ioさんのレビュー一覧
レビュアー
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緻密な物語後半
壮大な物語の下巻です。表紙を見ただけでハピエンなのは一目瞭然なのですが、最終的にすべてのエピソードが集約し、見事なタペストリーが完成します。
上巻冒頭のエピソードはここに繋がるのか!という心地よいしてやられた感がたまりません。本当に良く練られた物語だと思います。
クライマックスの『ざまぁ』もお見事でした。ご都合主義と受け取られる方もいるかもしれませんが、無血独立という現実的には非常に困難なことを成し遂げられるのもファンタジー作品ならではの良さではないでしょうか。
楽しませていただきました。大満足です! -
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緻密な物語前半
壮大な物語の上巻です。
獣人が追放されていくシーンから始まる物語。
序盤のうちはあのシーンにどんな意味があったのかは分かりません。ただ恐ろしく惨い事件があり、主人公のミシェルが記憶に障害を抱えているということだけ。そして白狼の獣人アランと出会い、ミシェルは少しずつ自分と領地の過去を取り戻していくことになります。
その物語の紡ぎ方がお見事です。ひとつひとつのエピソードが縦横に絡み合い、緻密なタペストリーを織り上げるかのようなストーリー展開に惹き付けられ、あっという間に読み終えてしまいました。
BL作品という枠に囚われず、ファンタジー作品として読んでいただきたい物語です。
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不思議な世界観
異世界ものが好きで結構な作品数を読んだと思うのですが、この作品は世界観が独特ですね...。
不憫な境遇ながらも無邪気なユキヤは可愛いですし、気難しくもイケメンなローゼン様と従者のキリの掛け合い漫才のような会話も楽しいです。
ただこの独特すぎる世界観についていけるかどうかがちょっと不安。有料版の購入は検討中です。 -
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見事な構成
前世で日本人だった主人公が、好きだった物語の世界の悪役側のモブに転生。よくある転生ものといった印象でした。ちょっと目新しかったのは、主人公が運命を変えようとあがく理由が自分ではなく血の繋がらない子供であるところ。
主人公のディロスは表向き『お父さん』ではありますが、のっけから母性全開です。
諸事情から王に保護され『側妃』の立場で離宮に入りますが、そこでも正妃である母を亡くして寂しい思いをしている2人の王子たちに寄り添います。
離宮での生活は穏やかで時に甘く、いっそ退屈なほど。離宮の外では色々あるはずですが、ディロスと子供たちにそれが伝えられることはありません。王に守られ、事の顛末も全てカタがつ -
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予想通り
大人の童話といった雰囲気の作品。切なくて優しくて、素敵な作品だと思います。
...が、設定も物語の展開もほぼ全てタイトルと粗筋から予想した通りで、感動が薄まってしまいました(涙💧)
この世界観に浸りたかったのに浸りきれなかった自分が悔しいです...。 -
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飯テロ新婚旅行
お色直し6回。思い出は全てご馳走と一緒ですね。アビーちゃんらしいです。
道中立ち寄った森では、本物の『ピヨちゃん』登場!...いや、デカイんですけど。小鳥じゃなかったのね...。
続いてのお披露目会ではご令嬢に絡まれますが、天然素直なアビーちゃんは無敵です。ご令嬢の意地悪なんてかすりもしません。
そしてこの旅は嬉し恥ずかし新婚旅行...なはずですが、ほぼ食べ歩きですね。美味しそうなのでお腹がすきます...。
なかなか甘い雰囲気にはなりにくい2人。それでもちょっとは前進したのでしょうか?ストレートに教わったことを実践しようとするアビーちゃん。...ジェラルド様のご苦労が偲ばれます。
とにかくあり -
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ヤンデレと呼ぶには
タイトル通りの作品ではありますが、この第二王子を『ヤンデレ』と呼ぶには大分マイルドかな...とも思います。『ヤンデレ』ぶりが顕著になるのは終盤のアルベルト視点のエピソードが明かされてからですし。それまではちょっと執着強めかな...くらいの印象。
それでも主人公にして転生者、鈍感従者のエミルくんが勘違いしたり空回ったりしているのがとにかく可愛くて、作品自体は最後まで楽しく拝読しました。
元の乙女ゲームがドロドロの内容なのに至って平和に物語が進んでいくところはちょっと残念。この設定があるのならもう少し波乱万丈で重めな方が好みだったかも。 -
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☆の数を追加したい
ハリー・ポッターを思わせる学園ものです。魔法のある世界のエリート校での学園生活の描写が素晴らしいです。
BL作品としては健全で肌色成分をほぼ含みません。作中唯一のベッドシーンもジーンとエルマーらしくてなんとも微笑ましいもの。
しかしながら相手を知ることで恐れがなくなり友情が芽生え、やがて恋情、愛情へと変化していく過程が丁寧に描かれているので、全く不満に思いませんでした。その詳細な心理描写は本当にお見事です。
後日談では敵役のアビゲイル視点での学園生活の描写があり、それもまた物語の奥行を広げてくれます。
☆の数を追加したいくらい面白かったです! -
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ハピエン後の波風
続編があるとは思っていなかったので、嬉しいサプライズになりました。両想いになった後の物語なせいか、前巻と比べていちゃラブシーンもかなり増量になっております。
今作では、ライア様の『冷酷公爵』っぷりがほぼ感じられません。ライア様、性格変わってませんか?というよりも、これが本来のライア様なのでしょうか。
そしてジルはというと、暇をもて余す優雅な奥様ライフを送っている様子。どちらかというと社畜体質のジルには辛そうです。
仕事(前巻からの後始末ですね)が多忙なライア様と短期学生として大学に通い始めたジルは互いを想うが故にすれ違ってしまいます。
そこに港の工事反対運動とその扇動者の思惑というBL作品らし -
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但し書きが要るかも
冒頭からの『前巻の後始末』ともいうべき顛末は少し後味の悪さが残るものでしたが、この巻のメインストーリーはなんといっても『長期休暇』!その間はパーシヴァルの実家にお世話になることにしたサフィラスは、パーシヴァルと共にヴァンダーウォールへ向かい、『長期休暇』を満喫します。そしてアウローラからの風隼が届き、ワーズティターズの内乱を収めに向かうことに。無詠唱の魔法使いサフィラス、大活躍です!
冒険譚としては本当に面白いです!パーシヴァルとの連携は息が合っていてカッコいいし、アウローラとの信頼関係も素敵だし、ケット·シーたち召喚獣も活躍。何よりサフィラスの前世の思い出も良い感じで物語のアクセントになっ -
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シュールな気もするけれど。
白猫のユキが大好きなご主人様の孫である誉さんと紆余曲折の末に結ばれるという物語です。ファンタジーです。
人間の姿をしていても中身は猫なユキちゃん。ご主人様の相続問題に巻き込まれ、猫なりに色々と考えて話したことがほぼ全て誤解されてしまいます。
相続人の誉さんにしたらユキちゃんは胡散臭いことこの上ない存在なわけですが、それでも徐々に健気なユキちゃんに絆されていき、最終的にはユキちゃんの全てを受け入れてくれます。
なのですが。
冷静になると恋人が猫(化け猫)というのはかなりシュール。
外ではもふり放題&撫で放題のリアル猫!家では家事もしてくれる健気美青年!そして夜はコスプレじゃないケモ耳しっ -
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あったかホームドラマ
これまでに読んだオメガバースがヒートとかのエロ特化みたいなものが多かったので、人種差別というか身分差別みたいな側面が強い世界観が新鮮でした。
ひかりんがとにかく可愛くて、あったかホームドラマな物語は好感が持てます。...が、これってオメガバースではなく女性主人公の物語でも成立しそう。
そういう意味では少し物足りなさを感じました。 -
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卒業式が見たかった
面白いんですよ!面白いんですけども‼️
ちょっと飛ばしすぎな気がするんですけど!
ヨネちゃんのオーディションのエピソードのあと、高校生だったアサちゃんがいきなり成人していてびっくりしましたよ。せめて卒業式のエピソードくらいあっても良かったんじゃないでしょうか?
何はともあれ。
それぞれの道を歩きだしたアサちゃん、ヨネちゃん、ミヤコちゃん。何かあるとアサちゃんを頼るのは相変わらずなようで...。
ところで1968年の正ちゃんはどうしているの?オリンピックどころじゃなくなってそうで心配です。
今となっては『古き良き時代』な感じの昭和。
その昭和の雰囲気を楽しめるのもこの作品の魅力のひとつかと -
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歳の差コンビ(CP?)の事件簿
40歳刑事と18歳女子高生という、赤川次郎の幽霊シリーズを思わせる歳の差コンビ(CP?)の謎解きミステリー。事件の謎を解くためには鶫ちゃんの絵を読み解かなくてはならないという2重の謎解きミステリーになっております。
何しろヒロイン鶫ちゃんは一切口をききません。会話の全てを筆談と絵で行うという、可愛らしいけどクセ強ヒロイン。この作品最大の『謎』は鶫ちゃんではないでしょうか?
ミステリー作品としても面白いですが、クセ強女子高生に翻弄される生真面目な中年刑事の図がなかなか良かったです。お薦めです! -
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ほのぼの後日談
本編のクライマックスシーンを別の視点から見た物語と後日談で構成された短編集です。
本編の内容を補ってくれているので物語がより深く楽しめます。そして『お医者様でも草津の湯でも治せない病』に罹患中の王様がとっても可愛いです。
ほのぼのしたエピソードばかりなので安心して読めます。 -
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1点だけが地雷だったようで。
不憫受け、健気受け大好きです。この物語も大筋では好みの物語ではあったのですが...。
どうにも耐えがたかったのがイリリア の母親の末路。残酷すぎ。極限状態だったことを表現するにしても、これはちょっと...。
そしてそれをさらっと受け流してあっけらかんと語れるイリリアが理解不能です。鳥の死をあれほど悔やみ嘆く優しい少年なはずなのに、とても不自然に思えます。
物語全体のほんの数行ですが、私にとってはこれがかなりの『地雷』だった模様。お陰でこれ以降は物語を楽しみきれませんでした。
この数行が無ければ好みの物語だったのに。残念。 -
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癒し効果抜群
寒い日のホットココアみたいな物語でした。
どん底気分で道に迷っていた苑くんが猫に導かれてたどり着いた怪しげな食堂兼下宿屋さん。
冒頭の青洲さんとおじいさんズの登場シーンがとにかく怪しすぎて思わず先の展開に不安を覚えてしまいましたが、読んでみたらものすごく素敵な人情物語になっていました。
もちろんBLなのでメインは青洲さんと苑くんの優しくも不器用な恋物語なのですが、サブキャラの皆様方も温かくて優しくて素敵な人たちでした。辛い時にこんな風に寄り添ってもらえたら嬉しいだろうなと思います。
フィクションなのは分かっていても、キジえもんの案内で『まぼろし食堂』に行ってみたいな...なんて思っちゃいます。 -
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珠玉の医療ドラマ
世の中に数多ある医療をテーマにした物語の中では地味な作品かもしれません。この作品には失敗しない美人女医もゴッドハンドのスーパードクターも登場しませんし、緊迫感のある手術シーンもありません。
主人公は研修医どころかそのずっと手前の医学生。しかも血を見るのが苦手という医療を志すには致命的とも言える欠点があります。そんな志は高く座学は優秀なのに血を見ると失神してしまうヘタレ医学生の戸島くんが、膠原病内科医の漆原先生の『助手』もとい『パシリ』としてこき使われつつ、人としてそして医師の卵として成長していく物語になっています。
厳しい現実を突き付けられることもあり、一読者である自分も戸島くんと一緒に考え、 -
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前向きで温かい物語
物語の背景にあるものはとても重いのですが、シリアス一辺倒ではなくどこかコメディタッチで笑えるシーンも多い作品です。
何よりも一見チャラ男だけど思いやり深く包容力がある梅谷くんとクールビューティーだけどどこかずれた鷲園くんのCPがとにかく面白可愛いです!
周囲には『潔癖症』と思われている鷲園くんですが、実は『逆潔癖症』な感じの強迫性障害。梅谷くんとの出会いから少しずつその原因に向き合おうと前を向いていく様子には心を打たれます。
心の病という重いテーマを扱いつつも、前向きで温かい物語になっています。
かなりの名作だと思います。 -
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予想外のボリュームとリアルさ
諸物価高騰の折、電子書籍も例外ではありませんが、過去の作品は当時の価格なのかお安めです。何となくお得感がありますが、安価であれば物語が短くて残念に思うことが多いのも事実。この作品もそうかな...と思ったのですが、読んでみたらなかなかのボリューム。
タイトル通りゲイ向けAVのモデルたちの物語です。当然のようにエロシーン(演技)があり、刺激は強めです。ただエロいだけのBLかと思わせておいて、実は登場人物の抱える背景や心理描写も丁寧に表現されていて読み応えもある良作です。
借金があるから、学歴がないから、好奇心から...とAVモデルたちの事情は様々。主人公の父親(ダメ親父)が自分の行いを棚に上げてゲ -
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フォンダンショコラ
大侵攻の後、旅の続きに戻ったリゼルたちの物語。ジルとイレヴンに1週間の『読書禁止』を言い渡されてしょんぼりするリゼル。私も『本読み』なのでしょんぼりしちゃう気持ちは良く分かります。
ですが、それも理由があってのこと。決して長い付き合いではないはずなのにリゼルのことを良く理解しているジルならではの策。
すごく良い関係だなぁと思います。
原作既読ですが、原作小説の様々なシーンを絵で見られるのはまた格別。イレヴン御用達のチョコレート店の様子とか、フォンダンショコラとか。自分の想像力を凌駕する素敵なお店になっていました。さすがです!
そして何よりも...目隠れの精鋭さんがリゼルに向けて『✕』を出してい -
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できればもう一捻り
国王の死から2年。いよいよアーサーたちの反撃の時がやって来ます。
リシャールが長い年月をかけて準備してきたことが実を結び、そしてリシャール自身は悲劇的な結末を迎えることを覚悟して、最期の舞台を整えてその時を待ちます。そこでリシャールとの未来を掴みとるためにアーサーがある行動をするのですが、この最後の展開があまりにも予想通りでした。
『本読み』としてはクライマックスでもう一捻りして唸らせて欲しかったですが、アフターストーリーのアーサーとリシャールが楽しげだったのでこの結末で良かったのかなと思います。
満足度の高い作品でした。 -
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苦味<読み応え
なんてドラマチックな作品!ページをめくる手が止まりませんでした。長い物語ですが、上下巻一気読みです。
大国の王太子アーサーと同盟国からの人質リシャール。いずれそれぞれの国の王となり支えあう関係になるのだと思っていたのに、リシャールには苛酷な運命が待っていました。
リシャールが自身の全てと引き換えに何を成し遂げようとしているのかは上巻のうちに察しがつきましたが、その手段を選ばない姿があまりにも切なくて涙が出ます。
BLとしては苦味が強い作品なので好みが別れそうですが、非常に良く練られた物語になっています。読み応えはなかなかのものですよ!