越前敏弥のレビュー一覧
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『幽体離脱』っていう現象があるというのを信じるか信じないか。
昔、丹波哲郎が、幽体離脱というのを経験した話を聴いたことがあった。
かなりうろ覚えだが、それを思い出す内容だった。
幼きころの話だったし、今じゃ別に想像でしかないでしょうが当時からすれば「物珍しさ」ではあったと思う。
キャサリンが論文を書いた内容と、アメリカCIAが組んでいたプロジェクトと着地するのかという衝撃。
天を全うすることは自身の肉体からの解放であり、それ以上もそれ以下でもないこと。
死んだ後は誰も分からない。だからこそ知る必要があるのだろうか?
軍事で使うとなれば冒涜であり、人間の尊厳って果たして?という疑問符だけが残ってしまった。
ラングドン教授の推理力と分析力は改めて博識の高さを伺える。改めて凄い人。
映画でしか観たことがなかったラングドン教授のシリーズでは、小説で味わう世界のほうが、より奥深いと感じた。
人間の生と死、そして潜在意識。改めて人間そのものって複雑怪奇で、まだまだ構造分析が必要な生物なのかもしれないと思いました。
面白かったです。 -
Posted by ブクログ
いわた書店の1万円選書でチョイスされた本。
600ページ近い翻訳小説ながら、文章の巧みさに引き込まれ、最後まで飽きることなく読み切れました。派手などんでん返しで驚かせる作品ではなく、ライマン、イズレル、ハチェットを中心に、それぞれが少しずつ心を通わせていく過程を丁寧に積み重ねる人間ドラマが印象に残る作品です。特に、「きっといい大人になる」「あなたはいい子だった」といった言葉は、暴力と絶望の物語だからこそ深く胸に刺さり、ライマンの成長を象徴する名場面だったと思います。
一方で、終盤の展開や真相は比較的想定通りで、ミステリーとしてはもう一段ひねりや意外性があってもよかったように感じました。特に、終盤に至るまでのサラザールの描写や、あれだけの権力を持つ黒幕が自ら手を下そうとする展開には、ややご都合主義な印象も受けました。
それでも、緊張感あふれるサスペンスと、傷ついた人々の再生を描く温かな筆致は見事。派手な謎解きよりも、人間の善意や希望を描いた物語として心に残る一冊でした。 -
Posted by ブクログ
初めての、ダン・ブラウンさん。
このシリーズは映画『ダ・ヴィンチ・コード』で知り、それから映画3部作は観たものの海外小説では初めて。
ラングドン教授シリーズは読んでみたいと思ってました。
プラハで講演に来ていたキャサリンが突如行方不明、同時にキャサリンの原稿も盗まれてしまう。
キャサリンが講演で話した内容と原稿とともに共通項があり、すべて『犯人』が求めているのではないと推測できる。
一方で別の人物も存在し、『彼』も同じものを追いかけているのか…
下巻ですべて集約されるのだろうかと気になるところ。
ラングドン教授の推理力(どちらかというとパズルのような感覚)が、キャサリンの居場所を突き止めることができるのだろうかと、ページを捲るたびに落ち着かない。
最終的に下巻で感想をまとめたいですが、プラハの美しい街や歴史も含め、世界観に飲まれそうな物語です。 -
Posted by ブクログ
エラリークイーンものの中では傑作と言われている作品のひとつですね。新ジャンルを生み出した意味でも興味深いです。
ニューヨーク中を恐怖に陥れた連続絞殺魔〈猫〉事件。5人の犠牲者が出ているが、手がかりも目撃者もいない。ただ死体とその首に残されたタッサーシルクの紐があるだけだった。過去の事件で一度は引退を決意したエラリーだが周囲に懇願されて犯人と対峙する。そして捜査陣に精神科医も加わり多角的に操作は進む。しかし殺人はその後も続き被害者は9人にまで及ぶ。
エラリーは作中で複数殺人のABC理論というのを持ち出します。犯人がDを殺したい時に捜査を混乱させるためにABCという3人の無関係な人を先に殺して撹乱するという理論です。これは敢えて名前を出しませんがライバル作家の有名なトリックで「九尾の猫」が発表される13年前に出版された傑作ミステリのネタですが。今回の事件もその手か?と思わせておいて、この話は当時では前例のない新しい手を考えてます。
それはサイコキラーものなのです。とはいえ当時のクイーンはフェアに拘ってますから、数少ない登場人物の中から犯人を見つけ出すわけです。連続殺人を繋ぐものは何か。本の扉にある〈登場人物〉は読書中は見ない方が良いです。犯人候補が恐ろしく縛られるので途中で犯人の見当はつくのですが、可能なのか⁈という思いはあるもののそこはエラリー・クイーンですから、細かいことは置いといて、なわけです。
被害者の弟マッケルと、別の被害者の妹セレストの2人が恋に堕ちていちゃいちゃするのも、読んでてイライラさせますが、ご愛嬌ですね。 -
Posted by ブクログ
全巻合わせての感想のためこちらの本で登録します。こちらの本は、本文に出てくるローマの教会や地図、歴史上の人物などの写真が掲載されています。700ページくらいあるので持ち歩けない(^_^;)
原作はかなり有名だし、映画『ダ・ヴィンチ・コード』は見ていたので読んでみた。『ダ・ヴィンチ・コード』の前にこちらが第一作というのでこちらから。
ダ・ヴィンチ・コードではトム・ハンクスが演じていたラングストン教授ですが、原作では「45歳で、毎朝プールで泳ぐ体は引き締まり、顔もかなり良く、ミッキーマウスの時計をする可愛らしさがあり、独身生活を楽しんでいる」という体力知力かなり見栄えのする人でした。トム・ハンクスがそうじゃないってわけじゃないけど、映画では「親しみやすいおじさんがんばる!」ってイメージでしたよね・笑
ロバート・ラングストンはハーバード大学で宗教象徴学専門と美術を教えている。ある日突然に「専門家であるあなたの助言がほしい」という電話と、死体写真のFAXが送られてくる(ひえええ〜)。送り主は、スイスにある世界最高の科学者を集めた世界最高の科学研究所「セルン」の所長のマクシミリアン・コーラーだった。
このセルンの凄さは色々書かれていて、ボストンからスイスのジュネーブまでロケットみたいな音速飛行機で一時間で着くとか、セルンだって言えばパスポート無しで入国審査免除とか、世界の首脳やバチカンにも顔が利くとか、一般の人が知っている科学技術はセルンが元になっているとか。
そして殺殺されたのはセルンの科学者で司祭でもあるレオナルド・ヴェトラで、死体の胸には焼印が押されていた。この焼印は、教会が科学者を迫害していた頃に作られた科学者の秘密結社「イルミナティ」のものだった。そしてラングストンがこの組織についての著書も出していたので、コーラー所長から連絡が来たってわけ。
しかしイルミナティは壊滅して現在は存在しない組織だ。
やがてレオナルド・ヴェトラの養女で共同研究者のヴィットリアが戻ってくる。彼女から研究の事を聞く。レオナルドとヴィッリアは、秘密裏に長年相容れなかった科学と神学をつなぐ研究を行っていた。その結果、膨大なエネルギーを持つ「反物質」生成に成功していたのだ。
しかし完全極秘でセキュリティーも万全なセルンにイルミナティ暗殺者が忍び込み、レオナルドを惨殺し、核兵器よりも甚大な被害を及ぼす反物質を盗み出したのだ。
そしてイルミナティはバチカンをターゲットにしていた。ラングトンとヴィットリアは、バチカンに飛ぶ。
バチカンでは前教皇が15日前に帰天(きてん。要するに逝去した)したばかりで、今日から教皇選挙が行われる予定だった。だが有力候補である四人の枢機卿が万全のバチカンから姿を消した。そしてイルミナティから「教会は科学者を弾圧してきた。その復讐として、1時間に一人ずつ、拉致した四人の枢機卿を殺していく。そして最後には反物質によりバチカンが消滅させる」という犯行声明が届く。
ラングストンは過去の文献から、イルミナティの隠された教会を読み解こうとする。それは誘拐された枢機卿たちを助け、核爆弾以上の破壊力を持つ反物質によるバチカン崩壊を防ぐことでもあった。
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私はイタリア建築にも芸術家や科学者にも詳しくないのですが、小説ではかなり細く実際の建築や美術に基づいた歴史の謎を解いているので、詳しい人にはかなりびっくり楽しめるかもしれない。カトリック教会なのにピラミッドのような柱ある「サンタ・マリア・デル・ポポロ教会(キージ礼拝堂)」なんて「本当にあるの!?」なんて思いました。(検索して写真見た)(※こちらの「ヴィジュアル版」には写真も掲載されている。)
トリビアとして、暗殺者たちのことを麻薬ハッシッシを愛好するものとして「ハサシン(アサシン)」という名前になったとか、神に逆らうものという意味で「サタン」と呼ばれたってことなど「そうだったのか!」なこともありました。
物語はピンチピンチピンチピンチの連続でまさに息をつく間もない。ラングドンとヴィットリアは4時間の間に古文書から四つの教会を探し当てて四人の枢機卿を助けて反物質を見つけて解除しなければいけないので、ピンチピンチピンチなのはそりゃそうだなんですけどね。そして一介の教授であるラングストンと、一介の科学者であるヴィットリアがほぼ二人だけで事件解決に奔走することになる理由も「セルンにも、バチカンにも、イルミナティの工作員が入り込んでいるかもしれなくて、誰かに次の目的地を話すことができない」というのも説得力はあります。
しかしラングストン不死身にも程がある(^_^;) 明け方から深夜まで不眠不休(スコーン一切れしか食べていない?)で、走って登って降りて飛んで潜って襲われて窒息しかけて怪我もして、プロの暗殺者とやり合うんだから読みながら「そんな!」と声が出ましたよ・笑 最後のヘリコプター場面は「主人公だから」以外に理由があるのか・笑
真相は…、納得の部分と、案外スケールが小さくてがっかりなところと。終わった後に何人か名誉回復が為されていない人がいるのが気になる…ちょっと気に入った人もいたので。
小説としては、科学と宗教は並び立つのか?人を助けるために嘘をついたり隠す必要性、などデリケートな問題を問い続け、力を示すために暴力行為を行ったり自分の主張のために身勝手で残酷な行為に及んできた歴史も述べる。下巻の最初に行われた「夕日は元素記号で表せるが、しかし夕日を見て神の存在を感じるのが人間の心。しかし力を証明する手段に暴力が行われてはならない。」という呼びかけには感銘を受けた。(結果は残念なことになったけれど。
しかし小説とはいえ、実在の人物を「イルミナティの会員」と書いていたりしてるし、バチカン市国の歴史的貴重品に甚大な被害が出るし、バチカンの秘匿が全世界生中継されたりして「書いて大丈夫なのか!?」という心配もありました(^_^;)
そして本書の楽しみは、ローマ教会や美術を駆け足で巡るぞツアーみたいなところもありますね。私は美術や宗教は通り一遍しかわかっていないので、このスピード感でローマ中駆け回られながら解説されると、「ローマ弾丸ツアー」二参加した気分でもあります・笑
本書は続きが気になって気になって読み勧めていったしシリーズの続きも読みたいんだけど、残酷行為が多いのはやっぱちつらいし、ちょいと記載が長すぎるよ!ってところもあった(その登場人物を表すために必要ではあるんだけど)んだよなあ。。