福田恆存のレビュー一覧

  • ドリアン・グレイの肖像

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    ネタバレ

    不思議な後味の残る小説だ。
    過度に花に彩られた冒頭、これは美しいドリアンを導く演出だろう。ヘンリーの逆説もくどいほどに過剰。
    ドリアンは終始利己的で、せっかく危機を乗り切ったのに自ら最期を招いてしまう。
    結局何を描いたものなのか、よくわからなかった。

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    2024年11月28日
  • オセロー

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    重臣を信じるあまり、妻を信用しなくなることから起こった悲劇の連続。1人の男以外誰にも相談せず決めつけてしまった。色々な人から話を聞くべきだった。

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    2024年11月21日
  • サロメ

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    ネタバレ

     ヨカナーンの声
    「その日、日は黒布のごとく翳り、月は血のごとく染り、空の星は無花果の実の、いまだ熟れざるざるに枝により落つるがごとく地におちかかり、地上の王たちはそのさまを見て恐れをののくであらう」

    『私にヨカナーンの首をくださいまし』

    なんともおぞましいセリフではあるが、このあとサロメはヨカナーンに口づけをする
    ピアズレーの挿絵もなんとも素敵でぞわぞわする
    預言者の予言の表現といい、サロメと言う作品が
    長く伝わるのは、サロメの恋の激しさが、狂気が
    わかるからだろうか

    こ、こわい

    『ああ!あたしはとうとうお前の口に口づけしたよ、ヨカナーン、お前の口に口づけしたよ。お前の唇はにがい味が

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    2024年10月27日
  • サロメ

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    ヨカナーン

    大学生の時に買って、やっと読んだ
    すごく舞台的な作品だった

    真っ黒真っ白真っ赤、金に銀
    色のコントラストがいっぱい出てきてビビッドな世界が広がっていた

    みんなヤバびと

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    2024年10月27日
  • マクベス

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    ネタバレ

    魔女の予言と夫人の教唆によりダンカン王を暗殺し、王座を手に入れたマクベス。
    そんなマクベスを襲ったのは底知れぬ不安と疑心暗鬼だった。
    そして、この不安感が罪の連鎖を引き起こす。

    福田 恆存さんの解説で「要するに、「マクベス」劇の主題は不安にある」と述べられている様に、主人公マクベスの言動や情緒から"不安"というものを強く感じました。
    権力に躍らされ、我を忘れるマクベスですが、後悔や罪悪感にとらわれ狂っていく様は悲劇そのものでした。

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    2024年10月22日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    美貌の青年ドリアン・グレイがとある人物との出会いを境に、人生が狂って行く…。

    悍ましくも美しく芸術的な物語で、醜悪さと耽美さを併せ持つゴシックホラー小説。
    非常に古い作品ではあるが、古臭さは無く、終始耽美的な世界観に魅了された。

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    2024年10月06日
  • マクベス

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    ネタバレ

    分かりやすくて面白かった。一つ一つの台詞が個人的に好きだった。100ページほどでここまで楽しめるのは良い作品。他の作品も読んでみたい

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    2024年09月19日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ドリアンの悪行はベールに包まれているがギラギラと輝いて暗い中で光る宝石のような美しさを感じさせる。肖像画はドリアンの良心で、醜くなった分だけ彼が傷ついていたのだと感じた。それにしてもヘンリー卿は無責任すぎませんか。

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    2024年05月10日
  • マクベス

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    『マクベス』はシェイクスピアが1606年頃に完成させた戯曲です。実在したスコットランド王や将軍を登場させた作品で、王であるダンカンに重用されていた野望に取り憑かれた将軍マクベスが主人公。
    マクベスが王を暗殺し自ら王に即位してからマグダフ、子息マルコムに討たれるまでを描いた作品でシェイクスピアの4大悲劇のなかの最後に書かれた作品。
    4大悲劇の中では一番短い作品たが、当時のスコットランド王ジェームズ一世(話し中の忠臣バンクオーの子孫)への宮中観覧用作品としたので短いと言うのが定説。劇中にもジェームズ国王に媚びたセリフが多いのが特徴と言われる。
    ダンカン王を暗殺し王についたマクベスが劇中ではすぐ遺児

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    2024年03月20日
  • ジュリアス・シーザー

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    ネタバレ

     イギリスの教科書で採用されるほど有名な悲劇作品。ローマ皇帝ジュリアス・シーザー(カエサル)を主人公とした作品で、多数の登場人物が現れる。物語は一貫して政治闘争が繰り広げられており、ゆえに多くの人物が死んでいくが、本作は四大悲劇とは性質が異なった悲劇作品である。解題で言及されているが、本作『ジュリアス・シーザー』は、上記四作品のような息抜きや笑いの場面が一切ない。その代わり、物語が終始生真面目で緊張感が続いてる。また中村保男による解説も秀逸。主人公とその敵であるブルータスいずれかの立場の視点から本作を読んでいくと、見方が180度変わる。ブルータスの悲劇的な描写は、理想主義の敗北を象徴しているら

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    2024年03月02日
  • 夏の夜の夢・あらし

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     幻想喜劇の『真夏の夜の夢』とシェイクスピア最後の作品『あらし』の二作品を収録。両作品ともに女性キャラが、近年の漫画、アニメにありそうな特徴を持っており、現代の作品(ジャンルとしてはファンタジー、ラブコメに近い)を読むように両作品を楽しめる。また『あらし』の解題で、本作品には元ネタと思われるものがほとんどないと指摘されている。シェイクスピア作品の多くは、複数の元ネタ作品を組み合わせて、作品を作り上げたが、最後の作品は、極限までオリジナリティを出した。ここから、偉大な文学作品を編み出したシェイクスピアは、初期ではたくさんの他作品を借用して創作するが、年齢を重ねるにつれて、徐々に独自性を磨いていく

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    2024年03月02日
  • リア王

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     四大悲劇の一つで、主人公リア王とその娘たちの闘争が展開される。三人姉妹の長女ゴネリルと次女リーガンは、リア王の権力と財産を得たことで、物語は急展開する。ここから、貴族たちの血みどろの争いが繰り広げられる。物語が進むにつれて、次々と登場人物が無残に死んでいく様は、人間の業の深さをよく表している。たとえ身近な人々であったとしても、あるものを手に入れるために、自分の敵となる者を徐々に排除していくのを見ると、人間はここまで惨い存在になってしまうことがわかる。解説にあるように、本作で用いられる動詞は、苦痛を感じさせるようなものが多く、読んでいくうちに、読者側も実際にダメージを受けるような表現が散見され

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    2024年03月02日
  • ハムレット

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     四大悲劇の一つで、多くの登場人物が次々と死亡する。「To be or not to be」(生きるか死ぬべきか)という台詞が有名であるが、この部分の翻訳は、必ずしも上記の通りとは限らず、訳者によってさまざまである。

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    2024年03月02日
  • リチャード三世

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     シェイクスピア作品のなかでも死者数が最も多いと言われる悲劇作品。その主人公リチャード三世は、あらゆる文学作品のなかでも最大の悪人だと言われており、実際に本作を読んでいくと、確かにそのような見方をされても無理はない。リチャード三世の一連の行動に注目すると、リチャード三世は、自身の敵となる者に対して容赦なく潰しており、そこから、マキャベリ『君主論』の内容を実践する、いわゆるマキャベリストと見なされる。権力を巧みに行使して、相手を徹底的に潰す様子は、人間がどれほど恐ろしい存在であるかがよくわかる。とくに権力者が客観的に見て悪人である場合、人間に対してどれほどひどい仕打ちを与えるのかが本作から伝わる

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    2024年03月02日
  • オセロー

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    イアーゴーは何故オセローを恨み、すべてを賭けてオセローを陥れようとしたのか。リチャード3世のように身体的なコンプレックスから悪事に手を染めるといった経緯がイアーゴーにはない。イアーゴーによる、オセローへの「(自分の名誉を傷つけられたことに対する)怨念」、キャシオーへの「男の嫉妬」、デズデモーナへの「逆恨み」が、オセローへの復讐に向かわせた。なるほど人はそうしたことを考えるかもしれない。ただ、ここまでの大がかりな企てに走るというのは現実的ではないように思える。イアーゴーはシェイクスピアが描きたかった「人間の本質」ではなく、世間一般の悪意を表すものとしての舞台装置として考えてよいように思う。

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    2024年02月25日
  • オセロー

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    四大悲劇(ハムレット、オセロ―、リア王、マクベス)の中で、『ハムレット』に次いで2番目に作られた作品。
    シェイクスピア作品は、限られた登場人物の中に多様な人間関係・人間心理が織り込まれているものが多く、また、本作品以外の四大悲劇は、作品名となっている主人公が、その多様さ・複雑さを体現する中心人物として描かれているのだが、本作品については、ヴェニスの軍隊の指揮官であるムーア人のオセローよりも、むしろ、あらゆる関係者を騙し、死に追いやる、側近で旗手のイアーゴーの存在感が極めて大きい、珍しい作品である。
    また、本作品の特徴の一つは、言うまでもなく、オセローがムーア人である点だが、本作品の種本(チンテ

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    2024年02月19日
  • ヴェニスの商人

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     見方によっては、喜劇とも悲劇とも思える作品。また、読み方によって、資本主義(商人資本)の構造を読み取れる。シェイクスピアはおそらくユダヤ人と会ったことはないが、それでも、典型的なユダヤ人(本作のシャイロック)を巧みに書く想像力のすごさを、本書の解説で言及されている。

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    2024年02月18日
  • リチャード三世

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    悪に染まる宣言から始まる冒頭の掴みが秀逸!
    最初に独白する劣等な境遇に共感する読者は意外に多いような気もします。悪党を志す邪なキャラクターを主人公に据えた物語は史上初だったのでは?と関心する構成。
    王族に生まれながら、悪行に身をおかねばならなかった悲劇の物語とも読み取れます。王族のランカスター家、ヨーク家も元を辿れば一人の王に行き着きます。短い期間で両家から幾人もの国王が生まれ敗れていく。(薔薇戦争)
    その最終走者がリチャード三世。王族をとりまく諍いの火種をひとつひとつ消していく悪行は権力の行き所をシンプルさせていきます。
    この冒頭の独白は国王を目指す覚悟の宣言であり、その後の諸行は国王になる

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    2024年02月15日
  • サロメ

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    ネタバレ

    サロメを描いた絵画を見たことはあるが、元は戯曲。戯曲に苦手意識が有ったが、短かく読み易い。

    絶世の美女であり王女でもあるサロメを、預言者ヨカナーンは見もしない。サロメはヨカナーンの首を欲する。
    物語は最初から不吉な予感が漂っている。宴の席なのに、禍という言葉が何度も出てくる。皆が常に何かに怯えている。その中、大胆不敵なサロメがいる。何でも手に入る筈なのに、ヨカナーンは手に入らない。彼の首は手に入ったが、結局自分を見てもらえない。無理矢理手にしても本当に得られたわけではない。
    本書はビアズレーの挿絵18点も収録されていたのが嬉しい。
    ただ、自分に宗教知識がないのが残念である。

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    2023年11月29日
  • リチャード三世

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    さすがシェイクスピア。翻訳にも関わらず文章が美しい。人間同士の闘いのシーンを描ききったのは秀逸。物語として舞台になることがよくわかった。リチャード三世のキャラクター性に心惹かれた。

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    2023年10月21日