田内志文のレビュー一覧
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ネタバレこの本は190ページ以降のジュリアとの逢瀬から面白く感じた。そして300ページ以降の愛情省に捕まった辺りから読む手が止まらない。
後半に向け、スピード感が増すのだ。
393「君の中ですべてが死に絶えるのさ。愛することも、友情を抱くことも、生の喜びを感じることも、笑うことも、好奇心を抱くことも、勇気を持つことも、誠実であることも、何ひとつ出来なくなるんだよ。もぬけの殻になるんだ。我々は君の全てを搾り取って空っぽにし、そこを我々自身で満たすのだよ。」
これは予知となる。
最終、長い地獄のような懲罰を終えたウィンストンはジュリアは再会をする。互いに変わり果てたその姿を目の当たりにし、当時の自身の裏切 -
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もともとは別々の2冊だったものを1冊にまとめて文庫化したものだそう。推理文庫から出ているがミステリではなく、世にも奇妙的な小説。「妻」「兄妹」という言葉が示す通り、どちらも家族に関するお話。
降りかかる超常現象が家族という共同体およびそれを構成する個人個人が抱える問題をより鮮明にしていくが、問題を乗り越える最後のひと押しはとても素朴な気付きや対話であったりするのが印象的だった。
「妻が〜」の方は4月に日本で舞台化していたようで、どう表現されていたのか気になる。
「奇妙と〜」は、私も三人姉妹の末っ子なのだが、読んでいるとなんだか姉たちに会いたくなった。 -
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もうすぐ死を迎えるブリスタル。
魔法と魔法に関わる人たちを世界に残すための最後の旅が始まる。
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前巻を読んでからかなり経っていたので、
最初は「どんなだったかな?」と思い出しながら読み始めたけれど、
あっという間に読み進めてしまった。
疾走感がある。
世界を救おうと奔走するブリスタルたちのジレンマや葛藤がよく描かれている。
そう、「ちょっと変わってるだけの人」は、私たちの世界にもたくさんいる。
きっと私もそう。
だからといって排除したり阻害するのではなく、
一つの個性として受け入れる世界であってほしい。
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続きが気になるところで後編へ。 -
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ネタバレ予想していたよりダークなファンタジーだった。
宮崎駿監督の映画「君たちはどう生きるか」という作品は、本書を結構モチーフにしているというレビューを見かける。先にこの本を読んだが、いずれ映画も観たい。
有名な童話(白雪姫やヘンゼルとグレーテルなど)が色々と登場するのももちろん好みなのだが、主人公・デイヴィッドを助けてくれる謎の国の良い人たちが命懸けで救ってくれたり、おかしな世界ではあるが現実的な考え方をしていたり(それがむしろおかしさを感じるが)、キャラクターが魅力的だ。
ねじくれ男が執拗い狼を始末し、デイヴィッドは私だけのものだ、という場面はゾクッとした。
ねじくれ男の正体がほとんど明かされ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ誰しもがそれぞれに持つ内面の物語についての物語。
母親を亡くしたデイヴィッドは、新しい家族の中に自分の居場所を見失い家族関係がぎくしゃくしていたところをねじくれ男に付け込まれて物語の世界に誘い込まれるが、そこで大きく成長して戻ってきて、親子関係を見つめなおす。
ジブリの映画「君たちはどう生きるか」の元ネタになったと言われている本。公式にそう言われているのかは知らない。
映画を先に観てから読んだが、なるほど対応関係は分かる。
しかし原作と言えるほど、この物語を忠実に映画化しているわけではない。映画版はかなり翻案されており、設定や枠組みを拝借したという程度に見える。
吉野源三郎の「君たちはどう