【感想・ネタバレ】失われたものたちの国のレビュー

あらすじ

邪悪な魔女や人間を襲う人狼。クロスボウを構えたラプンツェル。人間を憎む恐ろしい妖精(フェイ)。――「めでたしめでたし」なんて、無縁の世界。ロンドンに暮らすセレスは、ひとりで8歳の娘を育てていたが、ある日、娘が交通事故で昏睡状態となってしまった。医師の勧めで、セレスは田舎にあるケア施設に娘を移すことにする。その施設の敷地には、『失われたものたちの本』という物語を書いた作家の古い屋敷があった。娘の看病を続けるセレスが限界を迎えた日、彼女は何者かに呼び寄せられるようにして屋敷の屋根裏部屋に入り込み、さまざまな本が呼びかけてくる声を聴いた。そこに突然現れた怪物に襲われ、屋敷から逃げ出すが、気がつくと知らない場所に迷い込んでいた。そこは魔女や人狼、巨人たちが存在する、美しくも残酷な世界だった。セレスは元の世界に戻れるのか? 異世界冒険譚『失われたものたちの本』続編!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

前作がかなりダークだったので覚悟して読み始めたが、前作にあった理不尽な怖さは感じなかった。前作が書かれて17年経っての続編。母を喪った子の話と、子を失ないかけている母。相似する部分もあれば対比されている部分もある。一方で、主人公を女性にすることで、現代の女性が抱える問題、例えばミソジニーについても取り上げられている。最後のドライアドの人称がwe/theyであることも、種族の代表であるという意味だけでなく、最近のLGBTQ的配慮なのかもしれないと感じた。前作と今作、それぞれに魅力のある本で、両方を読むことで面白さも増えるものだった。

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2025年07月24日

Posted by ブクログ

前作から15年の月日が経っていることを感じさせる一作だった。物語は作り手の変容や時代の変容と共にあるのだと同じ著者の本を読んでいくとつくづく感じさせられる。
前作が母を失い、義母と馴染めない少年の成長譚で、今回は一人娘が事故で植物状態となったシングルマザーの心の回復の物語。主人公のセレスは失われたものたちの国で32歳の記憶も精神も保ったまま16の姿になって旅をする。前作がまだ幼く様々な事によって経験をつみ大人となっていくのと異なり、今回セレスはまず今までの経験を踏まえて様々な事に冷静に対処していく。ただ思春期の頃に戻ることでもう一度子供心も取り戻しつつ、大人としての生き方を再度見直していくことが出来るのだ。
視点が変わっている事が前作と大きな違いではあるんだけど、それ以上に本の中の世界の血生臭さが随分とまろやかになっている。世界は残酷で理不尽で苦しいものだけれどセレスは大人でその事は既にわかっているからこそ、本の中の世界ではその血生臭さに気づかないのかもしれない。
メタとしていえば、著者が続編を15年後に書いたという事がとても影響していると思うけれど。
そしてやはり木こりが良い。前作でも木こりは大変良かった。今回は出ずっぱりでさらに良かった。
前作同様、子供を守る大人が現れてちゃんと子供を尊重し、守り抜くのは子供向けの童話としてとても素晴らしいと思う。

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2025年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

失われたものたちの国

よみおわりました。

宮崎駿監督が引退を決めたのに、復活するきっかけになった物語(の続編)になります。

ジョン・コナリーの児童書になりますが、
けっして甘ったれた内容ではありません。

前作は少年ディヴィッドが『ねじくれ男』に招かれ異世界に行ってさまざまな苦難を乗り越えて成長していきます。


続編は事故で植物人間になってしまった娘を看病していた女性が異世界に飛び込んでしまいます。
かなり芯のある(強気)女性セレスですが、なぜか十代の女の子に戻ってしまいます。そして前作の主人公ディヴィッドや色んな人物と出会います。


内容はかなりグロい部分があり、スパイスが強めです。


最後10ページくらいはちょっと泣いてしまいました。
目覚めない娘にただ会いたいために奮闘するセレスがいきついた答え、私なら『ねじくれ男』の誘惑に負けそうだな、と思いました。


植物人間の娘が目を覚ますとなれば......
セレスは凄い人物です。

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2024年08月02日

Posted by ブクログ

「失われたものたちの本」の完全な続編。
(前作を読んでいないと全く理解不能)

ロンドンに住むセレスは一人で8歳の娘を育てている。ある日、娘が交通事故にあい昏睡状態になってしまう。医師の勧めで田舎のケア施設に移るが、その施設のそばに『失われたものたちの本』という物語を書いた作家の古い屋敷があって…。

主人公セレスの感じる孤独と絶望は痛々しいほど胸に迫ってきます。ただ、前作の主人公ディヴィッドが囚われた喪失感や嫉妬とはベクトルが違う感触がありました。ディヴィッドが少年だったのに対して、本作の主人公セレスは立派な大人として描かれています。前作が書かれてから17年が過ぎ、著者の思考の変遷がここに表れているように感じました。

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2025年02月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作は見事に完結して見せていたが、そんな作品に見事に続編を生み出させてくれた作品だと思った。
主人公は娘を失われた30代の母親で、ファンタジー世界にはそぐわない人物のように思える。
だが、彼女もまた誰かの娘であり、愛情を注ぐ対象のいる母親であり、現実を生きる冒険者なのだ。

一つ蛇足の感想を。
フロリダはお風呂から離脱する、ではなくお風呂のため離脱する、です。

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2025年01月03日

Posted by ブクログ

面白いのか面白くないのか聞かれたら、面白い方に入るかもしれないけれど、うーん。
難解なのかテーマが定まってないだけなのか、印象的なシーン、好きなシーンがこれと言って無い。
あと、海外ものにありがちな「絶対悪」みたいな考え方が馴染まない。
ミヤマガラスとカーリオは何をしたかったの…?

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2025年05月12日

Posted by ブクログ

前作がとても素晴らしかっただけにこちらも期待をしていたが…訳者のあとがきにも書いてあるように、少し読みづらく感じた。物語にのめり込むことができなかった。数年後に再度読み返せばまた評価は変わるだろうか…

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2025年04月19日

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