福田恆存のレビュー一覧
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悪に染まる宣言から始まる冒頭の掴みが秀逸!
最初に独白する劣等な境遇に共感する読者は意外に多いような気もします。悪党を志す邪なキャラクターを主人公に据えた物語は史上初だったのでは?と関心する構成。
王族に生まれながら、悪行に身をおかねばならなかった悲劇の物語とも読み取れます。王族のランカスター家、ヨーク家も元を辿れば一人の王に行き着きます。短い期間で両家から幾人もの国王が生まれ敗れていく。(薔薇戦争)
その最終走者がリチャード三世。王族をとりまく諍いの火種をひとつひとつ消していく悪行は権力の行き所をシンプルさせていきます。
この冒頭の独白は国王を目指す覚悟の宣言であり、その後の諸行は国王になるためのプロセスだと捉えると更に面白く感じられると思います。
この戯曲のテーマはテューダー朝が起こる英雄譚の裏にあるBサイド(Badサイド?、Blackサイド?)を描く!にあったと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレサロメを描いた絵画を見たことはあるが、元は戯曲。戯曲に苦手意識が有ったが、短かく読み易い。
絶世の美女であり王女でもあるサロメを、預言者ヨカナーンは見もしない。サロメはヨカナーンの首を欲する。
物語は最初から不吉な予感が漂っている。宴の席なのに、禍という言葉が何度も出てくる。皆が常に何かに怯えている。その中、大胆不敵なサロメがいる。何でも手に入る筈なのに、ヨカナーンは手に入らない。彼の首は手に入ったが、結局自分を見てもらえない。無理矢理手にしても本当に得られたわけではない。
本書はビアズレーの挿絵18点も収録されていたのが嬉しい。
ただ、自分に宗教知識がないのが残念である。 -
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ネタバレいがみ合う両家のすれ違いで起こった悲劇の恋愛を描いた言わずと知れたシェイクスピアの代表作。
演劇の脚本なので、読む前は地の文で描かれるはずの描写を想像して補わなければいけないところもあるんじゃないかと危惧していたがそんなことはなく、とても楽しく読めた。
ロミオはジュリエットに対し一目惚れをして神父に浮気を窘められるような惚れっぽい描写がしっかりなされていたが、ジュリエットはロミオにキスされた時にはお洒落な言い回しなだけかもしれないが婉曲的な表現で返事をしていたのに実は恋に落ちていたという展開で、そこは納得できなかった。また、最後の薬や手紙がどうもご都合主義に感じられてしまった。けれど、解説によるとこの物語には原作や元になった話が存在するようで、それを踏まえた理由があるのかもしれない。
他の文学でもシェイクスピアの作品からの引用があることが度々あり不思議に思っていたが、実際に読んでみると、ウィットに富んだ思わず口にしたくなる台詞が多々あり、腑に落ちた。 -
Posted by ブクログ
唯美主義に浸りたいだけの気持ちで読むには人生動かされすぎる問題作でした((汗
ここから得るものはかなり大きいので、人生で読んでおいた方がいい作品だと思うのですが、あらすじとか教養として知っていただけの大雑把な内容などから受けるイメージは軽すぎたかもしれません。
実際に読んでみたら無秩序が予想の遥か上をいっていて、とにかく怖い怖い!
怖がらせるためのホラー小説よりもずっと怖いです……。
凄く重く心にのしかかるものがあり、考えようによっては財産にもなり得ると思うので、読んでよかったというのは素直な感想ですが、ただ私は実際に読破する前の、大まかな知識だけの時の方がこの作品が好きでした。
全て含めて最終的に星4です。 -
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名作なだけはある。
読んで良かった。
引き込まれる文章によって、読み進める手が止まらなかった。単なる小説と違って、演劇感が伝わってきてセリフの迫力が凄い!!
かの有名なロミオとジュリエットがバルコニーで逢瀬するシーンや、月の光に照らされてお互いに求め合い、永遠の愛を誓うシーンはとてもロマンチックだった。何よりも、表現が豊かで重厚で味わい深い。
最後の落ちのストーリーは唐突だったので、ええええ?と驚いた。。。そいえば、ロミオとジュリエットの現代版•ウエストサイドストーリーもそんな感じだったな。詳細は違うけれども。描き方違ってどちらか見てても楽しめます。 -
Posted by ブクログ
シェイクスピア読み直し企画第二弾は『リア王』を。
最初はじいさんまじやめてくれ…と姉姉妹たちにも同情的に読んでいたのですが、最後まで読むと、結局正義とは何か、正義は最後に勝ったといえないかもしれない…と、いい意味でもやもやするストーリーだったなと思いました。
狂気と見えて狂気でなく、正気と見えて正気でなく、ただ本当に正気な時も狂気な時もあって、いやなんか本当にニヒリズム文学だなと思って終わりました。真っ黒な虚無が口を開けて我々を待っている、リア王。。。
正気なことが正義に繋がるわけではない、正しいことが正しいこととして認められるわけではない。自己を見つめることは必ずしもいいことではない、、と全てが否定形で語られるストーリーでした。
これは深い虚無なんだけど、みんな感激して落ち込まないのですか?笑
トラジディーの、ある種のカタルシスはないんだもの。
Act5 Scene II
エドガー: 人間、忍耐が肝腎、己れの都合でこの世を去る訳には行かない、こいつは出て来た時と同じ理窟さ、万事、木の実の熟して落ちるが如し。さ、行こう。 -
Posted by ブクログ
言わずと知れたワイルドの戯曲ですね。ビアズリーの挿絵選びのセンスが好きなので、岩波文庫での読書を提案します。訳は言わずもがな、ワイルドらしい詩的な装飾の施された文体がやはり素晴らしいですね。
ワイルドしかりビアズリーしかり、彼らが日本人に与えた影響は図りしれないでしょう。三島由紀夫が初めて自分で買った本はワイルドだと言いますし、水島爾保布などの描く絵はビアズリーチックで魅力的です。話は逸れるようですが、サロメを読むと、中公文庫の谷崎潤一郎『人魚の嘆き 魔術師』も一緒に読みたくなります。短くてすぐに読み終わるのに、電撃的な恍惚感に浸れるので最高です。まるでヨカナーンに一目惚れしてしまったサロメのよう…