田内志文のレビュー一覧

  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

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    ネタバレ

    真夜中の精霊であり、罪を食い、犬と闘い、サーカスで働き、下水処理をする熊たちの奇妙な味の8つの寓話。

    イギリスでは乱獲により熊は絶滅し、さらに「熊いじめ」というブラッド・スポーツが19世紀まで行われていた、そのイギリスの作家による仄暗くユーモアたっぷりの不思議な物語たち。

    ミック・ジャクソンは容赦ない。描かれるクマは悲しみを誘うけれどちっとも可愛くないし人間も泥臭くずるがしこく浅ましい。そんな熊と人間がまるで心を通わせたかと思ったときにちゃんと現実を教えてくれる。特に74頁。

    こういう話を読むと「この本に出合えて良かったなぁ」と強く思います。

    イギリスと言えばプーさんやパディントンの国と思っていたので熊いじめに驚きましたが、「クマのプーさん」は1926年、「パディントン」は1958年と比較的新しいキャラクターなんですね。

    ミック・ジャクソンは自分にも容赦ない。
    「まず第一に、ただでさえ薄い本だというのに長めの章をひとつ飛ばしてしまうとなると、この本がパンフレットに毛が生えた程度のしみったれたものになってしまうこと。」(P45)
    物語にこういう語りを入れてくるの、好きです。

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    2025年12月20日
  • 1984

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    天変地異でも起こらない限り決して崩壊することがないような完全に支配された希望なきディストピア世界の物語。

    終盤にはまさかのどんでん返しもあり楽しめた。

    ナチスドイツや北朝鮮、ポルポト政権下のカンボジアの様な国や時代を連想させる部分も多く、読んだ後に世界について、社会について考えたり話したりしたくなる作品。

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    2026年05月08日
  • 吸血鬼ドラキュラ

    購入済み

    永遠のファンタジー

    何十年も前にクリストファーリー主演の映画が公開されて、本も買って何度も読みました。
    本は無くなってしまいましたが、スマホで見れるので2度見直しました。
    いろいろなドラキュラが出ましたが、ブラムストーカーのものが最高です。
    さて、また楽しみますか

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    2025年10月01日
  • 失われたものたちの国

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    前作がかなりダークだったので覚悟して読み始めたが、前作にあった理不尽な怖さは感じなかった。前作が書かれて17年経っての続編。母を喪った子の話と、子を失ないかけている母。相似する部分もあれば対比されている部分もある。一方で、主人公を女性にすることで、現代の女性が抱える問題、例えばミソジニーについても取り上げられている。最後のドライアドの人称がwe/theyであることも、種族の代表であるという意味だけでなく、最近のLGBTQ的配慮なのかもしれないと感じた。前作と今作、それぞれに魅力のある本で、両方を読むことで面白さも増えるものだった。

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    2025年07月24日
  • 失われたものたちの本

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    色んな側面から考え、
    空想し、畏怖した。
    こりゃ人生の10冊に入る…

    人間のもつ勇敢さと醜さ、
    生と死、過去と未来、
    成長と衰弱、

    そういったものの蠢き、
    生命の持つエネルギー、
    対比のようで一直線上にあることを
    体感した一冊だった。と、思う。

    なかなかグロテスクな描写もあり、
    美しさは美しさだけで出来ている訳ではなく
    一筋縄ではいかない。
    どちらもあるから美しいとも言えそう。
    綺麗事や理想だけじゃないのが余計にリアルで心にくる。

    なんか、上手く言葉に出来ないんだよなぁ…
    なんだろうこの気持ちは。
    ただただ喰らっている。立ち尽くしている。
    自分にとってとても大切な部分が、この物語によって確かに動いたことが分かる、んだけど壮大で、今のわたしにはまだうまい言葉が見つからないや。

    ジブリ映画の
    「君たちはどう生きるか。」のガチ原作
    という事で手に取ってみたけど
    もう一回映画を見返したくなった。

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    2025年07月06日
  • 失われたものたちの本

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    第二次世界大戦直前のイギリスから、「赤ずきん」や「白雪姫」のような童話が邪悪な話に変化している世界に迷い込んだ主人公のデイヴィッド。元の世界に戻るために、王様に「失われたものたちの本」を見せてもらうために、木こりや騎士の助けを得て旅をする。不気味なねじくれ男につきまとわれるし、ともかく色々な物語が入っていて、それでもちゃんと冒険譚になっている。最初の部分は、なかなか読み進みにくかったのだけれど、途中からリズムが良くなった。ちょっと、グロテスクな部分もあるし、お伽噺を愛する人には勧められないかもしれない。

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    2025年07月02日
  • 失われたものたちの国

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    前作から15年の月日が経っていることを感じさせる一作だった。物語は作り手の変容や時代の変容と共にあるのだと同じ著者の本を読んでいくとつくづく感じさせられる。
    前作が母を失い、義母と馴染めない少年の成長譚で、今回は一人娘が事故で植物状態となったシングルマザーの心の回復の物語。主人公のセレスは失われたものたちの国で32歳の記憶も精神も保ったまま16の姿になって旅をする。前作がまだ幼く様々な事によって経験をつみ大人となっていくのと異なり、今回セレスはまず今までの経験を踏まえて様々な事に冷静に対処していく。ただ思春期の頃に戻ることでもう一度子供心も取り戻しつつ、大人としての生き方を再度見直していくことが出来るのだ。
    視点が変わっている事が前作と大きな違いではあるんだけど、それ以上に本の中の世界の血生臭さが随分とまろやかになっている。世界は残酷で理不尽で苦しいものだけれどセレスは大人でその事は既にわかっているからこそ、本の中の世界ではその血生臭さに気づかないのかもしれない。
    メタとしていえば、著者が続編を15年後に書いたという事がとても影響していると思うけれど。
    そしてやはり木こりが良い。前作でも木こりは大変良かった。今回は出ずっぱりでさらに良かった。
    前作同様、子供を守る大人が現れてちゃんと子供を尊重し、守り抜くのは子供向けの童話としてとても素晴らしいと思う。

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    2025年06月28日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

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    これは――おとぎ話なのか?痛烈な風刺なのか。どうとも捉えられそうな、イギリスと熊の物語8編。
    言葉なき熊と取引めいたことをして、人間は心の安寧を得る。しかし、しょせんそれは異なる種族との取引。常識も前提も違う熊との間で、お互いに利がある取引なんてのはまやかしなのだと明らかになる。熊は知らず課された役割を、やはりそうとは知らぬまま放棄して、少しずつ人間社会から遠ざかっていく。そのさまが、人への皮肉や糾弾にみえる。
    読み進めているうちに、熊が人にも思えてくるのがこの本の怖いところ。虐げられている人、支配されている人、社会の中で見えない存在とされている人たちを熊に仮託しているのではないか?ときに団結する、しかしたいがいは物も言わずうなだれて、その場を去ってゆくしかない人々を。
    『下水熊』。"少年は、母親に手を引かれ、明るい陽だまりのほうに連れ戻されながら言った。「ねえ、さっき熊がたくさんいたの見た?」"
    分断された、光と影。
    そして影たる熊たちは、舟に乗り込んで外海へ出ていく。さながらユートピアを探し求める人々のように。
    "何頭かが後ろを振り返り、冷たく残酷なイギリスに最後の一瞥をくれた。"
    ラストのここに至って、イギリスが"見捨てられた場所"に感じられ、いつのまにか視点が熊に寄っていることにはたと気づく。
    哀しさ、さびしさ、あきらめの思いが、読後の心を揺らしている。

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    2025年05月25日
  • ウォールデン 森の生活

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    資本主義社会へのアンチテーゼ
    多方面に尖ってて笑ってしまった。
    →
    ・慈善活動は満足していない人、苦しんでいる人が他人を助けることで自分の価値を見出す自己満足そのもの。もし彼らが幸せになれば慈善活動はしない、忘れる。
    ・綺麗な服装や家は他人へ自身の地位を示す物。そんなものはいらない。哲学者等の知識人は従来から質素な生活をしてきた。
    ・ワーキングプアは自給自足の生活しろ!

    そして自分と、森とこれ程までに向き合った人の追体験ができる本は貴重、家にいながらソローと共に森を、動物を、孤独を楽しめた。努力最高孤独最高(♡.♡)!また読み直す

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    2025年08月22日
  • キャクストン私設図書館

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    この人の小説は独特のグロテクスな感じが好きだ。外れが無く面白い。
    ラブクラフトを彷彿させて楽しく読めた。

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    2025年03月04日
  • 魔法の扉がしまるとき

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    大円団!

    5巻〜6巻の中だるみは正直否めないけど、そんなの気にならないくらい、文句のつけようがないハッピーエンド。ありがとうございました、やっぱり児童文学のファンタジーはこうでないと!!!!

    めでたし、めでたし。

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    2024年12月07日
  • こうしてイギリスから熊がいなくなりました

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    テレビから熊出現のニュースが流れると、イギリスから逃げてきたのかと、その町は熊にとって居心地の良い場所だっただろうかと、つい考えてしまいます。
    不思議と心に残る一冊です。

    熊も人もナメてはいけない。

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    2024年12月04日
  • 仮面の男と悪の軍団

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    ネタバレ

    前巻から引き続き、思いっきりいいところで終わるという…。
    仮面の男はお父さんではなかったので一安心。

    今回はまたピーターパン、ふしぎの国のアリス、オズの魔法使い、そしてアーサーと盛りだくさん。
    特にアーサーとマーリン。アーサーとアレックスの恋、切なくて切なくてな…再会できるといいなあ。

    仮面の男との戦いは次作に持ち越し。
    早く読みたい!

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    2024年11月24日
  • 新訳 ジキル博士とハイド氏

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    ネタバレ

    今まで題名は知っていたが手が伸びなかった本。外国文学なのにするする読めた。最後の手紙のところで全部辻褄がいく。それで話が終わっているから余韻がすごい。アタスン視点なのでよりジキルとハイドの謎が不可解に思える。所謂オーバードーズとは少し違うけれど、依存して行くような沼に落ちていくような雰囲気があった。もうジキルは消えてしまったのだろうか。

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    2024年10月27日
  • 魔術書ものがたり 下

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    世界を救うための、
    妖精たちが住みやすい世界を作るための、
    ブリスタルたちの冒険譚、最終巻。
    *
    改めて、すべてつながってる!と、感激した。
    「ハリポタ」シリーズもそうだけど、
    長編ファンタジーストーリーを書かれてる方の頭の中はどうなってるんだろうと、改めて感服。
    『ザ・ランド・オブ・ストーリー』につながるお話だから、
    ブリスタルたちは大丈夫とわかっていてもドキドキしっぱなし。
    まるでクリス・コルファーさんの手のひらで踊らされてるみたいだ。
    *
    そして、今の私に必要なメッセージが多々あった。
    ネガティブな声を現実と間違えてはいけない。
    それを嘘だと証明できるのは、自分だけなんだ。
    心の声が生み出す胸の痛みも苦しみも、全部味わわなくてもいい。
    だから、すべて私が選べばいい。
    「自分で作った陰謀論の犠牲になるということは、失敗を糧に成長することができないということ。」
    という言葉にハッとした。

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    2024年10月01日
  • 帰ってきた悪の魔女

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    ネタバレ

    さらわれたお母さんを助けるため、
    おとぎの国に帰ってきたアレックスとコナー。
    冒険を繰り返しながら国を、お母さんを救おうとするふたりと仲間たち。

    前巻までの仲間たちも健在!
    フロッギーがすき。

    フェアリーゴットマザーの正統な継承者であるアレックスは、きっとこっちの世界で暮らすんだろうと思ってはいたけど、まさかコナーと離れ離れになるとは…アレックスの決意を思うと泣けてくる。
    悪の女王を許そうとするアレックス、本当に正統な継承者。
    続きもたのしみ。はやくコナーと再会させて!

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    2024年09月16日
  • 願いをかなえる呪文

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    おとぎ話の世界に飛び込んでしまう双子の物語

    白雪姫もシンデレラもラプンツェルも赤ずきんも、ゴルディロックスもいる!
    プリンスチャーミングも、ジャックと豆の木のジャックも、フェアリーゴットマザーも!
    設定だけで大興奮。ボリュームある話だけれど、これはファンが多そうだなあ。

    伏線が丁寧で、悪役の真実みたいな要素もあり、盛りだくさんだけどオススメしたい一冊。
    ところで作者が俳優さんだって?ひっくり返った。びっくり。シリーズ続刊も読む!

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    2024年09月07日
  • 失われたものたちの国

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    ネタバレ

    失われたものたちの国

    よみおわりました。

    宮崎駿監督が引退を決めたのに、復活するきっかけになった物語(の続編)になります。

    ジョン・コナリーの児童書になりますが、
    けっして甘ったれた内容ではありません。

    前作は少年ディヴィッドが『ねじくれ男』に招かれ異世界に行ってさまざまな苦難を乗り越えて成長していきます。


    続編は事故で植物人間になってしまった娘を看病していた女性が異世界に飛び込んでしまいます。
    かなり芯のある(強気)女性セレスですが、なぜか十代の女の子に戻ってしまいます。そして前作の主人公ディヴィッドや色んな人物と出会います。


    内容はかなりグロい部分があり、スパイスが強めです。


    最後10ページくらいはちょっと泣いてしまいました。
    目覚めない娘にただ会いたいために奮闘するセレスがいきついた答え、私なら『ねじくれ男』の誘惑に負けそうだな、と思いました。


    植物人間の娘が目を覚ますとなれば......
    セレスは凄い人物です。

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    2024年08月02日
  • 新訳 道は開ける

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    今まで読んだ本の中で一番元気になれる。「明日に不安を抱くなかれ」という言葉が心に残った。自分の中の不安ばかり訴えるのではなく、人を喜ばせること、人が喜ぶことをするのがいいとあって、大変勉強になった。早速実践してみたい。

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    2024年07月17日
  • 失われたものたちの本

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    宮崎駿さんが好きなので多少バイアスはかかっていると思うけど、世界観に飲み込まれる作品。面白い。

    お母さんを亡くした男の子がダークファンタジーの世界へ入るお話。グリム童話の黒いギャップが描かれていて、この男の子の精神状態が映されていたと思う。

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    2025年09月14日