福田恆存のレビュー一覧
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【読み終わって感じたこと】
誰かの喜劇は、必ず誰かの悲劇によって成り立っている。その事実を改めて考えさせられる作品だった。この作品は、単なる喜劇ではない。シャイロックという1人の人間の悲劇でもあるということを、忘れてはならないと思う。
【印象に残ったセリフ】
「ユダヤ人は目なしだとでも言うのですかい?(中略)何もかもクリスト教徒とは違うとでも言うのかな?」
シャイロックの言葉。登場人物たちは、彼を「ユダヤ人」「異教徒」と何度も呼んでいた。人種で見て、シャイロックの中身をあまり見ようとしていない様子が窺えた。もちろんシャイロック自身の中身もあまり良いものとは言えないだろう。だけど、彼は「ユダヤ -
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Posted by ブクログ
昔読んだけど宝塚見るので読み返し。
シェイクスピアがそんなに肌に合わないのか戯曲が合わないのかははっきりしないけど本当に「ふーん」と言う感想。。戯曲は地の文がないから間を感じられなくて全てがスピーディーに感じる。想像力の問題だけど…。
言葉遊びがふんだんに使われてるので、多分日本語で読むより英語で読む方が面白そう。翻訳者さん大変だろうなと思った。
ジュリエットのセリフで、「月にかけて誓ったりなんぞ。一月ごとに、円い形を変えてゆく、あの不実な月、あんな風に、あなたの愛まで変っては大事だわ」という月は形を変えるから月に誓うのはやめてというシーンは好き。
宝塚のロミジュリは良かったです。 -
Posted by ブクログ
名前は知っていたものの、詳しい内容は知らなかったため今回初めてシェイクスピアを読んでみた。
シェイクスピアには四大悲劇(ハムレット、マクベス、オセロ、リア王)があるが、なぜロミオとジュリエットはそこに入らないのか。
四大悲劇のどれも読んだことがなく、この本を読んだだけでの予想に過ぎないが、それは、ロミオとジュリエットは結末こそ悲劇なのだが、過程が若い恋人同士がその恋愛を成就させようと一生懸命になる側面が強いからだと思う。
原文を読んだことがないので、この翻訳がどの程度正確なものか判断できない。
翻訳された年が1950年ほどだったので、その影響かとても読みづらかった。例えば、原作で呪文を -
Posted by ブクログ
坪内逍遥の写実主義にはじまった近代日本文学は
現実と人間の精神を相対化していった
そして私小説のスタイルが登場して以降、日本の作家たちは
脚本家と俳優を兼ねるような存在になった
全人的な表現がひとつの理想とされ
作家たちは破戒的な生き方を競ったものである
さらに白樺派の志賀直哉が登場するに至り
彼らは己のエゴイズムによって
相対的に現実を確立するという逆説をみた
それが昭和以降
なにかと批判を受けることとなった自然主義の流れである
一方、そういった流れと一線を画したのが
例えば夏目漱石や森鴎外であり
芥川龍之介であった
彼らは、俗情と自我のせめぎあうはざまに
自らの肉体を置いた者たちであった
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