福田恆存のレビュー一覧

  • 夏の夜の夢・あらし

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    再読。『夏の夜の夢』最も好きな喜劇。ヘレナがんばれと思いながらみていたが、ハーミア罵倒のシーンはやはり楽しい。作中劇を演じるボトムら職人たちが、明るく善良で下品さ粗暴さがないのところも好き。いたずらもののパックも好感が持てる。
    『あらし』2012ロンドンオリンピックの開幕式がキャリバンの台詞で始まったことに気が付いたことが少し自慢。続いた各国の入場式を見て ”これ程美しいとは思わなかった、人間というものが! ああ素晴らしい”というというミランダの台詞を思いだした。大調和の世界を感じさせるこの作品も大好きな作品。

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    2021年02月28日
  • 夏の夜の夢・あらし

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    夏の夜の夢・あらし
    (和書)2009年03月11日 15:55
    1971 新潮社 シェイクスピア, 福田 恒存


    超自然世界と人間の諸関係が現実原則・快感原則の価値転倒を招きそれによって起こる喜劇・悲劇が面白かった。

    諸関係を周到に批判出来ているから可能な作品でとても秀逸でした。

    「夏の夜の夢」も良かったが「あらし」が非常に気に入りました。

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    2020年09月25日
  • リア王

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    リア王
    (和書)2009年02月26日 20:17
    1967 新潮社 シェイクスピア, 福田 恒存


    舞台背景が目に浮かぶようで野原や荒野を彷徨うリア王がその中で美しく浮かび上がっていくようです。

    コーディーリアとゴネリル・リーガンとの差異が人間の諸関係を司る現実原則・快感原則そしてコーディーリアの意志がその諸関係をコペルニクス的転回の中に見いだすことができるように感じました。

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    2020年09月25日
  • 夏の夜の夢・あらし

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    夢のように軽やかで神秘的な「夏の夜の夢」。生命力溢れる森の美しさ、個性豊かな妖精たち。夢ならば覚めて欲しくないと願う美しい宝物のような物語。
    「あらし」は同じ幻想的でハッピーエンドの物語ではあるが、どこか人間の欲深さや罪深さが影を落としているように感じられた。全てを支配する絶対的な魔術師プロスペローが最後、己が力を自らの意思で手放したという事実がどこか作者自身の決意を感じさせる。

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    2020年09月20日
  • ヴェニスの商人

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    ユダヤ人というのがどう見られていたのか、キリスト教徒との関係など、いろいろその時代の、そして今につながる宗教や民族の位置づけなどもヒントがあると思う。
    シェイクスピアを読んだのは、オセロー、ハムレットに続いて3作目だが、一番気楽に娯楽として読めた。
    裁判の様子など、頓智合戦で愉快。一方、法律をもって社会秩序を守ろうという市民の意識の高さがうかがい知れる。先人たちが築き上げてきた社会を、今の世界や日本は壊そうとしているのではないか。嘘をホントと言って押し通す。今の権力者の横暴さをシェイクスピアから感じる。これがこの本の読後感である。また再読したい。

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    2020年09月05日
  • サロメ

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    こういった登場人物一人ひとりが独自のベクトルを持っていて、象徴的な描写に富んでいるもの。いかにも戯曲的・構造的で好き。セクシー。ビアズリーの挿絵もエロティックで良い。
    「とある出来事をきっかけに主人公の内面が変化する~」みたいな、信念の軽薄なものは好きじゃないからとても満足。悪役は悪役のままで悪党の美学を貫いて欲しい。

    余談。聞いた話によると、イスラム圏では、"S・L・M"の並びの音は「平穏・安寧」を意味しているよう。イスラム然り、ソロモン然り、スレイマン然り。

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    2020年04月11日
  • 黙示録論 ──現代人は愛しうるか

    般若心経に匹敵する解題!

    ロレンスの本文読む必要特に無し。恆存氏の解題を熟読吟味するだけでよし。この後書きは彼の終生にわたる主張のエッセンスである。あと、コリンウィルソン、「アウトサイダー」の後書きと彼の著作「人間この劇的なるもの」「芸術とは何か」を参考書として読めば、少なくとも(ロレンスの)ではなく、恆存氏の思考を辿ること容易になる。彼の主張自体はそんなに難しいものではない。ただ一種独特な文体、レトリックを駆使するから複雑に感じるだけ。この黙示録論は般若心経に匹敵する位、簡明且つ深淵な文章であると私は高く評価する。

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    2020年02月28日
  • サロメ

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    オスカー・ワイルド作『サロメ』は、預言者ヨハネの斬首のエピソードを下敷きにした戯曲である。新約聖書マタイ伝に記された「聖者の生首を所望する姫」という猟奇的な逸話は、モローやシュトゥック、カラヴァッジオなど多くの芸術家に取り上げられてきた。その中でもワイルドの戯曲は、創作としてのサロメの決定版といった趣きがある。ビアズレーの挿絵と共に、世紀末芸術の代表的作品といっていい。

    この戯曲の中では、サロメは処女でありながら、文学史上稀に見る淫婦として描かれている。ヨカナーンの首を前にして陶然と愛を語るサロメの姿は凄まじいというよりほかなく、さらにその唇に接吻するとあっては、冒瀆だとして作者の本国イギリ

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    2022年09月06日
  • リア王

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    シェイクスピアから一冊入れたいと思って、なんとなくリア王になりました。
    信じるべき人を信じられず、口先だけの相手にたぶらかされるリア王が、人間くさくておもしろい。

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    2019年07月07日
  • サロメ

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    元祖School Days、というわけじゃないですが、パートナーの首を切って所有するというのは、時代を超えた愛の表現なのでしょうか。
    首を愛するとういうのは、相手の身体性と同期するような快感がありますね。

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    2019年07月07日
  • リア王

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    四大悲劇中最高傑作かな。

    "運の女神に見放され、この世の最低の境涯に身を置けば、常に、在るのは希望だけ、不安の種は何も無い。人生の悲哀は天辺からの転落にある、どん底を極めれば笑いに還るほかは無い。"

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    2019年04月19日
  • リア王

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    因果応報と理不尽とが入り乱れるまごうことなき悲劇。
    多層的な過失・悪意の連鎖がやがてカタストロフィに達する過程で、どこに共感しどこに憤懣を抱くか、恐らく人によって異なるのだろう。
    同時代の常識で眺めたらどう感じるのだろうか。

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    2019年01月12日
  • オセロー

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    初めてシェイクスピアを読んだ。戯曲のリズム感や言葉遣いに最初は戸惑い、なかなか読み進まなかったが、馴れると問題なし。面白かった!
    高い地位に立つと、様々な思惑を持った人が近づいてくるし、敵も多くなろう。どんなに高潔で武勇があるオセローといえども、イアーゴーの罠にあっさりとかかる。リーダーとは、周りの意見を取り入れ組織を動かしていかなければいけないが、その意見が正しいのか、別の見方があるのかを冷静に判断していかなければならないということだろう。

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    2018年10月31日
  • リア王

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    リア王は悲劇の主人公だ。娘であるリーガン・ゴネリルからは信用されず、一番素直なコーディーリアを可愛がらなかった。だから側近も亡くなっていく。やはり人は信用しないと人からは信用されないと思う。人間不信、どん底を極めれば笑いに変えられる、等人としてどうすべきかが良くわかった。信用が第一なのだと思う。

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    2018年10月06日
  • サロメ

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    最初はビアズリーの挿絵付きの英語版を手に入れましたが、当時は英語が苦手で読めなかったため、戯曲の内容はこちらの日本語訳で読みました。
    神もご照覧あれ!あの有名な洗礼者ヨハネのエピソードが、世紀末の寵児ワイルドの手で見事なまでにイカれたストーリーに生まれ変わりました。是非ともビアズリーの挿画と一緒にご堪能ください。

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    2018年09月17日
  • アントニーとクレオパトラ

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    クレオパトラ 今のは嘘だとお言い、そうしたら、領地をやろう、よい身分に引き立ててやろう。痛い目に合わせた代りに、私を怒らせた罪は帳消しにしてあげる、それどころか、何でもよい、身の程を弁えた望みなら、必ず叶えてあげよう。
    使者 御結婚の話は嘘ではございませぬ、女王様。
    2015/07/24-07/30

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    2015年08月08日
  • ジュリアス・シーザー

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    ローマの専制君主シーザーを殺害するブルータスたち。
    しかし、アントニーが演説によって民衆の心をつかみ、ブルータスを追い詰めてゆく…

    解説でも触れられていた、登場人物たちの交わす「愛情」や「友情」を楽しんで読んだ。
    政治の話だし、権力争いの話だし、普通はもっとドロドロすると思うんだけど、びっくりするくらいに爽やか。

    「ブルータス、お前もか!」は有名なセリフだけど、その直後のセリフが面白い。
    みんな潔く死ぬから爽やかなのか、でも現実ではあんなに潔く死ねないよな…と思った。

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    2015年07月14日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    こんなに有名な本を今までなぜ読まなかったのか、それが最大の謎。特に、これだけ素晴らしい本だというのに!
    高校のときに選択科目で取っていた演劇で、The Importance of Being Earnestという劇で初めてワイルドを知り、その後、同じく高校時代にスティーブン・フライ主演のWildeという映画が流行っていたのが二回目のワイルド体験。その後も、何度も彼の名前は色々な場所で見かけていたというのに、なぜかこの本だけは読んだことがなく。
    「美しい」ことと「若い」ということが決してイコールだとは思えないけれど、でも、「若くて美しい」ことに意味があるというのはわかる。そこまでは、同調できる。

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    2015年03月24日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    大変面白かったです。確かに唯美主義的な物語でもありましたが、別の側面から見ると、「人生の目的は自己を伸すことにある」という思想の下、悪徳の限りを尽くして徹底的に自己の快楽のみを追い求め続けるという破滅的な「自己」を背負った主人公がどのように生きていくのかを追った物語でもありました。
    その結果がいわゆる一般的な生き方をしていれば普通にはありえないような恐ろしい死であったとしても、各人が持つ交換不能の「自己」を存分に伸ばす生き方には、確かな魅力があります。しかし、それによって開示される「自己」が周囲の人々をことごとく不幸に巻き込むようなものであったとしたら? かなり面白いテーマだと思います。
    「日

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    2015年03月13日
  • ジュリアス・シーザー

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    「ブルータス、お前もか」で有名なカエサル暗殺。
    タイトルはジュリアス・シーザーとなっているが、シーザーによる、ブルータスのための劇のように感じる。
    『ハムレット』『マクベス』『オセロ―』『ロミオとジュリエット』など、シェイクスピアの悲劇はたくさんあるが、このジュリアス・シーザーはそれらとは一線を画する。
    たしかに、役一人あたりの発言量は多い。それはどの悲劇でも大抵そうだ。だが、他の悲劇とは違って、ジュリアス・シーザーでは、すべての発言が重みをもって迫ってくる。歯切れのいい洒落や猥談は全くない。
    そして、振る舞いによる対比が見られない。多くの悲劇では、身分が低い場合には、とことん猥雑な振る舞いで

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    2014年11月21日