田内志文のレビュー一覧
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ネタバレとある小説にソローの名前と著書の名前が出てきて、気になったので読んだ。思想家でもあったので理屈っぽいし、現代にも残る社会の仕組みが嫌だったからかかなり皮肉っぽい。ただ、自然の中で生きているはずの人類が社会制度や更なる欲に振り回されて「らしさ」なく人生を生きているっていう考えはなるほどなと思う。それはSNSが発達し、ソローが生きた当時より欲が強くなってる現代なら尚更。ソローみたいな生活は無理だけど、一度立ち止まって自然を観察して考えて気づきを得る(視野を広くする)のは必要だよなぁと思う。
ウォールデン湖ってどんな感じだろうとネットで調べると、どうやら観光客や遊泳客による汚染、スポーツフィッシング -
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名作は読んでおかないとと思い以前にハヤカワ版を手に取ったことがあるものの序盤で挫折してしまっていた1984(ハヤカワ版では一九八四年)。新訳が出ていたことを知って読み始め、前半はそこそこ時間はかかったものの、無事読破。
全体主義国家が統治、監視している社会を描いたディストピアもので、国家を支配する党に対して密かに疑問を持ち反感を抱いているウィンストンが主人公。
中盤までは退屈に思うこともあり面白かったとまでは言えないが、これが1949年に刊行されたことも踏まえると名作と言われることにはとても納得。現代にある一部の監視国家のことを予言しているかのようだった。
その中では、言葉の幅を狭めてい -
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コンテのようなショートストーリーが10篇おさめられているのですが、奇妙奇天烈な物語で映像が浮かんでくると不気味だたり、滑稽だったり、美しかったりと読後はモヤモヤが残るんですが心地よかったりです。
正気と狂気、日常と非日常の境界線で揺れるファンタジーにSF、サイコホラーな感触がおどろ可笑しく影絵をみてるようなナイトメアーでした。
ティムバートンのイラストを彷彿させるタッチでアダムスファミリーかって表紙絵がそれぞれの話の主人公たちなんです。
映像的には「蝶の修理屋」なんですが1000匹の蝶が飛び交うシーンは幻想的なんだけど集合体恐怖症の私は想像しただけで鳥肌たってしまいました。
「宇宙人にさ -
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なんとも不思議な本である。
イギリス人は熊を絶滅させてしまったと言う話は聞いていたので、熊絶滅に至る物語を時代を追ってやや幻想風に書いた連作かな、と思って読みはじめたのだが。
どうも、必ずしもそうではなさそうだ。
どこまでが史実で、どこが寓話で、どこからが伝説なのか、奇妙にぼやけてわからない。
途中までは、たしかに伝承に基づいた実話だろう。熊は森では恐れられ、サーカスでは虐待されてきたのだろう。だが、その先は?
史実として熊が下水掃除をしたり、潜水士をしていたわけがないと思う。
この辺は寓話なのだろう。
だが、その光景は妙に心に届く。
たぶんこの本は、伝承であり、史実であり、寓話であり、伝説 -
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『奇妙という名の五人兄妹』
最初から最後まで『アンブレラアカデミー』だった……!!
こっちは血が繋がった兄妹の話だが概ね良かった。
終盤の映画みたいな展開とても好き。
離れていた兄妹たちが辿る結末とかは『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』っぽくて良い。
というか、構造自体が結構『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』なのでは。
でも親を許せないなら許せない(許さない)ままで良いのに結局許すことを選んでしまう点はぶっちゃけどうなの?と心がモヤモヤしまくりだったのでそれさえ無ければなあ〜と喜び半分落ち込み半分という感じだった。
ここは個人の好みの問題かな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミュージカルを観てそういえば原作を読んだことないなと気づき読んでみることに。まず本自体の薄さにびっくりし、登場人物も10人に満たないくらいのとても短編。舞台上ではエマやルーシー、殺された理事会のメンバーなどのキャラクターがいるが、この中で原作に登場するのはカルー卿(しかも殺されるだけ)のみ。
今でこそ「ジキルとハイド=二重人格」という意味合いで使われているが、読んでみると薬で身長や顔つきが別人になる様子が描かれている。友人の弁護士アタスンの視点で(ハイドの姿の)ジキルが死んでからは手記と手紙によってその経緯が語られる。
訳者あとがきで「当時の視点からすると同性愛(当時の法律では違法)と取られる