福田恆存のレビュー一覧

  • ドリアン・グレイの肖像

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    ものすごく読みたい衝動に駆られて読み始めたけど、途中、何言ってるんだかさっぱり分からなかった…。読み進めるとなかなか面白かったけど、言葉って恐ろしいよねと実感させられる話だった。ドリアンが何か罪を犯すとああだ、こうだと自分に言い訳するあたり、大なり小なり誰にでもあることだと思うと、ちょっと自分に置き換えて考えちゃうなぁ…。

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    2015年11月10日
  • オセロー

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    普通に読んでしまうと、
    もうちょっと事実関係を確認しろよと思ってしまうが、
    舞台で見たらきっと映えるんだろうと思う。

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    2015年10月31日
  • オセロー

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    ネタバレ

    これは...凄い作品です...ね...他に類を見ない悪人の筋書きに言葉通り仰天しました。イアーゴーの悪計に踊らされ、オセローが猜疑心や嫉妬心に苛まれていく様は悪夢以外の何者でもない。序盤の堅物は何処へやら、あれよあれよと言う間に復讐の鬼となってしまいましたね。デズデモーナが不憫で仕方ない。人の業とは恐ろしいものですね。

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    2015年08月05日
  • 黙示録論 ──現代人は愛しうるか

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    副題は「現代人は愛しうるか」だが、死を直前に執筆したロレンスの結論は「愛することはできない」という断言で思わず苦笑い。本論はニーチェの唱えるルサンチマン批判からの聖書読み直しであり、そこに潜む弱者の羨望や権威欲とキリスト教が排除してきたはずの異教性を喝破する。実際、キリストがユダを必要とするように旧訳的な志向を持つ黙示録は新訳に必要とされ、その歪な選民的集団自我は現代の私たちも変わらず持ちうるものなのだ。愛の隘路の問題にロレンスは答えない。が、福田恆存の優れた解説は僅かながら確かな道筋を残してくれている。

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    2015年07月30日
  • リチャード三世

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    血を血で洗う薔薇の戦争
    約束は脆く、愛は偽り
    突き動かすは復讐の炎

    他の悲劇とはその動き方が違うように感じられる。悲劇の歯車がひとつひとつ噛み合って徐々に動き出すのに比べ、リチャード三世はすでに悲劇が動き始めた状態で幕が上がる。人を呪わば穴二つ、因果応報、どのような形にしろ、不条理な形で死を迎えるのではなく、始まりからすでに血にまみれた死の臭いが漂い、物語全体が果てのない復讐で包まれている。
    父を殺され、夫を殺され、子供も殺される。憎い敵でも、偽りの愛だとわかっても、結婚せねばならぬ。それはただ、ランカスター家だとかヨーク家に生まれたがため。たとえ王の前で、神に誓って手と手を取り合っても、も

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    2015年07月19日
  • ドリアン・グレイの肖像

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    ネタバレ

    自分の代わりに肖像画が醜く老いていく。
    自分は美少年のままで年齢を重ねる。

    凡庸な善人、頭の切れる不道徳な人物
    ドリアンは後者を選んでしまう。

    不道徳に惹かれてしまう思春期。
    ずっと思春期の中で過ごした顛末は
    ハッピーエンドではなかった。

    幻想的な物語でした。

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    2015年06月14日
  • お気に召すまま

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    遠く離れた森の中
    愛と嘲笑が交差する
    お気に召すまま暮らす中
    それでもすべてが調和する

    暗い出来事が下地となっているのに、どういうわけか悲劇とならない。それは、愛の力が初めからひとを結びつけているからか。その愛を育むのが、人里離れた森の中。屋敷にあのままロザリンドたちがとどまっていたら、きっとマクベスやオセロ―のように悲劇になっていたんだと思う。背景の描写は細かくなされていないのに、確かに存在感があるアーデンの森。劇のときは、やはりこの森をどう表現するか演出家や舞台さんの力が求められるところ。疲れ切った心を和らげ、愛の力が存分に発揮される森。
    愛という夢を紡ぐのは、男装したロザリンド。男性と

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    2015年05月03日
  • ヴェニスの商人

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    解説を読んで驚いたのが、このストーリーに原案があったこと。完全オリジナルと思い込んでいました…
    いずれにせよ、この作品が素晴らしいことに変わりはありません。硬質なのに曖昧でわかりにくい法律文章を解釈によって血の通ったものにするという裁きの真骨頂を思う存分味わえます。
    シャイロックからの借金という主題のあらすじは多くの人が知っていると思いますが、ポーシャの夫探しやロレンゾーとジェシカの駆け落ちという脇道も面白いです。
    シェイクスピアの魅力といえば、一番はそのセリフです。世の真理を孕んだ、まさに劇的な掛け合い。文章で読むと仰々しいけれど、きっと舞台では登場人物たちにいきいきと語られるんでしょうね。

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    2014年11月18日
  • オセロー

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    ネタバレ

    オセローとデズデモーナは、デズデモーナの父の反対を押し切ってまで結婚をする。だが、オセローの旗手イアーゴーの企てによって、デズデモーナとキャシオ(副官)の不倫をでっち上げられてしまう。最後はオセローの手でデズデモーナを殺させてしまう。オセローもその後、嘘だったことがわかり、罪の意識か自殺をする。

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    2014年09月24日
  • 夏の夜の夢・あらし

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    新国立劇場で「テンペスト」いままさに上演してますね。

    プロスペロー
    「吾らは夢と同じ糸で織られているのだ、ささやかな一生は眠りによってその輪を閉じる」

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    2014年05月12日
  • リチャード三世

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    登場人物も多く、相互の関係も複雑であるために最初はやや分かりにくい。それもある意味では当然で、史劇『リチャード3世』には、それに先行する『ヘンリー6世』で描かれた史実が前提になっているからだ。シェイクスピアの作品群の中では比較的初期のもののようだが、その最大の魅力はリチャードの造型と、それを台詞で浮き彫りにしていく妙味だろう。この時代(史実は15世紀末、劇の初演は16世紀末)にあって、神を全く畏れることなく、悪の魅力を振りまくリチャード。史劇ゆえ、いたしかたないものの、最後が勧善懲悪で終わるのが残念だ。

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    2014年05月03日
  • ジュリアス・シーザー

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    ドラマティックであることを求めるなら、シーザーがルビコン河を渡った瞬間か、あるいはブルータス等の一団に暗殺される場面を劇のクライマックスに選ぶだろう。タイトルからは、そうした劇を想像していたのだが、シェイクスピアはそんなに単純ではなかった。そもそも本編にはシーザーはほとんど登場することがない。その代わりにシェイクスピアは、これを見事な心理劇に仕上げて見せた。しかも、暗殺の3月15日を境に、それまではブルータスらの集団的な高揚を描き、それ以降は運命に対する戸惑いと、後悔とを実に鮮やかに描いて見せたのだ。

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    2014年01月16日
  • 夏の夜の夢・あらし

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    この2作を読むと、シェイクスピアにおける喜劇とは何だろうかと思う。ことに、「あらし」がそうだ。喜劇の定義がよくわからないが、どうも悲劇でないものとしか言いようがないようにも思えるのだ。さて、篇中前半の「夏の夜の夢」は、戯曲として読むよりは、舞台で見る作品だ。ここでは、3つの世界が劇を構成するが、何といっても妖精の世界をいかに見せるかに演出の妙があるように思う。人間技を超えた軽やかさが求められるだろう。一方の「あらし」は、なんだか悲痛ささえ漂う。エピローグは、あたかもシェイクスピアの辞世の言葉のように響く。

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    2014年01月10日
  • 夏の夜の夢・あらし

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    シェイクスピアの最後の作品「あらし」に加え、メンデルスゾーンの結婚行進曲でお馴染みの「真夏の夜の夢」
    あえて夏の夜の夢と訳した理由もキリスト教の文化圏から考えると納得できる。
    どちらの作品も妖精が物語に重要な役割を果たしていて、物語性がより一層増している。また、下地になる作品がなく、ほぼシェイクスピアの想像の世界でできている。
    どちらの作品にもこれまでの悲劇作品のような愛憎劇が多分に盛り込まれているのにも関わらず、それを超越した力で喜劇にまとめ上げているところに、シェイクスピアのひとつの終着点がみえる。
    だが、どうしても作品が短いためか、その転換が煮詰まらないまま成されているような気がしてしま

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    2014年09月29日
  • お気に召すまま

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    シェイクスピアの喜劇は初めて読んだが、悲劇とはその構造が全く違うようだ。そもそも、あるべきはずのところに葛藤の見られることがほとんどない。失われた公爵領の奪回にしても、恋のゆくえにしてもそうだ。一方、それを補うかのように、アーデンの森の魔法が劇空間を包みこんでいる。そして、このこととも相まって劇全体には祝祭的な趣きが強いようだ。ただし、いたるところにタッチストーン(道化)が登場し警句を発することで、劇の解釈は一筋縄ではいかなくなるのだが。ある意味では彼こそが劇の主役だと言って言えなくもないくらいに。

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    2013年11月17日
  • 夏の夜の夢・あらし

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    シェイクスピア初体験だったけど中々面白かった(自分の所有物として娘の恋愛に口をだそうとする父親とか所々に出てくる古くささが鼻につくけど)。徹底的に馬鹿馬鹿しい「夏の夜の夢」よりもある種の寂寥感漂う「あらし」の方が好きかも。

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    2013年07月05日
  • ジュリアス・シーザー

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    ずっとシーザーが主人公と思っていたが、ブルータスが主人公だった。
    ブルータスは悪者と思っていたが、そそのかされたこともあって、仲間とシーザーを暗殺した。
    など、読まなきゃ知らないことばかりだった。
    シェイクスピアの本は、冗長だと思っていたが、読むにつれて、人物の心の動きが精緻に描かれているとおもうようになった。

    古代ローマ人は、ローマ人であることに誇りを持っていた様子。

    演劇もいつか見てみたい。

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    2013年07月02日
  • 黙示録論 ──現代人は愛しうるか

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    内容の概要を初めて知ったとき、人々を脅かして布教活動を行いやすくするための文句なのだろう、くらいにしか思っていなかった黙示録。
    改めて指摘されると、虐げられていると感じている者の怨念や執念のようなものが纏わりついているような気がしてくる。黙示録の中で敵に復讐を企てているのだ。
    おどろおどろしい印象なのは変わらないが、内容がここまで振り切れているためか、よく考えてみると大変に人間味溢れる正典なのではないかとも思えてくる。

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    2013年05月29日
  • お気に召すまま

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    シェイクスピアは初めて読んだが、面白かった。

    まず台本形式で書かれていることに驚き。内容については、様々な人々の恋が展開していくと同時に皮肉やら人生観やらが織り込まれていて、上手いなあと思った。
    堅苦しい(古めかしい)口調なので敬遠してしまうかもしれないが、一読の価値、充分あり。

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    2013年04月08日
  • ジュリアス・シーザー

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    ネタバレ

    ブルータス そうなのだ、キャシアス、もちろん、おれはシーザーを深く愛してはいる……しかし、何か用があるのか、こうしてさっきからおれを放そうとせぬが? 何が言いたいのだ? もしそれが公のためになることなら、右の目には名誉を、左の目には死をさしだすがいい、おれはそれを二つながら平然と眺めよう。神々もお守りくださろう、このおれには名誉を愛する気もちの方が強いのだ、死にたいする恐怖よりも。


    シーザー もっと肥っていてもらいたいものだな! いや、気にかけはせぬ。ただ、もしこのシーザーの名にとって気にかかる何者かがあるとすれば、まず誰よりも先に遠ざけねばならぬ人物が、あの痩せたキャシアスだ。あの男は本

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    2013年02月24日