福田恆存のレビュー一覧
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名作とは知っていたが、実際に読んでみて確かに面白い一冊だった。最初は「そんな復讐なんてしても何も生まれないし、狂ったフリをしてまで色んな人を傷つけるなんて……」と、物語の結末が不安だった。しかし読み進めるうちに、ハムレットがしっかりレイアーティーズを敬い、父を殺したクローディアスも巻き込んで終わることができたので、比較的良い終わり方だったのではないかと思う。
人は死を恐れる生き物でありつつ、この世の理を受け入れるのも苦難で、いっそのこと死ぬべきかもしれない。けれど、死後の世界も不透明だから、結局はこの世の理を受け入れて生きるしかない。死ぬ瞬間、何を思って死ぬべきなのか。死んだら貴族も平民も皆 -
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「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。」
〈あらすじ〉
デンマークの王子ハムレットは、2ヶ月前に亡くなった父親の死が叔父のクローディウスによる殺害だと知る。父の亡霊に諭され敵討ちをすることを決意したハムレットは、周囲に油断させるため気が狂ったフリをして作戦実行を試みる。
〈父親ちょっと影薄い〉
この作品は父親が亡くなり喪にふくすハムレットの様子から始まる。観客からすると既に亡くなっている父親の敵を息子が討つ、という形で物語が進んでいくので、出だしはやや置いて行かれている感じが否めない。前半に少しでも生前の父親とハムレットの関係性が分かるような場面があれば、観客もよりハムレットに同情 -
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「人は泣きながら生まれる。このあほうどもの舞台に引き出されたのが悲しくてな」
〈あらすじ〉
ブリテンを治めるリア王は引退を控え、3人の娘に「父である自分を最も愛している者に領土、権力を分け与えること」を宣言する。長女ゴネリルと次女リーガンが美辞麗句を並べる中、末娘のコーデリアは「何も」と答える。怒り狂った王はコーデリアを追放し上の娘2人に財産を与えるも、その後2人に手のひらを返され酷い扱いを受け、自分の過ちに気づく。
〈不器用な末娘〉
父の要求に対し「自分の本心」よりも「相手の求めている言葉」を並べることができる長女や次女と比べ 、1番若いコーデリアが「何も。」と答えるのは、一見すると思 -
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ネタバレ大きく4つの段階で物語が展開していく。
最初は老人と少年の会話から始まる。老人は漁師だが、84日間も魚が釣れず、周囲の漁師からは「運に見放された」と嘲られている。そんな中でも少年だけは変わらず老人を慕い、その温かさが物語の基調となっている。
次に、老人が海へ漕ぎ出し、これまでに見たこともないほど巨大なカジキとの闘いが描かれる。この場面は老人の「独り言」を中心に進む。魚や自分自身に語りかけ、少年がここにいてくれたらと弱音を漏らしつつも、自らを奮い立たせる。孤独とどう向き合うかが印象づけられる。
やがて老人はついに魚を仕留める。すでに漁に出てから3日も経ち、老人は極度に疲れ切っている。魚を船 -
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周囲を虜にし、また危惧させるほど魔性の美貌を誇る王女サロメの、預言者ヨカナーンへの執着たるや! どれほど本人から拒まれようと恋慕し、己が手中に入れんとする様が恐ろしい。狂気ここに極まれり。
なぜエロド王はサロメのことをずっと視ていたのか?
ヨカナーンが非難していたのは本当にエロディアス妃だったのか、そもそも彼女は本当に罪深かったのか?
そもそもヨカナーンは真に預言者であったのか?
……戯曲としてはかなり短い内容。聖書から材を得ているらしいが、分からないことだらけ。とは言え狂おしく禍々しいくらいの耽美の世界には圧倒された。収録されているAubrey Beardsleyの不可解で官能的な挿絵18 -
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★4。
「メタルマクベス」と「蜘蛛巣城」のおかげで筋は知ってたけど、改めて戯曲読むと新鮮に面白かったなー。後半の、マクダフ夫人と子の場面、マクダフとマルコムの場面とかは面白そうなので映像で見るの楽しみ。
レディマクベスの死にさらっとしか触れられてなかったのが意外だった。でもこれだけさらっとだと膨らませる余地あるから、かえって色んなバージョンが作りやすいのかなーとも思うね。
新潮文庫版を読んだのだけど、中村保男さんの解説が興味深かったな。その前の福田つねなりさんのもそうだけど、ハムレットとの対比について書かれててなるほどーだった。テナントさんファンは脳裏に思い描きながら読めるからこれわかりやすく -
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翻訳者の福田恆存が書いたあとがき「シェイクスピア劇の演出」が印象に残った。
この中で、役者は、演じるキャラクターの心理を掘り下げて演技すべきではない、と述べている。演劇は劇場的効果が重要で、役者は観客の望むものを提供することに徹すべきだ、と述べている。すなわち、台本に書かれているハムレットの台詞を観客に効果的に届ける媒介者、と私は理解した。
私が映画や演劇に興味を持った時(若い時)、影響を受けたのはスタニスラフスキーの演技論だった。彼は徹底的にリアリティを求めて、観客が退屈しようと役者はリアルに佇むだけ、、、な感じだった。これがモスクワ芸術座であり、アメリカに渡り、リー・ストラスバーグのメソッ -
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❇️日本の近代化とは
富国強兵
1. 強兵➡️日清、日露で勝ち大東亜で破れた、、、戦闘力だけでは勝てない時代、経済、情報等の総合力が必要
2. 富国➡️吉田、池田、角栄まで勝ったが中曽根以降に失速、失われた30年
❇️1990年の 歴史の終わり
日本は富国強兵に代わる 目標を発見出来ていない
★恥の文化
日本とヨーロッパはよくにている➡️ 騎士道と武士道、決闘と切腹、マフィアとヤクザ
❇️処世術
1. 先ず、我が身のエゴイズムを知れ、自分可愛さ
2. ゴマは上手く擦れ、自分一人だけでなく、回りの環境全体の快適さをも考慮せよ
3. リアリズム➡️➡️
道徳、倫理、正義を言い出すとキリ