田内志文のレビュー一覧

  • 魔法ものがたり 下

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    少し説教臭いところもありますが、ファンタジー作品として、またYA小説としてとてもよくできていると思います。

    最強の魔女「雪の女王」と戦い、師であるマダム・ウェザーベリーを助けだすためにノーザン王国へと向かったブリスタルたち。
    恐ろしいモンスターがうろつく「はざま」を抜ける旅路や、雪の女王の軍隊との戦いの場面はちょっと物足りない部分もありましたが(想像していたよりもアッサリと決着がついてしまったような気がしました)、雪の女王との話し合いを含め、他者に不寛容であることがどれほど悪いことなのか、物語を通して強く感じさせる作品だったと思います。

    ようやく魔法が「違法」ではなくなった社会の中で、マダ

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    2025年10月20日
  • 魔法ものがたり 上

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    YA小説のカタログで見て、手に取りました。
    「魔法が禁止された世界」で魔術の力に目覚めた少女の物語です。

    物語の世界を説明する要素もあるのでしょうが、歴史を改竄することで、ある特性を持つ人を弾圧する社会を著者が強く非難していることが伝わります。
    主人公の目を通して、盲目的に弾圧に加担する人達の愚かさや、虐げられる者の苦しみがよくわかり、小学校高学年や中学生に手に取ってもらいたい作品です。

    マダム・ウェザーベリーのセリフで
    「すてきな世界にしたいなら、私たちが世界よりすてきじゃなきゃいけない」
    というものがありました。至言だと思います。

    次巻から、一癖も二癖もある仲間たちとの魔術の授業がは

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    2025年10月18日
  • 新訳 ジキル博士とハイド氏

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    ネタバレ

    名前とかで大体のオチは想像できてはいた。だが最後の日記の部分を読んだ後、ジキルとハイドが他人事のように思えなくなった。
    自分が全くの別人になり、何をしてもお咎めを受けずにいられるとしたら、清廉潔白に過ごせる人は、果たしてどれほど存在するだろうか。例えば飲みの席でのやらかしを「酔っていたから」などと弁明し、周囲も多少の共感を示すということがある。普段の自分と酔っている自分とは関係ないので、酔っている自分が多少悪いことをしても、素面の自分にとってはどうでもいい。そう思いたいという歪んだ願望が、加害者にも、そして(今後加害者になりうる)被害者にも多少あるように思う。
    道徳心というのは、当事者意識が欠

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    2025年10月05日
  • 失われたものたちの本

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    血の匂いのただよう暗い森にわけいり、獣の息遣いを耳元で聞くような本。こどもの頃に、初めて完訳グリム童話(金田鬼一訳)を読んだ時の衝撃を思い起こされた。とりかえしのつかない過去の美しい残滓を、かきあつめて懐かしむ姿がかなしい。でも物語の外も光に満ちているだけではない、誰にとっても。

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    2025年09月21日
  • 失われたものたちの本

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    ダークファンタジー、若干ホラー寄り。
    序盤は物語に入り込めなかったが、ドンドン楽しめてくる。
    表現がキツい部分が多いので、子供にはおすすめ出来ないかな。

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    2025年08月04日
  • 失われたものたちの本

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    ネタバレ

    デイヴィッドは本当の自分がどう在るべきかを、他者から教えてもらいたかった。理想化された大人ではなく、正しいあり方を示してくれる存在を求めていた。だからこそ彼は現実ではなく、物語の中に救いを探し、登場人物たちの言葉に期待を寄せた。語られる物語はおとぎ話のような、めでたしめでたしではなく、妙に現実味を帯びたトゥルーエンドのようだった。太宰治が「本を読まないということは、その人は孤独ではないという証拠である」と述べたように、デイヴィッドの読書量と想像力は、そのまま彼の孤独を示している。終盤で、いい子になったデイヴィッドは、ただ従順になったわけではない。彼は失いたくない世界があり、避けていても無視して

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    2025年08月01日
  • 失われたものたちの本

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    母親の死、父親の再婚と義理弟の誕生、戦争…とあらゆることに傷つけられてきた主人公デイヴィット。義母と義理弟への憎しみを胸に抱きつつ庭を彷徨っていると、岩の割れ面から異世界へ閉じ込められてしまった。デイヴィットは帰れるのか?

    題名が素敵で気になってたけど、ダークな世界観だとも聞いてたので、読むのを躊躇してた。今回旅行するにあたって本をいくつか購入することになり、夫と同時読みしようという流れになって読み始め。

    めっちゃ面白かった。ダークであることに間違いはないんだけど、童話チックな語り口なので、そこまで生々しくないし、デイヴィットがどう窮地を切り抜けるかが気になりすぎてページをめくる手を押さえ

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    2025年07月28日
  • 失われたものたちの本

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    美しいのにどこかグロテスク、それでいて純粋、そんな印象が強い。
    12歳、多感なデイヴィッドが入り込む物語の世界が怖くもあり、同時にワクワクもした。
    背景に第二次世界大戦があるからだろうか、おとぎ話の中にもその影響は及んでいる。その中を彷徨う少年の冒険から目が離せない。子供の頃読んだ冒険ものと同じフォーマットだが、バラエティーに富むと同時に純粋さゆえの残酷さが際立っていて面白かった。ボーナストラック的についている「シンデレラ(Aバージョン)」の結末は笑ってしまった。

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    2025年07月20日
  • 失われたものたちの本

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    和訳の小説に慣れていない為、読み終わるまでに時間がかかってしまったが、読後感がとても良かった。外国のブレイブ・ストーリーのよう。

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    2025年07月10日
  • 新訳 フランケンシュタイン

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    世間一般に定着しているイメージと、本書を読み終わった時に抱くイメージが結構変わるんじゃないかと思う1冊

    元々「有名タイトルだけど内容を知らないから読んでみよう」という動機と、たまたまTwitterでとある方の自己解釈フランケンシュタインの怪物のキャラクターデザインを見かけたのをキッカケに読み始めました
    (映画やハロウィンでよく持たれているイメージと、原作本文からの描写のイメージをキチンと引用して書いておられる方でした)

    少し昔の文章なので、読み慣れるのには少し時間がかかるかもしれませんね

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    2025年06月17日
  • 10の奇妙な話

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    不思議なお話
    ハッピーエンドではない
    お話もあったけれど
    その顛末に共感してしまった

    宇宙人にさらわれた
    骨集めの娘
    ボタン泥棒
    は優しく穏やかな読後感

    川を渡る
    はちょっと笑ってしまった

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    2025年05月01日
  • 10の奇妙な話

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    ミック・ジャクソンとは「こうしてイギリスから熊がいなくなりました」で出会った。現代作家だが、作品の設定に時代感があり、1960年生まれということに意外さを感じた。
    私の最近のもう1人のお気に入り、ジョン・コナリー同様、ものすごい才能なのに日本での知名度は低く、翻訳本も少ない。

    ”熊“がまさしくそうだが、この短編集でも、かなりの奇想天外な話が淡々と語られ、しかもほとんどが静かに終わる。

    彼の代表的な作品の世界は、乾いていて寂しげだ。「ピアーズ姉妹」しかり「地下をゆく舟」しかり「蝶の修理屋」しかり。
    しかし登場人物たちはそれを悲観するでもなく、頑なに静かで揺るぎない。
    時折、心の中を隙間風が通

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    2025年04月05日
  • 失われたものたちの本

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    ダークファンタジー好きには刺さると思う1冊。
    例えるとアリス・イン・ワンダーランドと似た世界線
    私はとても面白いなと思った。

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    2025年02月18日
  • 失われたものたちの本

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    序章はよくある少年の成長譚なのかと思った。
    一筋縄ではいかない、絶望が支配する世界が物語に深みを与え血肉になっている。

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    2025年02月10日
  • 失われたものたちの国

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    「失われたものたちの本」の完全な続編。
    (前作を読んでいないと全く理解不能)

    ロンドンに住むセレスは一人で8歳の娘を育てている。ある日、娘が交通事故にあい昏睡状態になってしまう。医師の勧めで田舎のケア施設に移るが、その施設のそばに『失われたものたちの本』という物語を書いた作家の古い屋敷があって…。

    主人公セレスの感じる孤独と絶望は痛々しいほど胸に迫ってきます。ただ、前作の主人公ディヴィッドが囚われた喪失感や嫉妬とはベクトルが違う感触がありました。ディヴィッドが少年だったのに対して、本作の主人公セレスは立派な大人として描かれています。前作が書かれてから17年が過ぎ、著者の思考の変遷がここに表

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    2025年02月05日
  • 失われたものたちの本

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    映画『君たちはどう生きるか』のヒントになった本ということで読んでみました。悪意がふんだんに出てきてすごかったですが、面白かったです。深いなあと思いました。

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    2025年02月04日
  • 失われたものたちの本

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    勝手に想像していたよりとてもダークな世界だった。あらすじを見ても生易しい物語でないのはわかるが、それでも思っていたよりもずっとダークであった。
    はじめの現実世界での主人公の立場や心情、物語の中で主人公が出会う登場人物達と経験。全てが重くて読み進めていくとどんどん気持ちが沈んでいった。
    主人公は子供ということだが、子供であろうと大人であろうと、主人公の立場や経験は受け止められるのがとても難しいものだと思う。そのような状況だけでなく、そこに主人公の心情が細かく書かれていたのがなによりこの本の感銘を受けた部分だった。ただ状況を書き並べるだけならいくらでも出来るだろうが、心情がこれでもかと書き並べてら

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    2025年01月17日
  • 失われたものたちの国

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    ネタバレ

    前作は見事に完結して見せていたが、そんな作品に見事に続編を生み出させてくれた作品だと思った。
    主人公は娘を失われた30代の母親で、ファンタジー世界にはそぐわない人物のように思える。
    だが、彼女もまた誰かの娘であり、愛情を注ぐ対象のいる母親であり、現実を生きる冒険者なのだ。

    一つ蛇足の感想を。
    フロリダはお風呂から離脱する、ではなくお風呂のため離脱する、です。

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    2025年01月03日
  • 願いをかなえる呪文

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    登場人物は知っている人たちなので、童話を背景に入り込みやすかった。最後はすべてが気持ち良く繋がっていく。

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    2024年12月08日
  • 10の奇妙な話

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    ★★★★☆「ピアース姉妹」「眠れる少年」「蝶の修理屋」の三作が印象的でした。1番初めにピアース姉妹の話からでインパクトがありました。詳しいあとがき、解説も読んで他の作品も読んでみたくなりました。

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    2024年12月05日