田内志文のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
英国人作家の寓話集で、イギリスで絶滅した熊に捧げる8篇からなります。個人的に英国文学は不案内ですが、いかにもな?皮肉とユーモアが満載の大人向けの短編集と感じました。
興味をもち手にする方への助言です。訳者の田内さんのあとがきに、本書に限って本編より先に読んでいただきたい、とありました。えー、読んじゃいましたよー! 仕方ありません…トホホ。イギリスの熊史を把握すると理解が進むんですね。
凶暴な熊と人間の長きに亘る格闘の結果…と勝手なイメージは、見事に裏切られました。8篇全て、熊たちの悲哀に満ちた声が聞こえてくるようです。
この時代の熊が、いかに人間に振り回されていたかが解ります。勝手 -
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Posted by ブクログ
海外短編を紹介するポットキャスト<翻訳文学試食会>で取り上げられた本。
最初の2,3短編を読んで、この短編集の題名『アメリカへようこそ』が、この短編集のテーマなのかなあと思っていたら、短編の中の一つの題名でしたね。
しかし短編集の全てが、今この現実の社会の出来事であるように書きながら、さり気なく、しかし確実に読者に目に付くように現実社会にはない用語が出てきます。それにより、現実の社会の問題点を目立たせて「さあ、読者の皆さん、考えましょう」って感じです。そのためこの短編集全体的が「アメリカってこんな社会ですよ。ようこそ、真実のアメリカへ。」って印象を受けました。
しかし…正直言ってそこまで惹き -
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Posted by ブクログ
ネタバレとある小説にソローの名前と著書の名前が出てきて、気になったので読んだ。思想家でもあったので理屈っぽいし、現代にも残る社会の仕組みが嫌だったからかかなり皮肉っぽい。ただ、自然の中で生きているはずの人類が社会制度や更なる欲に振り回されて「らしさ」なく人生を生きているっていう考えはなるほどなと思う。それはSNSが発達し、ソローが生きた当時より欲が強くなってる現代なら尚更。ソローみたいな生活は無理だけど、一度立ち止まって自然を観察して考えて気づきを得る(視野を広くする)のは必要だよなぁと思う。
ウォールデン湖ってどんな感じだろうとネットで調べると、どうやら観光客や遊泳客による汚染、スポーツフィッシング -
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Posted by ブクログ
コンテのようなショートストーリーが10篇おさめられているのですが、奇妙奇天烈な物語で映像が浮かんでくると不気味だたり、滑稽だったり、美しかったりと読後はモヤモヤが残るんですが心地よかったりです。
正気と狂気、日常と非日常の境界線で揺れるファンタジーにSF、サイコホラーな感触がおどろ可笑しく影絵をみてるようなナイトメアーでした。
ティムバートンのイラストを彷彿させるタッチでアダムスファミリーかって表紙絵がそれぞれの話の主人公たちなんです。
映像的には「蝶の修理屋」なんですが1000匹の蝶が飛び交うシーンは幻想的なんだけど集合体恐怖症の私は想像しただけで鳥肌たってしまいました。
「宇宙人にさ -
Posted by ブクログ
なんとも不思議な本である。
イギリス人は熊を絶滅させてしまったと言う話は聞いていたので、熊絶滅に至る物語を時代を追ってやや幻想風に書いた連作かな、と思って読みはじめたのだが。
どうも、必ずしもそうではなさそうだ。
どこまでが史実で、どこが寓話で、どこからが伝説なのか、奇妙にぼやけてわからない。
途中までは、たしかに伝承に基づいた実話だろう。熊は森では恐れられ、サーカスでは虐待されてきたのだろう。だが、その先は?
史実として熊が下水掃除をしたり、潜水士をしていたわけがないと思う。
この辺は寓話なのだろう。
だが、その光景は妙に心に届く。
たぶんこの本は、伝承であり、史実であり、寓話であり、伝説