田内志文のレビュー一覧

  • 1984

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    ネタバレ

    何年か前に父に勧められ購入し、今になって大学のレポートをきっかけに読んだ。
    父が私に教えたい世界のことがたくさん書いてあった。
    昨日の覚えていることと、10年前の覚えていること、それは全体的ではなく部分的であって、何か大きなものに侵食されていく感覚は仄かに感じながらも、私は毎日のほほんと生きているのだ。
    馬鹿になって生きるということは愚かなのかもしれないが、苦しみからは一番遠いところに存在することができるのでしょう。
    生きるとか、死ぬとか、子供を残すとか。なにが正しいのかわからないから、
    自分に正しく生きて行きたいと思う。

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    2026年03月02日
  • 失われたものたちの国

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    前作のダークな世界観を継承しており、素直に没入できた。
    新旧キャラの再会には懐かしさを覚え、
    語り部が紡ぐような独特の口調は、
    著者と翻訳者の卓越した技術を感じさせる。
    重厚な文体ゆえに人を選ぶが、
    劇中劇として挿入される物語たちが、
    この世界をより一層神秘的に、そして不思議に彩っている。

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    2026年02月11日
  • 恐怖症・偏執狂辞典: 世にも奇妙な99の妄想の歴史

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    よく知られているものからそんなものまでといった、様々な「フォビア」「マニア」の辞典。
    症と名付けられている以上は医師が診断しているものがほとんどで、記録に残されているのが面白い。恐怖症に関しては、曝露法が改善につながる例が多いってのは初めて知った。

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    2026年02月04日
  • シャーロック・ホームズの護身術バリツ

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    バリツ(Baritsu)。私を含めシャーロッキアンなら誰もが知っている日本の武術。かつてライヘンバッハの滝で宿敵モリアーティ教授に対峙したホームズの命を救った謎の武術である。

    バリツとは何なのか、長らく論争が交わされてきた。曰く、コナン・ドイルの創作である。曰く、日本語の武術(bujutsu)の誤記である等々…。

    それらの中で最も有力な説の一つが、英国人バートン=ライトが編み出した護身術パーディツ(Bartitsu)ではないかというもの。バートン=ライトは日本で柔術を学び、帰国して後、1899年に自身の名と柔術を組み合わせて命名した護身術を発表した。これをドイル(ないしホームズ)が知ったの

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    2026年01月28日
  • 新訳 ジキル博士とハイド氏

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    かなりさくっと読める作品。大体の展開は分かっていたが、翻訳の妙もあるのか最後の手記の核心の部分があまり触れられておらずどういうことだろう…と思っていたけど、あとがきを読んで理解。
    ジキルはもっとハイドを憎んでいたかと思っていたけれど、そうでもなかったことが一番意外だった。でもたしかに、限りなく自分である誰かが自分のやりたかったことを肩代わりする快感を想像したら自分もそうなるかも…と思ったり。

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    2026年01月28日
  • 失われたものたちの本

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    ネタバレ

    自分で作ったジンクスで母親を病死しないよう繋ぎ止めようとするところ、自分もすぐジンクスを自身に課す子供だったから、その強迫観念が思考を支配する感覚が久々に思い出された。
    まだ子供で、というだけでなく、多分自分の考えにとらわれてしまうタイプもあり、物事を冷静に客観的に考えられない主人公が、自分を信じてくれる木こりやローランドと出会い、広い視野を得ていくところ、成長を追えて良かった。
    けど、それまでの王様には何故木こりやローランドがいなかったの?比較してしまって、普遍的な物語としては少し腑に落ちなかった。

    アオサギが部屋にいるところで、映画「君たちはどう生きるか」のアオサギの意味がやっと分かった

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    2026年01月03日
  • ウォールデン 森の生活

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    2025年最後の読書は森の生活になりそうです。良くも悪くもイメージや予想をひっくり返された本。タイトルからくる私の勝手なイメージ。静かに森の中で過ごす生活が書かれていると思っていた。確かに、静かに森の中で生活しているのですが、まぁ、賑やかというか、怒れるソローであり、全然静かな本ではなかった!批判的であり、物申す文章が多め。だけど、自然描写については細かく丁寧。自然への畏怖、憧れ、尊敬、感謝を十分に感じる。個人的にはアリについて書かれている所が好き。こんなに細かい、優しいけれども客観的な視点で地面を這うアリを見ていたのか。驚いたのは、この頃から動物愛護協会があると知ったこと。狩猟をする一方で、

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    2025年12月31日
  • 失われたものたちの本

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    「ファンタジー」「物語のなかに入る」「冒険」というキーワードが気になり読み始める。
    解説を見てなるほどと思いましたが、
    読んでる際は中々頭に入らなかった伏線。
    伏線がしっかりと頭に入ってたらもう少しおもしろかったかも。
    続編も読みます。

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    2025年12月31日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

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    森に住み恐れられていた「精霊熊」、下水道で役務を負わされていた「下水熊」など、8つの寓話集。
    あとがきのネタバレを先に読むと理解が深まるのでオススメ。
    現在、イギリスには本当に熊がいない。その風刺の効いた8つの物語

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    2025年12月26日
  • 失われたものたちの本

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    失われた物語のお話(児童文学)の子供向けかと思っていたら、ちょっとエロ、グロまるっきり大人の世界でした。

    お話は、ちょっとどっかで読んだことがあるような感じがしましたが、次から次に怒涛の展開が最後まで続き、飽きさせません。

    エピローグもとてもいい感じです。

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    2025年12月11日
  • 10の奇妙な話

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    邦題は「奇妙」原題は「哀れ」となる。
    奇妙なストーリーの中に奇妙なキャラクター達が登場する。
    奇妙なキャラクター達が哀れなのでは無く、奇妙なキャラクター達によって哀れな被害を受ける人達が存在している。
    「ピアース姉妹」だと明確に指摘されてる哀れな男だし
    「地下をゆく舟」なら、その街に暮らす人々だろう
    「もはや形跡もなく」なら、スーツケースに詰め込まれた靴下達だと思う。
    しかし「地下をゆく舟」や「蝶の修理屋」では、神秘的な情景が目に浮かぶ時もあり
    何とも奇妙なミック・ジャクソンワールドが体験できる素敵な短編集でした。

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    2025年11月06日
  • 失われたものたちの本

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    小さい頃に読んだおとぎ話の世界は久しぶりだったので、わくわくした!
    残虐なシーンが結構あると聞いていたけれど、かなり非現実的なのでそこまで気にならなかったな~

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    2025年10月20日
  • 1984

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    ネタバレ

    完全監視社会+それに従う大衆という絶望的な社会を描いたディストピアの金字塔。
    このような社会では、豊かな文化の発展は望めず、あるのは服従・搾取・無知のみである。

    本編については星5。
    裏表紙の説明欄では「圧倒的リーダビリティ」などと謳っているが、ところどころ読みにくいと感じたし、それは疑わしいと思ったので星−1。
    翻訳者のあとがきにおける一部の言い分については、個人的に思うところがあり、読後の余韻が薄れたので更に星−1。結果星3となる。

    このレビューは長文となるが、前半では作品の感想と考察、後半では翻訳者のあとがきに対する私の反論を述べる。

    《汝、かくなり》
    本作において、この世界観を象

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    2025年09月07日
  • 失われたものたちの本

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    事前情報なく読む。

    これは宮崎駿さんの「君たちはどう生きるか」のモチーフになった本?。映画は説教臭いタイトルで、面白くなさそう(失礼すぎ)だったので見てないのですが、この本を読んだ今は俄然気になってます。

    序盤は大好きな母を失った後の新しい家族の形に馴染めない男の子のモヤモヤ。この坊やがある事をきっかけに異世界へ。そこからは一気にファンタジーの世界へ。異世界に入ってからは、誰もが知ってるグリム童話が私たちが知ってる内容とはかなり解離したどす黒い形で表現され、いい意味での大きな違和感あり。ハイブリッド生物がでてくるのは最近の物語だなぁと思ったり(でも基本は馬、剣、城などのファンタジー)。グロ

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    2025年08月13日
  • 新訳 ジキル博士とハイド氏

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    「ジギルとハイド」という名前だけ聞いたことがあり、二重人格に興味を持ったことがきっかけで読みみ始めました。温厚で誠実なヘンリー▪️ジギルが薬によって邪悪で冷徹なエドワード▪️ハイドに人格を乗っ取られていくお話です。始めは真逆の存在として両者をみていましたが、欲望を発散したいという気持ちがあるという点では同じでした。多重人格者はそれぞれ異なる目的で動いていると思っていたので意外でした。

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    2025年07月13日
  • 失われたものたちの本

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    ネタバレ

    ダークファンタジーというくくりの物語を初めて読んだ。
    中々グロかったけど、子供の恐怖心による想像で形作られた世界線、という設定は良かった。
    登場するおとぎ話も皮肉な結末で、好きだった。
    人から大事にされているのに、新しい存在が入ってきた時に疎外感を感じて、愛されたい、愛されているという実感が欲しい、という願望は誰にでもあって、子供たちのその願望をエネルギーに変換して自らの生に活かしているねじくれ男はきゅぅべえ的立ち位置で良かった。

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    2025年05月29日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

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     英国人作家の寓話集で、イギリスで絶滅した熊に捧げる8篇からなります。個人的に英国文学は不案内ですが、いかにもな?皮肉とユーモアが満載の大人向けの短編集と感じました。

     興味をもち手にする方への助言です。訳者の田内さんのあとがきに、本書に限って本編より先に読んでいただきたい、とありました。えー、読んじゃいましたよー! 仕方ありません…トホホ。イギリスの熊史を把握すると理解が進むんですね。

     凶暴な熊と人間の長きに亘る格闘の結果…と勝手なイメージは、見事に裏切られました。8篇全て、熊たちの悲哀に満ちた声が聞こえてくるようです。
     この時代の熊が、いかに人間に振り回されていたかが解ります。勝手

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    2025年05月17日
  • 失われたものたちの国

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    面白いのか面白くないのか聞かれたら、面白い方に入るかもしれないけれど、うーん。
    難解なのかテーマが定まってないだけなのか、印象的なシーン、好きなシーンがこれと言って無い。
    あと、海外ものにありがちな「絶対悪」みたいな考え方が馴染まない。
    ミヤマガラスとカーリオは何をしたかったの…?

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    2025年05月12日
  • 失われたものたちの国

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    前作がとても素晴らしかっただけにこちらも期待をしていたが…訳者のあとがきにも書いてあるように、少し読みづらく感じた。物語にのめり込むことができなかった。数年後に再度読み返せばまた評価は変わるだろうか…

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    2025年04月19日
  • アメリカへようこそ

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    海外短編を紹介するポットキャスト<翻訳文学試食会>で取り上げられた本。

    最初の2,3短編を読んで、この短編集の題名『アメリカへようこそ』が、この短編集のテーマなのかなあと思っていたら、短編の中の一つの題名でしたね。
    しかし短編集の全てが、今この現実の社会の出来事であるように書きながら、さり気なく、しかし確実に読者に目に付くように現実社会にはない用語が出てきます。それにより、現実の社会の問題点を目立たせて「さあ、読者の皆さん、考えましょう」って感じです。そのためこの短編集全体的が「アメリカってこんな社会ですよ。ようこそ、真実のアメリカへ。」って印象を受けました。
    しかし…正直言ってそこまで惹き

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    2025年04月10日