・幼年時代 第2章 「メタ世界」としての都市――アルド・ロッシの言葉なき建築 補論1 忘却の詩学、類推の書法――アルド・ロッシの言葉なき建築(続) 第3章 靑天白日覓亡市――小村雪岱『日本橋檜物町』 光・闇・黄昏 第4章 自然の無関心――畠山直哉「都市とその起源」 第5章 チマタのエロティシズム――映画による夕占(ゆうけ) 神話と科学 第6章 生者と死者のトポロジー――心の考古学(一) 第7章 アハスウェルスの顔――心の考古学(二) 補論2 「時のかたち」の形態学 第8章 装飾という群衆――神経系都市論の系譜 補論3 神経系イメージ学へ 第9章 都市のアニミズム――カミの原風景 遊戯の規則 第10章 犬の街――境界の叙事詩、森山大道『新宿』 第11章 狩人たちの物語――連歌としての路上観察 第12章 都市という驚異の部屋――博物誌の知再考 景観の論理 第13章 無縁の根源――河原という魂の市庭(いちば) 第14章 方法の生態学――ダーウィン、ベンヤミン、宮本常一 結び――郷愁と予感 第15章 都市の詩学――萩原朔太郎のステレオ写真 註 跋――波打ち際の知 補 章 「かげ」の都市論のために 増補新装版 跋 年表/書誌/図版一覧/索引
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-傷つきから立ち直る力を資質・獲得という観点から整理。尺度を作成してレジリエンス要因には個人差があることを明らかにし、資質的要因の少ない人が後天的にレジリエンスを高めるための臨床的サポートのあり方を模索する。二次元レジリエンス尺度を用いた研究のレビューを増補。 【主要目次】 新版刊行にあたって はじめに 第Ⅰ部 レジリエンスは誰もが身につけられるか 1.レジリエンスという「心の強さ」 2.レジリエンスとパーソナリティをめぐる先行研究 3.本書の目的と構成 第Ⅱ部 レジリエンスの資質的要因と獲得的要因とは何か 4.資質的要因・獲得的要因を測定する尺度の作成(研究1) 5.資質的要因・獲得的要因の妥当性の検討(研究2) 第Ⅲ部 獲得的要因を身につければレジリエンスを高められるのか 6.資質的要因・獲得的要因の時間的変化(研究3) 7.資質的要因・獲得的要因のリスクに対する効果(研究4) 第Ⅳ部 資質的要因と獲得的要因の導くレジリエンスはどう異なるか 8.資質的要因・獲得的要因と「傷つきからの立ち直り」(研究5) 第V部 資質的要因の少ない人への臨床心理学的介入のために 9.個人差に応じたレジリエンスのサポートとは 10.二次元レジリエンス要因尺度を用いた研究の広がり――資質的要因と獲得的要因の理解を深める おわりに 資料 二次元レジリエンス要因尺度
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-歴史学の課題がどこにあるのかを根本的な問いに立ちかえってとらえ直されている現在。本書は、一国の近代史のなかに位置づけられてきた近代歴史学に向きあい、グローバルヒストリーという大きな枠組みのなかに置き直すことによって、史学史研究の可能性、そしてこれからの歴史学を模索する。 【主要目次】 序 章 グローバルヒストリーのなかの近代歴史学(小澤 実・佐藤雄基) 第Ⅰ部 越境するヒストリオグラフィー 第1章 明治期日本における「史料」概念の変遷(松沢裕作:慶應義塾大学経済学部教授) 第2章 近代日本における「東洋史」学の成立――「東洋史」の始まりと市村瓚次郎(奈須恵子:立教大学文学部教授) 第Ⅱ部 比較するヒストリオグラフィー 第3章 比較封建制論における日本――朝河貫一を結節点とした見取り図の一例(佐藤雄基) 第4章 「離れた比較史」の可能性――日欧中世比較封建制後の方法と課題(佐藤公美:京都大学大学院人間・環境学研究科) 第Ⅲ部 グローバリゼーションのなかの歴史家たち①日本 第5章 辻善之助の仏教史と博愛――グローバル化のなかの日本近代歴史学の一断面(金澤周作:京都大学大学院文学研究科教授) 第6章 近代法制史学史のなかの穂積陳重(神野 潔:東京理科大学教養教育研究院教授) 第7章 平泉澄と西洋学知――「皇国史観」以前の平泉中世論再考(小澤 実) 第Ⅳ部 グローバリゼーションのなかの歴史家たち②世界 第8章 法制官僚が歴史を書くとき――イブラヒム・ハックと近代オスマン史学史(藤波伸嘉:津田塾大学学芸学部教授) 第9章 スヴェン・ヘディンと中国――西北科学考査団を中心に(吉澤誠一郎:東京大学大学院人文社会系研究科教授) 第10章 揺れ動く「イスラーム・スペイン」――南のブラス・インファンテと北のサンチェス・アルボルノス(黒田祐我:神奈川大学外国語学部教授)
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-道徳の廃墟から、「正しさ」の在処を問う 私たちは何に依って善と悪を判断することができるのか。神や道徳や一般意志を拒み、ひとり〈正しさ〉を自由の可能性へと開いたハンナ・アーレント。社会学的想像力との共鳴のなかで、世界的な戦火の時代に、あらためてその強靭な思考の核心をつかみだす。 【主要目次】 序章 アーレント「純粋政治批判」を解読する 1章 アーレント判断論をめぐって 1.アーレント思想の受容と背景/2.判断論の成立と展開/3.「政治理論」への還元 2章 ホロコーストと社会学的想像力 1.ファシズム、大衆、社会学/2.核心としての「絶滅収容所」/3.大衆社会論からの離脱/4.社会科学と「悪の凡庸さ」/5.全体主義と「事実」の位相 3章 全体主義と道徳哲学 1.始まりの場所/2.アイヒマンの弁明/3.実践知と実践理性/4.第三帝国の定言命法/5.「行為」の公共性/6.思考放棄の先へ 4章 廃墟からの公共性 1.カント『判断力批判』の発見/2.共通感覚と伝達可能性/3.趣味判断から政治的判断へ/4.共通感覚の系譜/5.リアリティとしての共通感覚/6.純化の思考 5章 排除の政治とその始源のアポリア 1.道徳哲学の誤謬/2.真理と生命の棄却/3.創設=基礎づけの革命論/4.オートポイエティック・システムとしての政治/言論/5.複数性再考 補論 真理をめぐるコミュニケーション 1.正解のない判断論/2.美学化への抵抗/3.討議倫理による批判(理論)的継承/4.合意と真理を止揚する/5.純粋政治とは何か 終章 不正を理解すること
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3.0ロシアによるウクライナ侵攻を契機に、世界経済におけるサプライチェーンは見直しを迫られることとなった。東アジアに位置する日本は、自国経済が長い低迷を脱しつつある状況で、今後このリスクとどう向き合っていくべきかを国内経済の視点から考察する。 【主要目次】 序章 「高まる地政学的リスクと日本経済」(福田慎一) 第1部 リスクの時代の企業経営 第1章「日本のサプライチェーン危機――新陳代謝不足と企業改革の方向性」(中村純一) 第2章「変革期の労働分配率――賃金と物価の好循環は何をもたらすのか」(肥後雅博) 第2部 リスクを内包する金融機関 第3章「銀行中心型システムの将来――日本社会の特性にあわせた金融改革」(随清遠) 第4章「金利上昇と流動性依存――SVB破綻から学ぶ金融緩和政策出口への備え」(長田健) 第3部 リスクと向き合う経済政策 第5章「財政の持続可能性――開放経済モデルによるグローバル分析」(山田潤司) 第6章「植田総裁の下での金融政策の新たな船出――自然言語処理は何を教えてくれたか」(慶田昌之) 第7章「基軸通貨と世界経済の構造変化――高まる地政学リスクとドル一極集中の行方」(丸尾優士) 終章「新冷戦時代における日本経済の課題」(福田慎一)
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-写真がその成立に大きな役割はたしている文学作品――写真文学――とは何かを探求する。ローデンバック『死の都ブリュージュ』、ブルトン『ナジャ』、モディアノ『ドラ・ブリュデール』、デュラス『愛人』、ゼーバルト『アウステルリッツ』などの主要作品からその核心に迫る冒険の書。 【主要目次】 はじめに 序章 写真文学とは何か 1 小説の危機と写真文学の誕生 2 顔の物語 3 言葉のイメージと写真イメージの交点――風景としての人間 4 顔の消滅、顔の出現――写真文学の世界へ 第Ⅰ部 顔、風景、ドキュメント――写真の中の見えないもの 第1章 風景写真の使用法――ジョルジュ・ローデンバック『死の都ブリュージュ』(一八九二) 1 無人の街路――風景写真の使用法 2 写真都市ブリュージュ 3 絵葉書とは何か 4 出現のモチーフ 第2章 肖像写真の使用法――アンドレ・ブルトン『ナジャ』(一九二八、一九六三) 1 肖像写真の使用法Ⅰ――ヒロインの顔を示さないこと 2 「取り乱した証人」 3 肖像写真の使用法Ⅱ――男たちの写真 4 風景写真の使用法――凡庸さの外観、扉としての写真 第3章 ドキュメント写真の使用法――谷崎潤一郎『吉野葛』(一九三一、一九三七) 1 「初音の鼓」――『吉野葛』における写真の使用法 2 虚構の手紙の写真 3 手帳の写真――W・G・ゼーバルト「アンブロース・アーデルヴァルト」をめぐって 4 写真は実物に似ているのか 第Ⅱ部 空白のスクリーン、不在の写真 第4章 戦争の記憶、空白のスクリーン――ジョルジュ・ペレック『Wあるいは子供の頃の思い出』(一九七五)、パトリック・モディアノ『ドラ・ブリュデール』(一九九七) 1 子供の写真――空白の部屋(ペレック『Wあるいは子供の頃の思い出』Ⅰ) 2 偽りの記憶――批評的自伝(ペレック『Wあるいは子供の頃の思い出』Ⅱ) 3 透かし模様のスクリーン(モディアノ『ドラ・ブリュデール』Ⅰ) 4 ドラの顔(モディアノ『ドラ・ブリュデール』Ⅱ) 第5章 不在の写真――マルグリット・デュラス『愛人』(一九八四)、アニー・エルノー『娘の回想』(二〇一六) 1 「絶対の写真」――行為としての写真(デュラス『愛人』Ⅰ) 2 「絶望の写真」――イメージの場所(デュラス『愛人』Ⅱ) 3 撮られなかった写真――エルノーの場合(『娘の回想』) 4 写真が作り出す現実――アニー・エルノー『写真の使用法』 第6章 記憶の想起と写真――W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ』(二〇〇一) 1 迷子の写真――主人公の肖像写真 2 リヴァプール・ストリート駅の情景――見えない写真 3 『アウステルリッツ』と『失われた時を求めて』――見出された時と写真の使用法 4 母親の肖像 第Ⅲ部 日常生活と写真 第7章 日常礼讃――ロラン・バルト『ロラン・バルトによるロラン・バルト』(一九七五) 1 伝記素――私的な生活 2 写真と俳句 3 「存在の増幅器」としての写真――ジル・モラ/クロード・ノリ『写真宣言』(一九八二) 4 肖像写真に写らないもの
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3.0医療制度・改革論の決定版、待望の増補改訂 医療費の増加に加え就業人口の減少が進むため、日本の国民皆保険は危機的状況にある。歴史分析と国際比較により日本の医療制度の構造を明らかにし、今後の改革の方向性と具体的な政策を提示。初版から約10年、最新の政策動向を含め大幅に加筆した待望の増補改訂版。 【主要目次】 序章 問題の所在と分析視角 I 歴史――日本の医療制度の沿革 1章 医療制度の基盤形成期 2章 医療制度の確立・拡張期 3章 医療制度の改革期 II 比較――医療制度・政策の国際比較 4章 医療制度・政策の国際比較――総論およびドイツの医療制度改革 5章 米国の医療制度改革と日本への示唆 6章 スウェーデンの医療制度改革と日本への示唆 III 展望――医療制度の改革の方向性と政策選択 7章 医療保険制度の基本問題 8章 各医療保険制度の構造と政策課題 9章 医療供給制度の構造と改革の方向性 10章 医療供給制度の改革手法 終章 総括――要約・結論および課題
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-なぜ局地紛争は全面戦争となったのか 8年にも及ぶ異例の長期戦となった日中戦争、その端緒となった盧溝橋事件、上海、南京での戦いまでを、中国側、日本側の史料をもとに、両国軍の動向、両政府の動静、第三国の動向などを渉猟し、あの戦争の本質に迫る。 【主要目次】 はじめに 1.盧溝橋事件「前史」 2.盧溝橋事件および「事変」の拡大過程 3.第二次上海事変 4.トラウトマン工作 第1章 北平 1.7月7日の発砲事件 2.北平における交渉 3.第29軍の動向 4.善後交渉 5.北平における継続交渉 6.日本側の反応 7.中国側の反応 8.新司令官の着任 9.陸軍中央部の新方針 10.蔣介石の反応 11.引き続く衝突 12.南京における交渉 13.天津における交渉 14.帰平善後における宋哲元の動向 15.北平における事態の推移 16.熊斌の入平と冀察側態度の変化 17.現地日本側対応 18.廊坊事件 19.広安門事件 20.冀察側動向 21.華北総攻撃 第2章 上海 1.諸外国による調停の試み 2.中国による調停の試み 3.蔣介石による応戦の決意 4.蔣介石と各国大使との会談 5.中ソ交渉 6.日本側の上海における和平への努力 7.上海における中国の抗戦準備 8.上海における外交交渉 9.南京における外交交渉 10. 蔣介石による各国大使の招請 11.蔣介石の速戦即決論 12.上海戦の誤算 13.上海から南京へ 第3章 南京 1.上海戦と第三国調停 2.九カ国会議 3.ドイツ調停案の再検討 4.英米の動向 5.ソ連の動向 6.南京陥落と日本側の対応 7.パナイ号事件と中国側の対応 8.トラウトマンの再調停 9.アメリカ仲介への期待 10.中国側回答案 11.日本側の内紛と近衛声明の発出 おわりに 1.北平 2.上海 3.南京 あとがき 主要人名一覧
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4.5【第12回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】 「死生観」という切り口から、作家の全体像に迫る 大江健三郎という作家の全体を、「犠牲」のテーマから一貫して解釈しえた画期的研究。イメージ分析を主軸として、様々な領域のテクストからの影響、同時代的な社会状況、故郷の歴史・空間性などを踏まえて、大江作品における死生観を詳細に描き出す。 【阿部公彦(東京大学教授)東京大学南原繁記念出版賞授賞時講評より】 「おもしろいのは、菊間さんのアプローチが大江作品に内在する具体性と抽象性の独特な拮抗を半ば模倣するようにして展開することである。[…]言葉やイメージに徹底的に接近し寄り添うことで、犠牲となった獣の血なまぐささに追い立てられた人物たちの空間感覚を論考中にいわば写し取るのである。そうやって土台のところで論の具体性を確保した上で、より大きな総論へと進む。そこではちょうど大江の人物たちが「総体」との一体化を目指すのと同じように、大江健三郎という作家の全体を視野におさめた議論が展開する。」 【主要目次】 序論 「死生観」から大江を読む 第I部 「壊す人」の多面性――『同時代ゲーム』 第一章 『同時代ゲーム』の背景 第二章 「犬ほどの大きさのもの」 第三章 「暗い巨人」への帰依 第四章 「森」という神秘のトポス 第II部 犠牲獣の亡霊 第一章 皮を剥がれた獣たち 第二章 「御霊」を生むまなざし 第三章 隠された「生首」 第四章 「後期の仕事(レイト・ワーク)」における亡霊との対話 第III部 「総体」をめぐる想像力 第一章 自己犠牲と救済 第二章 救済を担う大樹 第三章 聖なる窪地と亡霊たち 補論 テン窪を探して 第四章 「神」なき「祈り」の場 結論 「犠牲の森」の変容
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-1票の較差の是正には何が必要か ――区割り審会長を務めた研究者による分析と改革提案 日本において1票の較差はどのように生じてきたのか。1票の較差の是正には何が必要なのか。衆議院議員選挙区画定審議会(区割り審)の会長を務めた著者が、国際比較も交えて日本の選挙制度が1票の較差にいかに影響してきたかを検証し、改革案を提示する。 【主要目次】 はしがき 第1章 民主政治と選挙制度 1.大規模政治システムにおける民主政治/2.大規模民主政治システムにおける選挙制度/3.選挙制度と民主政治の質/4.本書の構成 第2章 各国の選挙制度と選挙区改定 1.アメリカ/2.イギリス/3.カナダ/4.日本/5.各国の比較/6.結論 第3章 比例代表制の各方式と1票の較差 1.民主政治における議員定数配分/2.議員定数を都道府県に配分する方法/3.最大剰余法/4.最高平均法/5.比例代表制の各方式の比較/6.結論 第4章 衆議院議員定数の都道府県への配分 1.選挙法規に明記されなかった都道府県への定数配分の方法/2.1889年の小選挙区制/3.1900年の大選挙区制への改正/4.1919年の小選挙区制への改正/5.1925年の中選挙区制への改正/6.1945年の大選挙区制への改正/7.1947年の中選挙区制への改正/8.結論 第5章 衆議院議員選挙制度における区割りと1票の較差 1.選挙制度と区割り/2.1889年の区割り:最大限の較差容認=島嶼を除き全国で2倍未満の基準/3.1900年の大選挙区制:区割り不要の選挙制度/4.1919年:1900年の踏襲と不徹底な小選挙区制の区割り/5.1925年:SNTVの選挙区割り/6.1947年:SNTVの選挙区割り/7.中選挙区制における定数不均衡の是正:既存選挙区の維持と定数変更による1票の較差縮小/8.結論 第6章 1994年以降の衆議院議員選挙制度と1票の較差 1.政治改革後の議員定数配分・区割りと1票の較差/2.1994年の小選挙区比例代表並立制における定数配分と区割り/3.1995年国勢調査による改定勧告の見送り/4.2002年の定数配分変更と選挙区割り改定/5.2005年国勢調査による改定勧告の見送り/6.2011年最高裁判決と2013年緊急是正/7.衆議院選挙制度に関する調査会と2017年の選挙区割り改定/8.2022年の選挙区割り改定/9.結論 第7章 参議院議員選挙制度と1票の較差 1.地方区と全国区の選挙制度/2.1947年の地方区の定数配分/3.1票の較差拡大をめぐる最高裁判決と1994年の定数是正/4.2000年以降の定数是正と最高裁判決/5.結論 第8章 選挙区改定方法の改革へ向けて 1.本書の分析の要点/2.衆議院選挙制度協議会における議論/3.衆議院の選挙区改定方法の改革へ向けて
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-第16回大佛次郎論壇賞、第33回渋沢・クローデル賞受賞! 2015年パリ同時多発テロ以来、注目を集める「ホームグロウン」の若者たち。そのような移民・マイノリティの若者が集住する「郊外」はどのように形成されたのか。「郊外」を起点にフランス主流社会とマイノリティの亀裂をたどり、暴力の背後にある排除と抵抗の実態にせまる。 【序章「フランス主流社会とマイノリティの亀裂を問う」より】 「しかしこの悲劇(出版社注:2015年パリ同時多発テロ)は「グローバル・テロリズム」とそれに抵抗する「民主主義」というような図式には容易に収まりきらない背景を持っている。それは過去30年にわたって深まってきた、フランスの主流社会と移民・マイノリティの間の亀裂である。実行犯の多くは、ヨーロッパで生まれ育った「ホームグロウン」のエスニック・マイノリティの若者たちであった。彼らをこのような暴力へと向かわせる社会構造とはいったい何なのだろうか。 本書は、フランスで現在「紛争」と化している事態を、マジョリティとマイノリティの間にある「亀裂」という角度から考察していくものである。」 【主要目次】 序章 フランス主流社会とマイノリティの亀裂を問う 1 フランスの移民統合の理想と現実――OECDの比較調査から 2 移民からエスニック・マイノリティへ――呼称変化とアプローチの転換 3 郊外「セーヌ・サン・ドニ県」への注目 1章 フランス郊外研究の視座――空間と結びついたマイノリティの差別と排除 1 日本とは異なる郊外像 2 モラル・パニックとメディア、政治空間 3 先行研究における「郊外」の位置づけ 4 本書の枠組み――差別、排除、レイシズム 5 本書の方法と構成 2章 多様化する郊外とマイノリティ 1 「移民」と「郊外」の関係を整理する 2 郊外をめぐる複数の空間的アプローチ 3 「移民」と居住の多様化――中産階級の台頭 4 「移民」カテゴリー内部における分極化の進行――郊外貧困地区の状況の悪化と時間的変化 5 「郊外問題地区」の類型化とセーヌ・サン・ドニ県の事例 3章 排除空間の形成と国家の役割――フランス的例外か? 1 「マイノリティ集住地区」としての郊外はどのように形成されたのか 2 工業地区の郊外 3 団地の郊外 4 移民の郊外 5 結びにかえて――排除空間としての郊外と国家 4章 「赤い郊外」の変容と都市政策の展開 1 問題設定 2 「都市政策」の誕生と展開 3 脱工業化のインパクトと「赤い郊外」の変容 4 市政と住民をつなぐ新たな媒介の模索 5 「都市問題」という解読格子の誕生と定着 6 階級問題から「都市問題」へ――「赤い郊外」における解読格子の変化 5章 再生事業と住民コミュニティへの影響 1 地域社会の底上げか、下層マイノリティの排除か? 2 「ソーシャル・ミックス」の評価 3 住民はどこに行ったのか? 4 「ミックス」の実情と課題 5 都市政策と地域社会の再編 6章 郊外マイノリティの多様な抵抗 1 エスニック・マイノリティの若者たちをめぐる参加と抵抗 2 アソシエーション活動を通した抵抗――文化表現から政治活動へ 3 問題化される「参加」――ラップの事例 4 おわりに 7章 風刺新聞社襲撃事件と「見えない断絶」――フランス統合モデルの限界・弊害とマイノリティの疎外 1 追悼デモに来なかった「郊外の住民」たち 2 事件直後の「郊外の住民」の反応 3 「テロ対策」としての3つの改革――治安、教育、郊外 4 カラー・ブラインド原則とその実態――まなざしの人種化 5 文化的統合の深化と(それゆえの)問題化というパラドクス 6 ダブル・スタンダードが生み出す問題 7 プラグマチークな解決にむけた道のり 終章 脱領域的なマイノリティ研究をめざして 1 亀裂を生じさせる二重の「乖離」 2 郊外の比較社会学に向けて――変容する日本の郊外へのまなざし 3 「客観性」としてのマイノリティの視座 文献一覧 あとがき 地名・人名索引 事項索引
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4.7「革命」とセクシュアリティの政治思想史へ 奇跡のように安定していた徳川体制――なぜ僅か4隻の米国船渡来をきっかけに、それが崩壊し、政治・社会・文化の大激動が起こったのか。当時を生きた人々の政治や人生にかかわる考えや思い、さらにジェンダーとセクシュアリティの変動を探る。驚きに満ちた知的冒険の書。東京大学出版会創立70周年記念出版。 【本書「はしがき」より】 本書は、広い意味での政治に関する、「日本」における思想の歴史を論ずる。時期は、徳川の世から、(従来、多くの人によって「明治維新」と呼ばれてきた)大革命を経て、おおむね「明治」の年号が終わる頃までである。主題は、その間の、特に重要で、しかも現代にも示唆的だ、と筆者の考えたものである。但し、その議論の方法と主題の選定は、(筆者の主観では)往々、かなり冒険的である。 方法として特に努めたのは、日本を日本だけを見て論じない、ということである。「日本史」を、西洋や東アジアの異なる歴史をたどっている人々の側からも眺め、双方を比較し、双方に対話させようとしたのである。無論、それは、西洋や中国を基準として日本の「特殊性」をあげつらうということではない。それぞれの個性と、それにもかかわらず実在する共通性の両面を見ようというのである。日本史も、東アジア史の中で眺めるべきだとよく言われる。当然である。しかし、常にそこにとどまっている必要はない。日本史も人類史の一部である。 【主要目次】 はしがき I 「明治維新」とはいかなる革命か 第一章 「明治維新」論と福沢諭吉 第一節 「明治維新」とは? 第二節 「尊王攘夷」 第三節 ナショナリズム 第四節 割り込み 第五節 「自由」 第二章 アレクシ・ド・トクヴィルと3つの革命――フランス(1789年~)・日本(1867年~)・中国(1911年~) はじめに 第一節 「一人の王に服従するデモクラティックな人民」 《 Un peuple démocratique soumis à un roi 》 第二節 中国――デモクラティックな社会 第三節 デモクラティックな社会の特徴 第四節 中国の革命(1911年~) 第五節 日本の革命(1867年~) おわりに II 外交と道理 第三章 思想問題としての「開国」――日本の場合 はじめに 第一節 「文明人」の悩み 第二節 「日本人」の悩み 第四章 「華夷」と「武威」――「朝鮮国」と「日本国」の相互認識 はじめに 第一節 通信使の目的と「誠信」 第二節 「蛮夷」と軽蔑――朝鮮側の認識 第三節 「慕華」と「属国」――日本側の認識 第四節 破綻の要因 おわりに III 「性」と権力 第五章 「夫婦有別」と「夫婦相和シ」 第一節 「中能」(なかよく) 第二節 「入込」(いれこみ・いれごみ・いりこみ・いりごみ) 第三節 「不熟」(ふじゅく) 第四節 「相談」(さうだん) 第五節 「護国」(ごこく) おわりに 第六章 どんな「男」になるべきか――江戸と明治の「男性」理想像 はじめに 第一節 徳川体制 第二節 維新革命へ 第三節 明治の社会と国家 第七章 どんな「女」になれっていうの――江戸と明治の「女性」理想像 はじめに 第一節 徳川体制と「女」 第二節 「文明開化」と「女」 おわりに IV 儒教と「文明」 第八章 「教」と陰謀――「国体」の一起源 第一節 「機軸」 第二節 「道」 第三節 「だましの手」 第四節 「文明」と「仮面」 第五節 「国民道徳」 第九章 競争と「文明」――日本の場合 第一節 「競争原理」 第二節 徳川の世 第三節 明治の代 第十章 儒教と福沢諭吉 はじめに 第一節 福沢諭吉の儒教批判 第二節 天性・天理・天道 V 対話の試み 第十一章 「聖人」は幸福か――善と幸福の関係について 第一節 問題設定への疑問 第二節 回答の必要 第三節 応報の類型 第四節 隠遁と方便 第五節 「独立自尊」 おわりに 第十二章 対話 徂徠とルソー
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-パレスチナ/イスラエル地域の大きなうねりのなか 人びとの抵抗や逡巡、展望をとらえる 地域に理不尽な体制を押しつけてきた「帝国」と、それに抵抗する人びとが志向する「民族」のはざまで、さまざまな選択や闘いを繰り広げる人びと。現在もなお悲劇が続くパレスチナ/イスラエルの歩みを振り返り、そこに浮かび上がるダイナミズムを描き出す。 【主要目次】 序 章 パレスチナ/イスラエルの変わらない構造:「n地域論」のその後(鶴見太郎・今野泰三) 概 説 パレスチナ/イスラエルの歴史と現在(今野泰三・鶴見太郎) I 埋もれた層を掘り起こす 第1章 ベドウィンが生きた帝国と植民地主義:パレスチナ北部のバイサーン地方を中心に(今野泰三) 第2章 委任統治期パレスチナにおける「独立」のビジョンの隘路:アクラム・ズアイテルの回想録を読む(田浪亜央江) 第3章 集合的記憶の入植:ロシア東欧におけるポグロムとパレスチナにおける暴動/反乱(鶴見太郎) 第4章 帰還の権利を実践する:パレスチナ難民のミクロな経験から(金城美幸) 第5章 「無名」パレスチナ人と離散の記憶:難民化とアイデンティティの葛藤(鈴木啓之) コラム1 植民地支配やアパルトヘイトに対する抵抗(髙橋宗瑠) II 重層性の現在形 第6章 国際法と国内法の狭間で:四八年パレスチナ人の言語の権利(髙橋宗瑠) 第7章 ハマースにみる内政と外交の連動:その指導者間関係を中心に(江﨑智絵) 第8章 エルサレムの聖地管理権をめぐる軋轢:第一次トランプ政権の中東和平政策とヨルダンの苦悩(山本健介) 第9章 中東和平の頓挫とイスラエル政治による既成事実化:イスラエル・パレスチナ紛争の交渉なき終着の可能性(錦田愛子) コラム2 パレスチナ問題と聖書考古学(役重善洋) むすび 普遍性から成り立つ特殊性(鶴見太郎・今野泰三)
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-そして、都市計画家からアーバニストへ 都市計画家とは誰か。本書は、1919年の都市計画法制定からの100年間を通して、近現代都市計画の担い手としての都市計画家の歩みと役割を検証し、都市の個性や記憶などのテーマ、都市計画理論の変遷を踏まえ、未来の都市計画家像=アーバニストの姿を浮かび上がらせる。 【主要目次】 序 人に着目した都市計画史へ Ⅰ 都市計画家たちの都市論 01 都市の個性とまちづくりをめぐる一〇〇年 02 場所の思想と都市計画家たち 03 阪谷芳郎のもう一つの『帝都物語』 04 小宮賢一の「湖底の故郷」を読む 05 石川栄耀の「夜の都市計画」からの問い 06 丹下研、『日本列島の将来像』から『21世紀の日本』へ Ⅱ 都市計画学・技術の誕生と展開 07 建築系都市計画家と都市計画法の一〇〇年 08 近代日本の都市計画理論の旗手たち 09 都市計画研究連絡会の実像と活動 10 米永代一郎の「都市計画の民主化」 11 高山英華研究室と容積地域制の導入 Ⅲ 都市計画家の向かう先 12 都市計画の担い手の一〇〇年 13 アーバニズムとアーバニスト 14 「線」としての都市再開発と新しい職能 15 アーティストがもたらす新しいアーバニズムの可能性 16 アーバニスト的プランナーに関する覚書
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-ヴァージニア・ウルフと小津にある人間不在の空間とモノへのこだわり、 三島の小説が見せる日常的事物の異貌...。さらに日常性はベケットやマキューアンが示唆するように核の脅威などの20世紀以降の災厄と裏腹でもあるらしい。 独自の視角から日常の「存在論」を試みる。 【主要目次】 断想(序に代えて) 第一部 日常的事物と映画的知覚 第一章 ヴァージニア・ウルフと日常的事物の存在論的知覚 1『ダロウェイ夫人』における死の恐怖と事物への一体化/2日常的事物の存在の生々しさ/3人間不在の空間/4映画的知覚/5結び 第二章 小津安二郎における映画的知覚と日常性 1「枕ショット」における物の前景化と人間不在/2〈現実的なもの〉/〈潜在的なもの〉と映画カメラの本性/3反出来事性・反物語性と日常性/4反出来事性・反物語性と「随筆映画」/5.結び――再びヴァージニア・ウルフの方へ 第二部 三島由紀夫と日常性の問題 概論 三島由紀夫における日常的事物 第一章 「スタア」と現実の転位 1「現実の転位」/2演技と現実/3「スタア」における現実と虚構/結び 第二章 『鏡子の家』論――戦後の虚無と日常性 1 序/2清一郎における日常性の逆説/3収、峻吉、夏雄と日常性/4日常性から日常的事物へ/5結び 第三章 『美しい星』論――核戦争の脅威と日常性 1核と宇宙人――大衆文化史的背景/2核と日常性(一)/3世界の不統一感の問題(一)/4核と日常性(二)/5世界の不統一感の問題(二)/6結び 第三部 破局・トラウマ・日常性 第一章 サミュエル・ベケットの演劇における日常生活と破局 1『勝負の終わり』と核戦争/2『しあわせな日々』とホロコースト/付論 タル・ベーラ『ニーチェの馬』とベケット 第二章 イアン・マキューアン『土曜日』における日常性とテロの記憶 1マキューアンにおける日常性の描写の特質/2『土曜日』における日常と非日常/3.結び――日常性とトラウマ あとがき
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3.6ハーバード大学プロジェクト・ゼロ主任研究員が教える 「世界が変わる」ゆっくり見ることの知恵 タイパだ、コスパだ……なんと古臭いのだろう。ハーバード大学プロジェクト・ゼロ主任研究員の著者がゆっくり見ることの効用を様々な角度から論じ、少しの工夫で誰でもできる実践的な提案を行う。ゆっくり見れば世界が変わる、教育学研究最前線――スロー・ルッキングのすすめ。 Shari Tishman, Slow Looking: The Art and Practice of Learning Through Observation, Routledge, 2017の全訳。 【本書「第1章 はじめに――スローということ」より抜粋】 ――スロー・ルッキングの定義は難しくありません。一見して目に映る以上のことを、時間をかけて丁寧に観察するということです。先のエピソードもその例ですが、教室で、美術館で、研究室で、インターネットで、裏庭で、近所を散歩しながらなど、人びとが世界を時間をかけてじっくりと観察するあらゆる場所で起こっています。/本書は、学びの方法としての「スロー・ルッキング」を探究するものです。―― 【主要目次】 序文 第1章 はじめに:スローということ 第2章 見るための方策 第3章 スローの実践 第4章 見ることと記述すること 第5章 博物館で見る、確かめる 第6章 学校で見る 第7章 科学のなかの「見る」 第8章 スロー・ルッキングと複雑さ 第9章 おわりに:スローから考える 訳者解説(北垣憲仁・新藤浩伸)
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-ミステリアスな生態を追う――かつて「海のギャング」といわれたシャチは、すばらしい文化をもつ魅力的な動物だった。南極海に生きる謎のタイプDをはじめ多様な生態型をもつかれらは、はたして1種なのか? 世界中の海で精力的にシャチを追い続けた記録。 【山極寿一氏(霊長類学者)からのメッセージ】 「海のギャング」として恐れられてきたシャチの真の姿を、40年近くにわたって追い続けている著者が最新の研究成果から詳細に描き出した。私が研究しているゴリラもかつて「悪魔の化身」と見なされ、映画『キングコング』のモデルとなった。しかし、実際のゴリラは人間以上に平和な家族生活を営む森の巨人だった。同じようにシャチは巨体を美しく滑らせて、北極海から南極海まで海洋を自在に旅する哺乳類である。シャチの一生や家族生活、狩りの技術、移動経路、地域による生態の違いはこれまで謎に包まれていた。その多くが解明され、彼らの愛らしい暮らしが理解され始めた今、絶滅の危機が迫っていることも明らかになった。 【主要目次】 はじめに 第1章 アメリカ、カナダの太平洋岸から サンファン諸島/研究のはじまり/シャチという動物/レジデント/A30の家族/文化と伝統をもつ存在として/南部レジデントの奇妙な“文化” 第2章 文化をもつ存在 鳴音の研究/“方言”をもつシャチ/ポッドはどう分かれてきたか/更年期をもつシャチ/息子を守る母親/トランジェント/トランジェントの狩り/DNAの解析技術の発展とともに 第3章 北部北太平洋のシャチ アラスカのレジデントとトランジェント/東南アラスカの沿岸水路/プリンス・ウィリアム湾/アラスカ・レジデントの声/プリンス・ウィリアム湾のトランジェント―AT1グループ/AT1グループの声/AT1グループの未来/コククジラを襲うシャチ/より西へ/最後の氷期が終わって 第4章 さまざまな生態型~南極海と北大西洋から 南極海から/南極のシャチ/生態型それぞれ/体をおおう珪藻/タイプD/シャチは1種か/ノルウェー北極圏のシャチ/カルーセル・フィーディング/小さすぎる獲物/北大西洋のシャチ/タイプ2その後/ジブラルタル海峡のシャチ/マグロを捕食するシャチたち/汚染化学物質のホットスポットとして 第5章 南半球のシャチたち アルゼンチン、バルデス半島のシャチ/アタック・チャネル/メルとベルナルド/プンタノルテ以外の場所で/バルデス半島、その後/クロゼ諸島のシャチ/ニュージーランドのシャチ/オーストラリア、ブレマー海底渓谷海域のシャチ/ニンガルーリーフで/サメを襲う南アフリカのシャチ 第6章 世界のシャチがたどった道、そして日本へ 世界のシャチの遺伝的な多様性が乏しいこと/シャチは1 種ではない?/世界のシャチがたどった道/レジデント、オフショアとトランジェントの関わり/最後の氷期のあとで/集団間の交流と分断/東部熱帯太平洋/イカを食べるトランジェント/日本にすむシャチ/最終氷期極大期における避難場所として 第7章 シャチに未来はあるか 大量死が教えるもの/セントローレンス湾のベルーガ/世代を超えた蓄積/餌をめぐる窮状/南部レジデントの憂鬱/懸念される近親交配 おわりに 解説 篠原正典(帝京科学大学生命環境学部教授) 索引
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-学校図書館の苦闘と可能性の歴史 「主体的・対話的で深い学び」=探究学習の原形はすでに戦後間もない時期の学校図書館の運営法の議論のなかに含まれていた。本書では学校図書館を探究学習に活かすための示唆や教育課程に取り入れることの可能性を戦後の図書館教育実践を辿ることで浮かび上がらせる。 【主要目次】 第Ⅰ部 学校図書館問題とは何か 第1章 学校図書館をとらえる視座 1 デューイの学校モデルを起点として 2 図書館教育をとらえる視点 第2章 戦後学校図書館政策のマクロ分析 1 政策論の必要性 2 先行研究の確認と研究方法 3 第一期(戦後教育改革期、一九四七—一九五八年) 4 第二期(日本型教育システム期、一九五八—一九八七年) 5 第三期(二一世紀型教育改革期、一九八七—現在) 6 学校図書館政策の窓はどのように開くのか 第II部 図書館教育という課題 第3章 戦後新教育における初期図書館教育モデル 1 戦前の図書館教育 2 戦後図書館教育のきっかけ 3 東京学芸大学附属小学校(世田谷校)(一九四八—一九四九年) 4 図書館教育論の拡がり 5 阪本一郎と図書館教育研究会 6 『学校図書館運営の手びき』(一九五九年一月) 7 図書館教育と読書指導の関係 第4章 図書館教育の実際 1 新教育カリキュラムとコア・カリキュラム運動 2 図書館教育実践の準備過程 3 甲府市立南中学校の図書館教育(一九四九—一九五二年) 4 東京都港区立氷川小学校の図書館教育(一九五三—一九五四年) 5 川崎市立富士見中学校の図書館教育(一九五二—一九五五年) 6 栃木県立栃木女子高等学校の図書館教育(一九五五—一九五六年) 第5章 図書館教育の帰結 1 一九五〇年代の図書館教育 2 資料センター論と読書指導 3 「教科と学校図書館の結びつきをはばむもの」 第III部 図書館教育が実現されるには 第6章 文部省初代学校図書館担当深川恒喜の図書館認識 1 分析の視点 2 宗務官時代と宗教観 3 学校図書館担当時代 4 道徳教育調査官時代 5 「図書館教育の復権」 第7章 二一世紀の教育課程につなぐために 1 担い手の問題 2 探究学習のための学校図書館は可能か 3 リテラシーからメディア情報リテラシーへ 4 学校図書館のリーダーシップ論 補論 学習リソース拠点の提言
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-近代の日本哲学のダイナミズムを気鋭の哲学者が活写 日本の近代思想において哲学を考えることは、日本の哲学的な経験を通じながら、そこに普遍化への努力をどう見ていくのかということになる。本書は、西洋哲学の受容と展開だけでなく、中国哲学やインド哲学などにも目配りをして、近代の日本哲学のダイナミズムを明らかにする。 【シリーズの特長】 ●日本の近代思想を15のテーマに分け、その新たな読みなおしを提案する。 ●近代を反映する重要テキストを精選・収録し、第一線の研究者が解説を付す。 ●危機の時代である現代において、時勢に流されることのない基礎的かつ確実な内容を提示する。 【主要目次】 総論 哲学という問題系 Ⅰ 日本哲学の系譜学 一 日本哲学と中国哲学 二 二つの啓蒙――福沢諭吉と中江兆民 三 霊魂不滅論争 Ⅰ 資料編 Ⅱ アカデミズムとしての哲学の成立 四 東京学派の哲学 五 近代日本における中国哲学 六 近代日本におけるインド哲学 Ⅱ 資料編 Ⅲ 帝国の哲学 七 京都学派の礎――西田幾多郎 八 世界史の哲学――高山岩男 九 帝国日本を支える論理――田辺元 一〇 フィロロジーの行方――和辻哲郎 Ⅲ 資料編 Ⅳ 脱出の方位 一一 偶然性と未来への志向――九鬼周造 一二 ディアスポラの哲学――三木清 一三 マルクス主義哲学――戸坂潤 一四 東北大学で展開した哲学――高橋里美と高橋ふみ Ⅳ 資料編 Ⅴ 戦後の哲学 一五 戦後民主主義――丸山眞男 一六 戦後マルクス主義哲学――梅本克己 一七 経験と思想――森有正 一八 神秘について――井筒俊彦 一九 立ち現われ一元論――大森荘蔵 二〇 共同主観性――廣松渉 二一 あわいの哲学――坂部恵 二二 装飾的思考――北川東子 二三 「自分」という謎――池田晶子 Ⅴ 資料編
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-多くの文学翻訳、翻訳論で知られる第一人者が「翻訳になぜ理論が必要か」を、多くの実例を用いて解説する。翻訳はAIで「できてしまう」時代は、しかし翻訳すべき「内容」とは何か、その「正しさ」とは何かがより深く問われる時代でもある。翻訳の質への問い、翻訳の喜びへと読者をいざなう書。 【主要目次】 はじめに I 翻訳になぜ理論が必要か 01 イントロダクション――翻訳論はなぜ必要か 02 世界にはどんな翻訳論があるのか 03 まず、翻訳を定義してみよう 04 日本の「翻訳」とは何だったのか 05 形か意味か(1)――西欧の逐語訳 06 形か意味か(2)――日本の「逐語訳」 07 そもそも、意味とは何だろう 08 意味を伝える、とは 09 関連性理論とは何か 10 いよいよ、翻訳とは何だろう 11 文学テクストを翻訳するということ 12 さあ、理論の応用に漕ぎ出そう II 翻訳の実例を見る 01 文学翻訳の実践へ――冒険の見取り図 02 翻訳推敲のワークショップ――『たのしい川べ』 03 視点・声・心理劇を翻訳する――『床の下のこびとたち』 04 物語の意味を翻訳する――『ホビット』(1) 05 物語の仕掛けを翻訳する――『ホビット』(2) 06 仕掛け翻訳のバリエーション――スターン、ディケンズ、O・ヘンリー、トールキン、モンゴメリー 07 明治日本の天才たち――福澤諭吉、夏目漱石、森鷗外 08 短編翻訳のポイント――イエイツ、マンスフィールド、デ・ラ・メア、ブラッドベリ、ポー 09 書き換えられた『源氏物語』――ウェイリーとサイデンステッカー 10 言語が変わると物語が変わる――『赤毛のアン』『羅生門』『新聞紙』『コンビニ人間』 11 映像に翻訳する――『ホビット』『チョコレート工場の秘密』『ふしぎの国のアリス』 12 メディア間の翻訳を考える――『ジェイン・エア』から映画、児童書、語学教科書へ あとがき
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3.0日本のゲーム研究を牽引する著者の主要論考をすべて集成 電子回路をもつゲームであるデジタルゲームを知覚や認知、ゲームプレイ、メディア、音、eスポーツ、文化資源などの視点から多面的に論じつつ、さらには大塚英志と東浩紀による「ゲーム的リアリズム」論争をも詳細に跡付ける、日本のゲーム研究を牽引する著者によるゲームを考えるための必読文献。 【主要目次】 序 ゲーム研究とはどういうものか I 知覚と認知――プレイヤーはゲームをどう感じるのか 第1章 スクロール 第2章 視点と空間 第3章 ゲーム空間の記号学――二重化する知覚 II ゲームプレイ――プレイヤーはゲームをどう遊ぶのか 第4章 ゲームプレイと他者への信頼 第5章 カウンタープレイ――ゲームに抗うプレイヤー? 第6章 ゲームと公平性――社会革新としてのプレイ III メディア――コンピュータで遊ぶ/コンピュータを遊ぶ 第7章 プレイヤーとキャラクター――ゲームにおける死の問題 第8章 メタゲーム――自己批評するゲーム 第9章 メディアとしてのゲーム IV 文化のなかのゲーム――多面化するゲーム研究 第10章 ゲームと音・音楽 第11章 eスポーツはスポーツなのか 第12章 ゲームの文化資源学
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3.0メディアについての議論百出諸説紛紛。ベンヤミン、マクルーハン、ボードリヤール、エーコ、マクロビー、キットラー、マノヴィッチ、ラマール、ホイ……。彼ら/彼女らがメディアに関して紡いだ思考の核心を浮かび上がらせる。第一線で活躍するメディア研究者が執筆するメディア論を知り学ぶための最強テキスト。 【主要目次】 はじめに(伊藤 守) Ⅰ メディア論の目覚め ガブリエル・タルド:モナド論からメディア論へ(伊藤 守) ヴァルター・ベンヤミン:媒質から複製技術メディアへ(竹峰義和) テオドール・W・アドルノ:同一化と抵抗の弁証法(竹峰義和) レイモンド・ウィリアムズ:テレビのフォームとフォーメーション(山田雄三) マーシャル・マクルーハン:メディア論の発見者(門林岳史) Ⅱ メディア論の展開 ジャン・ボードリヤール:モノの記号論からメディアのシミュラークル論へ(塚原 史) ウンベルト・エーコ:偶然からのメディア論!?(西 兼志) スチュアート・ホール:イデオロギー分析としてのメディア論へ(有元 健) アンジェラ・マクロビー:フェミニスト・カルチュラル・スタディーズの広がる領野(河野真太郎) レイ・チョウ:眼差す力とメディア(本橋哲也) フェリックス・ガタリ:Machine=「機械」の思想(伊藤 守) フランコ・ベラルディ(ビフォ):アウトノミア運動と自由ラジオ(毛利嘉孝) ポール・ヴィリリオ:メディア技術の速度(今関裕太) Ⅲ デジタルのメディア論 フリードリヒ・キットラー:メディアの系譜学と技術への問い(大宮勘一郎) ベルナール・スティグレール:〈アテンション〉からのメディア哲学(西 兼志) マーク・B・N・ハンセン:テクノロジーと身体の媒介者(増田展大) レフ・マノヴィッチ:デジタル文化のメディア論(堀 潤之) アレクサンダー・ギャロウェイ:脱中心化以後のコントロールはいかに作動するのか(松谷容作) マシュー・フラー:ソフトウェア・スタディーズを組織するメディア実践者(毛利嘉孝) Ⅳ メディア論の最前線 トーマス・ラマール:アニメを通して思考するメディアの理論化(藤木秀朗) ヘンリー・ジェンキンズ:媒介(メディエイト)される文化(渡部宏樹) ロザリンド・ギル:変容し続けるメディア・ランドスケープと女性性(飯田麻結) サラ・バネット=ワイザー:メディア文化と両義性の政治(田中東子) ジョディ・ディーン:メディア論と左翼政治の交点に立つコミュニスト政治学者(水嶋一憲) エルキ・フータモ/ユッシ・パリッカ:メディア考古学はどこへ向かうか(大久保 遼) ブライアン・マッスミ:〈不安/怖れ〉とテクノロジー(伊藤 守) ユク・ホイ:宇宙技芸の多様性(原島大輔) おわりに(伊藤 守)
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-現代社会の危機に、社会学はどのように応えることができるのか。ヴェーバー、デュルケム、シュッツなどの社会学方法論を検討しながら、現代社会が直面する課題にアプローチする学問的営みのあるべき姿を提唱し、社会学理論の再構築をめざす新たな挑戦。 《書物復権2025》 【主要目次】 1章 リスク社会における事実性と反照性 2章 社会的事実とは何か 3章 理念型という方法――ヴェーバーの「客観性」戦略 4章 シュッツにおける「客観性」の意味 5章 理解社会学の理論仮説――行為者と観察者 6章 弱い合理性の理論――強い合理性でも限定合理性でもなく 7章 階級の幻想 8章 公共社会学の理論構想 9章 事実/価値二分法の真実 10章 社会は反照的共同性からなる――社会学の方法的立場
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-これからの建築をクリエイティブに考えようとするときこそ、近代建築の歴史と思想が重要だ。自らも創造しつつ、日本の大学の教壇に立った著者が、10のテーマでル・コルビュジェ、レオニドフ、スターリング、マーカット、安藤、磯崎ら、現代建築の先導者たちが何に向き合い創作してきたかを語る。読者に「読者自身のための建築史・建築思想」を触発する、東京藝術大学における講義。 【主要目次】 はじめに トムへのメッセージ(ピーター・クック:建築家、アーキグラム) 第1講 近代建築とは何か?―ル・コルビュジエ アーキグラムとその時代/パラディオとル・コルビュジエ/八分間建築史講義/ほか 第2講 先例と発明――スターリング ヒーロー/ダービー・シヴィック・センターでの「ビッグ・ジム」/ほか 第3講 革命――ル・コルビュジエ、レオニドフ、メーリニコフ、マイヤー/コールハース 社会のコンデンサー/プロパガンダとしての建築/建築は戦略と組織だ/ほか 第4講 時代精神と技術:1――ル・コルビュジェ、フラー、シャロー、インヴェルニッツィ 普通の市民のためのファンファーレ/住むための機械/ひまわりの家/ほか 第5講 時代精神と技術:2――NASA、アーキグラム、プライス、ハイテック テクノロジーが答えだ/インスタント・シティ/ウォーキング・シティ/ほか 第6講 テクトニクス――ズントー、ゼンパー、ミース、レヴェレンツ 花屋のキオスク/コンクリートの具体性/レヴェレンツの建築的オーダー/ほか 第7講 自然――マーカット 君の建築の重さはどのぐらい/マリーの小屋/自然との対話/ほか 第8講 太陽光の意味――ル・コルビュジエ、フェーン、サーリネン、カーン、安藤 採光のための苦闘/建築は光を変化させる/調整者としての窓/ほか 第9講 大地――ハディッド、ウッツオン、ズントー、リベラ、リン ランドアート/スーパースタジオ/安藤忠雄/マヤ・リン/ほか 第10講 意味――磯崎、ミケランジェロ カピトルの丘/古典建築の再発明/つくばセンタービル/ほか 訳者あとがき(八束はじめ、松下希和)
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-都市に現れたヒグマたち アイヌの人々に神と敬われ、豊かな自然の象徴とされながらも、しばしば駆除の対象ともなっているヒグマ。かれらはなぜ市街地に出没するようになったのか? 野生動物と人間の関係になにが起こっているのか? ヒグマの生態からその謎に迫る。 【主要目次】 序章 晩夏のヒグマの多様な素顔 第1章 北の森に暮らすヒグマの素顔 第2章 歴史的視点から見た人とヒグマの対立 第3章 農地への出没 第4章 市街地への出没 終章 これからのヒグマ管理 あとがき/引用文献 【序章より】 このところ、ヒグマの話題がつねに身近にある。私の身のまわりだけというのではなく、北海道全体でそうなのだ。毎年春になれば人身被害、初夏には市街地への出没や駆除の多発、晩夏には畑作物や果樹への食害、秋には果実類の凶作による餌不足と出没の関係が取り沙汰される。いったいヒグマになにが起きているのだろう。なぜ市街地に出没するのか、ほんとうに人とヒグマは共生できるのか、そのために私たちはどう対処すればよいのか。その答えはどれもそう単純ではない。地域によって、季節によって、年によって、ヒグマを取り巻く環境は変化し、人間社会も当然変化する。10年前と現在とでは人とヒグマの関係もまた違っている。 人とヒグマの関係についての答えは、絶滅か共存かの二項対立のなかにはない。人もヒグマも大切な地球の構成要素の一つとして50年後も100年後もともにこの地に暮らしていること、そのために一部の人が不安や負担を強いられない関係をめざす必要がある。いつの時代にも、どの地域にもあてはまるような一般的な解決策は存在しない。今起きていることを冷静に分析し、とりうる選択肢の最適な組み合わせはなにか、問題を抱えたそれぞれの地域がその時々に応じて考え決めていくべき問題だ。 冷静で効果的な判断のためには、ヒグマのこと、その他の野生動物や自然環境のこと、地域の人々の暮らしのこと、さらには地域以外の人々の考え方などをよく知り、地域の実情に応じていく必要がある。ヒグマについて、生息環境について、そしてそれを取り巻く地域について詳しく知れば、さまざまな場面で発生するヒグマに関わる問題を、他人事ではなく身近な関心事、自分事として共感を持ってとらえることができるようになるだろう。本書を手にとった方は少なくとも身近になったヒグマを知ろうと思ってくださったに違いない。本書が、さまざまな形で報道されるヒグマに関わる問題の背景にある、ヒグマという動物とそれを取り巻く環境、人との関わりのことを知っていただき、身近な動物として理解や共感を持っていただいたうえで、現在起きている問題の実態とその対処法について考えていただくきっかけになれば幸いである。 この本では、野生動物としてのヒグマの素顔と自然環境や人間の暮らしなどヒグマに関係する要素を取り上げ、生態学的視点から今なにが起きているのかを考察する。そして社会学的な視点も取り入れながら、今後の北海道におけるヒグマ管理について、そのあり方を議論したい。そのために、私のヒグマとの出会いから始まる約30年の足取りをたどりながら、ヒグマをめぐる旅におつきあいいただくことにしよう。
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-“ウーバー配達員は「労働者」か?” ギグワーカー問題の根底に迫る ウ―バーイーツなどデジタルプラットフォーム・ビジネスの台頭は、単発の仕事を請け負う「ギグワーカー」の登場など従来とは異なる社会現象を生み出し、労働法の世界にも新たな課題を投げ掛けている。この近時の大きな変化のなか、これらを近視眼的に捉え法技術的な議論を展開するだけでは、問題の本質に迫ることは難しい。そもそも労働法はどのような社会状況のなかで生成し、展開され、今日に至っているのか。プラットフォーム・ビジネスの出現と成長が、労働法の基盤や構造にどのような課題を投げ掛けているのか。そのなかで各国はどのような法制度の改革を行おうとしているのか。問題の解決に向け、本書は労働法の基底にある「労働者」概念にまで遡り、日本・ドイツ・フランス・イギリス・アメリカを対象に、歴史的・比較法的な視点からプラットフォーム・ビジネスがもたらす課題と展望を明らかにする。 【主要目次】 第1章 問題の所在と日本法の状況(水町勇一郎) 1 問題の所在 2 日本法の状況 3 本書の課題と構成 第2章 ドイツ法(橋本陽子) 1 はじめに 2 労働者概念の生成 3 具体的な労働者性の判断基準(判断要素) 4 社会保険法上の「就業」概念 5 最近の動き 6 自営業者のための特別法 7 むすび 第3章 フランス法(水町勇一郎) 1 はじめに 2 歴史――「労働契約」概念の生成と展開 3 動揺――「プラットフォーム」型就業と「労働契約」概念 4 現在の「労働契約」概念――その解釈枠組みと判断要素 5 むすび 第4章 イギリス法(石田信平) 1 はじめに 2 Employeeの概念 3 Workerの概念 4 ギグワークの労働者性とWorker概念改革案の動向 5 むすび 第5章 アメリカ法(竹内(奥野)寿) 1 はじめに 2 被用者概念及び判断基準の歴史的展開――2つの潮流 3 主要な労働・社会保障立法における被用者概念及び判断基準 4 プラットフォームエコノミーの進展と就労者保護をめぐる動向 5 むすび 第6章 各国の要約と比較法的考察(水町勇一郎) 1 分析の視点 2 要約 3 比較分析 4 むすび――日本への示唆と課題 【著者】 石田信平(いしだ・しんぺい):専修大学法科大学院教授 竹内(奥野)寿(たけうち(おくの)ひさし):早稲田大学法学学術院教授 橋本陽子(はしもと・ようこ):学習院大学法学部教授 水町勇一郎(みずまち・ゆういちろう):東京大学社会科学研究所教授
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-「逃げる」を生きる たとえば高齢化が進むコミュニティで「本当に有効な避難訓練」を実施しようとするとき、「平時」の今と、来るべき「その時」と、「その後」の復興過程と、このすべてをトータルで考える必要がある。「避難学」は、災害から逃れられない地に住まう我々を導く人間科学について、これまでの思想を根本的に転換する必要性を指摘し、かつ現場の実践を具体的に変革するための道すじを示す。 【主要目次】 序論 「逃げる」ための人間科学 第1部 コンセプト(概念)編 第1章 避難学のパラダイムチェンジ-八つの提言 第2章 言語行為論から見た避難情報 第3章 能動的・受動的・中動的に逃げる 第2部 ドリル(訓練)編 第4章 熱心な訓練参加者は本番でも逃げるのか 第5章 ハードルを下げた/上げた避難訓練 第6章 津波避難訓練支援アプリ「逃げトレ」 第3部 マジメント(施策)編 第7章 「自助・共助・公助」をご破算にする 第8章 「地区防災計画」をめぐる誤解とホント 第9章 南海トラフ地震の「臨時情報」 補論1 アフター・コロナ/ビフォー・X 補論2 ボーダーレス時代の防災学-コロナ禍と気候変動災害
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-企業不祥事や政治の腐敗、自己責任論が蔓延し経済も停滞する日本社会。なぜこのような状況になってしまったのか? ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)論の第一人者が、その有用性だけでなく負の側面までも含めて縦横に論じる。ソーシャル・キャピタル研究の決定版。 ▼▽ 各分野の方よりいただいたコメント抜粋、主要目次をご覧いただけます ▽▼ 【各分野の方よりいただいたコメント抜粋】 稲葉氏の「冷静な頭脳と温かい心」 (佐藤嘉倫 京都先端科学大学教授・社会学) 「社会学者のジェームズ・コールマンのミクロ・マクロ=リンク図式に依拠しつつ、経済学の概念である負の外部性および非凸性と社会関係資本とを結びつけた議論を展開している。その手法は見事というほかない。かつて経済学者のアルフレッド・マーシャルは講演で経済学者が「冷静な頭脳と温かい心」を持つことの重要性を指摘したが、稲葉氏は本書においてこのことを実践している。」 言葉の真の意味で「社会の科学書」 (辻󠄀中豊 東洋学園大学学長・政治学) 本書は、現代に極めて稀な、言葉の真の意味で「社会の科学書」である。巷にあふれる多くの悲惨さ、さまざまな問題、課題。それを違和感、「表立って表現されることのない苦しみ」ととらえ、人々の「なぜ」だという声を見逃さない。(中略)日本が誇る社会関係資本研究の第一人者の、社会の閉そく感を破らんとする意欲的な理論書である。 ソーシャル・キャピタルに関心がある読者にはぜひ (近藤克則 千葉大学特任教授・公衆衛生学) 「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本、以下SC)は、政治学、社会学、経営学、社会疫学などいろいろな学術領域で着目されるようになった概念である。日本におけるSC研究の草分けの一人である稲葉陽二先生が渾身の力を込めて書いたこの本で、ソーシャル・キャピタル論の定義から、社会が抱える課題解決の手立てとしてSCが期待できることを提示している。」 眼前の課題に解決の糸口を見つけたい人に (石田祐 関西学院大学教授・NPO論) 「これまでのソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の論点と議論に関する丁寧な引用、碩学らの当時の状況も引き出した興味深い構成、著者が長年提示する外部不経済に関する個人の認知、すなわち「心の外部性」の考慮、そして問題解決の方策を探るための長年のデータの蓄積と実証研究の試行錯誤、まるで『社会関係資本物語』である。」 【主要目次】 序章 日本経済・社会を覆う違和感――社会の理不尽を個人が負担する理不尽 第1章 社会関係資本の現状――現場の理不尽は社会関係資本を知らないとみすごされやすい 第2章 社会関係資本とはなにか 第3章 社会関係資本の定義についての考察――3人の碩学からなにを学ぶのか 第4章 社会関係資本のダークサイド 第5章 測り方と分析の仕方の進歩――計算社会科学の出現 第6章 過去の実証研究から明らかになったこと――データの整備と理解の深化 第7章 日本経済・社会を社会関係資本の視点で再考する 終章 結局なにが言いたかったのか
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-設立から半世紀余り、東南アジア全域を覆うようになったASEANは、いかにして対立を乗り越えて協力を成し遂げ、域外国・地域と向き合ってきたのか。EUの超国家主義に対比される政府間主義の観点からASEANという地域機構の政治力学の全体像を描き出す。 【主要目次】 序章 ASEANをどうとらえるか 1.地域機構としてのASEAN/2.比較のなかのASEAN/3.政府間主義と対立・協調の政治/4.本書の構成 第1章 脱植民地化・冷戦とASEAN 1.地域主義の波と植民地遺産/2.東南アジアの成立と米国主導の地域機構/3.ASEANの誕生:自前の地域機構形成へ/4.冷戦と国家建設の重要性/5.ASEANの発展:国際社会による認知へ 第2章 ASEANの政策決定 1.政府間組織としてのASEAN/2.外相主導の協力の限界/3.コンセンサス制とその例外:ASEANマイナスX方式の意義/4.常設機関の役割/5.域外国・地域との関係の制度化 第3章 政治安全保障 1.紛争解決手続き・規範/2.内政不干渉原則の相対化:ミャンマーへの関与を通して/3.ASEAN政府間人権委員会の役割と限界/4.域外国・地域との政治安全保障協力/5.国防大臣会議の役割/6.政治安全保障共同体と東南アジアの平和 第4章 経済統合 1.経済協力の挫折/2.ASEAN自由貿易地域とアジア通貨危機/3.貿易円滑化とサービス貿易自由化/4.連結性の強化/5.域外国・地域との経済協力/6.新しい経済統合モデル?:ASEAN経済共同体の目指すもの 第5章 非伝統的安全保障 1.国内問題の越境性/2.環境問題:越境煙害(ヘイズ)/3.移民労働者問題:送り出し国と受け入れ国の対立/4.ASEAN防災人道支援調整センターの活動/5.新型コロナウイルス対策/6.非伝統的安全保障と社会文化共同体 第6章 域外国・地域との関係 1.域外国・地域との付き合い方/2.中国の台頭と南シナ海問題/3.アメリカとインド太平洋協力/4.EUとの関係/5.日中協力と日ASEAN関係の独自性/6.国際問題への関わり 終章 ASEANはどこに向かうのか 1.政府間主義モデルの可能性/2.ASEAN共同体と協力の深化
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4.0そもそも人材採用の面接で分かることとは何か。 面接が正統性を持つ評価につながる方法とは何か。 1980年代までを支配した「面接無意味論」を脱し、20世紀後半から今世紀に至るまでに、面接が意味ある方法へと進化した背景には何があったのか。構造化面接法、面接者配置法、知的能力やパーソナリティを含む非認知的特性の構成概念研究などの面接理論の現代思想史をレビューしつつ、日本における採用・就職慣行とそれが変化しつつある現在において「会って話す」意味とその手法を考える。 【主要目次】 序章 変化する日本の採用・就活――その本質とは 新規学卒者の採用・就活環境/変化の本質/日本企業の偏った現代化/世界的研究動向と日本企業の課題/理論的布置 第Ⅰ部 面接研究の見取り図 第1章 面接の構造――選抜研究の視角 選抜の全体像/選抜手法の構造/選抜構造の前提条件/選抜構造の周辺 第2章 面接の正統性――意味ある面接とは何か 面接の正統性/適性検査の正統性/エントリーシートの正統性/日本的採用慣行と欧米の面接現代史 第Ⅱ部 面接の現代史 第3章 20世紀史――就活面接無意味論の支配と反旗 1980年代:採用面接無意味論の支配と歴史的転回/1990年代:面接の妥当性を生む要因探求 第4章 21世紀史――構造化面接からパーソナリティなどの構成概念の時代へ 2000年代:選抜基準の内容特定/2010年代以降:動画・オンライン面接の影響検証 第Ⅲ部 面接で分かること 第5章 採用面接による人事評価予測――入社前後4年間の追跡調査 面接と行動評価の基礎理解/データと手法/結果と考察/総合考察 第6章 採用面接の信頼性と構成概念――入社前後4年間の追跡調査(2) 面接の信頼性の基礎理解/データと手法/結果と考察/総合考察 終章 面接設計論の展望――ポスト新卒一括採用時代に向けて 面接現代史を今に活かす/現状を数値で正しく把握する/会って話す面接を作り直す/選抜過程全体で選抜妥当性を獲得する
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-明治、大正、昭和という激動の時代を生き抜いた文学者が、満蒙旅行を経験することでいかなる中国とのかかわりが生まれたのか。数多くの文化人が訪れ、表象された「満蒙」と向きあい、歌人として、評論家として自らの言葉を発信しつづけた与謝野晶子と日中戦争をめぐる時代像を描きだす。 【主要目次】 はじめに 第一部 表象された満蒙 第一章 満蒙という物語と与謝野晶子 第二章 想像力の投影先としての満蒙 第三章 晶子の風景、杢太郎の眼鏡 第二部 記録された「事実」 第四章 将軍夫人との劇的な出会い 第五章 張作霖爆殺事件の後 第六章 晶子が見たもの、見えなかったもの 第七章 満蒙という物語の続き 第三部 行き違いの響きあい 第八章 海を越えた詩心――「小詩」誕生のきっかけ 第九章 貞操論と文化誤読 第一〇章 女性評論の翻訳と紹介 第一一章 時事批評の射程――魂のリトマス紙になった言論 おわりに
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-明治期に創立された三崎臨海実験所は、世界でも最も歴史の古い臨海実験所のひとつとして、日本における生物学の発展に大いに貢献してきた。近代日本の幕開けから現在にいたるその歩みを丁寧に振り返りながら、今後の海洋生物学研究・教育拠点としての実験所の展望を示す。 【主要目次】 1.明治期の三崎臨海実験所(1886–1912年) 1.1 三崎臨海実験所前史 1.2 三崎臨海実験所の創立 1.3 入船時代――三崎臨海実験所の黎明期 1.4 油壷移転――新しい実験所の幕開け 1.5 実験所の大拡張――研究教育活動の基礎の確立 2.大正期の三崎臨海実験所(1912–1926年) 2.1 実験生物学の導入 2.2 大正期の研究の動向 3.昭和期の三崎臨海実験所(1926–1989年) 3.1 実験生物学研究の進展 3.2 実験所水族館の建設 3.3 実験所本館の建設 3.4 実験所建物の消長 3.5 太平洋戦争と実験所 3.6 太平洋戦争後の実験所 4.平成期前半の三崎臨海実験所(1989–2004年) 4.1 新実験研究棟の建設 4.2 実験所で活躍した船たち 4.3 平成期前半の研究活動 4.4 実験所の教育活動――臨海実習 5.平成期後半から令和期の三崎臨海実験所(2005年~現在) 5.1 三浦真珠プロジェクトと三崎臨海実験所 5.2 21世紀における三崎臨海実験所での研究 5.3 海洋生物学100周年記念館・水族館の取り壊しと教育棟建設 5.4 マリンバイオ共同推進機構(JAMBIO) 5.5 三崎談話会の復活 6.相模湾の豊かな生物相とその保全――三崎臨海実験所周辺 6.1 実験所周辺の生物相 6.2 実験所周辺の生物の保全活動 6.3 生物保護区の設定 7.三崎臨海実験所人物記 7.1 実験所のスタッフ 7.2 実験所に足跡を残した研究者 7.3 天皇家と三崎臨海実験所 8.日本の臨海実験所の未来への歩み 8.1 国立大学理学部附属臨海実験所 8.2 日本と欧米諸国の臨海実験所 8.3 日本の臨海実験所の将来構想 8.4 国立大学臨海実験所等の再編に関する提言 8.5 臨界実験所の未来へ向けて 付表1 三崎臨海実験所略年表 付表2 三崎臨海実験所歴代所長、教員、職員一覧 付表3 三崎談話会 付表4 昭和期・平成期前半における研究の一例(教員・大学院生の研究題目) 付表5 団 勝磨、団ジーン、磯野直秀関連資料 付表6 マリンバイオ共同推進機構(JAMBIO)メンバー 付表7 1900年までに開設された世界の臨海実験所
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-映画についての百花斉放百家争鳴。クラカウアー、バザン、蓮實、メッツ、マルヴィ、ボードウェル、ガニング、カヴェル、ドゥルーズ、 ランシエール……。彼ら/彼女らが映画に関して紡いだ思考のエッセンスを浮かび上がらせる。第一線で活躍する映画研究者が執筆する映画論を知り学ぶための最強テキスト。 【本書「はじめに」より】 本書は、サイレント期から現代に至るまで、映画を独創的な仕方で論じてきた21人の人物を取り上げ、各映画論のエッセンスの紹介を目的に編まれた入門書である。本書に登場する論者の多くは、これまで「映画理論」の文脈において言及されることが多かったが、彼らは必ずしも「理論家」を自任していたわけではない。本書で論じられているのは、批評家、監督、研究者、哲学者など、映画に関わる様々な領域の中で独自の映画論を開拓してきた人々である。彼らは自らの分厚い映画体験を基にしながら、映画が持つ根源的な意味を問い続けてきた。本書ではこの先人たちを「映画論の冒険者たち」と名付け、その鋭敏な着想の数々を掬い上げることで、映画をめぐる豊かな言説の拡がりを示していきたいと思う。 【主要目次】 はじめに(木原圭翔) I 古典的映画論のアクチュアリティ ヒューゴー・ミュンスターバーグ――その遺産と認知主義的映画研究(板倉史明) ベーラ・バラージュ――映画芸術が可視化する人間の精神(渋谷哲也) ジャン・エプシュタイン――幻視者の映画哲学(武田潔) セルゲイ・エイゼンシュテイン――自動運動とその観察(畠山宗明) ジークフリート・クラカウアー――偶然、事物、リアリズム(竹峰義和) II 映画批評の実践 アンドレ・バザン――「不純な映画」の時代の批評家(角井誠) エリック・ロメール――「美」を通じた存在の肯定(小河原あや) セルジュ・ダネー――現代映画とともに生まれた男(須藤健太郎) V・F・パーキンズ――「世界」のスタイルと意味(川﨑佳哉) 蓮實重彥――映画の反=メディア的可能性(長谷正人) III 現代映画理論の展開 クリスチャン・メッツ――反省的=再帰的言説の道程(武田潔) レーモン・ベルール――映画と映像アートの往還(堀潤之) ローラ・マルヴィ――フェミニズムとテクノロジーから映画を見る実践理論家(斉藤綾子) IV フィルム・スタディーズの冒険 デイヴィッド・ボードウェル――詩学/科学を追求する(木下耕介) ミリアム・ハンセン――映画経験とモダニティ(竹峰義和) リンダ・ウィリアムズ――ボディジャンルと幻想の論理(木下千花) トム・ガニング――映画のアトラクションに魅せられた歴史家(三輪健太朗) V 哲学者たちの映画論 スタンリー・カヴェル――メディウムを批評する哲学者(木原圭翔) フレドリック・ジェイムソン――歴史的可能性を問い続けるマルクス主義者(吉本光宏) ジル・ドゥルーズ――哲学者は映画作家をどう論じたか(中村秀之) ジャック・ランシエール――芸術の美学的体制と映画(堀潤之) おわりに(堀潤之)
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-世界の分断と対立を乗り越えるために―― コネクティビティと信頼を鍵として、イスラーム文明の知を可視化する シリーズ刊行開始! 「イスラーム的コネクティビティに基づいた信頼構築」とはいかなるものなのか。国家体系や経済、境域における翻訳と規範の変容、思想と戦略知の展開、移民が形成するコミュニティ、紛争地域での平和構築、人文情報学の可能性といった切り口から全8巻のシリーズのねらいを総合的に論じる。 【主要目次】 序章 イスラームから考える「つながりづくり」と「信頼」――今後の世界を見通す鍵として(黒木英充) 第1章 瀬戸内から世界に広がるつながり――ある日本人ムスリムの足跡をたどる(岡井宏文) essay1 他者を理解するために必要なこと――幕末の「日本人」のイスラーム経験から(黒田賢治) 第2章 多様なひとびとをつなぐ翻訳――イスラームの各地への展開と知の伝達(野田 仁) 第3章 異なることばをつなぐ言語――インド洋世界におけるウルドゥー語の役割(須永恵美子) 第4章 未来を拓くイスラーム経済のつなぐ力――その思想と歴史から学ぶ(長岡慎介) 第5章 イスラームで国をつくる――宗教・国家・共同体(近藤信彰) essay2 宗教がひしめきあう都市で人がつながる――18世紀イスタンブルの公衆浴場から(守田まどか) 第6章 不信から生まれる信頼――モロッコ、ベルベル人の「寛容」を中心に(池田昭光) essay3 信頼と不信が垣間見えるとき――シリアで見聞きしたこと(黒木英充) 第7章 信頼のためのイスラーム思想と戦略――現代南アジアにおける政治運動の正当化(山根 聡) essay4 中東で政治的な信頼をはかる――イラクでの世論調査から考える(山尾 大) 第8章 神の教えの実践とヴェール――信頼から信仰を読み解く(後藤絵美) 第9章 「テロリスト」に対する暴力による解決と信頼のゆくえ――フィリピンからの問い(石井正子) 第10章 見えないつながりを描き出す――デジタル人文学の可能性(熊倉和歌子) essay5 保育園で「つながり」を考えてみた――双方向的探究から広がる新しい世界(太田(塚田)絵里奈) 付録 文献リストとサイト案内(荒井悠太)
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-民族領域自治はいかに議論され実現したのか ロシアによるウクライナ侵略による戦争がいまだつづく現状のなかで、そもそもこの「ウクライナ」という国家はいかに成立したのか。ロシア革命期の知識人たちの言説と論争からロシアとウクライナの交差する歴史を明らかにする。 【主要目次】 序 章 ウクライナとロシア─交差する歴史 第一章 一九〇五年革命とウクライナ民族領域自治構想の登場 第二章 ロシア帝国国家ドゥーマと自治論争 第三章 帝政末期ロシア社会と「ウクライナ問題」論争 、一九〇七-一九一四 第四章 第一次世界大戦と「ウクライナ問題」の国際化 第五章 一九一七年二月革命とウクライナ民族領域自治の実践 第六章 ウクライナ運動の分化 ――領域自治派と主権共和国派 第七章 自治なきあとの独立論と連邦論――一九一八─一九年のウクライナにおける国制構想と外交の相互関係 第八章 過ぎ去った自治と来るべき自治――フルシェフスキーとノリデの国制論と政治的実践 終章 近代ウクライナ国家のゆくえ
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-『草の根の中国』(東京大学出版会、2019年、アジア・太平洋賞大賞受賞)、『中国農村の現在』(中公新書、2024年、2025新書大賞13位)に続く、個性溢れる中国農村論。今回はインドやロシアとの比較を交えるなど更に広いパースペクティヴのもと、前二著とは異なる新たなテーマを切り拓く。混沌とする農村現場の徹底的な観察と分析を通じて、雑多な要素が複雑に絡み合い影響し合いながら織り成す一つの秩序=曼陀羅図を、浮き彫りにする。 【主要目次】 序 章 曼陀羅図としての農村 第Ⅰ部 農村ビジネスの郷土性 第1章 家族主義に埋め込まれた農村ビジネス――双水村のレンガ工場 第2章 道づくりとリーダーシップ 第3章 僻地の教育ビジネス――貴州石村の寄宿制学校 [フィールド・エピソード]豊城農村調査挫折記 第Ⅱ部 県域社会の文化心理 第4章 交叉地帯の構造 第5章 交叉地帯の文化心理 第6章 中国的「県域社会」の現在 [フィールド・エピソード]田舎の女と町の女 第Ⅲ部 比較のなかの中国農村 第7章 都市=農村間の人的環流――中国・ロシア比較 第8章 村落ガバナンスにみる公・共・私の交錯――中国・インド・ロシア比較 [フィールド・エピソード]中国研究者がロシアの農村で考えたこと [フィールド・エピソード]中国研究者がインドの農村で考えたこと
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-★中原淳氏(立教大学経営学部教授)推薦! 「管理職はいかにひとを育てればよいのか?唯一無二の学術的解説管理職によるコーチングの実態解明」 部下の能力をどうすれば伸ばせるのか。職場において管理職やマネジャーが部下の職務遂行をサポートする活動である管理職コーチングのプロセスを実証調査の定性的・定量的な分析から明らかにすることで、上司と部下のより良い関係構築のための方策を浮かび上がらせる。 【主要目次】 はじめに:上司と部下の幸せな関係づくりのために 序章 管理職コーチング研究の課題と枠組み 0.1 問題意識 0.2 研究の枠組み 0.3 本書の構成 0.4 想定する読者 0.5 小括 第Ⅰ部 管理職コーチング、経験学習・リフレクションに関する先行研究 第1章 管理職コーチングに関する先行研究 1.1 コーチングとは 1.2 管理職コーチング研究の全体像 1.3 管理職コーチングの定義 1.4 管理職コーチングの行動 1.5 管理職コーチングの先行要因 1.6 管理職コーチングの成果 1.7 管理職コーチングの媒介要因 1.8 管理職コーチングの調整要因 1.9 小括 第2章 経験学習・リフレクションに関する理論 2.1 デューイの経験理論 2.2 行為の中の内省 2.3 批判的内省 2.4 コルブの経験学習理論 2.5 ギブスのリフレクティブサイクル・モデル 2.6 ALACTモデル 2.7 3つのモデルの比較 2.8 経験学習・リフレクション研究の課題 2.9 リサーチクエスチョン 2.10 小括 補論 第II部 経験学習・リフレクション支援に関する分析 第3章 経験学習・リフレクション支援の成功事例・失敗事例:定性分析1 3.1 研究方法 3.2 分析結果 3.3 リフレクション支援における成功・失敗パターン 3.4 リフレクション支援における成功・失敗パターンのまとめ 3.5 小括 第4章 部下育成能力の高いマネジャーの育成行動:定性分析2 4.1 研究方法 4.2 分析結果 4.3 結果の概要とストーリーライン 4.4 経験学習・リフレクション支援の具体例 4.5 小括 4.6 定性分析1と定性分析2の比較 第5章 管理職コーチングの効果:定量分析1 5.1 4つの心理的状態の選択理由 5.2 管理職コーチングと部下の心理的状態 5.3 管理職コーチング行動の尺度の開発 5.4 研究の方法 5.5 調査項目 5.6 分析結果 5.7 発見事実 5.8 小括 第6章 部下の性別による管理職コーチングの効果:定量分析2 6.1 先行研究 6.2 研究方法 6.3 調査項目 6.4 結果 6.5 発見事実 6.6 小括 第7章 結論:成果を生み出す管理職コーチング 7.1 発見事実の整理 7.2 理論的インプレケーション 7.3 実践的インプリケーション 7.4 本研究の限界と今後の課題 おわりに
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5.0“主権”と“人権”の根源を問い、両者の間の密接な相互連関と緊張を繙いた本書刊行から30年の時をかけて――2022年にフランスで刊行された論文集の序文一部を日本語に書き下ろしたものを新たに加え、現在の著者の想いをあとがきにしるし、近代立憲主義を再定位する増補新装版としてお贈りする。 【主要目次】 はじめに 第Ⅰ章 西欧立憲主義の再定位 第1節 フランスの知的伝統とその変化 第2節 人権価値の復権とそれへの懐疑 第Ⅱ章 二つの国家像の対抗 第1節 近代憲法史にとってのフランス革命 第2節 問題点の検討 第Ⅲ章 二つの自由観の対抗 第1節 《Républicain》と《Démocrate》の間 第2節 国家からの自由と国家干渉を通しての自由 第Ⅳ章 「公共」の可能性とアポリア 第1節 〈citoyen〉の可能性 第2節 日本国憲法下の〈公〉と〈私〉 補論 《Valeurs et technologie du droit constitutionnel》(2022)の序文要約 あとがき
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-○●------名著復刊-------●○ 日本人は裁判嫌い? 日本人は権利意識が低い? 従来の考え方に疑問を呈し、歴史的観点から社会や制度に目を向けることで、日本人が元々有していた権利意識の高さと、それが萎縮していく過程をつぶさに――機能論的に――繙く。復刊にあたり、本書の理解をさらに深める2つの論攷を新たに収録。 【主要目次】 第1章 法観念比較の予備的考察 1.法圏分類基準としての法観念/2.西洋と極東における法観念の相違 第2章 西洋と極東の意味 1.文化共同体としての「西洋」/2.極東の意味 第3章 西洋法における「法の支配」と「権利のための闘争」 1.「西洋法」の概念/2.神聖なる法/3.イギリスにおける王権と法/4.フランスにおける「法の優越」/5.ドイツの「法治国」思想/6.「法の支配」の展開と権利のための闘争 第4章 極東における徳治と法治 1.「極東法」および天と皇帝/2.中国の法伝統/3.日本人における法意識の形成 第5章 日本的法観念再検討のために 1.総括的考察/2.補遺的考察 補論1 日本法の普遍性と特殊性 補論2 極東の法観念に関する誤解
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-多くの支持を集めてきた好著を復刊! 「哲学」という言葉の起源から、初期自然学、パルメニデス、ソクラテス、プラトン、アリストテレス、ストア派やエピクロス派などヘレニズム期の哲学、そして古代末期の哲学までを解説。「ギリシア哲学全体の歩みに1つのまとまった眺望を与える」名著を、新版にて復刊。新たに納富信留(東京大学教授)による解説「ギリシア哲学に出会う」を付す。 【主要目次】 序章 古典ギリシア哲学の成立 1.「哲学」の起源――「フィロソフィア」のフィロロジア/2.ギリシアにおけるフィロソフィアの成立/3.ギリシア哲学の本質/4.時代区分 第一章 初期自然学の誕生 1.初期自然学の特性――宗教・科学・哲学の交錯/2.資料の性質/3.ミレトス派/4.クセノファネス/5.ピタゴラス派/6.ヘラクレイトス 第二章 パルメニデスとパルメニデス以後の人びと 1.パルメニデス/2.パルメニデス以後の人びと 第三章 ソクラテス 1.謎の人ソクラテス/2.ソクラテスの肖像――問う人ソクラテス/3.問いの本質 第四章 プラトン 1.生涯と著作/2.プラトン哲学と言われているもの/3.初期哲学/4.中期哲学/5.後期哲学 第五章 アリストテレス 1.生涯と著作/2.知識/3.存在/4.善/5.公共の善 終章 ヘレニズム期と古代末期の哲学 1.ヘレニズム期の哲学/2.古代末期の哲学 解説 ギリシア哲学に出会う 納富信留 あとがき 註
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-沖縄の日本復帰から50年を経て、沖縄の視点から日本史の本質的な理解につながる研究が進展し、あるべき沖縄の関係性がつむぎ直されるようになってきた。本書は、史料的にも散逸・焼失もあって平坦ではなかった沖縄の歴史研究の軌跡をたどりながら、一地域史に留まらない視座を提示し、展望をひらく。 【主要目次】 まえがき(古波藏契) 第Ⅰ部 復帰の歴史を考える 第1章 沖縄返還にみる占領特権の制度化(吉本秀子) 第2章 東アジア冷戦と沖縄(成田千尋) 第3章 医療衛生から再考する沖縄米軍占領(増渕あさ子) 第4章 軍事資本主義の生政治に抗う「反開発」闘争(上原こずえ) 第5章 日常のなかの冷戦(古波藏契) 第Ⅱ部 復帰と琉球沖縄史研究の変容 第6章 沖縄の近世・近代転換期をめぐる研究史(前田勇樹) 第7章 徳川帝国のなかの琉球――従属と自律の相剋(豊見山和行) 第8章 〈南洋群島〉という植民地空間の生成(森亜紀子) 第9章 戦後沖縄における資料収集・編纂と近年のデジタルアーカイブの取り組み(山田浩世/小野百合子) あとがき(佐々木真)
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-複雑化する社会課題に対して、政策立案に各分野の高度な専門性が求められている現在、EBPMへの社会的要請はますます高まっている。本書では12の政策分野のエビデンス活用を横断的に比較、その現状と課題を俯瞰的に把握し、そこから得られた示唆をまとめる。 【主要目次】 はじめに 序章 EBPMの課題は何か――SPIからのアプローチ(佐藤、松尾、菊地) I マクロリスク対応 第1章 気候変動――IPCCと科学的アセスメント(杉山昌広:東京大学未来ビジョン研究センター) 第2章 感染症――緊急時における科学と政治の協働(齋藤智也:国立感染症研究所) 第3章 地震防災――地震被害想定の統合的評価に向けて(平田 直:地震研究所) 第4章 原子力安全――安全規制とその科学的議論(山形浩史:長岡技術科学大学) II 生活・環境 第5章 化学物質管理――ガイドライン化の追求(永井孝志:農研機構) 第6章 健康・医療――データヘルス政策を事例としたエビデンス活用(古井祐司、井出博生:東京大学未来ビジョン研究センター) 第7章 人口――政策研究の深化と少子化対策の限界(鎌田健司:国立社会保障・人口問題研究所) 第8章 学校教育――データ分析と実践知の活用 (貞広斎子:千葉大学) III 経済社会基盤 第9章 金融――高度な専門性が支えるFRBの政策(仲田泰祐:東京大学大学院経済学研究科) 第10章 エネルギー――モデル分析とステークホルダーの関与(松尾雄司:立命館アジア太平洋大学) 第11章 インフラ――費用便益分析の有効利用に向けて(河野達仁:東北大学大学院情報科学研究科) 第12章 科学技術・イノベーション(STI)――認識共有と議論を促すエビデンス(佐藤、松尾、菊地) 終章 分野横断的研究からの示唆――多様なエビデンス活用に向けて(佐藤、松尾、菊地)
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4.0ツキノワグマによる人身事故はなぜ起こるのか—―ツキノワグマと人間の歴史をていねいにたどりながら、生息場所である森の変化、そして人間の生活の変化をふまえて、都市近郊に出現するようになった現代のツキノワグマの生態をとらえなおし、これからのつきあい方を考える。 【著者からのメッセージ】 1980年前後から本格的に開始されたツキノワグマ研究は、人とクマの関係の好ましい在り方についての多くの提言を、さまざまな機会を利用して世に出すことで、普及啓発に一定の役割を果たしてきたといえます。そのため、ツキノワグマに対する一般の認識も、ポジティブとまではいえなくても、ネガティブからは好転してきたと感じていました。 しかし、ツキノワグマの出没が2000年代に入ってから常態化するようになり、そのような年には数千頭のクマが捕獲されると同時に、100人を超える多くの方が負傷される事態となっています。決定的な事故は、昨年初夏に秋田県で発生した4件の死亡事故で、すべての被害者が食害を受けたことから、ツキノワグマに対するイメージは一気に悪くなってしまいました。 その結果、秋田県では未曾有の500頭近くのクマが捕殺されることになり、その影響は本州の他の自治体にも波及しました。こうした状況の背景には、ツキノワグマの分布域が本州全体で拡大している一方で、その管理が適切になされていないという構造的な問題が指摘できます。少子高齢化が進み、限界集落が増える予測の中で、クマとの軋轢は今後も続きそうです。 本書は、一般読者の方を対象とした普及書です。すでに隣人と化したツキノワグマという動物について、まずはきちんと知ってもらいたいという願いで、その生態や現状について、最新の情報にもとづき、できるだけわかりやすくまとめてみました。もちろん自然科学にかかわる多くの方にもぜひ読んでいただき、ご意見をいただければ幸いです。 【主要目次】 第1章 ツキノワグマという動物 1 クマの仲間 2 アジアのツキノワグマ 3 日本への渡来 4 日本のツキノワグマ 第2章 森や人間の変化 1 分布域の急激な拡大 2 人里への出没 3 出没のメカニズム 4 個体数の増加 5 はげ山だった日本の山 6 狩猟者の減少 7 里山の機能喪失 第3章 人間との衝突 1 農業被害 2 林業被害 3 畜産業・水産業被害 4 心理的な被害 5 人身事故の実態 6 ツキノワグマの行動の変化 第4章 姿を消したツキノワグマ 1 九州のツキノワグマ 2 四国のツキノワグマ 第5章 管理や保全のための試み 1 非致死的管理の試み 2 集落に誘引しないための取り組み 3 危機的個体群の保全 4 管理や保全のための普及啓発 第6章 これからどうつきあうか 1 保護管理計画の現状 2 管理や保全の課題 3 モニタリングの課題 4 人身事故を繰り返さないために
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5.0「大乗仏教」でもなく、「上座部仏教」でもない―― サンスクリット語からパーリ語へ 「聖なる」言語の転換から描きなおす新たな仏教史 インドからスリランカ、そして東南アジアに伝わった「上座部仏教」と、日本にも伝わった「大乗仏教」という図式は近代が作りだした二分法であった。近代の分類概念を克服し、サンスクリット語とパーリ語をめぐるダイナミックなネットワークの実態から仏教史の新しい展開を切りひらく。 【主要目次】 序章 聖なる言語の国際空間 I 不在の中心 第1章 仏教に「正統と異端」はあるのか? 第2章 インド仏典の多元的伝承――部派と大乗 第3章 サンスクリット・コスモポリスの仏教 II 中心と周縁 第4章 スリランカにおける史書の誕生 第5章 パーリ語原理主義 第6章 ブッダゴーサが示す仏教の未来 III 周縁の正統 第7章 正史の王権論――「教え」と「異端」 第8章 パーリ・コスモポリスの形成 第9章 近代における「大乗仏教」と「上座部仏教」の創造 結論 神々の言葉からブッダの言葉へ
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-東日本大震災、新型コロナウイルスなど、人びとの生活を一変させる出来事が起こる現在、科学コミュニケーションはどのようにあるべきなのか? 科学コミュニケーションの科学論、現場からの実践、そしてその広がりについて、多角的な視点から論じる。 【主要目次】 はじめに(藤垣裕子) 第I部 科学コミュニケーション再訪(理論篇) 第1章 「空間人間観」を越えゆくために――欠如モデルの歴史的位置づけ(廣野喜幸) 第2章 一般市民の文脈、自然科学者の文脈――文脈モデルの含意(廣野喜幸) 第3章 科学コミュニケーションの垂直モデルと水平モデル(廣野喜幸) 第4章 科学コミュニケーションのモデル――欠如モデルから垂直モデル/水平モデルへ(内田麻理香) 第5章 市民参加における水平モデル(定松 淳) 第II部 メディアの現場から(実践・事例篇) 第6章 科学コミュニケーションとインターネットコミュニケーション技術・ソーシャルメディア(田中幹人) 第7章 科学ジャーナリズム(須田桃子) 第8章 テレビ 8.1 科学番組制作の実践例(井上智広) 8.2 科学コミュニケーションにおけるテレビの位置づけ(佐倉 統) 第9章 博物館 9.1 科学博物館(小川達也) 9.2 科学展示のキュレーショ(洪 恒夫) 第10章 サイエンスライティング(渡辺政隆) 第11章 科学者・技術者のアウトリーチ 11.1 原発事故後のリスクコミュニケーション(鳥居寛之) 11.2 メディア・アートと自然科学の連携がもたらす新しい発問の仕掛け(ホアン・マヌエル・カストロ、豊田太郎) 第III部 これからの科学コミュニケーション、その広がり(展望篇) 第12章 科学コミュニケーションと初等中等教育(大島まり) 第13章 ヘルスコミュニケーション(孫 大輔) 第14章 ELSIおよびRRIが提起する科学コミュニケーション上の課題(藤垣裕子) おわりに(廣野喜幸)
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4.0ルーマンの思考が切り開く 新たな社会学の地平 ニクラス・ルーマンが切り開いた社会の自己産出系論を経験的な社会科学のひとつとして位置づけ、鍛え抜かれた思考をより広い地平へ解き放つ。「社会学の溶解」が問われる現在、新たなルーマン像を「中範囲の理論」として描き出し、社会科学へ回帰させる試み。 【主要目次】 序論 経験的システム論への転回――社会学における理論の地平とマスメディア I メディアと社会 1.サブカルチャー/社会学の非対称性と批評のゆくえ――「世界を開く魔法」社会学編 2.制度と技術と民主主義――ネット社会の政治システム 3.世論と世論調査の社会学――「前面化」と「潜在化」の現在と未来 4.現代メディアと批評する個人――ジャーナリズムのシステム論から 5.機能的に分化した社会のマスメディア――報道するシステムと知のあり方 6.「社会学の知」の位置と資産 II システムの公理系 1.自己産出系の公理論――システム論のsyntaxとsemantics 2.自己産出系のセマンティクス――あるいは沈黙論の新たな試み 3.回帰的なネットワーク――社会の自己産出系の解説1 4.「固有値」と機能的分化――社会の自己産出系の解説2 III システムとネットワーク 1.ネットワークと境界性――「第三世代」システム論からの考察 2.オートポイエティック・システム論から組織を見る――「二次の観察」としての理論の射程 終章 人と学術
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